篠竹細工、謎の黒いライン

篠竹底編み足付ざる


篠竹底編み足付ざる等、篠竹細工には竹材の強さと粘りを活かした秀逸な籠やざるが多い。近年開花があって材料不足となっているスズ竹と混同される方もおられるけれど、「真竹より篠竹、篠竹よりスズ竹、スズ竹より根曲竹」という言葉があるように、篠竹とスズ竹は全く異なる竹だ。


篠竹魚籠


篠竹とスズ竹が混同されがちなのは、竹ヒゴにしてしまうと見分けがつかないくらい似ているからだ。産地では篠竹を伐採した後、細いヒゴにしたものを内職の編み子さんに配って籠作りをしていた歴史がある。しかし、長く編みの仕事に携わって来られた職人さんでも、どちらの竹か区別がつかない程に似たものもあるそうだ。確かに、そう言われてみたら仕事場の隅に置いてある使い込まれた魚籠も、篠竹か?スズ竹か?竹ヒゴの状態では分かりづらいのかも知れない。


篠竹素材


しかし、今日はそんなお話ではなく、篠竹細工に入れられる不思議な黒い竹ヒゴの話題だ。何気に見ているので、そんな黒い竹ヒゴなどあったかなあ?と思われる方も多いと思う。竹編みの仕事で出来た焚き付けにする端材を、こうして丁寧に片付けている几帳面な古老に訊ねてみても、理由は何故だか分からない。


篠竹細工


何かの法則性のようなものも無く、まるで気まぐれのようにも感じるくらい黒い竹ヒゴが入っている籠があれば、入っていない籠もある。いや、近年は入っていない籠やザルの方が圧倒的に多い。


篠竹


淡竹や真竹の竹質の変化を感じるが、篠竹の品質も年々落ちていると言う。温暖化など気候変化の影響だろうか、昔はこのような黒い汚れのようなシミなど付いている篠竹は少なかった。


篠竹細工職人


そう話しながら、ストーブの横で黒い汚れを一本一本刃物で磨いている。


篠竹ヒゴ


だから、もちろん工房の天井に保管されている色の付いた竹ヒゴは、あえて染め付けて黒くしているのだ。近年は染粉で色付けしているけれど、その昔は松の葉を燃やした煙に燻して色付けしていたらしい。


篠竹細工


黒い竹ヒゴだけでなく、赤く染められた竹ヒゴが使われる事もある。一体これは何だろう?ただの飾りなのか、何かの意味合いがあるのか、現代では恐らく明確な答えを知る人はいないような気がする。そして、まるで篠竹特有の竹ひごのあしらいのように話してきたけれど、実は真竹の籠にも同じような色ヒゴが使われているから、やはり竹は奥が深い。





驚愕の特大菅笠

特大菅笠、竹虎四代目(山岸義浩)


こんな大きな菅笠を製作するのは長年笠作りに携わってきた職人も初めての事で驚いたそうだ。それもそのはず、通常サイズの菅笠と比べたらこんなに違うのだ。しかし、ビッグサイズになったからと言って製作のこだわりは全く違ってはいない。そもそも、菅笠には笠骨に惚れ込んだ事からはじまった、近年は菅は本物だけれど中に使う骨はプラスチック製のものがある。ところが、菅笠の真骨頂は外からは見えない何種類もの形がある笠骨を仕上げる職人の技にある。


菅笠


そこで、普通サイズの菅笠はこの通りたけれど


特大菅笠


ドドーンと超特大!驚きのサイズでも芯にはしっかりと竹骨が入れられている。この特別サイズだから、苦労されて何とか製作いただいた。


特製五徳


別注菅笠のもうひとつの主役、これもあまり目立たないけれど頭に被る五徳。この出来栄えひとつで、笠を長い時間被っていられるかどうかが決まる。良い五徳だと本当に快適で、笠の重さも感じることなく一日中動いていられる。籐で丁寧に仕上げた五徳も、もちろん日本の職人が手作りしているから品格が漂いそうな気さえしてくる。


菅笠


笠の表面を良く良くご覧いただくと細かい縫い目が入ってる事がお分かり頂ける。この大きさだから何倍もの時間をかけて、ようやく仕上げられた逸品笠だ。





山芋籠と背負い籠

山芋籠、背負い籠


思えば子供の頃から、山の恵みをいっぱい受けて育った世代だと思う。ビワやミカン、ヤマモモなどお腹いっぱい食べられたし、珍しいところではグイミなんて言う果実もあった。そんな中でもアケビは、少なくて森の中を結構探し回った覚えがある。山の職人さんから立派な山芋を頂いて、そんな事を思い出していたが、最近はあまり行かなくなったものの黄色く色づいた山芋の葉を見かける度に、ついつい蔓の行き先を探してしまうくらい、山芋堀りも楽しいものだ。


根曲竹背負い籠


苦労して掘った大切な山芋を長いまま持ち帰るための背負い籠があれば、強靭な根曲竹で編まれた大振りの背負い籠もある。丈夫な竹材なので、この大きさの籠に芋でもカボチャでも中身の詰まった重たい野菜でも、しっかり詰め込んでも楽々運べてしまう。


二重背負い籠


今ではほとんど見かける事のない、二重編みになった背負い籠まであったから、活躍できていた当時は少しでも沢山の荷物を運びたいという思いだったに違いない。


真竹背負い籠


今年はじめて見た対馬で編まれた背負い籠、シモゾウという真っ直ぐに伸びて丸く曲がる木材を使って口巻部分が作られている。縦ヒゴに矢竹、横編みに淡竹を使い編まれている。


六ツ目編み背負い籠


六ツ目編みの玉入れ籠と同じサイズだけれど、背負い籠には縦に力竹を加えて強度を上げている。この籠と同じ形で、驚くほど大きなサイズの籠を製作させて頂いた事があった、一体何に使われるのか?と不思議に思って聞いてみたら、確か広い公園の管理か何かで枯れ葉を集めるのに使われるとの事だった。


角背負い籠


さて、自転車籠とも呼ばれてプラスチックのコンテナが出回るまでは、全国各地で使われていた御用籠がある。何でも入れて運べる万能籠として大活躍していて、この籠を背負って毎週のように来られていた行商のおばちゃんが懐かしい。風呂敷をほどいて、使い込まれ手色艶の良くなった角籠が姿をみせると、玄関先がプ~ンと鰹節の香りに包まれたのは忘れられない。


だからだろうか?どうしても復活させたくて、年末か新年には背負い籠として皆様にご紹介できるように準備している。大事な商品を入れていく仕事道具として、最高に頼りになるパートナーだったろうと、今頃になって思っている。





孟宗竹の炭化加工

孟宗竹割


割った孟宗竹が短くカットされて運ばれてきた。一体に何に使われるのかと思うけれど、新春用の竹飾りとして使われる竹材だ。そもそも竹は「松竹梅」と言われる縁起の良い植物なのだが、お正月には成長と強さの象徴として、家族の健康、繁栄のを願って多用されている。


孟宗竹割


孟宗竹、カビ


竹といえば青々とした美しい色合いの竹を思い浮かべる方も多いかも知れないが、あのような真竹は極一部で高知などではほとんど見かけない。虎竹の里の虎竹は淡竹で、表皮は白っぽく粉がふいたように見えるし、孟宗竹にも真竹のような竹表皮の美しい色合いはない。ただ、暖かい日もあったりしてカビが生えてしまう管理の大変さはどんな竹でも同じだ。


竹炭化釜


ところが、今回竹材は熱と圧力をかけた炭化加工で仕上げるので全く問題ない。


炭化加工


炭化加工


炭化加工すると竹材が蒸し焼き状態となり高い防虫効果や防カビ効果が期待できる竹材となる。近年は、竹の虫の食害が増えているので、鬼おろしや蕎麦せいろ、蕎麦皿、竹二段重箱、竹首枕など炭化加工した竹材を使う製品は多い。



味噌バラと寿司バラ

ふたえばら、竹ざる


網代編みの竹ざるの裏面を六ツ目編みで補強した、ふたえばらと呼ばれる二重ざるがある。二枚並んだ竹ざるの色合いが異なるので、別の竹ざるかと思われる方もいるかも知れないが、青い竹ヒゴが時間の経過で変色したたけで全く同じ竹ざるだ。




竹ざるの底は、しっかり網代編みされているのに更に六ツ目編みする必要があるのか?不思議に思って、ずっと昔は見栄えなのかと考えていた事もあったけれど、この竹ざるを使う味噌作りを知ってからは必要不可欠な必然の細工だと知った。




梅干しざるとして多用いただいている、定番の網代編みの国産竹ざるをご覧いただいても六ツ目の補強は入れていない。2尺(約60センチ)サイズと大きくとも、梅干しや野菜を干したりする用途では耐久性に全く問題ないからだ。


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ところが、もう一つだけ網代編みに六ツ目編みを入れる竹細工がある。それが、自分が手にする1.4尺(約42センチ)の寿司バラだ。二枚の竹ざるを持っているように見えるけれど、実は片方が蓋になっているので、これで1セット。


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竹ざるで寿司飯を作るのも面白いけれど、乾燥を防ぐために蓋が付いているのも素晴らしい。大家族だった当時は、大量の寿司飯を作るので、もっと大きな寿司バラだったから、やはり耐久性から二重編みになったと思う。この辺りは味噌バラと同じ、しかし、ピタリとはまる蓋付きとは青物細工の中でも秀逸だ。


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さらに、この竹細工が好きなのは網代編みに蓬莱竹が使用されている所。節間が長いので、この程度の大きさなら節を入れずに編まれているから使いやすい。



五三竹の遍路杖

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昨日の30年ブログで青竹踏みの孟宗竹を湯抜きする事に触れた。熱湯を使うのが湯抜きなら、ガスバーナーの炎を使って油抜きするのを火抜きと言う、虎竹に浮かび上がる虎模様は、この工程で竹表皮に鮮やかに現れる。


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在庫が少なくなっていた五三竹も、ようやく旬がよくなってきた。大量に流通している竹材ではないので、昔から年に一度か二度の伐採しかしない貴重な竹でもある。こうして新竹が入ると、理由もなくワクワクするのは竹屋だからだろうか。


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布袋様のお腹のように膨らんでいる所があるので、布袋竹と言うほうが地元では通りがいい。水戸黄門様が持つ杖のように、デコボコした部分が手に馴染みやすいので遍路杖の他、釣り竿などにも使われる。


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油抜きしたばかりの竹の光沢をご覧いただきたい、何か塗装しているかのように輝いているけれど、これが天然の竹の油分なのだ。五三竹は乾燥するほどに硬く、丈夫になるという性質もあるから、まさに杖にはピッタリの素材。今度の加工の時には、油抜きの様子や曲がりを矯正する職人の技も動画でご覧いただけるようにしたいと思っています。





今年の最後の青竹踏み

青竹踏み


今年の最後の青竹踏みが出来あがり、現在天日干しさせた後に陰干しにして乾燥させている。たまにお客様から聞かれるの事もあるのだが、「青竹」と呼んでいるので竹そのままで製品加工しているように思われる孟宗竹や踏み王くんに使う真竹も、全て湯抜きと言われる加工をしている。


竹材湯抜き


熱湯で竹を煮たてるようにして余分な油分を除去する、こうする事によって竹の耐久性を高めているのだ。お手元に届く竹をご覧になられているだけでは、少し想像しにくいかも知れないが、自然の竹なので当然汚れがついている事もある。


青竹踏みブラシ


湯抜きは、人が湯船に浸かってから身体の汚れを落とすのと同じで、熱湯処理する事により汚れ落ちしやすくなった竹を高速回転のブラシで一本づつ磨いている。


白砂


竹磨きのクレンザー


この時に使うのが微粒子の白砂だ、研磨剤のような役割をしてくれて竹を綺麗に仕上げる事ができる。


青竹踏み


ツヤツヤとした竹肌と美しい色合いの青竹踏み。半割しただけの何気ない竹製品のように思えても、自然素材に近い形でお届けするだけに実は手間暇をかけて製造されている。





竹を通じたサステナブルな世界の在り方

Spedagi、竹自転車


インドネシアのプロダクトデザイナー、シンギー・カルトノ(Singgih.S.Kartono)さんの竹自転車で虎竹の里の峠道までやって来た。竹自転車など初めて耳にされる方も少ないないと思うけれど、実はフレームにを使った自転車は、十数年前から世界各国で作られるようになっている。それも思った以上に多くの国や地域にその動きはあって、竹の豊富な東南アジアをはじめアフリカや南アメリカ、オーストラリア、さらにはヨーロッパやアメリカの会社でも販売がされている。


竹自転車は恐らく海外の方が関心が高いと思うが、数十のブランドやメーカーがある中で、もし購入など考えられる方がおられたら日本でもアフリカのザンビア農村部の貧困地域に貢献するZAMBIKESは購入できる。また国内では、大阪のgerworksがオーダーメイドの竹自転車作りをされているようだし、京都のBamDoo Bikesなどは弓作りの技術をフレームに活かしたユニークな製品作りをされている。


「バンブーを通じてサステナブルな世界の在り方を知ってもらいたい」そう話すシンギーさんの理念には強く共感する。日本の竹は世界最高だと思うし、十分に活かされず忸怩(じくじ)たる思いに日々だ。しかし、昨日の30年ブログでも触れたように、日本の若い方が竹ザルや竹籠すら知らず、竹が遠い存在になっている時代に問いかけていくには、まず価格という大きな課題がある。





店マップ安和

店マップ安和


安和小学校の3年生、4年生が、地元にあるお店の地図を作ってくれた。表紙の絵がなかなか楽しいが、竹虎の他には社員も良くお世話になっているレストハウス琵琶湖、カレーの美味しい安和八州苑、昔から国道沿いにあるドライバー喫茶ぽえむ、ラーメン遊ゆう安和、小さい頃は良く通ったまるなか釣り具などが取り上げられ、それぞれの店舗に見学に行って書かれたレポートも知らない事もあって面白い。


店マップ安和


虎竹の里で生まれ育った若い方が入社された事がある。彼女は、安和小学校時代に虎竹を使った竹細工教室にも参加した事があったのだが、竹虎に来てから白竹を見て驚いたと言っていた。竹といえば虎模様が付いているのが当り前だと思っていたとの事だった。


竹トラッカー


このように自分達の地域で普通にある竹で作ったが、やはり竹の自動車には子供達も興味を惹かれるようだ。


店マップ安和


そう言えば、こんな話を聞いた。とある機会に高校生数名から、これからの竹活用のアイデアをいただく事があったそうだ。そしたら一生懸命に考えてくれた皆様から、「竹でザルや籠を作ってみたらどうでしょうか?」という提案があったそうだ。つまり、元々ザルや籠が竹だった事すら若い世代には知られていないという事だ。来社いただいた安和小学校の生徒さんからは「わたしは、ここで、はたらいてみたいなと思いました。」と感想を書いていただいた、是非お待ちしてます(笑)。





完成!虎竹ヤタラ編みの壁面製作

虎竹ヤタラ編みの壁面


今月続いていた虎竹ヤタラ編みの壁面製作が、いよいよ終盤を迎える。伐採のはじまる特産の虎竹を使った編み込みは、やはり存在感が独特だ、こうして見ていても既に何やら不思議な雰囲気を醸し出している。


虎竹ヤタラ編みの壁面


隅の方の仕上げに取り掛かっている、これが出来れば編み込みはほぼ完成する。


虎竹ヤタラ編みの壁面


ヤタラ編みには、決まった編み方の手順というものがなく、職人の感性で作り上げていくから面白味もあるし、難しさもある。手提げ籠など小さな竹細工には前々から多用されていた技法だけれど、近年は虎竹やたらソファベンチや日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」など大きな竹編みにも使われているのだ。


虎竹ヤタラ編みの壁面


遂に外枠の位置が取り付けられた。こうすると、壁面飾られるイメージが少しだけ沸いてくる。


虎竹ヤタラ編み


虎竹ヤタラ編みの壁面


さて、編み込みが壁面に取り付けられると、一体どんな印象になるのだろうか?


虎竹ヤタラ編みの壁面


虎竹ヤタラ編みの壁面


二人で持ち上げて立てかけてみる、下にして編んでいた時には気づかない箇所が見えてくる。


虎竹ヤタラ編みの壁面


そんな所を見つけては、元に戻して更に編む事を繰り返す。


虎竹ヤタラ編みの壁面


こうして完成、これはどんなインテリアとなって訪れる方を出迎えてくれるのか、今から楽しみになってきた。



愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕

愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕、竹虎四代目(山岸義浩)


綺麗に仕上がってきた山葡萄の手提げ籠を見て、自分が長くトートバッグ代わりに愛用している棚編みの手提げ籠バッグも、いよいよ修理してもらう事にした。この籠は実は編まれてから100年程度経っているのではないかと言われる、農家さんで腰籠として使われていたものだ。


山葡萄バッグ修理


編み込みの歪みや、不揃いな葡萄ツルなど、最近の籠には見られない仕事道具としての迫力がたまらない魅力だ。大事に使って来たのだけれど、パソコンなど重たい荷物など入れた時にツルの折れやヒビが少しづつ気になっていた。


山葡萄バッグ修理


とうとう、底部分にはこのような大きな穴まで開いてしまっている。


愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕


底を付けて置く事は少ないけれど、底の四隅もこのような痛み具合だ。


愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕


よくよく見ていただくと、縦ツルを結ぶ横ツルも何本も切れている。


山葡萄バッグ修理


腰籠から手提げ籠にする際、取り付けてもらった持ち手も、この機会にもっと丈夫なものに替えたほうが良さそうだ。


山葡萄バッグ修理


さて、どんな風に手直しが完成するのか?今から待ち遠しいが、出来あがりはもちろん皆様にもご覧いただきたいです。乞うご期待(笑)。





山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理

山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


竹細工の修理は、とにかく皆様が考えられる以上に手間がかかる。そもそも籠やザルの種類によって編み方だけでなく、竹素材も異なるので元通りに手直しする事が難しいから、自分の作った籠の修理に限定されている職人が多い。ところが、それぞれ持ち込まれる籠は使い手によって味わい深いものになっている事が多く、どうしても修理して差し上げたくなる。そう先日の「使い込まれたサクランボ籠の修理」に登場する籠など、その典型だ。


山ぶどう持ち手修理


山葡萄の手提げ籠バッグなども、元々丈夫な素材とは言え、近年では海外素材の製品も含めて玉石混交なのだろうか?持ち手が切れてしまったと相談があった。


山葡萄持ち手手直し


このように、ちぎれる様に切れた持ち手というのはあまり知らない。同じ編み方の持ち手の手提げ籠バックを2個使っているけれど、切ろうと思っても切れないくらいに山葡萄の繊維は強靭だ。バッグに何を入れるにせよ、その程度の重みではビクともしないのが普通だから、素材や作り手に問題があったのだろうと思う。


山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


そこで、元々の籠は持ち手が本体に取り付けてられていたのだが、少しでも強度の高い口巻部分にしっかりと留めてもらった。


山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


持ち手も少し太めになる定番に変更させてもらったので、今まで以上に使いやすくなると思う。


竹虎四代目(山岸義浩)、山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


手提げ籠は持ち手が一番酷使されて傷みやすい、けれど、こうして修理が完了すればこの先10年、20年と活躍する新しい籠に生まれ変わる事ができるのだ。



農家の倉庫で見つけた古い土佐箕

土佐箕


高知には、こんな立派な網代編みの土佐箕と呼ばれる特徴的な箕があった。箕先の幅が70センチ、奥行きは74センチ、深さは20センチもある大型の箕で、持ち手の部分に滑り止めの棕櫚皮が巻かれていた。そうそう、この棕櫚巻のために職人さんの仕事場には一本そのまま伐り倒して運ばれてきた棕櫚の木があったけれど、いつだったか置いている内に青々とした葉が伸びてきたと思ったら、扇状に開いた事があって、その生命力に驚いたものだ。


土佐箕


主に孟宗竹が使われる土佐箕には、他にメダケやカズラが必要だったが年々このような素材を集められなくなる。製作が難しい箕作りは、こうして作れなくなり現在は残念ながら復刻は難しい。


古い土佐箕


そんな箕を、農家さんの倉庫で見つけた。かなり使い込まれた古いものだが、竹が枯れた色合いになっているのに箕先部分に青い不自然色合いが混じっている。


PPバンドの箕


これは、荷造りなどに用いられているPPバンドだ。実はこのPPバンドは扱いやすく耐久性もあるので、簡単な手作りクラフトなどに多用される事もある。とっさに、いつか前に見て残念に感じた根曲竹と籐で編まれた伝統的な箕を思い出す。この時には青色ではなく、白いPPバンドが恐らく桜皮の代用として使われていた。


古い土佐箕


古い土佐箕


この土佐箕には、傷んでしまった竹ヒゴの代わりにPPバンドを編み込んで補強されている。土に還る自然素材と、いつまでも無くならないプラスチック素材と、まるで今の環境問題や竹の課題が皮肉にも合体して自分に迫ってくるように思えた。



岬の竹林

フェリー


近頃、立て続けにフェリーに3往復も乗船する機会があった。車で四国から外に行こうとすれば、必ず海があるから瀬戸大橋や明石海峡大橋を使わない場合はフェリーなのだ。今回は久しぶりに竹材を積み込んだトラックでも行ったので、時間に余裕をもって出たせいか綺麗な海を見る事ができた。


海


フェリーにもよると思うけれど、トラックで乗船するとドライバー室を使う事ができる。どうやら、リニューアルしている船も多くて昔と随分と違っている、二段式になった半個室ベットやシャワー室など綺麗で素晴らしく快適で驚いた。二等船室のゴロ寝でも、一瞬で寝られる特技のある自分は大丈夫だが、休日だったりすると元気のあり余った若い人のグループがいて起きてしまう事もある。


岬


その点、ドライバー室では出航前から完全熟睡(笑)、ゆっくり休む事ができるので下船でデッキにでる頃にはスッキリパッチリだ。


岬の竹林


トラックに向かい歩く途中で、ふと港近くの岬を見ると少し奥まった所に生茂った竹林がある。今は筏が浮かんでいる静かな入り江のような場所だけれど、昔はきっと人家があって人の暮らしがあったのではないだろうか。斜面に、生活や仕事に使うためのを植えたのだとすると暴風や、地滑りなど防災面でも役立ったに事だと思う。


須崎湾


そう言えば別の日に、何十年ぶりかに須崎港から虎竹の里の方角を眺めた事がある。波は穏やかで天気もよく、横に見える富士ケ浜も少しも変わらない。


須崎湾


須崎漁港の正面を見ると、そこの半島にも険しそうな山肌に竹がある。竹を見る度、人の暮らしと結びつけて考えるのは習慣になっているが、自然に生えているのか?人が植えたのか?人の居住地域は、どんどん便利な街中に集中してきたから、竹だけが人の生活の面影を現在に残している場所が少なくない事だけは間違いない。



いよいよ20日まで、第四回竹虎インスタキャンペーン

#竹虎グラム、第四回竹虎インスタキャンペーン


竹虎インスタグラムには、お陰様で連日沢山のお客様にご覧いただき、投稿もいただけるようになっている。皆様、本当にありがとうございます!生活の中で、どのように竹を楽しまれているか?自分達もいつも知りたいと思っているので、それぞれ方が、それぞれの場所でご愛用いただいている様子を垣間見る事ができて楽しいし、少しはお役に立てていると思うと嬉しくなってくる。


#竹虎グラム、第四回竹虎インスタキャンペーン


そこで、第4回目となる竹虎インスタキャンペーンを9月から開催していて、いよいよ来週の20日(月)が最終日となっている。投稿には、@taketora1894、#竹虎グラム、#第四回竹虎インスタキャンペーンのタグをつけてください。


#竹虎グラム、第四回竹虎インスタキャンペーン


竹製品や竹細工に馴染のない方も多いと思うけれど、竹虎ウェブサイトのインスタギャラリーでは、ジャンル別にもご覧いただけるので興味のある竹籠やザルの使い方のアイデアが見つかるかも知れない。


やさい畑


今回のキャンペーンでは、雑誌「やさい畑」さんにも大きく掲載された竹製鬼おろしが、抽選で受皿とセットで3名様に当たる。まさに、寒くなるこれからの季節に大活躍する逸品なので、インスタ投稿を考えられている方は今がチャンス!お待ちしています。





竹ざる(二重バラ)を使う味噌づくり2日目

竹ざる(ふたえばら)


竹ざる(二重バラ)を使う味噌作り二日目が始まる。それにしても網代編みされた竹ざるは、何という風格だろうか、年期の入り方に惚れ惚れしてしまう。


竹ざる味噌作りの麦


大豆と麦を使う味噌作りだが、どちらの素材も丸一日水に浸けてしっかりと水分を吸っている。麦は材料の段階で20キロの重さだ。


製麹機


今日は、まずこちらの製麹機から4分の1づつ麦(素材で20キロ)を竹ざるに取り出す。そこに昨日の大豆(素材で7キロ)+塩(2.5キロ)を入れて合わせる、そして更に2.5キロの塩を入れて皆でほぐしながら混ぜ合わせるのだ。


二重竹ざる、味噌作り


つまり、ここで素材だけで約32キロ(水分を含んでいるから約50キロ)もの重量の素材が竹ざるに載せられている。ただ置いている訳ではない、5~6名の女性陣が取り囲み一斉に両手でかき混ぜる、これはいくら丈夫に網代編みされた竹ざるでも、底面の負荷は大変なものだろう。恐らく長い味噌作りの歴史の中では、度々修理する事もあったのではないか?そして、そうこうしている中で底に六ツ目編みの補強を入れるようになったと推察する。


味噌撹拌機


この後は、二重バラから小分けにして撹拌機に入れ、良くかき混ぜるている。けれど、昔はどのようにしていたのかと気になる。もし、この粘度のある素材をそのまま竹ざるで混ぜる事もあれば、竹ざるに求められる耐久性はもっと高くなりそうだ。


味噌団子、味噌作り


最後の仕上げは、このように団子を作り押しつけながら空気が入らないように樽にキッチリと詰めていく。


手作り味噌完成


こうして樽に入れて安置したら、2~3カ月で味噌として食べられる。それぞれがご家庭に持ち帰り、一年通して食されるので市販のものを購入する事はないそうだ。


二重バラ


さて、今回は他の地域では見られない竹ざる(二重バラ)を使った味噌づくを拝見させてもらった。地域に根差す食文化と竹との関係は素晴らしかった、近年ではこうして手作りした味噌を販売される事もあるそうで、竹ざるに厚手のビニールを敷いての作業であったが、小さい頃から馴染んでいる竹ざるへの愛着にも感動した。


竹ざる縁


竹ざるは網代編みの部分が真竹で、この大きな縁部分は孟宗竹が使われている。一本のヒゴに取った竹が、このような色合いになるまで現役で活かされ続けている事に、更に感動する。高知の竹ざるのルーツに触れる事もできた、貴重な作業の工程を拝見させて頂き、JA鹿児島みらい女性部小山田支部の皆様には心から感謝いたします、ありがとうございました。





竹ざる(二重バラ)を使う味噌づくり1日目

ふたえばら(二重編み竹ざる)


この大迫力の竹ざるは、直径が3.5尺(105センチ)もある大ざる!しかも底に六ツ目編みの補強が入った「ふたえばら」と呼ばれる二重編み竹ざるだ。さらに、凄みさえ感じさせるような数十年使い込まれた色艶が素晴らしい。ご存知ない方のために、念のため申し上げるが、元々はこの竹ざるも真竹の青々とした色合いだったはずだ。それが長い月日の間に段々と鮮やかな色合いが落ち着き、愛用されていく中で渋い飴色の光沢を放つようになっているのだ。


水に浸けた大豆


さて、毎日の食卓にか欠かせないお味噌だが、どのように作られているかご存知だろうか?中には味噌作りのキットを使われている方もおられるかも知れないけれど、自分も含めて多くの方は馴染のある調味料であるにも関わらず、案外知らないのではないかと思う。今回、JA鹿児島みらい女性部小山田支部さんのご協力で、拝見させていただいた味噌作りでは前日から水に浸けて置いた大豆と麦を使う。


竹ざるの味噌作り


その大豆と麦を蒸して加工を進めていく行程で、何と登場するのが先程の二重編みになった大きな竹ざるなのだ。20キロにもなる蒸した麦を、竹ざるの上に広げて冷ましていくから結構な負荷がかかる。


麹菌


竹ざるの味噌作り


20キロの麦に対して20グラムの麹菌を入れて混ぜる、直径105センチにもなる竹ざるだから何人もの方が囲んで作業が可能だ。多くの方が力を合わせての味噌作りだから、少しづつく大きな竹ざるが求められるようになっていたのかも知れない。同じような用途にされる竹ざるでは、120センチ(4尺)や150センチ(5尺)等という今では見られないような竹ざるも残されている。


製麹機


1日目の麦の工程は、麹菌を混ぜて製麹機にいれたら終了、このまま翌日まで安置する。


大豆をつぶす


蒸して湯気の立っている大豆は機械に入れてミンチ状にしていく。ここでも活躍するのが竹ざるだ。


味噌作りの大豆


蒸した大豆は、これだけでも十分美味しいからどうぞと、勧めていただき口にしたが、なるぼとイケる(笑)。


二重バラの味噌作り


大豆は麦に比べると少し重量は少なくて7キロ、それに2.5キロの塩を入れて手で良く混ぜ合わせる。その後、プラスチック製の樽に移し替えて翌日まで安置させる。


大型竹ざる


地元では二重バラ(ふたえばら)と呼ぶ、このような大きな竹ざるを使った味噌作りは地域の伝統文化だ。他の県や地域でこのような竹ざるの使い方を見た事はない。先月16日の30年ブログでもお話ししたように、高知で編まれてきた竹ざるは「サツマ」と言われて鹿児島がルーツになっている。


広い竹林があり竹産業も盛んだった鹿児島では、当時様々な竹製品が作られていた。そして、同じく竹の技術者の多かった高知県からは若い職人が沢山出向いていた時代があったのだ。故郷に帰る頃には彼女もいたりするから、自分の父親くらいの世代に鹿児島出身のお嫁さんが多いのはこのせいだったようだ。


そんな結びつきのある両県で繋いで来た網代編みの竹ざるだけれど、高知では味噌作りに竹ざるは使わない。干しざるや、箕の代わりなど農家での一般的な使い方が主なので、底の六ツ目編みの補強は自然となくなり今日に至っている。





素晴らしき江戸和竿

江戸和竿、竿好


竹を使う職人仕事でも、江戸和竿などは組合があるくらい職人がいて、活発に活動されているから素晴らしい。そもそも、この江戸和竿には200年の歴史があり、竿師たちが切磋琢磨して繋いできた技が、東京都の「伝統工芸品」に指定され、通産省からは国の「伝統的工芸品」に認定されている。


江戸和竿


同じ東京の竹細工でも、江戸川沿いの篠竹を使った篠崎ざるなどは、200軒もあった竹籠屋が今では全く残っていないから、モノ作りには作り手だけでなく使い手が必要だと分かる。和竿には竹特有の使い心地を知ってしまったコアなファンがいて、その伝統を支えているのだ。


竹虎四代目(山岸義浩)


つい先日、たまたま地元須崎市を盛り上げるためのポスター撮影があって、グラスファイバーの釣り竿を数十年ぶりに手にしたばかりだ。けれど、竹竿はその軽さ、手触り、しなり、質感、光沢、すべてが違う。もし、一度でも魚を釣り上げてみよう物なら完全に魅了されてしまうに違いない。


図面竹の竿入れ


そんな太公望達は、竿はもちろん竿入れにもこだわりぬく。これは、筍が伸びる時に木枠をはめて四角い竹に育て、独特の方法で模様を付ける京都の図面竹だ。この中に、職人の技のつまった繊細かつ実用的な釣り竿が収納されているから凄い。


江戸和竿


使われている竹は五三竹(布袋竹)、矢竹や真竹だが、それぞれの竹の特徴を活かして、釣る魚種、場所によって異なる竹竿が作られてる。川釣りのイメージばかりの和竿だけれど、海釣り用もあり豪快さも味わえるとあって更に面白い。


和竿矯め木


極細の竹を扱うため、矯め木もミニサイズだ。まだまだ小さいものがあるそうだから一度拝見に行ってみたい。


江戸和竿


竹竿の良さを体感すると、他の道具も本物志向にならざるをえない気がする。そうそう、日除けに使う笠なども安価なものではなく、先に復刻したばかりの本物の日本製竹笠にも手が伸びるのではないだろうかと思って期待している(笑)。





籠に編まれる竹林

孟宗竹


曲がりくねった山道は雨のせいでぬかるんでいる、泥をはね上げながら到着したのは材木の集積所がある広場だった。車を停めた向こうに孟宗竹の竹林が見える、高知など一部を除いては竹編みにはあまり使用される竹ではない。目的の真竹の竹林は、ここからは見えない少し奥ばった所にあるのだ。


竹林への林道


山深いと言っても、このように木材を運び出すためのトラックが入る大きな道があるから、竹を伐り出すにも条件の良い場所だ。


竹林への小川


脇の獣道のような小道に入って歩いていくと、小川が音をたてて流れている。この川を渡り進んだ先に、今日伐り出す真竹の竹林がある。


真竹の竹林


多くの方が目にする竹林は、綺麗に手入れされている所ばかりなので、皆様が想像する竹林とは少し違っているのかも知れない。めったに人が入らない鬱蒼とした竹林は、立ち枯れや風に倒された竹がそのままである。しかし、日本列島の北から南まで竹職人が分け入る竹林は、程度の違いこそあれ、このように自然そのままに生茂る竹を伐採する場合も多い。


竹職人


山の職人の顔になった古老が鉈を取り出した。選んだ竹を次々に伐り倒していく。


真竹手付き籠


枝打ちされて土場に並んだ竹や、編み上がった竹籠ばかり見ていると竹林の竹が見えなくなりそうだ。日本には三大有用竹と呼ばれる、孟宗竹、真竹、淡竹があるけれど、それが全てではない。虎竹の里だけに成育する虎竹、そして黒竹や根曲竹、スズ竹、篠竹、五三竹、メゴ笹、蓬莱竹と、それぞれの地域に根差した竹があり、暮らしがあって面白い。





虎竹ヤタラ編み壁面作り

虎竹やたら編み


本店に置いてあって自由にお座り頂いている虎竹やたらソファベンチを、ご覧になられたお客様が感激されるのは本当に嬉しい。その日も腰かけられて、お連れの方と共に竹の事を色々とお話させてもらった後にお帰りになられた。実はそれから、その方から連絡をいただいた、あの長椅子と同じようなテイストで壁面を製作できないかとのお問い合わせだった。


ヤタラ編壁面製作


竹で室内装飾をする事は珍しくはない、建仁寺垣や木賊(とくさ)張りなど良く見られるし、網代編みされた天井は古い職人のご自宅で二度ほど拝見した事もある。しかし、やたら編みとなるとあまり多くはないのではないだろうか。


ヤタラ編壁面製作


「やたら」は地域によっては「ヤチャラ」とも言って、「やたらめったら」から来ている。規則性のある竹編みではなく、職人の感性で仕上げていく乱れ編みだ。虎竹電気自動車竹トラッカーの本体も立体的な曲線で製作せねばならなかったので、このやたら編みが最適だった。


虎竹ヤタラ編壁面製作


午前中に竹ヒゴ取りが終わった、午後からは更に編み進めていく予定。



日本工芸産地博覧会(JAPAN CRAFT EXPO)2023を終えて

日本工芸産地博覧会


「工芸が見つめる未来 体験が解き放つ 産地への衝動」というコンセプトで開催された、日本工芸産地博覧会(JAPAN CRAFT EXPO)2023に初めて参加させて頂いた。晴天に恵まれた万博記念公園は、家族連れはじめ多くの方が楽しめる素晴らしい行楽スポットとなっている。お隣ではロハスフェスタというイベントも開催されていて、11月とは思えない暑さの3連休は最高の人出だったのではないだろうか。


日本工芸産地博覧会、竹籠


実は、このような催事はお客様に直接お会いして竹の事をお話しできるし、喜んでいただけるお顔を拝見できるので大好きだ。しかし、その反面、諸々の経費がかかったりするし屋外のイベントの場合は天候に左右される事もあり、久しぶりの参加だった。


日本工芸産地博覧会、竹虎


万博記念公園には入場料がかかけるけれど、更に工芸産地博覧会の会場に入るのも有料だったので、ブースに来られる客様は工芸や手作りに関心の高い方ばかりたった。お買い得な商品から無くなっていったのは、日頃から竹籠はじめ竹細工を良くご覧になられているからかも知れない。


日本工芸産地博覧会、竹花籠ワークショップ


日本工芸産地博覧会、竹花籠ワークショップ


今回の工芸産地博覧会で一番良いと思って参加の決め手となったのは、ワークショップがある事だ。むしろ、そちらに軸足が置かれていて、手仕事やモノ作りを体感してより深く知ってもらいたいと言う思いに共感した。担当した職人は初めてで大変だったと思うが、日頃お客様に接していないから良い経験になったと思う。


日本工芸産地博覧会、竹虎ランチボックス


そう考えれば、どうしても赤字になってしまうイベント参加もそう悪くはない。


太陽の塔


しかし、学生時代に4年間も大阪で暮らしていたのにも関わらず、何故このような気持ちの良い公園に一度も来た事がなかったのだろうか?こうして近くで太陽の塔を眺めるのも、子供の頃に長蛇の列に並んで塔に入って以来かも知れない。このランドマークは最強だ、またきっと来るような気がしている。



華道で使う二重切り花器

孟宗竹


日本の皆様に言いたい、言葉の話せない竹に代わってお話しさせていただく。孟宗竹の歴史は思うよりずっと浅く、諸説あるものの日本に中国から渡ってきたのは300年足らず前の事だ。それまで、あのような大きな竹は無かったものだから、国中に引き合いがあり現在のように津々浦々にまで竹が広がっている。自分達が植えた竹が、必要なくなり増えているからと言って邪魔者扱い、悪者扱いは少し違うのではないか?




食料として、竹製品加工用として、あるいは観賞用として武家の庭に植えられてステータスシンボルとまでされていた竹なのだ。放置されてしまって、ネガティブな面ばかりが強調される孟宗竹だが、その美しさには惚れ惚れする。お時間のある方は、この30年ブログを読みすすめる前に、まずこの孟宗竹の姿をYouTube動画でご覧いただきたい。


竹根孟宗竹


伐採され、油抜きされた孟宗竹もこの通りの迫力と美しさだ。もちろん淡竹(はちく)や真竹も素晴らしいけれど、日本最大級の大きさを誇る竹だけがもつ雰囲気がある。


根付き竹


直径の小さい竹だと、同じように油抜きした根付きの竹でもこのように見た目が異なっている。


二重切り花器


太い孟宗竹を使った花器は、伝統的に茶華道で広く使われている。竹肌や節をそのまま加工した自然の魅力、竹を最大限に活かしきったのが二重切り花器だと思う。自分の小さい頃には、大小様々な大きさの竹筒が数十本も店頭に並んでいて、さながら孟宗竹の竹林にいるかと錯覚する程だったが、いつの頃からか特別な方だけの限定された竹となってしまった。


竹職人道具


それでも職人は多くを語らない、いつもの道具で淡々と仕事をこなしている。





第21回高知県木の文化賞を受賞しました

第21回高知県木の文化賞


木の文化賞とは、84%を森林が占める日本一の森林県である高知で、県産木材の供給や利用、文化の向上に寄与した団体や個人に贈られるものだ。今回、竹虎はもくもくエコランド森林環境学習フェアの会場ステージにて、「木の文化を実践している人たちの部」で表彰をいただいた。伝統的な技術を守り、育て、活かしながら活躍している人たちとの事で、木の文化をの文化に置き換えると、まさにその通りなのかと思い、有難く受賞させて頂いた。


第21回高知県木の文化賞


高知には木の文化県構想があるからだろうか、魅力的な木造建築が案外と多い。地元であるにも関わらず、案外そのような建物を知らずにいて、たまに教えていただいたら、そのモダンさに驚く事も多い。建物だけに限らず、木造のアーケードなど全国的にも見られないような木材利用をしている例もある。今回同時に受賞された、香美市立図書館かみーるさん、大豊町立大豊学園さん、仁淀川町林業振興センターさんの木造建築物、木造建造物も一体誰が設計したのか知りたくなるほど洗練されていて格好がいい。


虎竹の里


受賞審査の際、複数の方に虎竹の里にお越しいただいた事がある。竹林や竹の生産の事をお話しさせてもらう中で、皆様の反応やご質問から竹文化はあまり知られていないのだと改めて感じた。


この峠道から下に見えるJR安和駅には、その昔には貨物待避線があった。ここから虎竹製品が貨車いっぱいに積み込まれて京阪神に向かって運ばれていったのだが、現在ではそんな面影はない。かつて人とモノで賑わっていた線路のように、消えて無くなり忘れられてしまわないよう竹を繋いでいかねばならない。



日本工芸産地博覧会(JAPAN CRAFT EXPO)本日から開催です

太陽の塔


いよいよ本日から始まる日本工芸産地博覧会(JAPAN CRAFT EXPO)は、11月5日(日)までの3日間、大阪万博記念公園は太陽の塔が見えるお祭り広場にて開催される。先月30日に「ワークショップ完売御礼とお詫び」として申し上げた通り、博覧会の会場に入るために入場料が500円必要で、さらに必万博記念公園に入る入園料が大人260円、合計760円かかってしまう。もしかしたら、気軽にブラリと来られる方は少ないような気がしている。


虎竹洗濯籠


どこまで皆様のご期待にそえられるか分からないが、お買い得な竹製品を大きな箱に10数個運び込んでいる。特別販売や売り切れご免の限定販売のものが多いけれど、竹籠やざるなど自然素材の温もりが好きな方には喜んでいただけると思う。インターンシップ以外では、あまり開催した事のない虎竹花籠作りのワークショップもある、今日と明日は好天に恵まれそうなので楽しみにしています。





まだまだ健在、虎竹自在垣足付き

虎竹自在垣足付


以前、全く知らない住宅街を歩いていると立派な建仁寺垣を設えたお宅が見えた。本能的(笑)にそちらに曲がって行って、近くに立ち止まり感心しながら眺めていて、ふと後ろを振り返ると驚いた。なんと、そこのお家の庭には竹虎の自在垣足付が置かれているではないか!雨ざらしで使用されているので、かなり古びていて虎竹も真っ白くなるほどだけれど、まだまだ立派に自立して、芝生の横のコンクリート通路に立っている。このような所でご愛用いただいているのか...胸が熱くなったものだ。


自在垣足付


虎竹自在垣足付きは、柔軟に伸ばしたり縮めたりして必要な長さに調整できるため、設置場所にピッタリと合わせる事ができるのが利点だ。普通の自在垣は、使いたい長さに設定した後は固定せねばならないけれど、この自在垣には足が付いているから、伸ばしして、そのまま自立する。庭先や通路、屋上、ベランダなどで間仕切りとして使用するだけでなく、竹自体が庭のアクセントとなる。可動式なので、どんな製品なのかが良くお分かりいただけるかと思い、YouTube動画にしました。





2023年ベスト・オブ・タイガーポーズ

Singgih Susilo Kartono、益田文和、Lavinia Elysia


「タイガーポーズ」をご存じだろうか?恐らく知っている方は、かなり少ない(笑)。ただ、自分と一緒に写真を撮る機会が出来た方は、必ず「虎」になる事をお願いされる。そもそも、皆様もご存じのように昔から竹林と言えば虎ではないだろうか?古い掛け軸や屏風絵を思い出していただきい、竹林には必ずと言っていいほど虎がいる。


更にだ、この虎竹の里には日本唯一ここだけに成育する虎模様のミラクルながあるのだ。英語では「tiger bamboo」、まさに写真のポーズはタイガー一択、他には何も考えられない。なので今回、はるばるインドネシアからお越し頂いた竹製自転車開発者でプロダクトデザイナーのSinggih Susilo Kartonoさん、美大教授でありオープンハウス代表の益田文和さん、Lavinia Elysiaさんにもタイガーになっていただく。益田さんは、只者ではない迫力、さすがだ。


雫石将克、YOSHIHIRO YAMAGISHI


地元メディアの皆様には、いつも良くしていただいているけれど、取材で何度もお世話になった元RKC高知放送アナウンサー雫石さんが、退職され新しい肩書となった際に、2023年の飛躍を祈念して虎竹名刺入れを選んでいただいたのには感激した。


ヒカル・オーキッド、竹虎四代目(山岸義浩)


ボクは最近、和歌山を見直している。高知と和歌山が親潮が流れ気候や風土、文化に共通点があることは竹を通して感じていた。ところが、同じ太平洋でも全く違い、古い歴史の中に未来が輝いているのを蘭栽培を手掛けるヒカル・オーキッド佐原ご夫妻に教えて頂いた。


アジア太平洋ソーシャルイノベーションサミット2023


今年は、台湾の宜蘭県で開催されたアジア太平洋ソーシャルイノベーションサミットにもお招きしてもらった。この時の皆様は、とにかくパワフルで其々の世界で燃えてる凄い方ばかりだった。


谷中修吾、竹虎四代目(山岸義浩)


これだけの個性派の強者の皆様を率いて、サミットに誘うのが谷中修吾さんだ。この方の世界は、自分などには想像もつかない宇宙まで広がっているようだ。


アジア太平洋ソーシャルイノベーションサミット2023


台湾にも竹が多く、日本との技術交流の歴史もあったりして様々な製品が作られている。現在では竹活用への取り組みは最先端ではないかと思われるような、既成の発想にとらわれない作品も多くあって興味がつきない。


アジア太平洋ソーシャルイノベーションサミット2023


子供達にも恐がられないのが良かった。


彭仁鴻、アジア太平洋ソーシャルイノベーションサミット


彭仁鴻さんは、アジア太平洋ソーシャルイノベーションサミットの主催者の方だ。世界から集まる大きな会議でスタッフも沢山いたが、この方のリーダーシップで良くまとまっていた。一人一人の対応が素晴らしく、おもてなしの精神があるのは何も日本だけではないと思った。


田野屋銀象、竹虎四代目(山岸義浩)


こうして振り返ってみると2023年も色々な場所で、様々な出会いがあった。完全天日塩の田野屋銀象さんは、高校生の頃に弟子入りした生粋の塩職人。肉用、野菜用の25gタイプは小さく軽くパッケージがお洒落、ちょっとしたプレゼントにもイイ。


デハラユキノリ、柴田恵介、竹虎四代目(山岸義浩)


フィギュアイラストレーターのデハラユキノリさん、高知のメディアで活躍する柴田恵介さん。


こじまちから、竹虎四代目(山岸義浩)


竹の世界にもオモシロイ若い力が次々に台頭してきていると感じた、竹芸家こじまちからさん。


名古屋久屋大通り公園名車イベント


名古屋久屋大通り公園を中心に市内に、200台もの名車を集めたCOPPA CENTRO GIAPPONEでお会いしたチンクエチェント博物館の伊藤精朗さん。チンクエチェントって何?と思われる方がいると思うがFIAT 500の事だ、実車を見れば「ああ、あれだ!」と見た事のある印象的なイタリア車だ。


安藤桃子、フジモン、竹虎四代目


テレビ高知さんでスタートした新番組でFUJIWARAのお二人や安藤桃子さんとご一緒させてもらった。随分と前のようでもあるけれど、振り返れば今年の春の事だ。


豊ノ島、竹虎四代目


さすがに少し不安もあったが、地元出身の豊ノ島さんには、140キロの巨体で竹トラッカーに乗っていただいた。田舎者のボクがカラオケで挑戦したが、角界の美声の前に当然だが完敗した。


小錦八十吉


出張先の機内では、偶然に小錦八十吉さんお会いさせていただいた。竹虎のYouTube動画をご覧いただいているとの事で小躍りする程嬉しかった。


Mayumi Ando、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


さて、そんな素晴らしい方々とのタイガーポーズで、今年も良い一年を過ごさせてもらった気がするが、ベストショット一枚を選ぶとするなら、やはりこの方、Mayumi Andoさんになるのではないか。初めてお目にかかったのは、自分には全く場違いなイタリア大使館。数十年来パリに暮らしてたデザイナーであるMayumi Andoさんが、ご自身デザインのランボルギーニ社の家具をお披露目をされていたパーティー会場だった。


その後、名古屋でバッタリ再会させていただく幸運があり、撮らせていただいた写真を見て、「むむむ」と唸った。知らない人が見たら、まるで長年同じようにポーズを取ってきたかと勘違いしそうな自然さ、Andoさんが発するオーラに包まれた不思議な一体感。間違いなく2023年ベスト・オブ・タイガーポーズである。