遍路杖(布袋竹)


竹虎本社前の国道56号線は、四国八十八箇所霊場の青龍寺から岩本寺の間にあり、春先から四国遍路を歩く方々が多くなりました。先月あたりから気温が上がり、日陰のない国道を歩くお遍路さんは本当に暑そうです。近年は、国外でも人気になっているらしく、道行く方がほとんど海外の方なんていう日もあったりします。あまりに海外の方が多いので、先日も背の高い白衣の後ろ姿に「Hello!」と声をかけたら、日本の方で反対に驚いたなんて事もありました(笑)。


布袋竹


そんな、皆様の多くが手にされている遍路杖は、同行二人という弘法大師と共に歩く意味あいもあるそうです。多くは木製の杖ですが、最近ではトレッキングポールの巡礼の方も見かけます。実はボクも100キロ歩く大会に参加した事があるので、経験があって、足の疲れ切ってしまう長距離を歩くのには機能的なトレッキング用のポールは思う以上に頼りになるかと思います。


布袋竹


だから杖もそれぞれですが、竹虎では布袋竹(ほていちく)で製作しています。五三竹とも呼ばれて筍が非常に美味で人気のある竹としても知られています。株立ちで生育する竹ではないものの、密集して生えるので四国では護岸用の竹として川岸に植えられているのを良く見かけますし、徳島で有名な阿波踊りの竹人形は、身近だったこの竹を使って細工されています。伐採して乾燥させるほどに硬くなる特性もあり、杖には適材ですが、何と言っても特徴は名前の由来ともなった布袋様のお腹のように、ふっくらとした福らんだ竹の形です。この独特の形状が杖の握り部分として持ちやすいので昔から竹杖に使われているのです。


遍路杖加工


遍路杖矯め直し加工


この布袋様のお腹のような竹も、伐り出してからすぐに使える訳ではなく、一本づつガスバーナーの炎で炙り、油抜きをしていきます。ウエスで、しっかり拭き上げた後に、その熱を利用して真っすぐに矯正する「矯め直し」という加工を施して真っすぐな杖にしているのです。


遍路杖(布袋竹)


真っすぐな印象のある竹ですが、実は微妙に曲がっていてそのままでは杖としてお使い頂くには不十分です。竹専門ならではのボクたちの技がプラスされ耐久性と使いやすさに優れた遍路杖が出来あがります。これは、百聞は一見にしかずで、下のYouTube動画をご覧いただきますと、山から伐り出された一本の竹がどうやって遍路杖になるのかが良くお分かりいただけるかと思っています。お遍路の皆様、広い四国を行く八十八ケ所です、是非お気をつけて歩かれてください。





コメントする