孟宗竹と真竹で作った鰻ひご

鰻ひご、竹虎四代目(山岸義浩)


夏が近づくと鰻が食べたくなる、県外でも色々と鰻を食してみたが自分の口にはパリッと表皮を焼き上げる高知の鰻屋さんが一番合っている。ところが、今でこそ鰻屋さんで頂くようになったけれど小さい頃には鰻を店で食べる事など一回なかった。前にも話したように思うけれど、祖父が出張に連れて行ってくれた時に大阪千日前「いずもや」で食べたのが初めて鰻だ。


竹ひご


なら、それまでは鰻を食べていなかったのか?いやいや皆様の数倍食べていた、何しろ自分で獲っていたからだ。小さい頃の常識では、鰻は買うものではなく、獲るものだった。今でも竹虎で製作している鰻筌にはミミズを入れて川底に仕掛けておく、早朝上げに行くのが毎日楽しみで仕方なかった。当時は川幅が40~50センチくらいの小さな用水路のような所でも鰻がいて面白いように獲れたものだ。それでも鰻筌を沈める場所によって釣果は全く違うので、やっているうちに川底に鰻の通り道が見えるようになる。


鰻ひご


鰻筌の他には石グロと言って、石をピラミッドのように積み重ねておき、そこに入り込んだ鰻を鰻バサミで捕まえる方法もあった。キャンプで川原に行った時などに、このような石グロは見かけないだろうか?今では、そうそうありはしないか...。


竹ヒゴ、竹虎四代目(山岸義浩)


あとハエナワといってエサの付いた針を複数たらしておく事もあったが、主にしていたのはヒゴ釣りだったのだ。確か120センチくらいの細い針金を、ビニールか何かでコーティングしたようなヒゴの先に釣り針が付いていて、鰻が潜んでいそうな穴に入れて釣りあげる。


恐らくその時にも竹製のヒゴはあったと思うけれど、子供だった自分達には少し高価ものであったかも知れない。今回はこだわりの漁師さんのご注文で、昔ながらの鰻ヒゴをご用意させていただいた。実はどちらが適材なのか知っている釣り人もおらず、孟宗竹と真竹と両方を使って製作させて頂いている。ひと夏試した感想を楽しみにしている。





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