2026年10月 1日の投稿

昭和のコタツといえば鉄鉢(てっぱち)にミカンが主役でした!

虎竹鉄鉢、みかん籠


鉄鉢とは?

昭和のお茶の間で親しまれた竹籠のひとつに、鉄鉢(てっぱち)と呼ばれる盛りかごがあります。冬になるとコタツの上にデンと置かれ、鮮やかなオレンジ色の温州ミカンが山盛りに入れられていた光景を、懐かしく思い出す方も多いのではないでしょうか。お坊さんが托鉢のときに食物を受けるための鉄鉢のような、コロンと丸みを帯びた柔らかなフォルムをしていることから、その名がつけられたと言われる籠です。


虎竹ひご


昭和の暮らしの定番

青竹踏みなどと同じです、当時はどこのご家庭にもひとつはあったような、定番の竹細工でした。日本の冬と言えばちゃんちゃんこを着て、コタツにミカン、そしてミカンを入れる竹籠だったのです。住まいのかたちや暖房器具が変わり、コタツを置く家が少なくなった今では、こうした籠を見かける機会も随分と減ってしまいました。けれど、時代が移り変わっても、昔ながらのオーソドックスな形と天然の竹が醸し出す温もりには、時代を超えた根強い魅力があるのです。


虎竹鉄鉢製作


輪弧編みと網代編み

この鉄鉢を形づくる上で欠かせないのが、輪弧(りんこ)編みと呼ばれる竹編みの技法です。細く割った竹ヒゴを放射状に交差させながら、中央に輪を描くようにぐるりと編み上げていく高度な手技で、しなやかな曲線と美しい幾何学模様が生まれます。さらに、しっかりと物を支える底部分には丈夫な網代(あじろ)編みなどを組み合わせることで、繊細な美しさと日用道具としての堅牢さを両立させているのです。


虎竹網代編み


真竹を熱湯で晒して製竹する白竹で編まれることも多い鉄鉢ですが、竹虎では日本唯一の虎斑竹を使います。土佐の虎竹ならではの自然な虎模様が、輪弧編みの重なり合う編み目と見事に調和して、なんとも渋く、深みのある佇まいに仕上がります。竹ヒゴの一本一本が描く放射状のラインと、自然が作り出したまだら模様が合わさることで、白竹の素朴さとはまた一味違ったモダンな表情を見せてくれるのです。


輪弧編み


竹は世に連れ、人に連れ


「竹は世に連れ、人に連れ」。ボクがいつも言う言葉です。時代とともに人々の暮らしのかたちが変わり、コタツやミカン籠が姿を消したとしても、天然素材の手仕事がもたらす心地よさはいつの時代も変わりません。もちろんミカンや季節の果物を盛るフルーツバスケットとしては最高ですし、朝食のバゲットやクロワッサンをのせるパン籠として、あるいはリビングで散らかりがちな小物をまとめる入れ物として使っても、現代のインテリアにしっくりと馴染んでくれます。古き良き日本の道具の知恵を受け継ぎながら、今の暮らしの中で新しい役目を見つけて愛用していただく...。使い手の方と竹が寄り添い続けていけるよう、虎竹の里から喜んでいただける手仕事をお届けしていきたいと思っています。





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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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