京都の朝堀り筍

筍鏡煮


朝堀り筍を使った鏡煮は、拝見した段階で気品を感じて降参だ。創業明治5年の筍料理「うお嘉」さんで頂く逸品の中でも、名物と言われるのが納得の柔らかさ。高知で筍と言うと、竹林で黒々とした三角頭を突き出した姿を想像するが、京都の畑そのものの竹林で収穫される筍は、地表に隠れているものを専用の道具で掘り出すのだ。


筍田楽


だから、いつもの筍と一線を画す柔らかさ、なんとも雅な味わいを堪能できる。


筍お造り


土佐は鰹のタタキだが、ここ京都では筍のお造りだ。食も所変われば、これだけ違う。


筍木の芽焼き


これが又、筍の味をしっかりと感じる事のできる木の芽焼き、一番好きな料理だ。


筍揚げ物


筍は、そのままでも、煮ても、焼いても、蒸しても、揚げても美味しい。


筍ご飯


そして、やはり最後には筍ご飯が最高です。


タケノコ漬物


うお嘉さんでは、筍の佃煮まであって本当に筍づくしなのだ。


胡麻竹


こうして味わい尽くした筍は、孟宗竹だ。その孟宗竹の筍を採らずに20数メートルの大きさに育った竹を、竹職人の手で人工的に作ったのがこ店の壁面に使用されているゴマ竹だ。同じ竹が、食べ物てしても、建材としても人の舌や目を楽しませ、役立っているのだから素晴らしい。


お時間ある方は、こちらもどうぞ!京の竹職人が作る竹の世界
ゴマ竹の作り方



タイワンマダケ・桂竹(けいちく)とは?

タイワンマダケ・桂竹、竹虎四代目(山岸義浩)


いよいよ明後日から台湾での世界竹会議だが、今回は更に台中繊維博物館で開催される国際竹工芸フォーラムにて講演させて頂く予定だ。台湾には優れた竹工芸が数多くあるけれど、その竹の技を支えているのが、前に現地を訪れた際に良く見かけたタイワンマダケではないだろうかと思っている。そこで、今までは見るだけだったタイワンマダケを実際に手にしてみる事にした。


実は、台湾真竹は日本にも1913年に導入されたと言うことで、数量は多くはないが成育している。耐寒性もあると言われるけれど、元々が温かい地域に育つ竹なので日本ではあまり太くならないようだ。同じ「マダケ」と名前が付いていても、一番異なっている所は筍かも知れない。タイワンマダケは柔らかく甘みがあり食用としても多用されると聞くが、日本の真竹は「苦竹」と書くこともあるように苦みがあるからか筍を食する機会は少ない。


タイワンマダケ・桂竹


そんな台湾真竹は、桂竹(けいちく)とも呼ばれており、見た目はスッーと節間伸びた美しい姿だけれど、実際に触ってみると節も低く竹編みにしやすそうな竹材だ。


台湾干しざる


台湾では人の暮らしの中に、まだまだ竹ざるや竹籠が普通に使われていて嬉しくなった覚えがある。


台湾真竹・桂竹


割って竹ヒゴにした感じは粘りがあり、やはり竹細工には適しているようだ。


台湾竹籠


そう言えば、産地に行けば色々な竹籠があったのを思い出す。もしかしたら全く知らない竹を使った、想像もしない「竹」に出会えるのではないか?あるいは日本と同じ竹に感動するのかも。竹は知れば知るほど奥が深い。



ベニカミキリの越冬

ベニカミキリ


孟宗竹の古材が沢山積み上げられている工場で竹割機を使った仕事が始まった。大きな竹材の表面には、あちこちに虫穴が開いていたが案の定、竹を食う害虫のひとつベニカミキリの登場だ。竹材の大敵のカミキリ虫には、虎模様になったタケトラカミキリと、この枯れた竹に一際目立つベニカミキリの二種類がいる。


ベニカミキリ


ちょうど、この季節は竹材の中で越冬している。これが温かくなってきたら次々に中から飛び出してくるから堪らない。チビタケナガシンクイムシなどとは比べ物にならない大きな穴を竹に開けてしまうのだ。


ベニカミキリ


更に近づいてみる、せっかく気持ちよくお休みの所申し訳ない気持ちもするが、他の竹材を食してしまう事を考えると迷わず退治するしかない。竹の害虫のしつこさには例年閉口してしまうが、こうやって成虫でも幼虫の姿でも越冬しているから完全に対処するには薬剤処理しかない。


ベニカミキリ


もちろん、室内に使用する竹製品だったり、手に触れる竹細工、口にいれる竹箸など、竹には薬剤を使えない物が多い。そもそも薬剤を現場で使用するのも好きではないので、竹は伐採時期や管理、メンテナンスで対処していくしかない。何を呑気なと言われるかも知れないが、長年付き合っているとベニカミキリなどの害虫も、そこまでキライになれない気持ちが沸いてくる。





虎竹の竹材について

虎竹


以前は数種類ご用意させて頂いていた虎竹丸切り竹が復活した。全国には色々な手作りを楽しまれる方もおられるようで、竹虎では使わない部材や、余っている竹材を有効にお使いいただけるのは嬉しい事だ。


虎竹丸切り竹


ご紹介できるようになった竹材は、長さが約27センチで直径が約3.5~4.5センチ程度の丸竹材。細く割って小さな竹製品の編み込みや、ワンポイントのような形で使われる事の多い竹材だ。


虎竹山出し


色づきなどは自然の意匠なので様々な柄模様なのだが、全てこうして虎竹の里から伐りだされた竹たちだ。


虎竹素材


虎竹は淡竹(はちく)の仲間で比較的に身は薄く、縦に割りやすいという特性がある。


虎竹材


長さを27センチに揃えており、太さにはバラ付きがあるものの、一定の割り幅に整えれば色々と使い道があるかと思う。





図面竹の角竹

図面竹


図面竹は京都のお得意様が作られていた竹で、昭和45年3月にオープンした最初の竹虎本店にもズラリと並んでいて、子供心にも壮観だったから非常に馴染のある竹のひとつだ。初めての方がご覧になられると、虎竹と同じように思われるようだが、虎竹が自然の中から生まれる竹なのに対して、図面竹は職人技が作り出す竹だ。ご関心のある方は、30年ブログ「図面竹の竹林」をご覧いただきますと、その製法を垣間見る事ができる。


孟宗竹


元々は、このように伐り出されている孟宗竹を使い、このような色合いに仕上げていくから凄い技術なのだ。


図面竹


さらに図面竹には、筍の時から木枠をはめて四角い形に作り上げた竹もあって、お鮨屋さんや日本料理のお店などに行くと良く使われている事が多い。


小田光陽作竹皮花器


おっと、これも似たような柄に見えるかも知れませんが実は竹表皮ではなく竹の皮。正確には筍の皮なのだが、竹皮を使って創作された花器だ。筍の時にこのような虎模様の入る孟宗竹や真竹は、大きく竹に育ってからは柄が付かず、筍の時にはこの虎模様の入らない虎竹(淡竹)には成長してから虎模様が付くとは面白いものなのだ。



孟宗竹と真竹の見分け方、孟宗竹の全国唯一無二の竹ざる

孟宗竹と真竹


孟宗竹や真竹は、淡竹(はちく)と共に日本を代表するなので名前くらいは聞いた事があると思う。えっ!?竹は、どの竹でも同じだと思っておられましたか?いやいや、日本に竹は600種類もあって、竹虎のウェブサイトに掲載している竹だけでもブログも併せれば、孟宗竹、真竹、淡竹、虎竹、黒竹、根曲竹、篠竹、スズ竹、蓬莱竹、布袋竹、矢竹、女竹、大名竹、煤竹、メゴ笹...と種類は多いです。


この同じに見える二本の切り竹も、実は種類が異なる。左が孟宗竹で右が真竹、見分け方は節の部分に注目いただきたい。節の線が一本なのが孟宗竹、二本あるのが真竹だ。




せめて、日本最大級の孟宗竹と真竹、淡竹の違いくらいは知っておきたい、そんな奇特な方はコチラの動画を是非ご覧ください(笑)。虎竹の里に生える孟宗竹と虎竹をご覧いただきながら、分かりやすくご説明しております。


孟宗竹


孟宗竹は太くて背丈も高く立派な竹だが、特に大きさの割に竹葉が小さく繁っているので見た目にも格好がいい。




お時間ある方は、こちらが何度かご紹介している孟宗竹の庭園。この迫力と美しさを眺めてもらえれば、かつて江戸時代に武家の庭に植えられてステイタスシンボルとされていたと言うのが納得できる。


孟宗竹伐採山の職人


ところが、この孟宗竹が近年あまり活躍する場が無くて困っている。こうして竹伐り職人が、手入れされた竹林で伐採する竹も用途は限られているのが現状だ。


伐採された孟宗竹林


昨年の秋だったか、立ち寄ったコンビニの広い駐車場に孟宗竹を満載にした大型トレーラーが駐車していた。あまり出番のない孟宗竹が何に使われているのかと言うと、行先は広島などのカキ養殖場。自分もカキは大好きだが、そんな養殖に孟宗竹が今でも筏に組まれて使われている事は本当に嬉しい。


孟宗竹竹ざる


まあ、この当たりまでは竹を扱う方ならご存知のお話。しかし、この孟宗竹が竹ざるになっているとしたら?孟宗竹は真竹などに比べて繊維が粗く、竹細工には不向きな素材と思われている。けれど、堅くて割づらい竹質はウラを返せば丈夫な竹編みとなる。


孟宗竹の米ざる


丁寧に洗ってあるので孟宗竹に見えないような青さだけれど、手にしたら感じる堅牢さ。それが、直径が60センチというビッグサイズで、しかも深さが20センチある深ザルは本物の職人仕事でないとできない。日本全国見まわしても唯一無二であり、まさに孟宗竹の最強竹ざるである。



竹製の物差しについて

竹尺、竹物差し


は縮みにくく、膨張も歪みも少なく何年たっても使えるという事で、昔から物差しに使われている程の素材だ。案外と忘れられている方も多いのだが、小学校の時に竹の物差しを使われていたのを思い出して欲しい。もちろん今でも竹製の物差しは学校で使われている、これだけ色々と新しい製品が出来ている時代にもっと良いものがあるだろう?と誰でも考えるのが普通だ。


竹尺、竹物差し


しかし、実は物差しとは長さを測るものであり、透明なアクリル定規は線を引くための道具なのである。ちょうど自分もデスクに透明な30センチのアクリル定規もあるけれど、良く見たら目盛りが端からふられていない。その点、竹の物差しは当たり前のように端からの目盛りだから、長さを測るには竹の物差しでないとダメなのだ。まあ、それが竹の物差しを小学校以来、中学、高校、大学、社会人と50年に渡って使い続けている理由ではないのだが...。


真竹湯抜き


伸縮しない竹に比べて、プラスチックは熱で膨張しやすいから本当に微妙だが目盛りがズレる事もある。社会に出てからでも一番竹の物差しが活躍しているのではないかと思うのが衣類関係の現場。軽さ、しなやかさが繊維に優しく、これでないと使えないと思われている方は多いと思う。しかし、そんな皆様がこの色鮮やかな竹材を見て、これが毎日手にしている物差しになろうとは想像しないのではないだろうか?


竹尺、竹物差し


信じられない方は、下のYouTube動画「感動する真竹湯抜き職人の仕事と白竹の作り方、静かな山里にたなびく煙」を是非ご覧ください。また、竹の物差しが愛用する程に色合いがこれほど変わるという事も是非知っていただきたい。右端が新しいもの、真ん中が自分が50年使う物差し、左端は祖母が使っていた竹尺だ。色合いの変化がたまらない(笑)。





続々・感動!山里の真竹湯抜き

竹湯抜き


真竹の湯抜きはまだまだ続いている。湯抜き釜から竹を取り出し終えたら、すぐに次の竹を熱湯の中に入れていく。何度かお話しさせて頂くように、竹の油抜きには今回のお湯を使う湿式と、自分たちの虎竹のようにガスバーナーの炎でする乾式とがある。


晒し竹


真竹の場合、熱湯でする油抜きが効率的でもあり一般的だが、竹材の油分を全体的に取りすぎてしまい割れやすくなるとも言われている。その点、火抜きは表皮部分に集中して熱が当たり、油分が膜を張って割れづらくなるとの説もあるが、どうだろうか?


真竹湯抜き


ただ、湯抜きの場合は竹を拭き上げるウエスに付着する竹の油分が、ガスバーナーなど乾式に比べて少ないので多くの油分は熱湯に溶け出しているのは間違いない。そして、湯抜きと火抜きでは、同じ油抜きには変わりないけれど経年変色に大きな違いがある。


竹湯抜き用ウエス


使い込まれたウエスも綺麗に折りたたんでカゴに入れられている。自分が小学校の頃には、竹虎でも湯抜き作業をかなり行っていたから、同じようなウエスを土場中に干していた。そしたら、それをトンビが一枚、また一枚と取って行く。実は何かと言えば、近くの山で子育てするために巣作りするための材料に使っていたらしい。高い木の上まで登って見て来た先輩が教えてくれた、懐かしい話だ(笑)。


竹用カンナ


さて、この竹職人のこだわりを、もう一つお伝えしたいと思う。それが、この小さなカンナだ。竹林に伐採に行く時には、これを携帯して行く。


竹節


そして、伐採した竹を束ねて運び出す時に「くびき」と言って、飛び出した竹節が隣の竹をキズ付けないように節を一つ一つ削っているのだ。


晒し竹


白竹


なるほど、山出しからそんな丁寧な仕事があっての、この美しい竹肌なのだ。


山出し機械


山出しと言えば、竹の種類によっては運搬機を使う事もある。新しくはないけれど、さすがに良く手入れされていて現役バリバリで動きそうだ。


竹伐採機械


ポールと滑車が付いているのは、重たい孟宗竹を引っ張り出すためのものだ。たとえば、広島などで盛んな牡蛎の養殖には、太い孟宗竹で組まれた筏が用いられている。このような用途なら竹材に少しのキズがあっても問題ない。昨年、駐車場の広いコンビニに孟宗竹を満載して停まっている大型トレーラーを見かけた。こうやって竹が運ばれていくのか...凄い本数に見惚れたものだが、そんな孟宗竹の事もいずれお話ししたい。





続・感動!山里の真竹湯抜き

竹職人


年末、皆様にご紹介した山里の湯抜き釜の竹職人は、湯気の立ち昇る中いた。朝から切り竹を熱湯の中に入れてはじっと頃合いを見計らい、竹を引き上げる。布(ウエス)で竹表皮に残った油分を拭き取っていくのは奥様の役目、二人で長年続けてきた息の合った流れるような連携は見事だ。


真竹湯抜き作業


竹を全て取り出したら新しい真竹を釜に入れていくのだが、この時も竹は手渡し。ここの白竹は、ご夫婦が一体となって作り出す夫婦竹だ。


里山の真竹湯抜き


谷間にひっそりと、しかし力強く続く湯抜き作業。効率よく加工できるように整理整頓された美しい工場を見るだけで、どれほど丁寧な仕事ぶりかが伝わってくる。


竹刀用竹材


ずっと奥に入った所の壁沿いに積み上げられている竹は、太さや厚み節間が揃っている。どうやら何か特別な竹材として選別して置かれているようだ。聞いてみたら竹刀用の竹との事だった、剣道で使う竹刀も現在では海外から輸入されるものばかりと思われているが、まだまだこうして国産竹材を厳選して製竹されている。


竹刀用真竹割り


今日は竹割をしないとの事だったけれど、試しに数本だけ菊割の機械を使って割って見せてくれた。竹刀用の竹は、身が厚く重たい孟宗竹は使わないそうだ。湯抜きした後、時間をかけて乾燥させていた真竹は、パリパリッと心地良い音を立てて割れる。まさに竹を割ったような性格の言葉どおりだ。


竹刀用竹材


「この竹が、こうして竹刀になって剣士に使われるのだよ」職人さんは嬉しそうだ。


木製椅子


さて、湯抜き釜の焚口のところには、使い古してはいるけれど丈夫そうな木製の台が置かれている。来た時から一体何なのだろうか?と気にはなっていたが、実は煙が上がりだすと、湯抜きが始まった事を知った近所の人が三々五々集まってくる。


湯抜き釜で団らん


そして竹仕事の合間に、湯抜き釜の火を囲んで世間話に花が咲くのだ。


竹職人


湯が沸き立ってくると、また職人が竹人の顔に戻る。静かな山里の湯抜き作業は、こうしてずっと続いていく。





感動!山里の真竹湯抜き

山里の竹職人


低くたれこめた雲に少し時雨れる日だった、川沿いの細い曲がり道を登って行って車を停めた。時間は朝の8時、向こうの谷間に見える集落から煙が薄く立ち込めている、きっと湯抜き釜はあそこにあるに違ないと思ってハンドルを切る。ここに来るのは20年ぶりか?25年だろうか?それだけ久しぶりなら、新しい竹との出会いの時みたいにドキドキワクワクだ。出迎えに来てくれた、おばちゃんに挨拶するため全開にした車窓からの冷たい空気に、ちっとも寒さを感じない。


真竹湯抜き、晒竹


竹は油分の多い植物で、この余計な油分を取り除く事で耐久性が高まり、見た目も美しくなる。この加工には竹材に熱を加えていくのだが、日本唯一の虎竹のようにガスバーナーの炎でする場合と、熱湯を使う場合とがある。同じく「油抜き」と呼ばれているが、こちらの製竹方法は熱湯を使う。釜から取り出し、湯気が出ている竹をウエスで拭き上げたばかりの竹表皮の色合いはこんな色合いだ。


真竹湯抜き


竹虎でも、以前は白竹の製造をしてもいたから6~7メートルもある専用の湯抜き釜があった。この仕事は、竹の旬の良い冬場に行われるから、低い気温の中で釜の湯を沸かすのがいつも大変だった覚えがある。


真竹油抜き作業


頃合いを見計らって竹を上げていく、熱いうちに竹表皮に付いた油分を拭き取り仕上げねばならない。ご夫婦でされているから息はピッタリだ。余談だが、竹職人に嫁ぐ際に新妻は何もしないで良いからと言われてやって来る。しかし、今まで出会った数百人の中では、ほぼ例外なく奥様も一流の竹職人となり、ご主人と共に働かれている事が多い。


白竹と真竹


湯抜きする前の真竹と湯抜きした後の真竹をベニア板で仕切っている。こうしてご覧いただくと竹の色合いが全く違っているのが良くお分かりいただけると思う。


竹割り


1.5メートルに切りそろえられた今回の竹は何になるのだろうか?昔は真竹で扇子の骨を大量に製造していたが、今では孟宗竹で舞扇用の竹材を細々とする程度だそうだ。


竹職人の包丁


父親から使っている包丁の横に置かれている竹端が、今回の竹材を割るサイズとなっている。


竹割り


湯抜きしたばかりの真竹を、一枚一枚決められた寸法に割っていく。湿り気の残った竹材の独特の割音も心地いい。


竹のシミ


元々竹肌の美しい竹材だけど、割っていく過程でシミやキズのある竹材はすべて取り除かれていく。


真竹湯抜き釜


普通では捨てるところさえない竹材が、ここでは湯抜き釜の燃料として有効に使われ、竹の製造の力となっているから無駄がない。そういえば、竹虎でも真竹を製竹していた頃には竹の端材の処理に困る事など一度もなかった。


美しい竹材


それにしても感動するような竹材だ。多くの皆様が、このような色の竹材を見た事はないかと思うが、実はこのような色合いの竹は製造現場でしか見る事はできない。これから、みるみる竹の色合いは変わっていき、更に天日に干していく乳白色の白竹と呼ばれる竹材となる。太陽の光に晒すから晒竹(さらしだけ)とも言う、つまり、真竹=白竹=晒竹なのだ。


竹物差し


さて、今回の竹材が何になるのか答えを言わねばならないが、実は竹の物差し用の竹材を作られていたのだ。自分も50年愛用する竹の物差しを持っているけれど、竹は古くなっても歪みや狂いがないから、こんな適材はない。竹の物差しなど一体誰が使っているのか?そんな風に思われる方もいるだろうが、現在でも様々な現場で使われているのは、このような製竹現場を訪れればよく分かる。


いやいや考えたら明日で2023年も最後だ。しかし、今年もこの山里の湯抜き釜のように、出会った竹職人も竹の仕事場も凄い事ばかりだった。ここでも感動しすぎて一体何から話て良いか分からないくらいで、この30年ブログの記事を書くのには時間がかかった(笑)。だから、この山里の湯抜き釜のお話しは来年にも続いていく、よろしくお願いいたします!