2026年2月19日の投稿

虎竹眼鏡について

虎竹眼鏡、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹の眼鏡

昨年末から、京都堀川山下眼鏡工房さんの虎竹眼鏡を愛用させていただいています。虎竹の眼鏡を使いたいという思いは、視力が落ちる前からありましたが、虎竹は淡竹の仲間なので太い竹であっても節間が短く身も薄いのが特徴です。ボクの知っているメガネフレームの製作には、素材的に向かないと思ってずっとあきらめていたのです。ところが、江戸時代から続く和眼鏡制作者のヤマシタリョウさんの技で虎竹がフレームになる事を知り、まるで実験室のような雰囲気の工房にお伺いしたのでした。


虎竹眼鏡


楽しみな経年変化

若い頃から視力だけは良くて、ずっと2.0だったボクが、ここ10年数年は段々と小さい文字が見えづらくなってきました。日本の職人の手による眼鏡が気に入って、一時は見かけるたびに店に入るほどだったのですが、セルフレームの眼鏡など一生ものと思っていたら数年で寿命がくるものもあるようです。その点、竹は手入れをしながらだと長く使えて風合いも変わってくるのではないかと楽しみにしています。


虎竹眼鏡


それにしても、この虎竹眼鏡は全てが秀逸なのですが、特にフレームのネジリ部分は素晴らしいです。テンプルにある竹節の手前でスムーズに曲りが入り、かけると耳の辺りにスッと優しく滑り込み、竹肌が心地よく触るのが特徴です。


虎竹眼鏡


やはり眼鏡は目立つのか、少し気の利く方なら「あれ?竹ですか」と注目してくれるのも嬉しいところです。


虎竹


今年も虎竹の伐採は先月末で終了しました。まだまだ、竹林からの山出しは続くので暫くはにぎやかな虎竹の里です。今年は寒い日も多かったので、いつもに比べて色づきの良い竹が出てくると期待しています。


虎竹眼鏡鼻あて


最高のかけ心地

虎竹眼鏡は鼻パッドも凄いのです(笑)何貝だったか忘れましたが、天然の貝が使われています。自然素材なので、眼鏡をかけはずしする間にだんだん削れていき早ければ一年で交換するそうです。このような眼鏡は初めてなものの、削れるということは徐々に鼻の形にフィットして最高のかけ心地になると言うことではないでしょうか。


フレーム


レンズが入るフロントは金属ですが、確か菜種油をつけながら熱を加えて細かいザラザラとした独特の風合いを出されています。この質感がレトロな雰囲気を感じさせてくれる渋い加工技術です。


虎竹眼鏡


手触りがよく、しなり、適度な硬度、軽さを持つ竹が、つるの部分に使われるのは、とても理に適っているように思います。


虎竹眼鏡、インド


日本の誇り

インド国立デザイン研究所NIDでの竹のワークショップの期間は、ずっとこの虎竹眼鏡をかけていました。たまに通りがかる商店街の時計屋さんに、「日本の誇りを腕に」と大きく書かれた看板がありましたけれど、まさに日本の誇りをかけるような気持ちでした。


不思議なメガネ


一度、作家のヤマシタリョウさんの個展を拝見させていただいた事があります。機能的な制約のある小さな眼鏡にも、深い世界観が広がっていました。


虎竹眼鏡工房


竹フレームも加工により様々なものがあります。虎竹の表皮を薄く磨いて、その下から浮き上がる模様を活かすフレームもありました。まさに、止まる事なく日々試行錯誤をされている様子がうかがえますので、また新作にアッと驚く日が来るかも知れません。



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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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