2026年8月 5日の投稿

触れて、感じて好きになる、ロンドンで魅せる日本の竹

竹材


特別展示『土佐虎斑竹』

先日の30年ブログで、ジャパン・ハウス ロンドン(Japan House London)での2026年6月25日(木)から8月25日(火)までの2ヶ月間にわたって開催中の、特別展示『土佐虎斑竹』の事を書かせていただきました。ボクたちの想像を大きく超えた展示内容になっていますが、いよいよ次の大きな節目のイベントでありますハンドリングセッションが、今月の18日にやってきます。只今、少しづつ準備をしていますが、用意した数十点以上のアイテムの中から、さらに厳選を重ねて全10パートで構成する特別プログラムを組み立てています。


Royal College of Art Libraryの虎竹


竹に馴染みがうすいロンドン?

そういえば思い出したのが、10年ほど前に英国王立美術大学(Royal College of Art Library)に通われていた学生さんの、確か卒業記念だったかのファッションショーをお手伝いしたことがありました。ドレスをデザインされる学生さんが、衣装の一部に竹を使いたいと思ってロンドン中を探したけれど、竹材がないと相談を頂きました。なんでも、近くで竹を見つけようと思ったら、中華街でもらう竹箸くらいだったと話されていたことを覚えています。


ジャパン・ハウス ロンドン(Japan House London)


竹を五感で感じるセッション

であれば、ロンドンの皆様は、日頃あまり竹を見ることも、意識することもなく生活されているのではないでしょうか。仮に竹の作品をご覧になられる機会があっても、関心がなければ手にする事もないかも知れません。そこで、今回は目で見るだけでなく、実際に手に取り、触れ、五感で体感してもらうセッションです。ボクたちにとっては当たり前である竹の性質や表情が、皆様にとっては未知で全く新しい世界のはじまりになるのではなかろうか...?そんな予感に胸を膨らませています。


竹の鬼おろし


竹の特異な性質

たとえば、竹の持つ特異な性質と多様性です。竹は非常に硬く、調理道具の鬼おろしに製造すれば、硬い鬼歯でフワフワの大根おろしやすりおろしリンゴが簡単にできてしまいます。また、時にはハサミやペーパーナイフとして機能するほどの鋭さすら持っています。


竹虎前掛け


竹の硬さ、鋭さ

薄く削った竹ヒゴを素手で触ると、まるで剃刀のような時があります(笑)キズだらけになるので手袋は欠かせません。また、ボクがいつも腰に巻いている竹虎前掛けも飾りではありません。夏の暑い時期など上半身ランニングシャツの職人が、鋭い竹枝の切り口で怪我をしないように、竹の束を担ぐときに肩に当てて使っていました。竹は、それだけ硬く鋭い素材なのです。


竹職人


竹の柔らかさ、しなやかさ

ところが、その硬質で真っ直ぐな竹を細く割り、丁寧に薄く削いでいくと驚くほど柔らかく、しなやかな竹ヒゴへと生まれ変わります。そして職人がそれを編み込むことで、接着剤など一切使わずに美しい籠やザルに姿を変えてゆく。この硬さと柔らかさ、鋭さとやさしさ、一見すると相反する性質が同居する竹素材の面白さを、じっくりと肌で感じていただきたいのです。


虎竹油抜き


竹の油抜き

もし可能であれば、実現させたいと思っているのが、ボクたちが守り続けてきた日本唯一の虎竹の油抜きの実演です。ちょっと見ただけでは虎模様が分かりにくい虎竹に、熱を加えることで表面から天然の油分が出てくると同時に、不思議な虎模様が浮き上がる油抜き加工。館内での火気使用が制限されているため、安全にミニ油抜きができる方法がないだろうか?と検討してもらっています。仮に実現できれば、虎模様が浮かび上がる瞬間だけでなく、ボクたちが幼い頃から慣れ親しんできた、甘い甘い竹の香りをロンドンの皆様に堪能していただけます。あの香りを嗅いだ瞬間、竹の虜になってしまう方もいると思うのですが...(笑)。


インドの国立デザイン大学(NID)


竹セッションの原点

今回のこのセッションの原点となったのは、今年1月にインドの国立デザイン大学(National Institute of Design)で学生の皆さんに行った短期集中デザインプログラムでの大きな気づきでした。言語も文化も異なるインドの若者たちと向き合ったとき、最初は手探り状態でした。けれど、一本の竹をバーナーで炙り拭き上げたとき、そのしなやかさを肌で感じてもらえた瞬間、言葉を超えて「うわっ、すごい!」という笑顔がパッと広がったのです。竹という素材を通じて、言葉をこえて心が通じ合う...まさに竹の魅力は世界共通だという確信が、今回のハンドリングセッションにそのまま繋がっています。


ジャパン・ハウス ロンドンでのハンドリングセッション


竹のオモシロさ、楽しさ

そして、今回のセッションに向けて自分自身が様々な竹アイテムと向き合う中で、改めて気づく発見がいくつかありました。竹虎は明治27年の創業から今年で132年です。竹と共に生きてきて、竹のことなら少しは知っているつもりでいましたが、まだまだです。やはり竹は奥が深い、そして今、この竹の持つ圧倒的なオモシロさや楽しさに、一番ワクワクして感動しているのは、間違いなくボク自身ではないかと思います。


竹ペンダント


日本の竹に触れたときに感じる、しなやかさ、柔らかさ、硬さ、鋭さ、やさしさ、軽やかさ、心地よさ、便利さ、美しさ、そして美味しさ。五感のすべてを研ぎ澄まして竹を感じてもらう事で、参加される皆様を残らず竹の大ファンに変えてしまいたいと思っています。


竹材


竹を視覚障害のある方へ

さらに今回、ボクがどのように伝えようかと日々思案を重ねている特別な取り組みがあります。それが、視覚障害のある方を対象としたセッションです。目が不自由な方々に、竹の魅力をどう伝えられるだろうか、と考えた時に目からの情報がないからこそ、手で触れた時の感触、竹を叩く音、甘い香りなど、むしろ視覚を超えて竹の本質をご理解いただける事もあるかも知れない、そんな風に思っています。


虎竹の竹林


言葉を超え、視覚を超えて遠く離れたイギリスの会場に、高知・虎竹の里の竹林を渡る爽やかな風を届けることができれば、最高のセッションになります。



コメントする

竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

TAG

おすすめタグ

関連タグの記事一覧

記事一覧