竹集成材とエルメス(HERMES)

2019年9月20日

竹フローリング


昨日の30年ブログで登場した竹フローリングは国産材を使い国内で製造した集成材です。ただ大型施設になればなるほどコスト面でかなりの差が出てくるので海外から輸入される竹フローリング材が使われているようです。


いつだったか東京に大型商業施設ができた際、植栽にも竹が使われているとの事で近くに行ったついでに拝見させてもらいました。なるほど床や壁面には確かに全て竹材を使われていて感心したのですが、女性のハイヒールの小さなキズがお客様がよく通る導線部分ほど無数に跡になっているのが気になりました。


これは輸入材であっても、国内材を使ったとしてもある程度仕方のない事だそうですが、実は床のキズを最小限に抑える方法があります。それが竹を輪切りにした面を使用するやり方で細かい維管束の孔が無数に並ぶ独特の模様の素材です。集成材の製造には3倍の手間暇がかかると職人が話しますが確かに最強だと思います。


エルメス、HERMES、パリ本店、竹チェア


HERMESと言うブランドには、革への探求心の素晴らしさ自分達の技術への誇りを感じますが大阪にある店舗のひとつには、ちょうどこの竹素材が採用されています。壁で仕切られている売り場から売り場への出入り口部分には床、壁、天井までループ状に施されていて圧巻です。


エルメス、HERMES天井デザイン


そう言えば一度パリ本店にお伺いした際、上の階に案内いただき竹で作られたロングチェアなどを拝見させてもらいました。展示されている天井のデザインは煉瓦だと言ってましたが、自分にはどうしても竹にしか見えませんでした(笑)。まあどちらにしてもHERMESが竹という素材に対して強い関心を寄せていることは間違いありません。


エルメス、HERMES、パリ本店、竹家具


展示されていた竹チェアのフレームも日本製の竹集成材だったので、竹に対しても日本人以上に知識とノウハウ、そして何より情熱を持っているように感じました。


竹集成材


さて、そして今回の維管束の竹素材の店内装飾です。わざわざコスト高になる素材を使っているのは単にメリハリをつけた見栄えだけの事ではないはずです。超一流のブランドをも魅了する竹の美しさ、そして特性を知って活かしきっているHERMESの素晴らしさを垣間見る思いがします。













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竹集成材のフローリング、矢、壁材

2019年9月19日

竹集成材


竹は稈が空洞になっていて身の部分が薄いために厚みのある角材にする場合には集成材にします。集成材とは一定の幅と厚みにした竹材を接着剤で固めたもので、この角材を使う事によって木材と同じような加工製品が可能になります。


竹集成材と言うと厚みのあるフローリング材か真っ先に思いだされますが、集成材を薄く剥いだ使い方もあります。たとえば、竹と弓道は昔から切れない関係で現在でも竹や矢は天然の竹を使って職人が作り上げるものもあります。矢竹と言う竹は、細く真っ直ぐで節も低く文字通り矢として適材なので武家の庭先によく植えられた竹、幕末に活躍した新撰組の土方歳三が植えた矢竹が残されてるのは有名なお話しです。ところが、この矢に薄い集成材が使われたものがあるのです。


竹集成材の矢


何を隠そう明徳高校時代には弓道部に籍を置いたこともありますが使う矢はジュラルミン製のものばかりでした。この矢は一見天然竹のようにも見えるものの実はカーボン製の矢に0.25ミリ程度に剥いだ竹集成材が使われたものなのです。見た目もナチュラルで競技者の方に好評と聞きます。


竹集成材


薄く剥ぐことによって不燃壁材に貼りつければ消防法の規制に適合した壁材となりますので用途が広がります。この壁材は竹の節のような型押しをして面白い風合いをだしていました。


竹集成材ハツリ


木材加工で見かけるハツリを入れた壁材。


竹集成材


竹集成材は自動車のステアリングに採用されているほどの品質や精巧な加工ができる素材ですので、厚みを変えて編み込みにするなど何でもない事です。国産竹材の有効活用のひとつとするにはコストが大きな課題となるものの発想次第で様々な進化の可能性を秘めています。













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青竹、真竹、苦竹、白竹、晒竹について

2019年5月 6日

青竹、真竹、、苦竹、白竹(晒竹)


竹の種類は多くて日本国内だけでも600種を超える竹があるのですが、その多くの竹の中でもマダケは「真竹」と書くように一般の方が竹と聞いて思い浮かべる代表的なひとつであるかと思います。青々として涼味を感じさせる真竹は食器としても多用されていて、これからの季節人気となります冷たくしていただく水羊羹を竹の筒に入れたものなど目にされる方も多いのではないでしょうか。


青竹、真竹、、苦竹、白竹(晒竹)


年末年始用としてお使いになられる方も多いのですけれど青竹盛器や冷酒用の酒器、盃を用意させていただく事があります。門松がそうであるように、青竹の青さと伐った時の身の白さの色のコントラストは日本人が一番心地よく思う取り合わせだと思います。


青竹は生鮮野菜のようだといつもお客様にお話しさせてもらいます。加工したらすぐに瑞々しさは失われていき、切り口も段々と白くなっていきます。昔からこの竹の青さをそのままに退色させない工夫や研究がされてきましたが、これと言った方法は今だにありません。


飲食店や旅館など業務用として提供されている所では冷凍庫で保管して少しでも長く使えるようにされています。コストを考えれば当然の事ではありますが基本的には青竹の器は一回きりの贅沢な宴の演出であり、青竹ならではの旬を楽しんでいただければと思います。


淡竹竹籠


条例で乾杯には日本酒と決められている京都で、いつだったか竹の集まりがあり青竹酒器が出された事がありました。酒器は一回限りの使用なのでそれぞれご自宅に持ち帰っていただいて結構というお話しを聞いて、さすがと思いましたがこれが正しい青竹酒器の在り方だと思います。


青竹は粘りがあり節間も長いので籠や笊にも適した竹材です、昔から様々な竹細工が青竹(真竹)で編まれてきました。青竹に対して三大有用竹のひとつであり大きさも似た淡竹(はちく)はどうかと言いますと、白い蝋が塗られたような竹表皮が特徴なので青々とはしていません。ところが淡竹は淡竹でも少ないとは言え籠が編まれていて、無骨な雰囲気に魅了されます。


角籠バッグ、青竹、真竹、、苦竹、白竹(晒竹)


真竹は苦竹とも書きます、この竹を熱湯で油抜きしたものが白竹です。白竹は冬の寒風に晒して美しい乳白色に変わりますので晒竹(さらしだけ)とも呼ばれます。つまり、真竹、青竹、苦竹、白竹、晒竹は全て同じ竹の事を指しているのです。


磨きの竹籠


「磨き」の細工は竹表皮を薄く剥いで竹ヒゴを作ります。青竹の色合いが長く保たれないのと同じように磨き細工も編み上がったばかりの竹の初々しさはすぐになくなり色は飴色に変わり、深まっていく色合いは見事です。真竹を湯抜きした白竹の籠を持つのも良いし、表皮を剥いだ磨きの籠もまた良しなのです。













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京都の筍畑

2019年5月 4日

京都の筍


今年も京都から筍を届けて頂きました。小さい頃、山で遊んでばかりいたので季節になればアチコチに生えてくる筍を見て育ちました。山の職人さんから大きな筍をしょっちゅう頂くので珍しくも何ともないとずっと思っていましたが、さすがにこの年齢になると京都の筍の値打ちが分かります。


京都の筍畑


京都の筍が美味しい秘密は生産されている竹林に行けば分かります。高知の孟宗竹とは全く違い土はフカフカ、竹林を大事に育てている様子は勝手に生えてくる筍とは別モノ、京都の竹林は筍畑であり筍を育てているのです。


孟宗竹


もちろん、京都と言えども筍を栽培していない竹林は他の地域と大差ない所もあります。建材用竹材のための孟宗竹もあれば手入れの行き届かない所もありますので、そのような場所では全国で見られる同じような竹林です。


高知の孟宗竹


皆様のお住まいの近くにも孟宗竹の竹林があるのではないでしょうか?孟宗竹と言われても見分けが付かないかも知れませんが、手入れがされていないという事では真竹や淡竹など他の竹でも同じですので少しだけ注目してご覧になられてください。竹は生命力が強くどんどん生えてきます、竹が密集し中に入ると薄暗いほど生茂っているのが普通です。


京都の筍竹林


ところが京都の筍畑の竹林は十分に間引きされ風通しもよくずっと向こうまで見渡すことができるほどです。普通の孟宗竹の竹林と比べて格段に明るい事に驚かれるのではないかと思います、これはウラ(竹先端部分)の方を途中から伐っているのです。ウラを伐り飛ばすことによって竹葉が太陽の光を遮ることを防ぎ直接地面を暖めてくれ、早く成長させた筍は早堀筍として高い付加価値で取引されるのです。














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市場籠や弁当箱に使われる、スズ竹とは?

2019年5月 3日

スズ竹g


ところで昨日の30年ブログに登場したスズ竹をご存じでしょうか?竹と名前が付いてはいますが笹類の仲間で太さは若干違いがあるもののボールペンくらいの大きさしかありません。


鈴竹


伐採されたスズ竹には竹皮がビッシリとついています。竹と笹の区別というのは厳密に言うと少しややこしいのですが、一般的には筍から成長するにしたがって竹皮が剥がれ落ちるのが竹で、ずっと竹皮が稈についたままなのが笹です。つまりスズ竹は笹類になります。


スズ竹職人


この細い竹を大きなナタで割っていき、ヒゴ幅をそろえて市場籠の材料を作るまでが大変なのです。


スズ竹


綺麗に揃えられた素材作りが職人の腕の見せ所です。どんなに熟練の技を持つ職人も素材が悪いと良い籠はできません。


スズ竹市場籠製造、職人


こうして一本のスズ竹は市場籠や弁当箱、茶碗籠など生活の道具への形を変えていきます。

















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青竹踏みで大切な事に気づかせてもらったインターンシップ

2019年3月 6日

青竹踏み


少し前にテレビ番組で頻尿が改善するという事で紹介されました青竹踏みは、第二の心臓と言われるくらい細かい血管が集中する足の裏を刺激する事によって血圧や血糖値、メタボ予防などにも良い効果が報告されてもいます。しかし、そのような健康面への働きかけと言う前に昔からずっと愛され続けて来たのは足裏への心地よい刺激、気持ち良さでした。


孟宗竹


青竹踏みの材料は身に厚みがある丈夫な孟宗竹を使います。同じような太さの竹を集めねばなりませんので半割しただけの簡単な商品だと思われがちですが実は竹材伐採の時からかなりの手間と時間がかかっています。しかも、40センチ程度の長さの中に強度を考えて竹節を二つ入れていますので更に厳選した竹材となります。


青竹踏み製造


そのように選び抜いた孟宗竹から次々と新しい製品が出来あがっています。健康効果の面でメディアに取り上げられたりする青竹踏みではありますが、20年近く前から少しづつ力を入れてご紹介してきたのは若い方がこの青竹踏みを知らなかった事に端を発しているのです。


2001年の春休みから地元大学の学生さんがインターンシップにお越しいただいています。そこで、若い皆様とお話しさせてもらうと、どこの家庭にも一本くらいはあるだろうと勝手に信じていた常識がガタガタと音をたてて崩れ去りました。


これでは、これからの竹文化は一体どうなっていくのか?少し危機感も持ちながら、誰が見ても竹と分かる素朴な製品を多くの方に告知することにより、他の竹や竹細工にも関心が少しでも向かえばと祈りにも似た気持ちでいるのです。





青竹踏みで大切な事に気づかせてもらったインターンシップは、その後も毎年ずっと続いています。もちろん、今年の夏も熱く募集中です!














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人間共存植物

2019年2月 6日

竹林


竹は撹乱依存植物だと大学の先生に聞いた事があります。聞き慣れない言葉ですが自然界では弱い立場の植物が人の手が加わる事により勢力を増していく事があるそうでイネ科の竹などは典型的だと言われます。強い、弱いではないかも知れませんが樹木に比べて寿命の短い竹が、驚異的な成長スピードや強靭な根で成育域を増やしていく力で、自然界の中で生き残ってきたというのは分からないでもありません。


美しい竹林


「撹乱依存」という言葉自体があまり良い感じではありません。人間共存植物とでも呼んだほうが竹にはピッタリの言葉だと思いますがそれはさておき、毎年筍が生え、猛烈な早さで親竹と同じ大きさになって、人の手が入らなくなった竹林が荒れた竹藪になっていく事は確実な事です。


孟宗竹


しかし、その一方でしっかり管理され、人の暮らしと共にある竹林の美しさは一言で言い表す事はでません。美しい竹に足をとめて眺めていると手入れする山主さんの姿が何と幸せそうな事か!?竹は竹林にある時が一番美しく、それは人と一緒にある時の姿でもあります。














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晒した孟宗竹、真竹を見て

2019年1月25日

晒した孟宗竹、真竹


太さの違う竹が並んでいる、右の太い方が孟宗竹、左側が真竹である。節の輪が一本、二本とハッキリ分かるので初めての方にも分かりやすい。しかし、同じように晒して白くされた竹のここまでの道のりは知らない人には分からない。何気に見ている竹だが表面にはキズがない、これは伐り倒す際にも細心の注意を払い、険しい山道を一本づつ肩に担いで山出しされた証である。


晒した孟宗竹、真竹


孟宗竹は直径が18センチはあるだろうか?これだけの太さ、伐採した時の竹は想像以上に重いので大変な重労働だ。トラックに積み込むにも毛布に包んでロープで縛り大切に工場まで運んできた、そして熱湯で丁寧に油抜きし、何日も天日に干して仕上げられた竹が、ここに並んでいる。


孟宗竹


日本の竹は、山の仕事がおざなりにされてきた。しかし、自分達が昔から敬意を払って「山の職人」と呼ぶ竹のプロにやりがいがないと竹林は荒れ、竹の仕事はますます衰退してしまう。


太さの違う竹が並んでいる、右の太い方が孟宗竹、左側が真竹である。時間の経過と共に段々と深みが増してくるのは真竹の方。もっと言うならば、この竹は湯抜きされた竹だがガスバーナーの火で油抜きされた竹は手間も熟練度も必要なだけ更に美しい光沢を放つようになる。













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虎竹の里のキンメイチク(金明竹)開花

2019年1月21日

キンメイチク(金明竹)開花


牧野植物園のキンメイチク(金明竹)の開花をお話しさせていただいたのは昨年12月も終わり頃の事でした。実は、あれから暫くして虎竹の里のキンメイチクにも花が咲いたのです。


今年に入ってから黄金竹の事もこの30年ブログではお話しました。全体がゴールドに輝いており、おめでたい新春にふさわしい竹だと思ったからでした。この黄金竹とキンメイチクは色が黄金色という点では似ていますが、キンメイチクには黄金色の稈に緑色の筋が入り、またその青さとのコントラストが美しく鉢植えとしても好まれるのです。虎竹の里にあるキンメイチクも、元々はそうした鉢植えを買ってきたのを植えたものでした。


焼坂峠


キンメイチクの開花は120年に一度と言われる非常に珍しい現象です。それなのに、どうして牧野植物園のキンメイチクと時を同じくして開花するのか?同じ株から分けたものか、何か手ががりはないものかと訊ねられます。しかし、自分の記憶のあるだけでも30数年前から既にある程度の茂みに育っていました、植えたのはそれより更に前の事で詳しい事は残念ながら不明です。


今日は、虎竹の古里であり昔からの遍路道の続く焼坂の峠に来ました。ここまで登ってくる間には虎竹は沢山あるものの、この峠からは虎竹は一本も見当たりません。


虎竹


虎竹の虎模様は、同じ山なのに少し場所が異なると色付きも太さも全く違います。土中の特殊な細菌、土質、日当たり、潮風、気温、職人の手入れなど様々な要因が複雑に作用していると考えていますが神秘的なものです。竹は不思議に満ちているからこそ面白いものなのです。













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「竹の割れを防ぐ方法はありませんか?」

2019年1月18日

Dain Sansome、竹虎四代目


先日アメリカはオレゴン州から虎竹の里にDain Sansomeさんがご家族と共に来られていました。遠い異国の方ですが竹林経営をされているだけに、この虎竹の里の竹林の価値十分に感じていただいてる様子で嬉しかったのです。そんなDainさんから、ひとつ質問を頂きました。


「竹の割れを防ぐ方法はありませんか?」


竹は三悪といわれるものがあり、それが「割れ」「カビ」「虫」です。竹の割れを防ぐ方法はありません、竹は外側と内側の伸縮率の違いで割れますので理屈的には身の部分が厚いよりも薄い方が割れにくいのです。そこで、乾燥させて表皮から削りだして強度を保てる程度まで薄くして割れ防止を考えた製品でも使用環境等により割れてしまいます。竹の種類、個性、製法により違いはあるものの割れを完全に防ぐ方法はないのです。


炭化竹


熱と圧力で炭化加工された竹材には虫が好むような養分は既にないように思いますがそれでもチビタケナガシンクイムシがいる事があります。防虫、防カビ効果は明らかに感じる炭化加工でも完全ではないのです。


しかし、割れるから「竹」であり、虫害も同じです。こうした竹の性質と向き合い先人達は昔から竹を愛でてきました。三悪を十二分に知った上でも、それを遥かに上回る美しさや素晴らしさ、利便性があるからこそ日本の里山に竹はあります。それを、お使いいただくお客様にお伝えするのは自分達の役目です。













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