虎竹網代弁当箱の仕事

 
虎竹と虎竹網代弁当箱


虎竹の竹林に入ると、「ここにも」「そこにも」「あっちにも」と虎竹模様の竹は遠くからでもハッキリ分かります。もちろん初めて方の場合だと淡竹特有の蝋質が薄く竹表皮にかかって少し分かりづらい事はあります。けれど、こうして油抜きした虎竹ならどうでしょうか?全く別の竹だと言われても信じてしまいそうですが、これが同じ竹なのです。細く割った竹を薄くヒゴ取りした虎竹網代弁当箱です。


虎竹弁当箱製作


網代編みは竹ヒゴ取りが大変です。丁寧に刃物を当てて同じ幅、同じ厚みにした竹ヒゴでないとどんな達人でも美しい籠はできません。


虎竹弁当箱編み込み


一本、また一本と竹ヒゴを手に取って網代編みの仕事が手際よく坦々と進められていき、細いのヒゴは一枚の薄い板のようになります。


虎竹網代弁当箱の職人


口を籐でかがって出来あがりです。本体部分と蓋部分と二つ同じ編み込みを作らねばならないので蓋物は時間がかかります。けれど、それでも長くお待ちいただくお客様がおられる事が、この虎竹網代弁当箱の品質を表しているかのようです。




新しいコンビニ用マイバッグ!?

 
虎竹花籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


この職人は腕がいい、持ち手の巻きがまるで違います。元々は花籠として編んだものですが、軽く染めた虎竹の色合いが何とも美しくないでしょうか?ネジリ編みになっているのも面白い。そこで、これはオトシを取ってちょっとした買い物に使ってみたいと考えました。スーパーでガッツリ食材など買うのであれば市場籠や、いつもの白竹八ツ目角籠バックが必要ですが、コンビニくらいなら十分使えるかも。


虎竹コンビニ用マイバッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


さて、さっそく試してみよう!今日は昼ご飯を食べるタイミングを逸してしまい、こんな夕方の時間になったのでオニギリかサンドイッチでも...500ミリリットルのお茶も1本なら余裕で入る...思い立って辺りをぐるりと四方八方見渡してみても、コンビニなど何処にもないので苦笑い。


ところで、この竹籠に使われている日本唯一の虎竹もこうして一本づつ選別して加工された竹です。




青竹蕎麦ざるの雨模様

真竹蕎麦ざる


青竹そばざるの季節がやって来る。渦になった編み込みを一面に広げると、まるで水面に降る雨模様のよう、スズ竹蕎麦ざるなどと見た目が良く似ているけれど、青竹表皮を活かした竹ざるは硬く丈夫だ。これから青さが抜けてきて晒の白竹のような色合いになってきて、それから段々と飴色への変化する。


蕎麦ざる


お蕎麦屋さんからのご要望が一番多い竹ざるという事からも、その実用性の程がうかがえる。大が約24センチ(8寸)、小が約21センチ(7寸)の2種類のサイズ、一般のご家庭なら一生使えるに違いない。


蕎麦ざる


網代編みからのヒゴ回しが熟練の技を感じさせる、近くでじっくり見てもやりは凄腕。日本の夏にはやはり、こんな本物の竹ざるが必要だ。


一年かかりました、土窯作り最高級竹炭マドラーがリニューアル

水割りに最高級竹炭マドラー


昨年の春からずっと品切れだった土窯作りの最高級竹炭マドラーがようやくリニューアルして完成しました。今までの倍ほどもある厚み、高温で焼き上げたキンキンと響く心地よい音、ご自宅でウィスキーの水割りで晩酌される方には是非一度お試しいただきたいと思っていますが焼酎のお湯割りなどでも味がまろやかになると言われています。

 
竹炭マドラー、ペットボトル用


竹炭をウィスキーに使うのは某有名飲料メーカーが醸造用として竹炭濾過の水を使うことから多くの方に認知いただくようになりました。ウィスキーの原酒を樽に入れて貯蔵する樽にはクギを使っていません、タンニンと呼ばれる芳香化合物が鉄と反応して黒いインク状の液体が発生するからだそうです。だから竹炭と言っても鉄窯ではなく、昔ながらの土窯でなくてはなりません。


竹炭マドラーと孟宗竹比較


しかし、土窯作りの最高級竹炭とは言え素材の孟宗竹は沢山あるし定期的に焼き上げている竹炭なのに、どうして一年もの時間がかかるのか?もしかしたら不思議に思われる方もおられるかも知れません。近年、良質の竹材不足が顕著になってきています、実は今回の竹炭マドラーリニューアルでもこの竹素材作りに時間を費やしました。


全国津々浦々で迷惑だと言われるくらい生えている孟宗竹も、品質を厳選し3~4年生でこれだけの身の厚みのある極太のものとなると激減します。この肉厚だと菊割の機械では十分に加工できず、1メートルのサイズに切断して細く切り割していています。


竹炭マドラー


竹炭と言えば黒いのが当たり前、ところが1000度の高温で焼き上げた竹炭は銀色に輝いています。素材の確保から加工、そして3ケ月もの間大事に乾燥させた一級の竹材だからこそ生まれたまさに「最高級」です。


ウイスキーが美味しい竹炭マドラー


日本のウィスキーには日本の竹林で育ち焼かれた竹炭が似合います。




新荘川の竹

新荘川の竹


虎竹の里からもすぐ近くに流れる新荘川は高知県津野町から須崎湾に注ぐ24.1キロの二級河川です。美しい自然の多く残された高知には最後の清流と言われる四万十川や、仁淀ブルーとして近年知られる仁淀川がありますが、この新荘川は日本で最後にニホンカワウソが確認された川として有名です。


しんじょう君、竹虎四代目(山岸義浩)


小さい頃にはこの川を泳ぐカワウソの姿をテレビニュースで何度か観ましたし、生存を調べるための調査団が度々来られてもいました。最後には近くを走るタクシードライバーに使い捨てカメラが配られて、何とか姿を見つけられないものかと地域一丸となって頑張っていた事もあります。とうとう、2012年に環境省から「カワウソ絶滅宣言」が発せられましたものの、現在ではマスコットキャラクターゆるキャラ「しんじょう君」のモチーフとして生きています。


蓬莱竹、シンニョウチク


しかし、今回はこの新荘川のニホンカワウソではなく川岸に続く竹林に注目したいと思っています。日頃、優しく穏やかな流れの両岸に当たり前のように思って見ている竹林が、実は台風でも来れば一変して恐ろしい濁流となり水害を起こしてきた大自然への備えとして機能してきたのです。


護岸には南方系で株立ちの高知ではシンニョウチクとも呼ばれる蓬莱竹(土用竹)が植えられているのを多く見かけますけれど、新荘川では真竹や女竹など小振りな竹が密集して生えています。場所によっては竹林が二重になっている所もあり度々大水に悩まされてきた事を知る思いです。


竹根


「灯台下暗し」の言葉どおり地元を遠く離れた地域で竹の防災力を考える機会は多々あるものの新荘川は近すぎて見過ごしていた部分がありました。強靭な竹の根は縦横無尽に伸びて土をがっしりと掴み天然の鉄筋コンクリートとなります、もう少し先になりそうですが、地震の時には竹林に逃げろと教わってきた竹の力をこの川でも検証できればと思っています。




お茶農家さんの竹籠

 
茶農家の竹籠


昔ながらのお茶農家さんには大きく美しい竹籠が残っていることが多いのですが、ここにある籠も見事です。年期を感じる赤茶けた竹肌、一体何十年働いてきたのか?人が日焼けするように磨きの竹細工も日当たりが良いとこのように強く濃く色合いが変化します。このような籠が沢山編まれて使われていた当時には籠でもザルでも他の農家さんの物と間違えないように大きく墨で名前や屋号が書かれていましたけれど、これも例外ではありません。


茶摘み籠


いい籠はシルエットも綺麗です。別に綺麗に見栄え良く編まれたものではないのに使い勝手や機能性を考えていったら、このような秀逸な竹細工になったのです。


茶摘み籠力竹


働き者の竹籠は底が違います。それぞれの四隅中央に竹節を持ってきた力竹、二重、三重に竹で押さえて堅牢そのものの作りに竹職人の「これで、どうだ」という呟きが聞こえそうです。


茶農家の竹籠


縁巻


縁巻は竹表皮を薄く剥いだ磨きの竹ヒゴで丁寧に巻かれていて、かなりの腕前なのが分かります。一番最初の画像の口巻を抑える縦の竹ヒゴは白っぽく色合いが対照的、これが表皮を剥いだ時と残した場合の色合いの違いです。それにしてもお茶農家といえば茶葉を干すための大きな竹ざるがあった沢渡の茶畑を思い出します。来月には新茶のシーズンなので、あれから早くも一年という事です。




虎竹ピクニックバスケットの製作

 
虎竹ピクニックバスケット部材


沢山並んでいるのは虎竹を細く割って作ったフレーム、何種類となく並んでいますが一体何が出来あがるかお分かりでしょうか?普通の竹ざるや竹籠の材料とは全く違っていますが実はこれでも一部の材利、初めての方なら似たような部材が多いですし何が出来あがるか想像は難しいかも知れません。


虎竹ピクニックバスケット、火曲げ


それぞれの竹パーツはサイズに切断されていたり、コの字型に曲げられていたり様々です。竹は曲りを矯め直す時にも熱を使いますけれど、曲げる時にもやはり熱を入れます。そして、水で冷やして曲りを固定するのも同じなのです。


虎竹ピクニックバスケット製作


底編みから立ち上がりまで組進んでくると全体の形もうっすらと見えてきます。その通りです、ご想像通りだったでしょうか?出来あがるのは虎竹ピクニックバスケット、これからの行楽のシーズンに外に出かけて楽しむランチタイムを更に盛り上げてくれる逸品です。


虎竹ピクニックバスケット、竹虎四代目(山岸義浩)


つい先日にお客様からのご注文で特別に製作した特大サイズと比べてみました。景色の良い青空の下で、他のご家族としっかり距離をとった形で美味しいお昼ごはんを頂く時にはお供させていただきたいです。


今回、虎竹ピクニックバスケットが一体どんな風にして製作されるのかを動画でご覧いただけるようにご用意いたしました。職人の丁寧な仕事ぶりを是非ご覧ください。




スザンヌ・ルーカス(susanne lucas)著「竹の文化誌」

 
susanne lucas<br>
「bamboo」


本はアマゾンでばかり購入するのは考えモノだと、こういう時に思います。たまたま本屋に入って目についたのが「竹の文化誌」、この手の竹を題材にした本などは地味だし随分前に発刊されたものとばかり思っていたら何と今年の2月に翻訳されたばかりのホヤホヤ!しかも著者がsusanne lucasと言うから更に驚いたのです!


第11回世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


スザンヌさんはマサチューセッツ州プリマスを拠点にして活躍される園芸家、デザイナー、造園家であると共に世界竹機構(World Bamboo Organization)のエグゼクティブディレクターなのです。何を隠そう2018年にメキシコのハラパ(Xalapa)で開催された第11回世界竹会議(11th World Bamboo Congress Mexico)の基調講演にお招きいただいた際のご連絡を頂戴した方でもあります。


スザンヌ・ルーカス「竹の文化誌」


は人々の暮らしに衣食住すべてに深く根ざし長い長い歴史と共に今があります。スザンヌさんは世界的に竹と人との関わりを研究され、環境負荷の小さい資源としての可能性にも目を向けられています。日本の竹は品質も高く、生み出されるモノは日本人特有の感性によって磨かれ、竹の姿そのものが日本人の生き方や考え方にまで大きな影響を与え続けてきました。竹の国ニッポンで一人でも多くの方に手にして欲しい一冊です。


スザンヌさんには世界竹会議メキシコで日本唯一の虎竹電気自動車竹トラッカーで現地を走る「チャレンジランメキシコ」にも多大なお力添えをいただきました。




小さな虎竹手付き籠

 
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虎竹手付きミニ籠バック


昨日は真竹の手提げ籠バッグのお話でしたけれど、同じ竹でも全く違う色合いの虎竹の手付き籠です。こうして見ると普通にお買い物にいけるほどの大きさかと思われますが実は手の平にのるほどのミニサイズ。


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虎竹手付きミニ籠バック


昭和の時代にはお母さんのお買い物に定番だった楕円形の虎竹買い物籠がそのまま小さくした愛着のある形。スマホやお部屋の鍵など身近な小物入れにしていただきたいと思って製作している竹細工です。


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虎竹手付きミニ籠バック


沢山編み上がった虎竹の籠たちを見ながら考えます。この虎竹たちも前日のYouTube動画で大人気となっている日本唯一の虎竹の山出しでご覧いただけますように一本一本を急峻な竹林で伐採し、束にして細い山道を里までゴトゴトと下ろしてきた竹で出来ています。山の職人の汗も染み込んだ竹細工なのです。




若い真竹磨き縦ヒゴ手提げ籠バッグ

真竹磨き縦ヒゴ手提げ籠バッグ


磨きの手提げ籠バッグができてきた。磨きとは竹の表皮を薄く剥いで編む竹細工のこと、竹皮のキズやシミなどを綺麗に削ぎ落す形となり編み上がった籠は青々として本当に美しい。


竹磨き


竹表皮が鉋屑のようになっている所をご覧いただくと、なるほど確かに竹表皮を削ったのだとお分かりいただけるかも知れない。


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人の青春時代と同じだろうか、竹籠の青々とした色合いの時はすぐに過ぎてしまう。鮮やかさが無くなり、少し落ち着いた色合いになっていく、しかし、これで枯れていくのかと心配する事はない。愛用する年月を重ねるほどに今度は段々と色合いが深まり渋さが増してくる。