
世田谷区にある代田八幡神社へ
田舎者なので、東京では度々電車を乗り間違えます。行先が分からない時には駅員さんに聞くのが常なんですが、最近は海外からのお客様が多くて忙しそうで尋ねるのを控えています。さて、そこで今回は工事中の塀が立ち並んでいる迷路のような渋谷駅にすっかり困惑してしまいました(ぐるりと一周まわって元の場所に戻ってきた)。そんな調子なので代田駅に行くつもりだったのに、なぜか新代田駅に着いてしまったのです。駅の前には環七通りが走っていて地図を見るとその道沿いに進めば目的地に行けそうなので歩く事にしました。
まだまだ日中の日差しは強いです、ちょっと歩き疲れた頃に竹林がありました。「少し休んだら?」と言われてる気がして辺りを見渡すと、歩道橋を渡った道の向こう側に神社らしき建物があります。そこで一息つこうと思いました。田舎者で日頃は広々とした竹林にいたりしますから、どうも都会では閉塞感を感じる時があります。緑のある少しのんびりと出来るスペースが必要なのです(笑)。

日本唯一の虎竹縁台との奇跡の遭遇
そういうワケで引き寄せられるように辿り付いたのが代田八幡神社。歴史を感じさせてくれる大木が生えていて、とても気持ちがよくリラックスできる境内です。お参りしようと本殿まで歩いていくと、そこには何と...ええっ!?竹虎が製造続けている虎竹縁台があるではないですかっ!

竹の神様
座面に設えた両サイドの虎竹も、ズラリと並べた黒竹の色合いも、すっかり落ちてしまっていますが腰かけてもまだまだ丈夫です。長い間本当にお疲れ様と、思わず声がでます、今日までどれだけの方に腰かけてもらってきたのでしょうか。こんな広い東京で、たまたま通りがかった神社で何と凄い偶然!いやいや本当に凄いのです。本来なら、もっともっと驚いてもいいと思うのですが、実は同じようなことは割とあって、本心を言えば「ああ、又このような幸せな引き合わせをしてくれた。竹の神様ありがとうございます」なのです。

虎竹縁台は手水舎の横と、賽銭箱が置かれている所に一台づつ置かれています。それにしても、よくこれだけ長くご愛用頂いているなあ...感謝するのは竹の神様だけでなく、このように一目で自社製品と分かる、ロングセラーの縁台を創り出してくれた敬愛する祖父・竹虎二代目義治に対してもです。

重たい荷物を背負って歩いてきた疲労感も吹っ飛び、さっそうと目的地まで辿り付くことができたのでした。

こんな奇跡が起こる!?再び出会う虎竹縁台
ところが、その日はこれだけでは終わりませんでした。次の目的地に行って、用件が済んで閑静な住宅街を大通まで出ようと思って前を見た瞬間でした。ハッチバックの車の荷台にある、虎竹縁台が目に飛び込んできたのです!車までは100メートルか、200メートルか分かりません、小さく見える程度ですが、それでもハッキリと虎竹の里の縁台だと分かります。

いやいや、さすがにこれはウソだろうと思いました。こんなラッキーが続くことがある?車のドアを開けっぱなしなので、そんなに時間をおかず持ち主の方が戻ってこられるはずだと待ってました。道路脇に立って待っている間も、まさか幻ではないだろうな?と思いながら何度も脚を折り畳んだ縁台を見返しました。
そうこうしている間にドライバーの方が戻って来られてお話しさせてもらう事ができたのです。虎竹縁台は、日本の手仕事が大好きな奥様が購入されたものだと言う事でした。脚が焼き木ではなく、竹製だったので十数年前に製作した旧タイプのものです。それでも、これだけ綺麗に室内で大事にお使いされている事が分かって嬉しくなりました。

創業明治27年の歴史に感謝
虎竹の竹林が見える本社に戻りると、今日もこうして虎竹縁台が作られています。この地域でしか生育しない竹を伐採し、製竹、加工してそれぞれの製品に製造する...自分や職人にとっては当たり前の毎日です。でも、日本唯一の虎竹製品が届けられて行くその先の様々なお客様にとっては、きっと当たり前ではない特別な一台。大切にご愛用いただく皆様に支えられているからこそ、131年も続いてきた山岸竹材店です。

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