120年に一度、神秘の黒竹開花
120年に一度と言われる神秘的な竹の開花について今回もお話したいと思います。その不思議な現象が、ここ数年、虎竹の里から車で数分の黒竹の産地でも静かに、そして断続的に続いています。竹の開花は、一年通して青々としている竹が、茶色く枯れてしまうという、その特異な姿も相まって、日頃関心のない人達にまで強い印象を与えているようです。あたかも大自然がボクたちに見せている壮大なスペクタクル、そして、命の営みの一端を垣間見せてくれているようです。
竹の花、次世代へのバトン
竹の一斉開花とニュースや新聞でも騒がれていますが、一つの地域で突然、すべての竹が花を咲かせるわけではありません。少しずつ、まるでバトンを渡すかのように、数年かけてゆっくりと開花が広がっていきます。まず、ある竹林が花をつけ、その次の年にはまた別の竹林が、同時並行に、あるいは、また別の地域へと、まるで開花のリレーが続いていくのです。
このタイムラグがある開花を「一斉開花」と呼んでいます。数年間にわたる開花の結果として、広範囲の竹が花を咲かせ、そして枯れていくという、より大きなスケールでの現象です。孟宗竹や虎竹の花でもお話させて頂きましたように、花を咲かせた後の竹林は、生命を使い果たしたかのように、その勢いを失い、やがて枯れてしまいます。
地域の文化や風景
古くからその土地に根を張り、人々の生活の一部となっていた竹林が枯れている光景を見ながら歩くと、その地域の文化や風景そのものが失われてしまうかのような危機感も覚えます。
改めて竹の花を手にすると、この不思議な自然現象が、ボクたちに命の終わりと始まり、そして自然の壮大なサイクルを教えてくれているかのようです。
竹は、地下茎でつながり、竹林全体で命を共有している共同体のようなものです。開花という命のクライマックスを迎えると、その地下茎全体がエネルギーを使い果たすのでしょうか?普段あまり見ることのない小枝のような黒竹が、所々に生えていて、やはり同じように花をつけています。
数年前から続く開花にあっても、まだあまり変化の見られない竹林もみられますが、やはり竹の勢いが感じられません。
開花にも竹林全体が咲き始めたり、部分的だったのと個体差がありますが、数年単位で見ていきますのと、同じように枯れてしまいます。
消えてしまった竹林
立ち枯れした竹に草が絡みついています。やがて枯れた竹が朽ちて倒れた後は、そこが竹林であった事が分からなくなってしまっている場所がありました。
確かに竹林があった場所に、あたり一面がまるで野原のようになってしまった光景は、ボクたちに一抹の不安を感じさせます。このように草に覆われてしまうと、小さな竹の芽が育つのに時間がかかるのではないでしょうか。新しい生命を育むための準備期間と分かっていても、消えてしまった竹林のこれからの経過が気になります。
黒竹製品
全国的に見ますと、もともと黒竹の需要は少なくなってきていました。しかし、竹虎では虎竹縁台や黒竹玄関すのこをはじめ、箒や傘、照明器具、団扇、簾など黒竹を部材とする製品も多々あります。日本唯一の虎竹同様に、国産の美しい黒竹の製造を続けていくためにも、今回の開花からは目が離せない日々が続きます。
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