続・使い込まれたサクランボ籠の修理

腰籠修理


サクランボ農家のお客様からお預かりしていた、収穫用の腰籠修理が完成した。この竹籠は国産ではないものの、真竹に似た竹材が使われているので普通なら白竹を使い手直しする所だが、さすがに竹虎らしく口部分にも、力竹にも虎斑竹が使われている。


使い込まれたサクランボ籠の修理


これなら、日本全国どこで見かけても必ず竹虎で修理したの分かるのではないか(笑)。竹材の中でも割高になっている虎竹を、こうして贅沢に使用できるのは、素材が工場の中に潤沢にあって選別しながら加工できる竹虎しかないからだ。


サクランボ籠破損


完成したサクランボ籠と、修理前の籠を見比べていただきたい。このように口部分が外れてしまい、籐の代わりにPP(ポリプロピレン)で巻かれた口巻も完全にほどけた状態だった。


使い込まれたサクランボ籠の修理


修理は当社に一任していただけているので、口部分を新しく製作すると共に、大切なサクランボの重さをしっかり籠で支えられるように力竹を二本通す事にした。これで腰籠への安心感、信頼性が全然違う、収穫に専念できるのではないかと思う。


腰籠角の穴


それでは、籠で一番傷みやすい場所と自分がいつも言っている底の四隅はどうだろうか?大きな穴が開いていたりもした、これは現場で仕事していれば仕方ない、長く働いた証ともいえる。


サクランボ籠修理


この四隅には、しっかりと籐かがりで補強を入れた。国産の竹籠には、最初から負荷のかかる箇所にはこのようなあしらいをしているから、輸入の竹細工との耐久性の違いはこの辺りにある。


腰籠修理、竹虎四代目(山岸義浩)


こうして修理が完成したサクランボ籠。紐を通せば腰籠として今まで以上にガンガンお使いになられても、ずっと長くご愛用いただけるのではないかと思う。


さて、実は竹虎に送られて来た修理の籠は3個だった。


「1個だけ修理して欲しい、あとの2個は処分してください。」


ところが、自分達はこんな頑張って来た竹籠を捨てられない。たとえ、国産でなくとも気持ちは変わらない。けれど、このように綺麗に修理できる事を知ってもらえれば、きっと残りの2個も同じように修理して下さいと、農家の方に言って頂けると信じていた。


そして後日、修理した籠をご覧になられて、農家さんは思っていた通りに後の2個の修理も依頼された。今度の2個は急がない、虎竹の里では竹林での仕事が少しづつ始まってくる。この籠達の出番は来年の6月だから、仕事の合間をみながら手直しする予定です。





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