別誂えの竹籠にお問い合わせを頂くことがあります。オーダーの竹籠や竹製品は、たとえ一つであっても、そのためだけに竹を選び、寸法を測り、材料を整えるところから始まります。たとえば、定番で編んでいる普段の製品をほんの少し大きく、あるいは少し小さくするだけでも、竹材の長さや幅、厚みがすべて変わってくるため、既製品の竹素材を流用することはできません。
場合によっては、普段使わない編み方や技術が必要となり、試行錯誤を重ねながら試作を何度も繰り返すこともあります。一つの籠のために、三つ、四つと試作を重ねることすら珍しくないのです。
そうして出来あがる別注の竹籠は、まさに世界にひとつ。だからこそ、あまり簡単にオーダーできるものではないのかも知れません。価格だけを見て判断される方には、定番の籠をお選びいただきたいと思っています。
「どうしてもこの竹籠が...」「惚れ込んだから、とにかく一つ...」そんな熱い想いを感じられている方はおられます。いつでも、そんなお声には応えていきたいと考えています。ただ、日本のモノ作りは皆様が想像される以上に空洞化が進みました。質の高い竹細工の別注品は、ある種の志と覚悟とが必要です。
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