孟宗竹の細工

竹根灰皿


自分の小さい頃の大人たちは、ほとんど喫煙するのが当たり前のような感じだった。今では考えられないかも知れないけれど、乗用車はじめバスや汽車、確か飛行機にも灰皿があったと思う。そんな環境だから、当然ながら自分が連れて行かれる先々には、ちょうどこんな感じの竹で作られた灰皿があった。


実は、これは煙草を置いておくクボミ(タバコ休め)がないから花器として使われたものだけれど、デザインは当時の灰皿そのままだ。この様に持ち手の付いたタイプ、持ち手無しのタイプがあった、自分などは、この竹根を見ただけで子供の頃に嗅いだヤニの匂いを思い出す。


孟宗竹


竹根を活かした竹細工には孟宗竹が使われている、竹根に近い部分ほど節が詰んでいるから、竹根の面白味と節の格好良さを見事に表現した製品だったわけだ。


孟宗竹根


虎竹の里でも、竹根を掘る職人は随分前に仕事をやめている。全国的に見ても、現在は竹根細工は、ほとんど見られなくなっている。


竹根一輪差し


仕事場では、職人が鉛筆入れにしていた竹根を活かした花器作りは貴重なので、いずれYouTube動画でもご紹介したいと思っている。もちろん30年ブログでも皆様にお伝えしますので、よろしくお願いいたします。


ちなみに、孟宗竹は観賞用としても昔から珍重されてきた。日本に渡ってきた江戸時代には、武家屋敷の庭園用として人気だったと言うけれど、この逞しさ、荘厳ささえ感じさせる姿をを見れば納得できる。





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