2026年10月 5日の投稿

カビから復活、干し野菜作りや土用干しに使う竹編みエビラ籠

土用干し20年のお客様


20年の梅仕事と竹の道具、感動の記録

ボクが手に持っているのは、お客様から届いたばかりの特別なクリアファイルです。小さくて少し見づらいかも知れませんが、そこにはなんと20年もの長きにわたり、梅干しを漬け続けてこられた記録がびっしりと印刷されていました。はじまりの2006年は、わずか80粒ほどから。その翌年には120粒、次は200粒、さらにその翌年には14.8キロと、年を追うごとに梅仕事の輪が広がっていく様子が、写真とともに克明に記されています。


梅の量がぐんと増え、多い年ではなんと70キロもの梅を漬けられたのだそう!夏の陽射しの下、真っ赤に染まった梅がずらりと並ぶ土用干しの風景。その真ん中で、竹虎のエビラや竹ざるを何枚も広げて、長年大切にご愛用いただいています。写真に写るざるやエビラも、まるで梅仕事の歴史を一緒に歩んできた相棒のように、いい表情をしていました。


職人たちが一つひとつ編み上げた竹道具が、こうして誰かの暮らしに深く寄り添い、長い年月を共に重ねさせていただけることは、作り手冥利、竹屋冥利に尽きます。日本で養蚕が盛んだった頃のエビラなんて、農家の方が干し野菜に使うくらいで、誰に聞いても知らないという完全に忘れられた竹製品でしたが、復刻させて本当に良かったと心から感じています。


エビラに籠


37日連続の長雨の湿気

さて、そんなエビラですが、東京に暮らすお客様から「土用干しや野菜干しにと大切に使っていたエビラに、カビが生えてしまいました...」という困惑気味のお問い合わせをいただきました。せっかくお求めいただいて日々の暮らしで活躍していた道具ですから、カビを見つけたときのショックはどれほどだったかと思います。ご存じのように東京では、先々月の8月27日から10月2日まで、なんと37日間連続という記録的な長雨が続いていました。これだけ毎日のように雨が降り、ジメジメとした高い湿度が続いていますとカビ対策、湿気対策も本当に一苦労だったのではないかと思います。


竹の管理


自然素材そのままの竹細工

エビラは塗装なども一切していません、自然そのままの竹材の良さを活かして作られています。安心してご使用いただける反面、湿気がこもりやすい場所や風通しの良くない場所に置いておくと、どうしても湿気を吸ってカビの原因になってしまうのです。


手入れした後のエビラ


竹細工のカビ対処法

このまま放っておくと竹の繊維の中にまでカビが入り込んでしまい、黒ずみとなってなかなか取れなくなってしまうのですが、手入れが早ければ、この通り!今回のお客様は、熱湯をかけてカビをきれいにたけ洗い落とし、しっかりと乾燥させたところ、見事に元の清々しい姿へと戻ったとのことでした。手遅れになる前にすぐにお手入れをしてくださったおかげで、竹もすっきりと息を吹き返してくれました。


カビ除去後のエビラ


竹細工の保管の仕方

竹細工は、プラスチックや金属製のザルなどに比べれば、たしかにカビへの注意やちょっとしたお手入れの手間が必要です。保管する際にも、湿気を閉じ込めてしまうビニール袋に入れたり、空気の動きにくい押し入れの奥深くに仕舞い込んだりするのは禁物。直射日光を避けた、風通しの良い場所に掛けておいたり立てかけたりして保管していただくのが一番です。


竹編み平籠、四ツ目編


秋の実りにも竹編みエビラ

けれど、そうやって少しだけ気遣い、手をかけて大事にしていただくことで、何年、何十年と長く長く暮らしに寄り添い、味わいを深めてくれるのが竹籠の何よりの魅力だとボクは思っています。これから秋も深まり、芋やキノコ、大根など、美味しい干し野菜作りに絶好の季節がやってきます。さっぱりとリフレッシュしたエビラで、秋の実りをたっぷりと楽しんでいただけたら本当に嬉しいです。





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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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