夏の終わりに竹灯

 
竹灯


今日で夏祭りも花火大会もなかった8月が終わります。まばらな人影に少し寂しく見えた竹灯、近年では成長が早く加工性の高い竹の活用が見直されて色々な場所で見られるようになってきました。少しづつ工夫が進んでいるようなので、更に変化に富んだ竹灯が楽しめるのではないかと思っています。


竹灯


美しく輝く竹たちも昼間に見ると見ると印象は全く異なります。


ライトアップされた竹林


竹林がライトアップされて新しい魅力が引き出されるのを竹灯のイベントなどで見てきました。


竹灯


会場で出番を待っている竹編みの灯と同じような照明を竹虎も何個か作らせてもらっています。


虎竹照明


それぞれが竹灯のように多くの方を照らしているのだと思います。


虎竹ランプシェード、竹虎四代目(山岸義浩)


点灯してから注目を集めて見える竹も、実はそのままでも輝いています。


日本唯一の虎竹


そもそも日本の灯は竹と共にあったので、暗闇に光が入り竹の影が浮かぶと誰もが懐かしく心安らぐ気持ちになるのです。これからの季節に重宝する虎竹フロアライト、職人技もあわせてご覧ください。




網代編みの竹模様

 
煤竹波網代バッグ


この煤竹バッグは美しい網代編み、波打って見えることから波網代と呼ばれます。


網代二段弁当箱


少し太めの竹ヒゴですが同じ網代編みをしている二段弁当箱と比べてみると違いが際立ちます。


虎竹網代鼓椅子


虎竹網代鼓椅子


虎竹網代鼓椅子の座面も虎竹の網代編みで仕上げられています。同じ網代でも四角いラインのように編み目模様が浮かびあがる桝網代とよばる技法。見え方は違いますが細かい手仕事は同じです、波網代をリズミカルな手さばきで編み込む職人の仕事は飽きません。




魅力あふれる磨き細工

 
竹手提げ籠バッグ


青く初々しい竹肌は使っているうちに消えてゆき気がついたら深みのある飴色に段々と変化していく所が磨きの竹籠の最大の魅力です。表皮を残した虎竹細工や白竹とは又違う素朴な感触も楽しいし、愛用すればするほど好きになってきます。


竹細工の経年変色


昔の台所で活躍してきた竹籠は、カマドの煙に燻され煤けて独特の変色をしているものがありますけれど、農家さんで使われてきた古い竹を見ると赤茶色に染めたような色合いです。野良仕事で人が日焼けするように、籠も日焼けするのです。


磨き竹細工手付き籠


この名人が編んだ籠は色も形も素晴らしい。




YouTube動画「茶椀籠の編み方・竹細工の作り方!竹チューバー竹虎四代目の世界 [Tableware basket ] How to make Japanese bamboo baskets」の15分過ぎあたりから青竹の磨き工程をご紹介しています。1本の竹の表皮をどうやって剥いでいるのか?実際にご覧になられると、その仕事が良くご理解いただけるかと思いますので是非ご覧ください。


パリの竹細工展示


昨年からパリのEspace ASIA(1, rue Dante, 75005 Paris)で中断しながらも続けています「日本の日常生活の中の竹」で経年変色した青竹細工を展示させていただいているのも時間の経過と共に益々増してくる竹の魅力を知って欲しいからに他なりません。


また、こちらのYouTube動画では「日本初公開!竹業界でも見た事のない孟宗竹の自動磨き機械!?」として、かっての日本竹業界全盛時代を忍ばせるような超レアな孟宗竹の自動磨き機械をご紹介させてもらってまいす。おそらく古老の竹職人でも、ご覧になられた事がないのでは?と思います。固定された孟宗竹に沿って、二枚の刃物が行き来し薄く表皮を磨いていき、こうやって磨いて染色した竹ヒゴで大量に竹籠を編んでいたのです。




日本唯一の虎竹で復刻させた伝統の竹細工虎竹四ツ目衣装籠

 
日本唯一の虎竹で復刻させた伝統の竹細工虎竹四ツ目衣装籠


以前は多い時なら100個単位で編んでいた衣装籠がありました。磨き細工といって竹表皮を薄く剥いだ竹ヒゴを使って編み上げるのですが、全部揃った納品時などは本当に壮観だったことを思いだします。今では、そんな大量に製造する事もなくなりましたものの、どうにか虎竹で復刻できないかとずっと思いがありました。


虎竹四ツ目衣装籠


元々は大中小と三個のサイズで一組だった昔ながらの衣装籠ですけれど最初から大きなサイズは難しいので一番小さいな籠を復刻しています。しかし、それでも幅44センチ、奥行き31センチ、高さは17センチの堂々とした大きさです。


虎竹四ツ目衣装籠、竹虎四代目が使う


虎竹四ツ目衣装籠三段重ね


磨き細工とは全く違う独特の虎模様が美しく、着替えのシャツやソックス、身の周りの小物など入れておくのには最高に便利な竹籠です。もちろん脱衣場でバスタオルや下着入れなどにも重宝しそうです。


虎竹四ツ目衣装籠、力竹


底には三本のしっかりした力竹入り、虎竹はこのような籠になると更に雰囲気が良くなり魅入られます。


虎竹四ツ目衣装籠を編む職人


磨き四ツ目、虎竹四ツ目籠


磨きの竹籠と並べるとその違いが際立ちます。磨きは真竹ではありません、昔から編まれていた四ツ目衣装籠も実は虎竹と同じ淡竹でした。現在では青竹の籠は真竹ばかりではあるものの、熟練の職人には淡竹は節が低く真っ直ぐに割れるので実は好まれて多用されてきた素材なのです。


虎竹四ツ目衣装籠、竹虎四代目(山岸義浩)


大きなサイズも作ろうか?でも、もしかしたら今の住宅事情ではこのサイズが一番適しているのではないか。別の大きさは皆様のご意向次第です。




最高級竹炭を入れた虎竹編みのヘチマ籠

 
虎竹ヘチマ籠竹炭入り


思えば虎竹で編んだ竹炭ヘチマかごは蛇篭に似ている。蛇篭とは現在ではほとんど丈夫な鉄線に代わってしまったけれど竹編みの細長い籠に石を詰め込んで河川の補強や斜面の土砂崩れ対策に使われてきた。石を入れた籠なので石籠(せきろう)と呼ばれる事もある。


虎竹花籠蛇篭


しかし竹虎で蛇篭と言えば、やはり花籠。ステイホームが続く日本中の皆様に、虎竹の花籠を見直してもらおうと久しぶりに手に取ったけれど花籠全盛の時には本当に人気があった、初めての方でも花が活けやすいのだ。


ハンガー代わりに使っている竹抱き枕


形だけを言えば、夏場に作務衣掛けとしても使っている竹抱き枕にも似ている。雨ばかりで梅雨のようにムシムシとする暑い日が続いたので今年は大変世話になった(笑)。


虎竹蛇篭箸置き


そして、まさにこの箸置きがサイズが物凄く小さいけれど昔からの蛇籠そのものだ。普段からこのような竹に触れているので元々は花籠として編まれていたヘチマ籠に竹炭を入れて消臭や調湿に使おうという発想は自然と浮かんできた。柱や壁面に掛けられるのが置き場所の広くない都会の皆様にも好評で、最近はもっぱら1000度の高温土窯で焼き上げたシックハウス対策用の竹炭を入れている。


虎竹花籠四海波の編み方

 
虎竹花籠四海波、Tiger bamboo flower basket


何度かご紹介させていただいております虎竹花籠四海波をご存じでしょうか?持ち手の付いたタイプと付いていないタイプがあってお好みですが持ち手付がバランスがようように感じます。


虎竹花籠、Tiger bamboo flower basket


手軽にお使いいただける編み込みとサイズで昔から人気の花籠のひとつです。


特大白竹花籠四海波


ところが稀にこのような別注が来たりします、大きさは随分と違いますが同じ編み方の四海波です。


虎竹花かご四海波、Tiger bamboo flower basket


さて、本日はこの四海波がどのように作られているのかYouTube動画でじっくりとご覧いただきたいと思っています。1本の竹ヒゴが見ている間に立体的な籠になります、竹のしなりや柔軟性が良くお分かりいただけます。


虎竹花籠四海波、Tiger bamboo flower basket


「日本の伝統・竹職人の手仕事公開!虎竹花籠手付き四海波の編み方」是非ご覧ください。




オンライン開催インターンシップ2021のダイジェスト動画できました。

 
日本唯一の虎竹筍


竹の生命力には驚きます、条件が良ければ一日に1メートル以上も伸びるのです。筍の季節に竹林に入ると毎日のように景色が変わるほどです、そして三か月もすれば親竹と同じ大きさになり立派な虎竹の一員です。


虎竹、tiger bamboo


そんな何でも吸収してどんどん成長する若竹のような皆さんをお招きして開催するインターンシップ。今年はコロナのためにzoomを使いオンライン開催としましたが、お陰で海外からの参加者もおられて良かったと思います。先日の19日(木)当日の様子がダイジェスト動画となりました!




悲しき根曲竹手付き籠

 
ミニ根曲竹手付き籠


先日、少し残念な竹細工を手に取った。根曲竹で編まれた幅が23センチほどの小さな手付籠、卓上に置いて小物入れとして使ったりオトシを入れて花籠として飾るにも手頃な大きさでお楽しみいただけそうである。


根曲竹手付き籠、リンゴ籠


デザインの元になっているのは根曲竹の丈夫さ堅牢さから長い間、リンゴ農家さんでも活躍してきたので「リンゴ籠」とも呼ばれている買い物籠だ。幅は約38センチ奧行き26センチ、高さは19センチあるのでちょっとしたショッピングには重宝する。


根曲竹手付き籠、竹虎四代目(山岸義浩)


竹虎では30年以上も前から定番として常に店頭に並んでいた竹籠のひとつ、持ち手に丸竹をそのまま使っているのが秀逸で手触りも良く、籠の軽やかさを感じる事ができる。


ミニ根曲竹手付き籠、竹虎四代目(山岸義浩)


ところが、このリンゴ籠をそのまま小さくしたミニ根曲竹手付き籠には、どうにも許しがたい所がある。根曲竹の代名詞のように編まれたきた伝統の籠を元にしているだけに余計に気になってしまう。


ミニ根曲竹グルーガン


ミニ根曲竹買い物籠接着


見栄えだけを真似て製作したためか底の力竹をグルーガンで接着してしまっているのだ。グルーガンはホットボンドガン等とも言って熱で溶かした接着剤をピンポイントで使用できるので今や色々な細工に多用されている。


ミニ根曲竹手提げ底


本来は竹の特性である弾力やしなりを利用して荷重に耐えられるように入れている力竹を、飾りのように接着剤で留めているのを竹を知らない方が見たら何と思うだろう?この竹籠が販売されていたのは安価なものを売るお土産物屋さんではない、美術的な価値も高い伝統の竹細工などを展示している博物館に置かれていた。


このような場所で手にとる竹細工にしては、この根曲竹手付き籠は悲しすぎる。竹の良さや素晴らしさを知って欲しいと願っている自分たちにしたら、若い皆様や海外からの方が日本の手仕事を誤解してしまわないかと心配になる。実は、このような事は竹の展示会ではたまに見かける事があって、見事に美しくガラスケースに陳列されている作品の竹素材が全くデタラメだったりする。


根曲竹


竹には種類によって特性があり、その竹材が使われているからこその形だったり編み方なのだが展示する側が竹素材の事まで気にかけていないのかも知れない。しかし、そんな薄っぺらい見せ方では、どれだけ高名な作家の籠だろうが次の世代に響かないのではないか。




根曲竹をどうやって伐採しているかご存じだろうか?それぞれに違いがあり魅力ある竹を、竹林から伐採されて職人の手仕事を経て経て皆様のお手元に届くまでを正しく知ってもらいたいと、いつも思う。


真竹ミニ米研ぎざる


今度のミニ根曲竹手付き籠、小さくした飾りだから手を抜いていると言うのなら更にたちが悪い。本物の職人の編む竹は小さくするほど技が光るものだ。それなりの場所で展示販売される竹細工は職人の真偽をしっかり見極める事も必要だと痛感する。


根曲竹経年変色


正しい日本の竹細工なら、自分が義理の母から譲られた根曲竹手提げ籠のように、何十年と時を重ねるほどに美しく、愛着が増し、楽しい思い出と共にいつもそばから離れない。


竹炭急須と湯呑が揃いました

 
竹炭急須


竹炭パウダーを土に練り込んで焼き上げてもらった竹炭急須です。同じ窯元で焼いている竹炭湯呑は完成していましたけれど最初に試作した急須は持ち手を取り付ける部分が外れてしまいました。竹炭を混ぜているので陶器同士のくっつきが少し弱いのかも知れないと言われていました。


竹炭陶器


竹炭焼き急須


今回、改良されて出来あがった急須には竹根の持ち手を付けようと考えていましたが、竹根を掘る職人もいなくなり、なかなか良いものがありません。そこでカズラで巻いてもらうと素朴な感じがピッタリです。長い時間がかかりましたけれど、ようやく竹炭の急須と湯呑が揃いました。




初めてのzoom開催でインターンシップ2021が無事終了

zoomインターンシップ2021


2001年から続けて来た竹虎インターンシップですけれど昨年は残念ながらコロナウィルスで開催する事が出来ませんでした。今年も虎竹の里まで実際に学生さんにお越しいただけないので、初めてとなるzoomインターンシップを開催する事になったのです。


インターンシップ2021オンライン開催


先週から激しく降り続いている雨で日本唯一の虎竹林に行くことはできませんでした。そこでインターンシップは竹虎本店前からスタートになります。外に出られないほどの悪天候でしたが、幸運にも開始時刻には小康状態になり駐車場から虎竹の里の全景もご覧いただく事ができました。ここから見渡せる山に囲まれた虎竹の里でしか虎竹が生育しないので学生の皆様には是非とも見ていただきたい所だったのです。


zoomインターンシップ2021、竹虎四代目(山岸義浩)


竹虎二代目が建てた本社前の大きな石碑も是非ご覧いただきたかった一つです。「竹の子の、また竹の子の、竹の子の子の子の末も茂るめでたさ」大田南畝(蜀山人)と言う方の歌です、継続利用可能な唯一の天然資源である竹の成長力の早さ、命のたくましさを表わしています。


zoomインターンシップ2021、竹虎四代目(山岸義浩)


zoomインターンシップ2021、竹虎四代目(山岸義浩)


オンライン開催のインターンシップの良いところは海外の方でも気軽に参加できる事です。今回は日本とは時差のため真夜中のブラジルからの参加の方がおられました。それと、もうひとつは説明させていただく中でYouTube動画などご覧いただけ事でした。


虎竹袖垣zoomインターンシップ2021


袖垣製作をやっていなくとも、どのように作っているのか実演をすぐにご覧いただけます。


日本唯一の虎竹電気自動車竹トラッカー


雨のため外を走られなかった竹トラッカーでしたが、2016年に挑戦した「チャレンジラン横浜」でどんな風に走行したのか見ていただきました。


zoomインターンシップ2021、竹虎四代目(山岸義浩)


土佐網代手付き籠、竹虎本店、zoomインターンシップ2021


工場と店舗のご案内が終わると1時間の予定時間を20分ほどオーバーしていたようです。zoomインターンシップにご参加いただけなかった方々にもご覧いただけるように短くまとめたYouTube動画を製作予定にしています。


虎竹福音鈴編み方ワークショップ


しかし今回は何といいましてもオンラインで、しかも決められた短い時間の中で虎竹福音鈴が編めるのだろうか?と言う事が一番心配された事でした。小さな編み込みを分かりやすいように拡大した紙素材なども用意して出来るだけ伝わりやすい工夫をした竹虎工場長によるzoomワークショップが始まりました。


虎竹福音鈴の作り方ワークショップ


虎竹福音鈴作りインターンシップワークショップ


参加された皆様が優秀だった事、前もってお届けしていた手引書や公開しているYouTube動画での予習などもされていたのかも知れません、自分の予想以上の仕上がり具合に驚きました。ご参加いただきました皆様、昨日は本当にお疲れ様でした。今度は実際に虎竹の里まで足をお運びいただける日を楽しみにしています、ありがとうございました!


虎竹御守り福音鈴


瑞竹軒山際作の鳳尾竹だるま

 
瑞竹軒山際作煤竹だるま


そもそも真っ直ぐな竹など無いので油抜きという加工をする際に、その熱を利用して「矯め直し」と言って一本一本曲りを矯正して製竹していく。だらか、竹を真っ直ぐにするという職人はいるのだが曲げるとなると難しい。以前、階段の手すりに使う大きく湾曲した竹を用意する時に随分と時間がかかった覚えがある。竹虎本店に置かれている大小ふたつの曲げ細工による鳳尾竹だるまは瑞竹軒山際さんという竹芸家の古い作品だ。細い丸竹を、こけだけ見事な曲線にされた竹細工はあまり他では見る事がない。


鳳尾竹は古い民家で使われていた根曲竹が煤竹になったものを言うが、近年は竹材が少なくなり人工的に作られるものもある。しかし、これは本物の煤竹で製作されているので更に高度の技術が必要だったと思う。現代でも煤竹と名前の付いている竹編みでも炭化窯で短時間で作られた竹があり、それでも通常の竹に比べると扱いが難しく製作に時間がかかっている。100年、150年と実際に時を経た煤竹は竹によって枯れ具合が違い製作は格段に困難なのだ。


瑞竹軒山際作丸窓


普通に見ていたので価値に気づかない竹が竹虎本店には多い。ようやく、ほんの少し竹の事が分かるようになり見る目が変わってくる、祖父の思い通りだろうと今週に入っても降りやまない雨空を見上げている。




初のzoom開催!インターンシップ2021

虎竹の里、竹虎


虎竹は不思議な竹で、ここに見えている範囲の山々でしか成育していません。山頂にある焼坂峠の標高が228メートルなのでそう高い山でもありませんが、その山裾から頂上までは虎竹が生えているのに山頂を越えると竹が一本もなくなるのです。この様子は「竹虎100年 初代宇三郎の海」というYouTube動画でご覧いただきますと良くお分かりいだたけます。不思議なことに山頂から山の景色がガラリと変わっています。




このような事は竹文化が延々と続いてきた日本の中でも、かなり珍しいので特に若い皆様に少しでも知ってもらいたいと思って2001年から開始したのがインターンシップなのです。何とか毎年続けてこられましたが今年は遂にコロナのために初のzoom開催になりました。


日本唯一の虎竹


ニュースでご存じのように西日本ではずっと降り続いている雨のためにインターンシップ当日に予定している竹林見学は難しいかも知れません。少しでも天候が回復すれば竹トラッカーに乗って参加の皆様を竹林までご案内できるのですが...。


インターンシップ2021準備、竹虎四代目(山岸義浩)


インターンシップ2021年は、今まで経験のないzoom開催です。実際に学生の皆様にお越しいただく場合と全く違う用意が必要という事で、ずっと社員が準備をしてきてくれました。ただ、zoom開催も悪い事ばかりではなくて遠くにお住いの方でもご参加いただけると言う利点もあります。もしかしらた海外から来られる方もいるのか?と期待していると本当にブラジル、ベトナム、インド、ナジェリアから参加いただける事になりました。天気に関わらず竹虎の工場や店舗、取り組みや製品など出来る限りご紹介いたいと考えていますけれどオンラインで分かりにくい所はウェブサイトやYouTube動画なども活用しながら開催できればと思っています。


虎竹福音鈴


しかし、何といいましても今回のメインイベントはリモート初の虎竹福音鈴作りです。残念ながら海外まではお送りできませんでしたけれど、ご参加いただく日本国内の方々にはワークショップで使う虎竹素材をお届けしています。


虎竹福音鈴ワークショップ手引書


そして同時に少しでも分かりやすくなればと簡単な製作の手引き書も同梱してくれています。限られた時間の中で福音鈴の完成を目指せるようにアイデア考えてくれています。


虎竹福音鈴ワークショップ製作


虎竹福音鈴は竹トラッカーで高知から横浜まで1000キロを11日間かけて走破するという一見無謀とも言えるチャレンジでも道中をずっと交通安全で行かれるよう護ってくれた霊験あらたかな(?)お守り鈴でもあります。ご自身で作られると更に愛着も増しますので是非頑張って完成させて欲しいと願っています。


虎竹福音鈴ワークショップリハーサル


昨日のインターンシップzoomリハーサルでは、一応鈴が完成しています、さすが竹虎社員です。ただ、全く竹に触れたことのない皆様ですので若さでチャレンジくださいとか言えません(笑)。こちらに虎竹福音鈴作りのYouTube動画もありますので参考にしてください。




タケトラカミキリ登場

 
タケトラカミキリ、竹虎四代目(山岸義浩)


お盆休みも終わり、いよいよ夏休みの宿題が気になってくる時期でもありますが、課題の昆虫採取だと虫を捕まえて呑気に遊んでいる訳ではありません。この虫は竹虎ではお馴染みのタケトラカミキリ、ご存じのように竹を食べてしまう害虫です。


暑中見舞いの絵葉書


暑中見舞いで届いたお葉書に上手に描かれているカブトムシや蝉など皆様にお馴染みの昆虫かと思います、ところが虎竹の里で虫と言えば近年では、このタケトラカミキリがどういう訳か自分の車の中にもいたりして驚きます。


渡辺竹清作衣装籠の虫


この虫は竹表皮に大きな穴を開けてしまいます、けれど自分の私物である渡辺竹清先生の網代編み衣装籠を食べて粉を落としていたのは、チビタケナガシンクイムシという小さな竹の虫。竹を厳選して数十年前に編まれた作品でさえも、このように食害にあうので最近編まれた竹細工や竹製品に虫が穴を開けるのは仕方ない事かも知れないと思います。


渡辺竹清作衣装籠


ここ数年、山の職人減少でしっかり管理された良質の竹材が少なくなりつつある事、そこに温暖化などの気候変動、そして8月11日の30年ブログでお話したように天狗巣病と、竹は難しい局面に来ています。これからも長く竹文化を繋げていくには竹林、作り手、使い手のそれぞれが現代の竹の問題を共有し、理解し合い三方良しの関係を築いていく必要があります。


煤竹クワガタ、カブトムシ


自分の小学校時代には竹の端材を工場横に山積みにしていて幼虫が沢山いたのでカブトやクワガタが自宅の庭木で捕れたものです。昆虫が身近なだけに、竹を使ってこのような竹細工の虫を作る方は多いのですが意外と人気が無い事を大人になって知りました。実は都会の方にとって、このような虫がコワイそうなのです。リアルな昆虫ほど「ギョッ」とした顔をして除けていくお母さん方に沢山出会いました。


もちろん、この煤竹のクワガタ虫のような大きな虫が飛び出してくる訳ではありません。しかし防虫剤も使っていない竹細工をお届けしている限りは虫が食べてしまう可能性がある事、それが自然な事で先人たちはずっとそんな竹と付き合ってきた事を知っていただきたいと思います。




拭き漆仕上げにした杉弁当箱

 
拭き漆仕上げ杉弁当箱


拭き漆仕上げ杉弁当箱が新しく完成しました。木工所で土佐杉を使った生地の弁当箱を見た時に、漆仕上げにして耐久性や使い勝手が良くなった曲げびつ丸弁当を思い出し一度どんなふうになるのか試してみると、なかなか良いのです。


杉弁当漆仕上げ、竹虎四代目(山岸義浩)


本体と杉材蓋の間にはシリコン蓋があって付属のゴムバンドを使うと自然素材でありながら機能的にお使いいただける所が良い点です。


国産杉弁当箱


拭き漆杉弁当箱


杉材そのままでもナチュラルで温もりを感じる弁当箱なのですけれど漆仕上げにすると全く違う高級感が出てきます。これは以前にお客様のリクエストで拭き漆にした無双籠をご覧いただいても同じような感想かと思います。


無双籠八郎名人


漆無双籠


漆器の事を外国では「JAPAN」と呼ばれるそうです。高温多湿の日本で長い歴史があり何と縄文時代か使われ続けてきた漆を湿気対策として白竹で編み込まれた竹籠を仕上げたのです。この光沢!少しくらいの水気など全く問題なしです。




200万回突破!YouTube動画、日本唯一の虎竹を使った玉袖垣の作り方

虎竹袖垣


竹は実に様々な形に姿を変える、常用漢字で竹冠の付く文字は144もあるからその多さが分かる。その成長力と加工性の高さから、ずっと人々の近くに寄り添い生活のあらゆる場面で活躍する道具となり役立ってきた。まず竹細工と言えば竹ざるや籠を思い浮かべると思うけれど、実はそれだけではない。筍は貴重な食べ物として飢えを救ってきたし、護岸や地滑り、防風林として人の命と財産を守り続けてきた。


虎竹角袖垣、bamboo fence


近年ではすっかり馴染みのなくなった竹袖垣も無数と思えるくらい沢山の顔を持つ竹の一つの形だ。飾りとして目隠しとして竹ならではの雰囲気を醸し出して庭に鎮座してきた。写真に写っている角袖垣の他にも丸みを帯びた玉袖垣、片袖垣や屋根付き、穂垣、焼き柱垣、光悦垣など竹虎で定番として製作していたものだけでもかなりの種類になる。


虎竹垣製作、竹職人


ところが現在では、若い方はもちろんの事、このような竹文化を知る方は日本からいなくなったのではないか?と思えるくらい寂しい状態が続いてきた。だから昨年の6月10日にこの動画をアップした時にも実は全く期待しておらず日本唯一の虎竹袖垣のアーカイブ程度に考えていた。まさか1年と2カ月で再生回数が200万回を越えるなど夢にも思っていなかった、しかも想像するより日本国内からの視聴回数が多い。忘れられたと嘆いている他の伝統産業でも、きっと同じような事があるかも知れない。




宮崎珠太郎先生の根曲竹花籠とぼた餅

 
宮崎珠太郎作花籠


以前から竹虎本店に置かれていて馴染みのある作品のひとつに宮崎珠太郎先生のオブジェになりそうな存在感のある創作花籠があります。根曲竹で編み目を強調するようなネジリ編みした独特の作風ですが、まるで蟻塚のようだと思っていつも見ていました。


宮崎珠太郎作オブジェ


宮崎珠太郎作


宮崎珠太郎氏、竹虎四代目(山岸義浩)


しかし、つくづく竹は人です。籠に触れると心は熊本の工房にいます。


宮崎珠太郎氏


宮崎先生は別府産業工業試験所の所長を務められていた時代もあり、温和な人柄から訪ねて来られる竹人も多いと聞きます。だから、もしかしたら奥様の手料理は有名なのでしょうか。


宮崎先生奥様のぼた餅


甘いものには少しうるさい自分が今までで一番美味しいぼた餅は?と聞かれたら即答するのが宮崎先生の奥様お手製のそれ。一皿全部食べられると思ったほどの絶品です。先生の作品の魅力もさることながら、毎回お出しいただく手料理は舌が忘れてくれません。




ところで皆様は根曲竹の伐採がどれだけ大変かご存じでしょうか?虎竹を伐るのにも特別な技術が必要な上に急斜面での重労働なのですが、根曲竹はクマ除けの笛や大音響のラジオ、爆竹といった又自分達とは違う苦労をされながらの山仕事です。あまり見られる事のない根曲竹の伐採をYouTube動画にしていますので、よろしければご覧ください。


27歳になりました、雲の上の竹照明

 
隈研吾氏設計、雲の上のホテル、竹照明


世界的建築家である隈研吾さん設計の高知県梼原町にある「雲の上のホテル」が今年の9月いっぱいで休業する事になりました。コロナのせいではありません、老朽化による建て替えで新しく出来るホテルは3倍の規模でリニューアルされるとの事なのです。2024年4月にオープン予定だそうですので、近くの雲の上の温泉や雲の上のプールなどの施設と共に益々多くのお客様に喜んでいただけるスポットとなりそうです。


隈研吾氏設計、雲の上のホテル


このホテルの前を通りがかる事はあまりありませんが、近くに来た際には必ずこちらの竹照明が気になって車を停めます。雲の上のホテルが開業したのは1994年の事でしたので、竹虎がロビー用に製作させていただいた竹照明は27年間もの間、沢山の方々を明るく照らしてきた事になります。


隈研吾氏設計、雲の上のホテル、竹灯


一体何人の方が竹灯に目をとめたか分かりませんけれど、都会の喧騒を逃れ遠くから来られた方々は、山深いホテルに足を踏み入れ竹編みの優しい光に心癒されただろうと確信しています。竹の身部分だけでシンプルに編み上げた照明が出来あがった時には真っ白な印象でしたけれど、色合いの深まりに時の流れを感じています。


天狗巣病と竹の害虫(チビタケナガシンクイムシ・タケトラカミキリ)

 
テング巣病の竹


天狗巣病のような変な病が蔓延してしまうと、その竹を伐採して竹細工する職人さんはさぞ大変ではないだうろかと心配いただくかと思います。もちろん皆様のご懸案の通りなのですが、実はてんぐ巣病は今に始まったことではなく既に何年も前から竹林の症状なのです。ある青竹職人さんなどは現在では天狗巣でない竹林は無い状態だと言われます、病気になっても全てがすぐに枯れてしまうという事でもありませんので使える真竹を選びながら伐採して仕事を続けているのです。



別に真竹だけではありません、三大有用竹と言って日本で多く使われている孟宗竹、淡竹(はちく)などでも天狗巣病は見かけます。山の衰退、活力を失った竹林がこのような病気の原因となり、更にここ数年来ずっと続いている竹の虫の問題に繋がっていると考えています。


チビタケナガシンクイムシ


真竹などは実際に竹自体が柔らかくなったという話も聞きますけれど、寒い地方の根曲竹やスズ竹、篠竹も以前と比べるとチビタケナガシンクイムシの食害が明らかに増えました。竹の勢いがなくなり病原菌に対する抵抗力が衰えると共に害虫に対しても弱くなっている傾向がうかがえるのです。そして、そこに気候変動などの要因が重なってきます。




スズ竹の開花が始まっています。何と言っても120年に一度の事なので熟練の職人さんでもご存じの方など当然おられなくて地元でも驚きの声が上がっていました。スズ竹は「竹」と言う名前が付いるものの笹類です、竹と笹との違いがるのか?大きな竹の場合は部分開花といって竹林の一部での開花もあるのですが、スズ竹の場合は一本残らず全てに花が咲き枯れていて、まさに驚愕の光景が広がります。


日本唯一の虎竹


今のところ虎竹は、天狗巣病も開花も目立って起こってはいません。しかし同じ竹の種類である淡竹の全国的な開花や、竹虎が創業して今年で127年という事など考えると時間の問題だろうと考えています(淡竹の開花周期は120年)。そう遠い将来ではなく起こるであろう大きな変化...初代や二代目にまた一つ土産話ができそうです。


竹の天狗巣病について

 
孟宗竹


常々お話している事なのですが日本というのは本当に素晴らしい国で、春夏秋冬と四季があり豊かな自然と景色が全国どこに行っても、それぞれその土地ならではの美しさを楽しむ事ができます。自分の場合にはどうしてもに目がいってしまいますが峠道でこのような孟宗竹の竹林に出会うと車を停めて休憩タイムです。


孟宗竹


天気もいい、青い空に白い雲、緑に繁る竹の葉が心地よく福く風にゆらいで、まるで笑い合っているかのように思える幸せな時間です。


タケ類天狗巣病


ところが、その一方で真竹の竹林でこのような竹に出会いました。竹の葉の部分をご覧いただきますと、竹葉とは思えないような違和感のある細かい枝のような物がまとわりついているように見えます。気に留めなけば見過ごしてしまうかも知れません。しかし、いつも竹を見ている方なら一体何なのだろう?とすぐに思うはずです。実はこれが、てんぐ巣と言われる竹の病気なのです。


テング巣病の真竹


竹以外の植物もこの病にかかるようでホルモンバランスが崩れる事によって発生するとも聞きますけれど、「Aciculosporium take Miyake」と言う病原菌が原因だそうです。いずれにせよ近年、特に竹の手入れが行き届かなくなり竹林全体の活力が弱くなっている所で多く見かけます。


真竹天狗巣病


遠くからでも竹林の異変は一目瞭然です。数年前から全国的に竹の開花を目にします、そのために枯れていく竹がありますけれど、それとは又違う竹の弱り方です。てんぐ巣病の有効な対応策は無くて病気になった竹を伐採して焼却する他ありません、せいぜい予防策として日頃から健全な竹林にしておき病の竹を見つける度に取り除いていくしかありません。


タケ類天狗巣病


しかし、この辺りの竹林はすでに手遅れで焼却するならば広範囲の竹林を皆伐せねばならないほど広がりを見せているようです。竹に関心のあるお客様から「竹の開花では?」とお問合せ頂く事がありますが、なるほど少し竹の花に似ています。竹の開花は珍しく孟宗竹で60年、真竹や淡竹では120年に一度に起こります。開花が近づくと竹の勢いも衰えてきますので、このような病気も蔓延しがちで、そもそも間違えやすいのです。


真竹てんぐ巣病


天狗巣病は、別名蔓自然枯(つるじねんこ)病とも言われるそうです。今回の真竹には病が更に進行しているのでしょうか?蔓科の植物が寄生しているかのようにも見えていましたので、まさに名前の由来通り。そして「自然枯」...つまり段々と枯れていくだけなのです。




こちらの動画はお隣土佐市で数年前に発見した日本最大級の孟宗竹の開花です。開花した竹は全て枯れてしまいますので昔から不吉の前兆とも見られていました、一年中青々と茂って成長も早く生命力の象徴のような竹が茶色く立ち枯れてしまうので当時の人々は畏れを抱いたのです。


二代 渡辺竹清作品展「伝統と革新」

 
二代 渡辺竹清作品展「伝統と革新」


網代編みの巨匠と呼ばれる渡辺竹清先生の作品展が別府市竹細工伝統産業会館にて開催されています。前期が本日9日(祝)まで、後期が明後日8/11日(水)から22日(日)まで、このような時期ではありますけれど、機会があれば是非ご覧いただきたい逸品ばかりです。


二代 渡辺竹清作品展「伝統と革新」冊子


渡辺竹清作煤竹パーティーバッグ


渡辺竹清先生の名前を一躍有名にしたのがニューヨークの超有名宝石店と共同制作され40年もの長きにわたって定番コレクションとなったパーティーバッグでした。親子三代にわたって竹清ファンである自分にしたら聖地とも言える場所に行かずにはおれませんのでした(笑)、一度聖地巡礼しておりますのでYouTube動画をご覧ください。




中岩孝二


さて、渡辺竹清先生は誰からも親したしまれる人柄で多くの若い竹人に大きな影響を与えてきました。中でも中岩孝二さんは竹清先生の緻密な網代編みに魅了され弟子となって以来、同じ煤竹を使った竹編みに向き合っておられます。


中岩孝二作虎竹呂扇


竹清先生に言われて中岩さんが初めて編んだ呂扇を拝見させてもらいました。思い出の品として大切にされている竹編みが虎竹なのが嬉しかったですけれど、数日前に訪れたと言う作品展の冊子にサインを書いてもらった師匠愛には感じ入りました。


二代 渡辺竹清作品展「伝統と革新」サイン


そもそも自分の場合は何の用がなくともお茶を飲み行くように竹清先生の工房にはお邪魔しています。実は、独特の雰囲気の先生の仕事場には何だか大好きな祖父の姿をいつも感じられるように思っているのです。そこで、今回もお伺いした際に中岩さんに習ってサインを頂戴したのですが、どういうワケか帰り際に先生が編まれた煤竹呂扇を賜りました。


渡辺竹清作呂扇


先生の作品は御所籠、衣装籠、花籠、竹皿、ペンケース、箸箱はじめ煤竹アタッシュケース、パーティーバッグなど...そうそう今キーボードの横にあるペーパーウェイトや小物入れまで実際に愛用しているものも含めると100点近くなるのかも知れません、コレクションに又素晴らしい家宝が加わりました。


200万回を突破する竹虎YouTube動画

 
竹スクエアバスケット、角籠


昨年からのコロナウィルスで自分たちの竹業界も少なからず様々な影響を受けている。そもそも大きな市場ではないので、あまり表面化することもないけれど観光や旅行の減少によってお土産物としての竹製品や宿泊や飲食関係で使われていた竹細工は需要がなくなった。そんな中、実は悪い事ばかりでもなくて、今まで作りたくても手がつけられなかった製品を作る機会となって、そんな中でラインナップに加わったのが虎竹スクエアバスケットたちである。




そして、2021年4月からはそれまで全く力を入れていなかったYouTube動画で職人の仕事を紹介する事も始めた。どのような手間をかけて籠が出来あがっているのかは実際にご覧いただのが一番である。沢山のお客様にお話しを伺っていると、当然の事かも知れないが竹の事を全くご存じないので動画を通して少しづつ竹素材を知ってもらえたら嬉しい。


虎竹スクエアバスケット、角籠


田舎の小さな竹屋ではあるけれど唯一の虎竹を守るために新しい竹籠やYouTube動画など時代の変化に何とか対応していかねばならない。少し嬉しいご報告をさせて頂くと昨年6月にアップした当社の職人動画がもう少しで再生回数200万回を突破する。




あと1週間くらいだろうか?別にユーチューバーではないので再生回数を目指している訳ではないので静かに、自然にその日を迎えるのだと思うが200万回は、まあまあの数字のようだから楽しみだ。


贅沢な一瞬の輝き青竹酒器

 
青竹、真竹


真竹の竹林に行くと本当に青々とした作り物か?と言うくらいの美しい竹肌をした竹に出会う事があります。虎竹の里の竹は淡竹(はちく)ばかりで蝋質が白く浮かびあがり、このような青さの竹はやはり真竹独特のものなのです。


青竹酒器セット


連日のオリンピックの熱戦と猛暑の中、ご自宅で一時の涼を青竹で味わいたいと思われる方が多いのかも知れません。青竹酒器は生鮮野菜と同じですから切って置いておく事ができません、ご注文いただきましたら、その都度竹林に入り竹を伐採し加工して最速でお届けさせて頂くようにしています。


青竹盃


しかし虎竹が全てに虎模様が入っていないように、真竹も全てが青々と美しい竹ばかりではありません。酒器に頃合いの竹の太さがありますから、ある程度の色目で伐りますから当然バラ付きがあります。そして切り口からどんどん白く変色してきますから管理が大変です。


青竹細工


「何回か使う事は出来ますか?」たまにご質問いただきますけれど答えはNO。冷凍庫に入れて何度か使う事は可能ですけれど色合いは変わってしまっています。外に置いておくとカビの心配もあって一度きりの贅沢な酒器と考えていただくのが無難です。本当に竹林の風を感じるような瑞々しさを演出できる青竹の旬は一瞬なのです。




新登場の虎竹角手提げ籠でコンビニへ

 
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虎竹の里では竹虎本店の目の前にあったローソンは無くなってしまい最寄りのコンビニに行くのにも車で5~6分も走らねばならず少し不便になっています。しかし、皆様のお住いのところの多くでは身近にコンビニがあり快適にお買い物もできるのではないかと思います。


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以前は当たり前のように入れてもらっていたレジ袋が有料となり、何かの調査では7割以上の方がレジ不要としているとの事です。野菜等はじめ沢山の食材を購入するスーパーには大きめの手提げ袋や買い物籠を持参されている方を多くみかけます、ところがこれからはコンビニでもそのような光景が見られると楽しいと思っています。


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新登場の虎竹角手提げ籠は、ちょっとのお買い物にジャストサイズ、(大)(小)ふたつの大きさをご用意しています。


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持ち手がフルオープンで小物入れとしても邪魔になりませんので室内でも活躍の場が広がりそうな竹籠です。


竹芸家・白石白雲斎氏のレアな竹アート作品「春籠」

 
白石白雲斎「春籠」


竹虎二代目義治と懇意にして頂いていた竹工芸家・白石白雲斎さん、若い頃の写真が昭和45年(1970年)の竹虎本店がオープンした当時からパネルになって飾られていました。竹の世界では非常に高名な作家のお一人で数々の作品を遺されていますけれど、この「春籠(shunro)」のように幾重にも重ねた竹ヒゴで創作された作品は、専門の方でもあまりご覧になった事がないのではないかも知れません。


白石白雲斎「春籠」、竹虎四代目(山岸義浩)


美術館ではこうして気安くは触れないので思えば贅沢ですが、他の作品たちと同様に自分にとってはこの虎竹の里の地にあるからこそ意味のある「竹」です。


白石白雲斎「春籠」


白石白雲斎「春籠」




土間に敷かれた竹簀の子

 
土間の竹簀の子


昔の自宅といえば土間があってカマドや水回りなど食事を用意する台所は完全に家の中とも違う、もちろん外とも違う何ともファジーな領域にあったように懐かしく思い出す。だから、畑から採って来たばかりの土の付いた大根や、釣ってきたばかりの魚等も汚れることを気にする事なく運び込まれて調理されていたのだろう。そして、そこには確かにこんな竹を半割にした簀子が敷かれていた。


青竹踏み


この竹半割簀子を見ると昔の人は自然と毎日青竹踏みをしていたのではないか(笑)。青竹踏みで足裏マッサージをしたくなるのは遠い記憶のせいかも知れない。


竹虎四代目、黒竹玄関すのこ


黒竹玄関すのこを作りたいと思ったものも、おそらくこのような土間の景色を知っていたからに違いないし、そう言えば微妙にゆがんだ竹のキシミの上を歩いたような覚えもある。


黒竹玄関すのこ


黒竹玄関簀子


土間に敷かれた竹簀の子は多少の曲がりでそのまま使われているけれど、黒竹はご覧のように真っ直ぐに矯め直して丁寧に並べられている。


白竹


そもそも竹は並べただけで絵になる、美しいものだ。


鬼すだれ


並べただけと言うと少し乱暴になるけれど、それだけで優れた道具になる。


井戸蓋


井戸蓋にも竹が使われているのをご存じだろうか?


民家の竹床


ある民家では竹床を拝見させてもらった。竹を一定間隔を開けて敷き詰めた上にムシロを敷いて生活していたという、高温多湿の日本には最適の作り何と素晴らしい通気性かと思う。


虎竹で甦る竹ブローチ

 
竹ブローチ


かって一世風靡した竹のアクセサリーというものがありました。この頃をご存じの竹関係の方は古き良き竹細工の時代を過ごされた幸せな皆様と言えるかも知れません。自分は大人たちが誰かれ問わず竹のバッグを手に持ち、竹の帽子をかぶり、竹のお洒落ベルトを腰に巻いているのを遠い記憶の中で知る程度でしたが、ある時、思いもかけない倉庫の中から45年間も眠り続けていたレトロブローチを発見して懐かしさと嬉しさに心躍ったのです。そこには当時に人気だった竹ビーズで作られたハンドバッグやショルダーバッグなども沢山あって本当に感動して、夢見るような心地でウェブサイトを通して皆様にご紹介させて頂きました。


バッグの中に型崩れ防止のために新聞紙が綺麗に折りたたんで入れられていましたけれど、その日付は昭和49年(1974年)だったりして涙が出そうでした(笑)。サイトに掲載した多くは既に完売してしまって手元には無いものの、それぞれご愛用いただけるお客様の元にお届けできて安堵しつつも古い竹製品の良さを若い皆様にも知って欲しいという思いから「売り切れ」になったページは現在でもそのまま残してあります。ご関心のある方は竹レトロ手提げハンドバッグなど是非ご覧ください。


虎竹ブローチ


「大発見」の時には竹アクセサリーも大量に出てきました。中でも結びの物は世界的なデザイナーの方が、ご自身の作品作りのために欲しいとの事です、生まれ変わって海外のセレブの皆様にお使いいただくのも面白いと思い全てお譲りしました。そして今回、虎竹で甦ればどんな風になるのか?楽しみにしていた結びの虎竹ブローチの登場です。