御用籠も竹虎のブログやSNSに何度も登場する竹細工のひとつです。ボクの小さい頃には、フレームの太い丈夫な自転車が流通の一部を担っていたので、このような自転車には、いやいや自転車だけでなく何処でも走っていたカブの荷台には、この角籠が縛り付けられていました。ちなみに、「カブ」って今の時代にお分かりになりますか?今時はカブと言えば、投資の株かと思われる方も多くいそうです(笑)。カブとはホンダのバイクの事で、手軽さ、乗りやすさで人気だったのです。
先日は、少し浅めの御用籠をYouTube特別販売としてご紹介いたしました。おかげ様で完売しましたが、この角籠をご存じないか方は、一度ご覧いただきますと詳しくご理解いただけるかと思っています。
真竹で編まれたこの籠の特徴は、何と言いましても幅が広く、厚みをもった堅牢そのものの力竹です。これだけ大胆に、無骨に竹が使われる籠というのも少なくて、御用籠がどれだけ重たい荷物を入れて運ぶ、物流のための籠なのかを表しているのです。
竹籠の底をご覧ください、これです。この力竹の凄さ、圧巻ぶり、硬い竹をこんな風に使えばそれは耐久性抜群です。
けれど、この御用籠も太い竹フレームを入れる前は、楕円形のゴザ目編みの普通の籠に見えてしまいます。このまま販売しても、楕円籠としてお使いいただけそうな籠が大変身するのは、竹フレームを取り付けてからです。
その竹フレームがこちらなのですが、カッチリとした角型になるのには、ちょっとした秘密が隠されています。竹は90度に曲げる時には昔は炭火など使っていたものの、今では便利なトーチバーナーがありますから角に熱を入れて曲げていきます。
けれど、この御用籠の力竹は幅が広いだけでなく、身が厚いのが特徴で、だからこそ、これだけ強く丈夫な籠になるのです。しかし、それだけに、厚みのある力竹を製作に曲げるのが難しくなります。
そこで、曲げたい部分の竹の厚みを、専用のノミを使い薄く削って調整しているのです。
竹フレームは、ひとつの籠に何本も必要なので、ノミの切れ味が本当に重要です。仕事の効率を考える優れた職人ほど、ノミを研ぐ砥石にも工夫しています。良い職人には、良い道具なのです。
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