続・温泉籠・湯かごにも虎竹スクエア手付き籠

虎竹スクエア手付き籠(温泉かご)湯かご


持ち手を付けた事によって外に連れ出せるようになった虎竹スクエアバスケット。温泉籠とはしていますけれど、アイデアで色々とお使いいただけるのではないか思っています。


虎竹スクエアバスケット


虎竹スクエアバスケットは、卓上で使う小物籠からA4サイズの書類籠、衣装籠や茶碗籠、少し大きなリビングバスケット、持ち手の付いた手提げ籠と種類が増えて10種類となりました。


虎竹スクエア手付き籠(温泉かご)湯かご


まだまだ改良できる所はありそうですし、竹虎の経営理念にあります「虎竹のある暮らし」のお役に立てるように、皆様の使い勝手のよい竹籠のバリエーションも増やしていければと思っています。




虎竹筒箸箱の試作

 
虎竹箸箱、煤竹箸箱


随分前に渡辺竹清先生に頂いた煤竹携帯箸は、日本刀に見立てた作りになっていて縄目も美しい鞘から刀ならぬ煤竹箸を抜いた後、丸いツバの部分がそのまま箸置きになるという素晴らしいものです。そして、その隣にあるのが今回試作した虎竹の筒箸箱なのです。黒竹筒箸箱は以前からあって、蓋部分を籐のタガ留めにしてから使い勝手が更に良くなったと評判をいただいてます。


虎竹箸箱


新しいバリエーションとして虎竹タイプが出来たのですが、もっと前からあってもおかしくないとお思いの方もおられそうです。ところが、実は虎竹は他の竹に比べて割れやすい特徴があって細かく割って使う細工には向いていますけれど丸竹のまま使用される事には少し不向きな面があります。


とても美しい竹笛を製作される方がおられて虎竹を使いたいとのご意向を頂きましたものの、やはりこの竹割れがネックとなりました。しかし、今回の虎竹筒箸箱の場合は最初から切れ込みを入れてあるのでどうか?背割りを入れると他の場所が割れる事はありませんから耐久性をみるために暫く様子をみていきます。




続・流鏑馬笠(騎射笠・端反笠・陣笠)を復刻した

流鏑馬


昨日、流鏑馬笠のお話をしましたら、やはりご存じのない方もおられるようでした。そこで本日は絵心のある社員が流鏑馬の絵を描いてくれました!ビジュアルの力は凄いです、こうして絵にして見ていただきますと、まさに一目瞭然。馬に跨った武者が弓矢で的を射抜く様子がよく分かります。これをご覧されたなら、皆様もきっと一度や二度はテレビなどで、この勇壮な姿を目にされているかと思います。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


流鏑馬笠の復刻は画像左に写る古い一笠からはじまりました。かっては20名をこえる笠編み職人がいたと言いますけれど、遂に一人もいなくなり必要なくなったからと譲られた古い網代笠。網代編みをする竹人はいても、これだけの曲線をどうやって出していくのか?何人にも断れ、失敗してもいつかは出来るだろうと楽観していのは、出来るまで諦めないからです(笑)。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


誰に頼まれた訳でもなく、自分の思いで復刻させたいだけなので気楽です。また、竹細工に関しては、おそらく自分以上に点と点と繋げられる者はいないという自負もありました、要はあせらなくても誰にも出来ないのです。いや間違えました、こんな馬鹿なこと誰もやろうと思わないのです。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠、竹虎四代目(山岸義浩)


それでも美しく編み上がった流鏑馬笠を手にした時は嬉しかったです。あの工房の片隅で汚れてボロボロになって忘れられていた笠が、こうなるのです。日本の手仕事は、まだまだ捨てたものではありません。「ここは寒いから、暖かい高知に連れて帰ってくれよ」確かにその時に聞きました。復刻の日を知っていたに違いありません。




流鏑馬笠(騎射笠・端反笠・陣笠)を復刻した

 
流鏑馬笠、騎射笠、竹虎四代目(山岸義浩)


流鏑馬(やぶさめ)をご存じだろうか?馬に乗ったまま走りながら弓を放つ騎射術を、テレビなどで見た事があると思う。何を隠そう自分も明徳時代は、弓道部に籍を置いたこともあるので少し覚えがあるが、弓を射るだけでも大変なのに、あの不安定な馬に跨って弓を射るとは体力はもちろん、想像を絶する精神力が必要だ。その時にかぶる笠が流鏑馬笠(騎射笠)、綾藺笠などと呼ばれていて、どうにか復刻できないかとチャレンジしていたのだ。ここまで来るのに一体何年かかったろうか?美しい出来映えに満足しながらも少し複雑な思いも感じている。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠原型


あれは寒い雪の日だった、そもそも初めて一つだけ残された反笠の原型を見た時には編めそうな職人の顔がすぐに思い浮かんだ。代官がかぶっている陣笠にも似ている、時代劇や映画で使われる網代編みの饅頭笠を製作していたので、もしやと思って頼んでみた。


竹職人


ところが、やはり騎射笠となると製法が違うのだ。少し時間があれば何とかなりそうでもあったけれど他の製作が忙しく新しい笠に取り組む余裕がなかった。そして、そのうち仕事ができなくなった。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠下地


また今回、竹編みを難しくしているのは柾目の竹ヒゴを使っている点だ。柾目とは丸い竹材を縦に割っていくので竹の厚み部分がヒゴ幅になる。虎竹細工など竹表皮部分を活かす場合の板目に比べると、圧倒的に多くの材料が取れるので竹細工の盛んな頃には良く使われていたが現在では殆ど見かけない。すぐ思い浮かぶのは、自宅で使っている輪弧編みの竹ペンダントライトくらいではないか。


流鏑馬笠の柾竹ヒゴ機械


従って柾目の竹ヒゴを取る機械なども流鏑馬笠復刻の過程で初めて見た。上に並んで丸いローラーがあるなんて感動的だ、これだけでも新しい細工作りに取り組んだ甲斐がある(笑)。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠、柾竹ヒゴ


流鏑馬笠の流れるような曲線は、この柾目の竹ヒゴがあってこそなのだ。当社にある青竹細工でも、竹ざるなど竹表皮を取った後の竹の身部分を二番ヒゴ、三番ヒゴと取っていく、一本の竹を出来るだけ使い切るのが昔から伝わる編み方だ。しかし、同じ身部分の竹ヒゴのように見えても柾の竹ヒゴは柔らかく、しなやかな性質をもちながら、それでいて竹で一番丈夫な竹表皮部分が竹ヒゴの片側に必ず備えられているから強い。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


柿渋と漆で仕上げられる前の下地編みだけの真っ白い流鏑馬笠が、すでにピンと自立したような硬さを主張しているのはこの柾目の竹ヒゴのせいだ。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


あの古老の熟練職人が尻尾まいた、この曲線。


流鏑馬笠、網代笠、騎射笠、端反笠、陣笠


色ムラにならないよう柿渋の濃度を少しづつ上げながら四回塗り重ねる、それから仕上げに漆を二回塗布した色合い。コンコンと軽く叩くと、軽く乾いた音が響くほどの硬度となっている。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠復刻


伝統ある産地の笠骨に、竹ではなくプラスチックが普通に使われている「国産」に落胆して、しかし、その苦しい事情に誰よりも納得せざるを得なかった頃に古い流鏑馬笠に出会った。復刻してみたい...、昔ながらの技で完成する日本の職人技が、まだまだ残っている事をこの目で見たかったのだ。




新登場、温泉籠・湯かごにも虎竹スクエア手付き籠

 
竹虎四代目(山岸義浩)、手付き籠(温泉かご・湯籠)


スクエアバスケットのシリーズに、ご要望をいただいておりました手付きタイプが新しく仲間入りしました。それが、この虎竹スクエア手付き籠(温泉かご)、縦幅、横幅、奥行きを同じサイズにしたキューブ型になっています。


虎竹スクエア手付き籠(温泉かご)


底部分内側には、見栄えと耐久性を考えて竹の中で一番丈夫で水をはじく表皮を持ってきていますので、温泉籠等にも最適です。


虎竹スクエア手付き籠(湯かご)


実は以前このサイズと同じサイコロ型の竹照明を製作させていただいた事がありました。残しておいたサンプルを参考にしましたので今回は出来あがりが概ね見えていたものの、やはり細部のあしらいでは検討せねばならない事が出来てきます。


虎竹スクエア手付き籠(温泉かご)


温泉かご、湯かご


そこで若干遅くはなりましたが何とか皆様にご覧いただけるようになりました。現在は温泉街も静かなようですけれど、この籠を手にした浴衣姿の方々が行き交う日を夢見ています。


そうそう、温泉籠と言えば真竹で編み込んだ伝統の湯籠職人の動画を現在製作中です。近日公開できるのではないかと思っていますので、お楽しみに!




竹変化、50年

 
古い竹籠


たまにお話させていただく竹の経年変色ですが、先日はこんな竹籠に出会いました。しっかりした作りのため長く仕事に使われていたのに傷みもなく凄い存在感で輝いて見えます。しかし、まるで最初からこのような色使いで製作したかのようなコントラスト。飴色の横網部分は竹表皮が付いた竹材で、更に濃い赤茶色のように見えるのは竹表皮を剥いだ「磨き」と呼ばれる部分です。


古い竹籠


古い籠は、この変色具合がたまらない魅力のひとつです。職人さんの使っていたこの竹籠などは白竹に何か塗料で塗っているかのような輝きを放ち、真新しい白竹の籠より成長しているとしか言いようがありません。


古い竹籠


この色合いの違いを近寄ってみると、この通り、これだけ違うのです。


オーバーナイター


50年前に考案されて今でも作り続けられている白竹持ち手付籠オーバーナイターという持ち手のついたユニークな平籠があります。


オーバーナイター


勘違いされないように改めて申し上げておきますけれど、大きな籠の方も元々は小さな籠と同じ真っ白な白竹だったのです。染めた訳でも何でもありません、この色合いの違いが月日の流れなのです。




昭和のお母さん愛用、虎竹手提げ買い物籠バッグ

 
虎竹買い物籠


「ザ・買い物籠」と呼びたい昔ながらの定番竹籠バッグと言えばコチラの虎竹買い物かごです。毎日手軽に使える軽さ、丈夫さ、持ちやすさ、使いやすさなど全てを兼ね備えた極みのひとつだと思います。


昭和の買い物かご


昭和の時代を知らない若い皆様に、買い物籠の事をお話しても伝わりにくいかも知れません。しかし、当時の台所を再現すれば必ず台所の何処かに、近所のお店に行くためにお母さん方が愛用した手提げ籠があります。


虎竹手提げ籠バッグ


昭和から平成、そして令和と時を経て、当たり前に使われていたレジ袋からマイバッグを携帯するようになって少し竹籠も見直されています。小さく折りたためる薄手でも強度のある手頃な製品は色々とあるようですけれど、竹の良さは長くひとつの籠を持ち続けられる事にあります。先日持ち手の修理をご依頼いただきましたけれど、こうして修理すれば新品の竹籠のようにお使いいただけます。YouTube動画で持ち手を修理する様子をご紹介していますので是非ご覧ください。




鬼と言えば鬼ヶ島決戦!?いえ、大根おろしにに使う鬼おろし

竹製鬼おろし


竹虎で「鬼」と言えば赤鬼四代目の鬼ヶ島決戦しか思い浮かばないという貴方!素晴らしい!昔からのお得意様でしょうか!?大好きです(笑)。けれど、本当は鬼と言えば大根おろしがアッと驚くシャキシャキ新食感になると大評判の鬼おろしなのです。これからの季節は、ご自宅で鍋を囲む機会も増えてくるかと思いますけれど、そんな時に主役の食材を何倍も美味しく引き立ててくれる名脇役であり欠かす事の出来ないキッチン道具であります。




ちなみに、赤鬼四代目の鬼ヶ島決戦はこちらの動画でゆっくりとご覧いただけます(笑)。


鬼おろし(大根おろし)


さて、この鬼おろしは孟宗竹が原料に使われていますが、近年は竹材の質が落ちてきているのか、温暖化などの影響で竹の虫が元気なのか、どちらか原因は分からないものの虫害がとても多くなっていることは確かです。主に悪さをするのはチビタケナガシンクイムシ、せっかく製品になった鬼おろしに小さな穴を開けて喰っていきます。




熱湯処理をすれば安全で虫害にも一定の効果はあります、小さな穴が開いたくらいではご使用には全く問題ありませんのでご家庭でのお取り扱いには参考にしていただきたいです。ただ、小さな穴とは言え虫が喰ったものをお客様に販売する事はできませんので今まで泣く泣くどれだけ処分したか知れません。


竹材炭化窯


そこで、今まで炭化加工していなかったキッチン道具等にも全て熱処理を施すようにしました。見比べて頂くと従来の白っぽい鬼おろしが、炭化をする事によって日焼けしたような逞しい色合いに変色しているのがお分かりいただけます。


鬼おろし(大根おろし)


この加工効果は大きくて、今年の夏も長雨と高温で竹にとっては過酷とも言える状態が続いたにもかかわらず虫害は目にみえて減りました。鬼おろしを使うにも、収納するにも便利な竹皿も炭化加工済みです。


ニンジン摺り下ろす鬼おろし


大根だけでなくニンジンやリンゴ、玉ねぎなど硬い竹材の特性を活かした鬼おろしは簡単に食材をおろす事ができて、しかも今まで食した事のないような粗目の食感をお楽しみいただけます。


鬼おろしの鬼歯


ただ、一点だけご注意があります。それは肝心の鬼歯についてです、実は炭化加工すると若干竹材の性質が弱くなりますので一番負荷のかかる部位である鬼歯には熱処理せずそのままで製造されています。そこで、ピンポイントでこの炭化されていない鬼歯だけを虫が喰う場合があるのです。美味しい竹と、炭化加工されてマズイ竹とを見分ける害虫のしたたかさには閉口するしかありません。


まだまだ戦いは続きます。それこそ鬼ヶ島決戦です、赤鬼四代目に虫退治に行ってもらわねばなりません(笑)。




竹屋黄金率!?今までの青竹踏みに満足できない方だけにオススメ

強力青竹踏み


普通の青竹踏みに満足できない...?普通とはどういう事だろう?普通の青竹踏みと、普通でないものがあるのか!?と思われる方は今日の30年ブログは必見です。そもそも青竹踏みは日本古来の健康法で半割の竹をフミフミするだけの誰でも、いつでも、どこでも手軽に簡単にできる事から長く愛用されてきています。ところが、この青竹踏みすら現代の竹離れ現象の中で忘れさられようとしているので、自分はちょっとした危機感を持っています(笑)。


孟宗竹


危機感の話は少し置いておいて、通常の青竹踏みは孟宗竹という竹で作られます。日本最大級の竹で、日本全国どこの里山に行っても見かける事のできる竹です。太さだけでなくて厚みもあり丈夫ですから青竹踏みとしては、打ってつけの素材なのです。


青竹踏みと踏み王くん


ただ、直径が大きいために半割にした時のアール(足裏に当たる曲り部分)は緩やか、これが一般的な画像右側にある普通の青竹踏みです。一方、細くアールが急な角度になっている左側が普通ではない、ワンランク上の強力青竹踏み踏み王くん、こうして比べてみるとまさに一目瞭然!


細い竹と言いましても、しっかりした肉厚の真竹を使い耐久性はバッチリ。さらに良くご覧いただきたいのですが、踏み王くんの方は単に一本の竹を半割にしているのでは無いのがご確認いただけますでしょうか?何と足裏にピンポイントにグイグイと刺激を効かせるために6:4の竹屋黄金率で切り割りしています。半割して1本の竹から二本できる普通の青竹踏みに比べて、1本の竹から一個しか製造できないのです。


雑誌掲載の青竹踏み


実はこの上級者用とも言える強力青竹踏み踏み王くんは、ボディバランス整体師としてテレビ・ラジオでも有名で「足を温めると健康になる」「足裏のゆがみをとればやせられる」「朝に効くツボ 夜に効くツボ」等の著書もあられる吉田佳代さんに雑誌でオススメいただいています。


真竹製青竹踏み


それでは、そんな良い製品がどうして今までなかったのか?大きな理由は竹材がないからです。踏み王くんは、竹虎の社員からのリクエストで生まれた製品なのですけれど細身の竹踏みのためには真竹を使わねばなりません。しかも41センチという長さの中に強度を考慮して節を2つ入れています(この節を考えなければ、もっと沢山製造できる)。


竹は竹林に無限に生えているように見えるかも知れません。しかし、筍から生えて3年、あるいは4年竹を厳選し、根元が太くてウラ(先端)に行くほど細くなり、節間も長くなる天然竹の中から直径5~7センチの規格に二節いれる竹だけとなると大変です。


真竹、青竹


1本や2本なら誰でもできるかも知れません。ところがこれを100本、1000本となると、竹材の確保だけでも容易ではないのです。それも長い竹の中から使える部分というのは決まっているので、大量に製造すれば大量にできる端材の利用も出来ねば継続できません。




青竹踏み保管


だから、真竹を使った細身の青竹踏みがあればなあ、と思う方は多かったと思いますが世の中に流通させるほどの製造量はなく、皆様が目にする機会はなかったという訳です。


変形した青竹踏み


普通の青竹踏みでも慣れない方は土踏まずが痛いと言われます。そんな場合には少しづつ慣らしていかねばなりません、ところが踏み慣れてくると段々と刺激が足りなくなって当社社員のように真竹の細い竹踏みの要望が出てきます。しかし、さらにそれでもまだ上には上があって、踏み王くん製造の過程で乾燥が十分にできていない竹材が、このように丸まってしまう場合があります。何を隠そう自分はこれくらいのレアな超強力青竹踏みを愛用しています。


これで青竹踏み体操でも出来て一人前です(誰でもできます)。




最後まで試行錯誤して登場、虎竹スクエア茶碗籠

 
茶碗籠


茶碗籠の思い出に一方ならぬ思い入れがある事は、いつもお話させて頂く通りですけれど、それは幼い頃からの原体験であり茶碗籠だけでなく生活の中で使われてきた竹を、ついつい追い求めてしまうのは、今では会う事のできない優しいあの顔だったり、戻ることのできない温もりの時間を探しているのだろうか?と自分で自分の事を見ています。


虎竹スクエア茶碗籠、竹虎四代目(山岸義浩)


さて、今回登場しましたのは昨年から定番となりました日本唯一の虎竹を使ったスクエアバスケットのシリーズとしての茶碗籠です。


虎竹スクエア茶碗籠


虎竹スクエア茶碗籠底部分


水をはじいて防水性が一番高く、一番丈夫な竹表皮部分を内側にしているので茶碗籠としてお使いいただいた場合の水切れも早くなります。


虎竹スクエア茶碗籠接写


虎竹スクエア茶碗籠、足部分


何度もやり直したのが足部分です。茶碗籠として通気性は必須ですので足を付けて籠の底部分を持ち上げておかねばなりません。最初は半割竹を籐でかがる昔ながらの細工で仕上げていましたけれど、どうも洗練された感じになりません。


虎竹スクエア茶碗籠力竹、竹虎四代目(山岸義浩)


そこで厚みのある虎竹を火曲げしたUの字型の足をつけています。底にはスクエアバスケットには取り除いた力竹をしっかりと入れて補強しました。


虎竹スクエア茶碗籠、食器


試しに食器類を入れてみると何と3.5キロ!お二人から三人暮らしのご家庭では余裕の収納力ではないでしょうか。


虎竹スクエア茶碗籠


虎竹スクエアバスケットは熟練の職人によってこうして編まれています。どんな風に作られてくのか?YouTube動画でご覧いただきますと籠の事や竹の特性も深く知っていただけるのではないかと思います。竹虎では他の編み方や竹製品なども多数ご紹介しています。




世界竹の日(World Bamboo Day)2021に思う「竹は無限」

 
世界竹の日、青竹踏み体操


今日は一人でも多くの皆さんに知っていただきたい9月18日、世界竹の日です!その驚異的な成長力から継続利用可能な唯一の天然資源と言われ注目をあびつつある竹を、世界の方々と一緒に考える日なのです。2020年の世界竹の日では、コロナによってステイホームを余儀なくされた皆様の運動不足解消に役立てていただきたいと願い青竹踏み体操を竹虎社員一同で披露されてもらいました。だから早いものであれから一年という時間が経過した事になります。


世界竹の日2021年


今年の世界竹の日では、ちょうどつい先日に一人学生さんとzoomを介した竹のお話を「竹虎四代目が「日本の竹」への疑問にお答えします! 世界竹の日(World Bamboo Day)2021特別企画」として製作し本日YouTube動画にアップさせて頂きました。最初、学生さんからのお問合せを頂戴した時には何も思ってはいませんでしたが、お話をさせていただいた翌々日でしたか、こんな大切な記念日に合わせたかのようなお問合せに少し運命的な引き合わせも感じています。


海外の竹と聞くと中国や東南アジアくらいの認識しかないのが普通かも知れませんけれど、熱帯系である竹の成育地域は赤道を中心にしてアフリカ大陸や南アメリカなど世界に広がっています。それぞれの気候風土、文化に合わせた人と竹の関わりがありプロダクトが生まれています。竹が地下茎でそれぞれの竹と繋がるように世界の人々と手をたずさえる時、まさに竹の無限の可能性に心躍ります。




森林浴気分の四万十ひのき枕

 
四万十ひのき枕


桧は非常に油成分の多い樹木とされていて火をおこすから「ヒノキ」と呼ばれるようになったと聞いています。特に降水量の多い高知県、最後の清流四万十川流域の桧にはヒノキオイルがたっぷり含まれていて端材を細かく粉砕した桧チップの香りも格別なのです。


四万十ひのき枕


四万十ひのき枕にはこの桧チップを2キロも入れ作りますが、この粒の小さい事はどうでしょうか?以前のタイプと比べても一目でその細かさが分かるほどでこの小粒感が寝心地のやさしさと朝まで森林浴気分でグッスリ快眠できる秘密です。


四万十檜枕


小粒の柔らかな寝心地にあわせて、包む綿生地も薄手でソフトなものを厳選しました。


四万十ヒノキ枕


リニューアルした桧まくらが、きっと四万十の森の中を散策しているような心地よい眠りに誘ってくれるのではないかと思っています。




大食漢の?白竹四ツ目弁当箱が登場です

白竹四ツ目弁当箱


しばらく製作できていなかった白竹四ツ目弁当箱がリニューアルした形で出来あがりました。通気性抜群でランチボックスとしても最適な編み込みだと思っているのですが案外探しても少なくて竹のお好きな皆様も、ありそうでいて目にする機会が少ないのではないかと思っています。


白竹四ツ目弁当箱


熟練の腕利き竹職人が手掛けているだけあって作りは美しく、しっかり編まれた弁当箱です。ただ、特徴はもうひとつあって、それは大きさです。お弁当箱としては結構なビックサイズ!大きさは若干違いますものの一番大きなものだと幅21センチ、奥行き14センチ、高さは10センチほどあります。


竹カトラリー、白竹四ツ目弁当箱


そこで、お弁当箱というだけでなくカトラリーを入れてもいいですし、薬箱や化粧品入れとして裁縫箱として等いろいろなお使い道がありそうです。


白竹四ツ目弁当箱


白竹四ツ目弁当箱


自分などは、もちろんお弁当箱として使いたいと思いますけれど、このサイズにしっかりオニギリ詰め込んだら、そこそこの大食漢の方でも満足されてるのではないでしょうか。


竹炭サプリメントについて

 
竹炭ヨーグルト


毎日欠かさず食べているものの一つにヨーグルトがあります。お気に入りは、少しお値段はりますが濃厚なクリーミー感がクセになる「小岩井プレミアムクリームヨーグルトグルメファン」、ただどこのスーパーでも置いている訳ではなくて売り切れになっている事が多いのが難点です(笑)。竹虎の竹炭パウダーを混ぜて食する事も多いのですけれど実は少し不満に思っている事がありました。


竹炭サプリ


それは竹炭パウダーを袋から取り出す時に注意しないと指が汚れてしまう事です、スプーンを使いますけれどアルミパックの内側に軽く指が触れただけで真っ黒く竹炭が付いてしまいます。そこで現在30センチサイズの超ロング竹炭パウダースプーンを製作中ではありますが、竹炭ヨーグルトを食べた後に竹炭が容器に残ってしまう事ももったいないと思っていました。更に一番不便に思っていたのが出張などで出かける時の携帯性の悪さなのです。今回、新発売させて頂いた竹炭サプリメントは、カプセルに入れた状態で持ち運びにも便利にしたいと思った事が開発の大きな動機となりました。




オモシロイ、竹を平たく伸ばした盛り皿

 
のし竹盛り皿


この大きな一枚モノの板が孟宗竹から出来ているとお分かりいただけますでしょうか?孟宗竹は日本最大級の竹で東北以南では何処の里山でもご覧いただけますので一般的に「竹」と言えば、この孟宗竹の事を指しているのではないかと思えるほどの竹です。しかし、やはり特徴はこの大きさで暖かい地域ですと直径が20センチくらいになる物もあります。


孟宗竹


日本の在来種には、これ程の太さと長さの竹はありませんでしたので大陸から渡って来た時には食料としても大人気だったと思います。あの丸々と太った筍など、現代のように豊富な食材に囲まれた自分たちからは想像できないほど貴重なものだったと推察されます。だからこそ、日本に持ち込まれて約300年くらいの歴史なのに、ずっと昔から生えているかのように国内津々浦々に植えられています。


のし竹盛り皿


この孟宗竹に切れ目を入れて平たく延ばしたら、このような板状の竹皿になります。両側に入っているラインは、まさに竹の節部分でデザイン的にも良い感じのアクセントになっています。


竹器


竹節


もちろん天然素材なので同じように加工しても、竹の太さも形も違えば性質も異なりますので全く同じ竹皿にはなりません。だから尚更オモシロイ、これはアイデア次第で楽しい食卓を演出できそうです。


もうひとつの染やたら手提げミニバッグ

 
染やたら手提げミニバッグ


先日限定でご紹介させていただきました染やたら染やたら一本手提げミニバッグは特別価格だったこともあってすぐに完売となってしまいました。お問合せいただきました皆様にはご迷惑をお掛けいたしまして大変に申し訳ございませんでした。もう少しだけ追加で製作できそうですのでお待ち頂ける方は「再入荷お知らせ」ボタンからお申込みいただきましたら改めてご連絡させてもらいます。


やたら編み竹籠


さて、実はこのやたらミニバッグには薄染のタイプも作るようにしています、ただしコチラは個数が本当に少なく追加製作の予定もありません。そもそも手提げ籠バッグにせずに花籠か何かにできないかと思っていた所、可動式の長い籐二本手なら持ち手が邪魔にならず、どちらの用途でも使えそうだと思って持ち手付にしています。


やたら編み手提げ籠


同じサイズのやたら編みの籠ですけれど、色目と持ち手で随分と雰囲気が変わります。


染やたら手提げミニバッグ


こちらの薄染やたらの方も完成するのは11月以降になりそうです。秋も深まって、この籠が似合ういい季節には登場させたいと思っています。


ランチタイムにプラスワンできる虎竹網代ミニ弁当箱

 
虎竹網代弁当箱


虎竹網代ミニ弁当箱は通常サイズの弁当箱と比べるてみたらこの通り。新しく作ったミニサイズがどれくらいの大きさ感かといいますと、こうして手の平にのるくらいの可愛さです。


虎竹網代ミニ弁当箱


このような小さな弁当箱でも作りは全く同じ網代編みでしっかり丈夫ですけれど一体どんな風に使うのでしょうか?男性の皆様でしたら、いくらダイエット中でも少し足りない大きさです(笑)。


虎竹網代ミニ弁当箱


そこで使い方としては、メインのお弁当箱にプラスワンしたい時に例えばサラダ専用のランチボックスとしてこのように使うのはいかがでしょうか?


フルーツ籠


はたまた、ミニバナナなら入りますから食後のフルーツやデザート用としてご愛用いただくのも良いかも知れません。


弁当箱力竹


実は竹細工は小さい方が編みづらいのです、それでもサイズに関係無く力竹も入れられていますので長く快適にお昼のお供ができるのではないかと思っています。


虎竹網代ミニ弁当箱


虎竹の模様はオンリーワン、それぞれが全て違いますので出来あがる弁当箱の風合いもまさに世界に一つです。


虎竹網代弁当箱、竹虎四代目(山岸義浩)


この緻密な編み込みの虎竹網代弁当箱が、どのようにして編まれているのか?職人の仕事が分かりやすいようにYouTube動画も作らせて頂きました、お時間あれば是非ご覧くださいませ。




限定予約の染やたら手提げ籠バッグ

 
染やたら一本手提げミニバッグ


深まる秋にピッタリな雰囲気の染め竹を使って小振りな一本手竹バッグを作りました。口には竹虎生地で巾着を付け実用的に仕上げています。


染やたら手提げ籠バッグ編み込み


「やたら」とは、「やたらめったら」と同じ意味あいで職人の感性で自由に編みこまれる技法です。ゴザ目編みや六ツ目編みのように決められた編み方がありませんので、それぞれ出来あがった籠の表情が微妙に異なるのが面白いところです。


染やたら一本手提げミニバッグ


染やたら一本手提げミニバッグ竹ヒゴ


竹ヒゴを良くご覧いただきますと二枚重ねになっている事がお分かりいただけるかと思います。二枚剥ぎにした竹ヒゴを使う事によって柔らかさと強さとを兼ね備えた竹籠にしています。


染やたら一本手提げミニバッグ


普通の手提げ籠に比べるとかなりのミニサイズなので身の周りの大切な小物だけもってのお出かけに活躍しそうな竹籠バッグです。


手提げ籠力竹


底には小さい籠には似つかわしくないくらいの迫力ある、しっかりした力竹を入れています。


染やたら一本手提げミニバッグ


今回は珍しく予約販売です(笑)、只今予約受付中でお渡しできるのは11月下旬を予定しています。




白竹ワインバッグと虎竹ワインバッグ

 
白竹ワインバスケット


家飲みをする機会が多くなったお客様が、訪問されるご自宅にワインを持参する際に使うワインバッグというものがあるそうです。紙や布製の他に高級感あふれる革製などもあったり、保冷機能のあるタイプもあり多種多様ですけれど、ちょっと個性的に白竹で編まれたワインバッグをお選びいただきました。


白竹ワイン籠底


ワインバスケット、ワイン籠とも呼ばれるそうですが竹編みのバッグなど他にはあまりありません、まさに注目の的です。底編みの細いヒゴは竹ではなく籐、芯に編んだ竹を丁寧に巻きあげています。


白竹ワイン籠持ち手


白竹ワインバッグ籐持ち手


持ち手ジョイント部分のあしらいや籐持ち手など細かい部分もしっかりとした作りです。


虎竹ワイン籠、竹虎四代目(山岸義浩)


しかし、同じ形でも虎竹ワインバッグとなると、やはりこの渋さ。


虎竹ワインボトル籠底


白竹と同じように底部分は籐編みしています、しかし黒染された籐と虎竹の組み合わせだと雰囲気が全く違いキリッと引き締まってイイ感じです。


虎竹ワインバッグ


どちらでもお好みでお選びいただいて大好きなワインをお楽しみいただきたいと思っています。


ハエナワの思い出

 
鰻籠、竹虎四代目(山岸義浩)


昨日の30年ブログでハエナワの話がでましたので、今朝は自分が小学校の頃に独自に作って仕掛けた鰻のハエナワ漁(漁というのは全く大袈裟ですが)の事をお話しさせていただきます。ハエナワ(延縄)は横に伸びる幹縄(みきなわ)に同じ間隔で枝縄(えだなわ)を吊るし魚が食いつくのを待つ漁法です。


太平洋


こう聞きますと、もしかしたら多くの方は海での漁を思い浮かべるのではないでしょうか?猛スピードで走る漁船から次々とエサの針がついたウキを放り投げていく豪快な漁法をテレビなどでご覧になられた事があるかも知れません。マグロ漁の場合には何と長さが100キロを超えるような長さのものもるようですけれど、川で鰻をとるハエナワは、もちろんこのように大規模な仕掛けではありません。


網代編み竹舟


特に自分の作ったハエナワは、シャンプーの空ボトルを二本用意してその間をテングスでつなぎ幹縄とし、3~4本程度の枝縄を吊るしたものでした。先輩に聞きながら適当に手作りしましたがエサは近くの新荘川で投網漁を趣味にしていた父親が冷凍庫に大量に保存していた鮎でした。


元々は竹編みのを仕掛けて毎朝のように川に通っていましたけれど初めてハエナワにチャレンジした日はいつもより早く起きて、まだ誰もいないピンの張りつめたような空気感の川原に来ました。辺りは静まりかえっていて川の流れの音が心地良かったのを覚えています、そして健康な川の流れというのは良い香りがします、胸いっぱい吸い込むのが好きでした。


美しい川


いのいちばんにハエナワを仕掛けた場所に急ぐと、何とウキ代わりに使っていたシャンプーのボトルが見当たらないのです。これはっ...!?下流の方に流されてしまったのか?鰻がかかって何処かに引っ張って行かれたか?辺り見回すと川草の茂る小さな中州でガサゴソと動いているものがあります。近寄って行くと草の間から黒っぽい鳥が飛び出してきました。


虎竹の里


ところがバタバタと激しく羽ばたきするだけで遠くへ逃げられません、シャンプーの空ボトルが川草に絡んでいるのでした。この鳥は鰻を捕るための鮎を飲み込んでしまいハエナワにかかってしまっていたのです。テングスを手繰り寄せ、口をのぞき込みましたが針を外すこともできず仕方なく口元で切って逃がしました。鳥は慌てていなくなりましたけれど針を飲み込んだままで大丈夫だろうか?と心配になりました。


護岸竹


帰って本で調べると、その鳥はカイツブリだと知ります。川や沼で暮らしている鳥で水面に巣を作り子育てする可愛い水鳥でした。ああ悪い事をした...そんな思いでハエナワは最初で最後、あの時以来一度もしていないのです。




※鮎と言えばこの鮎籠は独特の形です。若い頃からこの魚籠を使ってきた、投網で捕った鮎を50匹も入れて重たくなるほどだった。と話す古老が編む不思議な形の魚籠があります。やはり日本の竹細工は奥が深く面白い。


豊かな仁淀川の暮らしと鰻籠

仁淀の竹林


仁淀ブルーとして有名になった仁淀川ですが水の美しさは昔から知られていて、キャンプに行った時など流れる水をそのまま煮炊きの水に使っていました。公開中の映画「竜とそばかすの姫」の舞台にもなっていると聞いた時にはビックリしましたけれど、地元では一足先に全国に知られていた四万十川以上に認知度の高い川だったのです。そんな仁淀川に沿って県境に向かう山々の竹林は青々としてさすがに元気そうで安心しました。


仁淀川支流の滝


そして谷筋に沿って続く山道を登った支流には懐かしくホッと安らぐような景色が残されています。青い空と濃い緑、白い水しぶきを見ていますと、つくづく高知は素晴らしい所だと思うのです。


鮎の玉しゃくり漁


橋の上から麦わら帽子のお爺さんと子供たちが伝統の鮎の玉しゃくり漁をしていました。鮎は縄張り意識が強く同じ岩場をグルグルと回っているので泳ぐコースを見定めて意外なほど小さい針で素早く泳ぐ魚を引っ掛けるのです。水面は随分下だし、これでは釣れないだろう...ところが予想に反して釣れていました(笑)。


鰻うけ、ころばし


自分の小さい頃には虎竹の里も川の水量はいつも豊富に流れ、鰻ウケをつかって鰻などをよく捕まえたものです。いつかお話させていただきましたけれど、どこの家庭に行っても鰻をまな板に打ち付けるキリが台所に常備されていました。鰻は川で捕って食べるもので、大学に行くまでお店で食べた鰻は祖父に連れられて大阪千日前にあった「いづもや」だけでした。


虎竹の里の安和川


先日、たまたま工場から見える安和川で父と一緒にウケを沈めた日の事を思い出していました。面白いものです仕掛けた場所、重しに使った石、川のせせらぎ、風に揺らぐ川草など色々覚えています。


仁淀川と集落


そんな豊かな景色がここには残されていて川を見ていたら一時間経っていました。


鰻籠


人の暮らしの中に切り離せない存在として川があり、鮎や鰻もその一部です。そんな生活の中から編まれる籠だから迫力があります。名人は毎朝10匹もの鰻をハエナワで捕ると話してくれました、大物が飛び出さない籠の高さ、かっちりはまる上蓋、ずっしりと重い鰻籠を支えなければいけない力竹、この籠は本物です。




塗り脱衣籠の裏側

 
塗り衣装籠


不要不急と言うことを毎日のように耳にしますので、今は温泉旅館に行かれるような事は少ないかと思いますが、この塗り脱衣籠は人気の温泉街にあるホテルや宿屋さんなどで浴衣を入れて使われている籠です。もちろん着替えを入れてご自宅使いにされる事も多い定番のひとつです。


塗り脱衣かご素地


塗り脱衣籠は、しばらくの間製造できなくなっていた竹籠です。復刻する機会に元々は真竹で製作していたものを強度を高めるために竹素材を太い孟宗竹に変えました。枠に当たる口巻の部分などには長く太い竹が必要だったからです。


塗り衣装籠


旬の良い時期の竹ばかりで製作されますが、近年は虫が喰う事が多くなりましたので塗り加工して仕上げてから穴を開けてしまうと大変です。そこで素地のまま数ケ月、長いものだと一年以上も保管しておいて様子を見ていました。ところが今度は乾燥の具合によって細い竹ヒゴが弾いてしまっています。


塗り脱衣かご


孟宗竹は少し硬めの素材です、しかし同じ編み方でも全く平気なものもあれば、そうでないものもあり竹の個性次第なのでその辺りにも気を配らねばなりません。つくづく竹の難しさを感じる毎日です。




伊賀市の竹材問屋さん

 
番傘


かって三重県伊賀市には良質の竹が豊富にあって伊賀傘とよばれる和傘の生産地でした。昭和初期には傘製造業者が125軒もあって全国でも1位2位を競うほどの出荷額があったそうです。そこで、その和傘作りに必要な大量の素材を提供する竹材商として創業されたのが、かって竹虎とは長い長いお付き合いをさせて頂き自分も幼い頃から毎日のように耳にしてきたF竹材店さんでした。


竹虎は今年で創業127年を迎えさせて頂いておりますが、実は創業地は大阪天王寺であり当初は「竹亀」という屋号で、やはりF竹材店さんと同じ和傘の竹材商として事業をスタートさせています。伊賀に拠点を置き、北海道から九州まで全国的に名前の轟いていた会社様ですので明確な記録は残っていないものの初代宇三郎の時からのお付き合いである事を考えますと100年のお取引をさせて頂いていた事になります。


昔の竹虎職人


戦後、本社を高知の虎竹の里に移した竹虎には10トントラックが2台ありましたが並んで停車してる事を見る事は稀でした。毎日フル生産して製造した竹材や竹製品を満載できる量になったら即日F竹材店さんに向けて配送していたのです。だから自分達にしたら「親方日の丸」と言いますか絶対的な信頼を寄せていた会社様であり、虎竹の里は竹の製造のことだけ考えていれば良い時代だったのです。


F竹材店の社長さんは声が大きく、豪気でいつも優しいニコニコして笑顔の方でした。以前の30年ブログ「竹製品いっぱいの祖母の台所」でも書いていますけれど当時は出張で来られた方は当社の自宅でお泊りいただくのが常で、来られると聞くと嬉しくて心待ちにしていた覚えがあります。


あれから年月は流れ、すべてが大きく変わりました。エネルギッシュだった社長様の事を改めて息子さんから聞いて先人の事を思い、これからの事を思っています。


真っ直ぐな竹

 
竹


はこうして並べられただけで美しいです、ずっと魅入ってしまいそうになります。


晒竹


この竹は真竹を湯抜きという熱湯で油抜きした白竹、晒竹ともいいます。


真竹


竹自体は染みがあり最高に美しい白竹という事ではありません。


白竹


それでも、こうして並ぶだけで清々しい空気感に圧倒されます。しかし、これはそれぞれの竹が真っ直ぐに矯め直されているからこそ感じるものです。自然の竹は丸くなく、真っ直ぐでもありませんので必ず曲りを矯正する作業が必要なのです。どうやってするのか?白竹とは違い、ガスバーナーの炎で矯め直す虎竹の仕事をご覧ください。お湯でする湿式に対して、乾式とよばれる火抜きです。




一本づつ手づくりされる名人作耳かき

 
名人の耳かき


名人作の耳かきを手にして感じるのは軽さ、触り心地の良さ、ぬくもり。


名人作竹耳かき


そして、何と言っても肉厚真竹の特徴を活かした持ち手の部分の太さです。


竹耳かき


しなりの竹耳かき


竹のしなり、柔軟性を活かした首の細さと竹ならではのやさしい耳当たりの皿。


名人作竹耳かき


薄く表皮を剥いだ竹肌はすべすべつるつるです。


竹耳かき


耳かきには色々な素材のものがあるますけれど、やはり竹より優れたものはありません。




虎竹花籠で花のある暮らし

 
虎竹花籠姫水盤


画像では分かりづらいですけれど、この虎竹花籠姫水盤は可愛い名前のとおり手の平サイズの小ささ、直径で約13センチ、高さは8センチで飾る場所も選びません。


虎竹花籠職人


沢山ある竹細工の中でも花籠は近年特に皆様に忘れられた竹のひとつです。だから出来るだけ沢山の方に手に取っていただけるよう、お求め安い価格設定にしています。


編み上がった虎竹花籠


花かご


まさに花籠をこれからの若い皆さんに紹介したいという自分の思いに共感し、素早い手さばきで編み上げる虎竹と歩続けてきた熟練の花籠職人のお陰です。