虎竹ハンドルにリニューアル、竹製アタッシュケース

竹アタッシュケース


倉庫の奥から40年以上しまわれていた一つの竹製アタッシュケースが出てきました。細い竹ヒゴを丁寧に並べて創作された独特のスタイルは、一目で見ただけで竹虎二代目であった祖父と懇意にして頂いていた竹工芸家・宮川征甫先生の製作されたものだと分かりました。実は、まったく同じ技法で作られたメイクボックスや、祖父が居間で使用していた調度品を何点か見ていたからです。


竹メイクボックス、竹家具


アタッシュケースなので、あまり多くの荷物は入れられませんが、ちょっとした外出や出張には使いたくて何度か持ち歩いてみました。今までボクの使ってきた竹アタッシュケースは、繊細な竹編みです。革の鞄も好きなので、土屋鞄さんや、大峽製鞄さんなど国産鞄メーカーのバッグも使ってきたのですが、やはり革などに比べると竹編みは天候も考えますし、人込みや飛行機、電車などの乗り物でも気を使う場合が多いです。


竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


ところが、今回のアタッシュケースは下地となっているハードケース表面の竹のあしらいが異なります。竹ヒゴを密集して並べ、厚みのある布に貼り付けた部材を使用しているため堅牢で、多少の衝撃ではキズにもなりません。竹製の鞄としては、今までで一番の使いやすさだと感じていました。ケースの中身はこんな感じ、内張のペイズリー柄が創作当時らしいです。


竹アタッシュケース虎竹ハンドル


ただ、ひとつ気になるのが持ち手のハンドル部分です。本体の竹が経年変色によって、飴色となり渋い光沢を放つ格好良さなのに、黒いプスラチックのハンドルだったのです。そこで、二代目となっています宮川弘尚先生にリニューアルをお願いしたところ、祖父の依頼だとばかり思っていたアタッシュの依頼主が父である事が分かりました。


ケースには、ボクたちが100年以上守り続けてきた虎竹のロゴマークが刻まれています。改めてそれを目にした瞬間、竹虎三代目の竹への思いが伝わり思わず胸が熱くなりました。虎竹を象嵌細工で刻み込んだ竹虎マーク、そして、今回リニューアルした虎竹製ハンドル。こんな想いのこもった一点限りの竹アタッシュ、世界中のブランドさえ全く及びません。





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