孟宗竹と牡蠣筏、温暖化がもたらす山と海

虎竹の里の海


地球温暖化の影響は、私たちの身近な環境にまで及んでいます。虎竹の里では、古くから言われてきた「霜が下りたら色がつく」という言葉があるように、温暖化によって虎竹の色づきが悪くなるなど、竹にも変化が見られます。一方、温暖化は瀬戸内海の牡蠣養殖にも深刻な影響を与えています。海洋酸性化や水温上昇により、牡蠣の生育不良や死亡率の増加が問題となっており、リスク回避のため養殖量を増やす動きが進んでいるのです。


牡蠣筏用孟宗竹


そこで、活躍しているのが筏製作に欠かせない孟宗竹なのです。牡蠣筏は、近年の環境意識の高まりがあり、マイクロプラスチックなどの海洋汚染防止にも役立つ竹製が見直されています。養殖の本場である広島近辺の竹だけでは足りず、多くは大型の孟宗竹の豊富な九州から大型トレーラーで運ばれていきます。500本もの11メートルを超える長さのままの孟宗竹が積み込まれて、運ばれていく姿は壮観です。


孟宗竹の竹林


ある業者では月に5,000本もの竹を伐採・運搬しています。そんなに伐れば竹林もハゲ山になりそう?そう思われる方もいるかも知れませんが、心配は一切不要です!竹は植林などしなくとも、毎年ドンドン筍が生えてくるスーパー植物です(笑)。


孟宗竹伐り株


そして、わずか3ヶ月で20メートル以上に成長する「継続利用可能な唯一の天然資源」と言われます。孟宗竹の牡蠣筏への活用は、里山の竹林保全にも繋がり、海の環境にも優しい、まさにまさに山海両得なのです。


孟宗竹伐採職人


1980年以前は国内の竹林の90%は人の手によって管理された経営竹林でした。それが、1990年代以降のタケノコ輸入増加により、孟宗竹は「竹害」と呼ばれるような悪者扱いされるようになりました。しかし、牡蠣養殖によって孟宗竹が活用されることで、新たな光が当たっています。


牡蠣養殖筏用孟宗竹


広島県だけでも、1万台を超える牡蠣養殖筏があるそうです。ひとつの筏に使用される竹材は約130本、単純計算で130万本になりますから、全て竹製になればどんなに良いだろうかと思っています。


孟宗竹トレーラー


現在では、なにかと悪者扱いの孟宗竹が、こうして人の役に立てているのは本当に嬉しい事です。そして皆さまに、是非知っておいて欲しいのが、竹開花は孟宗竹だと60年に一度、淡竹や真竹は120年に一度です。つまり、日本に大陸から渡ってきた孟宗竹も、自ら増えたのではなく、それぞれの地域の人々に求められ、人の手によって増されてきたということです。ボクの暮らす高知県はじめ大雨の災害の多発する西日本では、 防災としての大きな役割もになってきました。竹は日本人の暮らしと共に歩んできたパートナーなのです。





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