根曲竹の生命力

根曲竹竹林


根曲竹は高知などでは身近ではないからかも知れませんが、の中でも非常に気になる素材です。「竹」と名前が付いているものの千島笹とか根曲笹という別名があるように笹の仲間、雪の多い地域で成育するので寒い季節は、ずっと雪の下敷きになっていて、そのために根元が曲がるから根曲竹と言うのです。


根曲竹の山


虎竹の古里焼坂の峠は標高228メートルなので、これほど高い山の竹林にはあまり来る機会はありません。景色の美しさは素晴らしいものですけれど最近多いと聞くクマがどうにも心配です。


根曲竹竹林


根曲竹の竹林は、さすがに笹類だけあって密集して生えていて竹をかき分け、かき分けして中に入るのにも一苦労。なるほど、これは同じ竹の伐採でも孟宗竹、真竹、淡竹などとは全く違います。


根曲竹の束


根曲竹は自分などからすれば籠やザルなどの細工用のイメージしかないのですが、実は農業資材としての一面もあって6尺(約1.8メートル)から9尺(約2.7メートル)まで束にされて販売もされているのです。近年はご多分に漏れず海外から似たような輸入竹材が沢山入ってくるものの、耐久性が倍も違うのでプロ愛用は全てこの根曲竹です。


根曲竹伐採


しかし、竹林に実際に入ってみて実感しますけれど9尺サイズの根曲竹など全体の5%だそうですが本当です。そもそも地面を這うように伸びる竹なのでそんなに背丈の高いものなど全く見当たりません。根曲竹職人は、そんな竹を一本づつ起こしながら伐採していきます。時々「ピーーーーーー!ピーーーーーー!」と笛を鳴らして警戒しながらの山出しが続きます。


根曲竹


前のシーズンの根曲竹が残っているのを拝見した事があります。さすがに一年経つと青々として色合いはなくなり、まるで真っ白く晒したようです。けれど、この竹も良くみればかなりの太さです。竹林にもよるかも知れませんが、これだけの根曲竹を集めるのは大変ではないでしょうか。


生きている根曲竹


そして、こちらが伐採したての生命力に溢れるような根曲竹です。その昔、活躍した超一流の竹作家もこの竹を愛で沢山の作品を遺しました。


飯塚琅玕齋


まだ竹が芸術の世界では認められていない時代。押しつぶされながらも粘強く野趣あふれる竹の姿を、自分達竹人にきっと重ねていたと思います。




コメントする