今年の真竹伐採

 
竹職人


青竹細工で売り切れのやザルがいくつか出来ています。竹林を眺めれば竹はいくらでも生えているように見えるので、まさか材料が無くなってしまって製造できなかったと思われる方が、一体どれくらいいらっしゃるでしょうか(笑)。


真竹竹林


確かに竹は竹林に来れば沢山あるのですが、伐採に適した時期というものがあります。特に近年害虫の被害が多くなっていますので品質管理のためにも竹を伐るタイミングを見極めるのは更に大切になってきました。


真竹伐採


本日竹伐りに来たのは、虎竹の里の竹とは少し違う種類で青竹細工用の真竹です。孟宗竹ほどではありませんけれど、結構太く長い竹が必要です。この時期の高知は、まだまだ真夏の様に暑く早朝から作業して出来るだけ早く切り上げるようにしました。


真竹


真竹伐採


竹細工には編むザルや籠によって太くて長いままの竹材がどうしても必要なものがあります。今回は、十分ではないものの、とりあえず予定していた数量に近いサイズの竹は伐り終える事ができました。


竹ざる


こうして伐り出された竹を使って、またひとつひとつ職人が竹籠や竹ざるを編んでいきます。




真っ直ぐな竹

 
竹


はこうして並べられただけで美しいです、ずっと魅入ってしまいそうになります。


晒竹


この竹は真竹を湯抜きという熱湯で油抜きした白竹、晒竹ともいいます。


真竹


竹自体は染みがあり最高に美しい白竹という事ではありません。


白竹


それでも、こうして並ぶだけで清々しい空気感に圧倒されます。しかし、これはそれぞれの竹が真っ直ぐに矯め直されているからこそ感じるものです。自然の竹は丸くなく、真っ直ぐでもありませんので必ず曲りを矯正する作業が必要なのです。どうやってするのか?白竹とは違い、ガスバーナーの炎で矯め直す虎竹の仕事をご覧ください。お湯でする湿式に対して、乾式とよばれる火抜きです。




天狗巣病と竹の害虫(チビタケナガシンクイムシ・タケトラカミキリ)

 
テング巣病の竹


天狗巣病のような変な病が蔓延してしまうと、その竹を伐採して竹細工する職人さんはさぞ大変ではないだうろかと心配いただくかと思います。もちろん皆様のご懸案の通りなのですが、実はてんぐ巣病は今に始まったことではなく既に何年も前から竹林の症状なのです。ある青竹職人さんなどは現在では天狗巣でない竹林は無い状態だと言われます、病気になっても全てがすぐに枯れてしまうという事でもありませんので使える真竹を選びながら伐採して仕事を続けているのです。



別に真竹だけではありません、三大有用竹と言って日本で多く使われている孟宗竹、淡竹(はちく)などでも天狗巣病は見かけます。山の衰退、活力を失った竹林がこのような病気の原因となり、更にここ数年来ずっと続いている竹の虫の問題に繋がっていると考えています。


チビタケナガシンクイムシ


真竹などは実際に竹自体が柔らかくなったという話も聞きますけれど、寒い地方の根曲竹やスズ竹、篠竹も以前と比べるとチビタケナガシンクイムシの食害が明らかに増えました。竹の勢いがなくなり病原菌に対する抵抗力が衰えると共に害虫に対しても弱くなっている傾向がうかがえるのです。そして、そこに気候変動などの要因が重なってきます。




スズ竹の開花が始まっています。何と言っても120年に一度の事なので熟練の職人さんでもご存じの方など当然おられなくて地元でも驚きの声が上がっていました。スズ竹は「竹」と言う名前が付いるものの笹類です、竹と笹との違いがるのか?大きな竹の場合は部分開花といって竹林の一部での開花もあるのですが、スズ竹の場合は一本残らず全てに花が咲き枯れていて、まさに驚愕の光景が広がります。


日本唯一の虎竹


今のところ虎竹は、天狗巣病も開花も目立って起こってはいません。しかし同じ竹の種類である淡竹の全国的な開花や、竹虎が創業して今年で127年という事など考えると時間の問題だろうと考えています(淡竹の開花周期は120年)。そう遠い将来ではなく起こるであろう大きな変化...初代や二代目にまた一つ土産話ができそうです。


竹の天狗巣病について

 
孟宗竹


常々お話している事なのですが日本というのは本当に素晴らしい国で、春夏秋冬と四季があり豊かな自然と景色が全国どこに行っても、それぞれその土地ならではの美しさを楽しむ事ができます。自分の場合にはどうしてもに目がいってしまいますが峠道でこのような孟宗竹の竹林に出会うと車を停めて休憩タイムです。


孟宗竹


天気もいい、青い空に白い雲、緑に繁る竹の葉が心地よく福く風にゆらいで、まるで笑い合っているかのように思える幸せな時間です。


タケ類天狗巣病


ところが、その一方で真竹の竹林でこのような竹に出会いました。竹の葉の部分をご覧いただきますと、竹葉とは思えないような違和感のある細かい枝のような物がまとわりついているように見えます。気に留めなけば見過ごしてしまうかも知れません。しかし、いつも竹を見ている方なら一体何なのだろう?とすぐに思うはずです。実はこれが、てんぐ巣と言われる竹の病気なのです。


テング巣病の真竹


竹以外の植物もこの病にかかるようでホルモンバランスが崩れる事によって発生するとも聞きますけれど、「Aciculosporium take Miyake」と言う病原菌が原因だそうです。いずれにせよ近年、特に竹の手入れが行き届かなくなり竹林全体の活力が弱くなっている所で多く見かけます。


真竹天狗巣病


遠くからでも竹林の異変は一目瞭然です。数年前から全国的に竹の開花を目にします、そのために枯れていく竹がありますけれど、それとは又違う竹の弱り方です。てんぐ巣病の有効な対応策は無くて病気になった竹を伐採して焼却する他ありません、せいぜい予防策として日頃から健全な竹林にしておき病の竹を見つける度に取り除いていくしかありません。


タケ類天狗巣病


しかし、この辺りの竹林はすでに手遅れで焼却するならば広範囲の竹林を皆伐せねばならないほど広がりを見せているようです。竹に関心のあるお客様から「竹の開花では?」とお問合せ頂く事がありますが、なるほど少し竹の花に似ています。竹の開花は珍しく孟宗竹で60年、真竹や淡竹では120年に一度に起こります。開花が近づくと竹の勢いも衰えてきますので、このような病気も蔓延しがちで、そもそも間違えやすいのです。


真竹てんぐ巣病


天狗巣病は、別名蔓自然枯(つるじねんこ)病とも言われるそうです。今回の真竹には病が更に進行しているのでしょうか?蔓科の植物が寄生しているかのようにも見えていましたので、まさに名前の由来通り。そして「自然枯」...つまり段々と枯れていくだけなのです。




こちらの動画はお隣土佐市で数年前に発見した日本最大級の孟宗竹の開花です。開花した竹は全て枯れてしまいますので昔から不吉の前兆とも見られていました、一年中青々と茂って成長も早く生命力の象徴のような竹が茶色く立ち枯れてしまうので当時の人々は畏れを抱いたのです。


土間に敷かれた竹簀の子

 
土間の竹簀の子


昔の自宅といえば土間があってカマドや水回りなど食事を用意する台所は完全に家の中とも違う、もちろん外とも違う何ともファジーな領域にあったように懐かしく思い出す。だから、畑から採って来たばかりの土の付いた大根や、釣ってきたばかりの魚等も汚れることを気にする事なく運び込まれて調理されていたのだろう。そして、そこには確かにこんな竹を半割にした簀子が敷かれていた。


青竹踏み


この竹半割簀子を見ると昔の人は自然と毎日青竹踏みをしていたのではないか(笑)。青竹踏みで足裏マッサージをしたくなるのは遠い記憶のせいかも知れない。


竹虎四代目、黒竹玄関すのこ


黒竹玄関すのこを作りたいと思ったものも、おそらくこのような土間の景色を知っていたからに違いないし、そう言えば微妙にゆがんだ竹のキシミの上を歩いたような覚えもある。


黒竹玄関すのこ


黒竹玄関簀子


土間に敷かれた竹簀の子は多少の曲がりでそのまま使われているけれど、黒竹はご覧のように真っ直ぐに矯め直して丁寧に並べられている。


白竹


そもそも竹は並べただけで絵になる、美しいものだ。


鬼すだれ


並べただけと言うと少し乱暴になるけれど、それだけで優れた道具になる。


井戸蓋


井戸蓋にも竹が使われているのをご存じだろうか?


民家の竹床


ある民家では竹床を拝見させてもらった。竹を一定間隔を開けて敷き詰めた上にムシロを敷いて生活していたという、高温多湿の日本には最適の作り何と素晴らしい通気性かと思う。


7月7日。竹の日そして、かぐや姫の誕生日

 
雨の孟宗竹の若竹


本日、7月7日はあまり知られていませんが「竹の日」。日本の竹人にとっては記念すべき日であり又竹取物語に登場するかぐや姫の誕生日とも言われています。さて、そこで以前も話題にさせてもらった事があるのですが皆様にもっと良くご理解いただきたいと思い改めて30年ブログでお話させてもらいます。


「これぞ竹取の翁が竹林で見つけた、かぐや姫の竹です。」


そう言ったら、いかがでしょうか?なるほどと信じられる方もおられるのではないでしょうか?それくらい光輝いて見える竹があります。一年中いつでも見られるわけではありません、今年の梅雨は長雨で困っていますけれど日中でも薄暗いような曇り空の日に竹林に行くとこのような竹を見つけられる事があります。


孟宗竹


晴れた日に行くと普通の竹にしか見えないのに、どうして白く光っているように見えるのでしょうか?実は二つの要素があります、一つは若竹、そしてもう一つは湿度です。孟宗竹の若竹には産毛のような細かい毛が表面に沢山あります、筍から竹になってドンドンと成長していく時期にちょうど梅雨があって竹達にとっては水分豊富で好都合なのですが、その湿気が生まれたばかりの竹表皮について少し暗いような竹林の中では輝きを放ち本当に浮かびあがって見えるのです。


ただ孟宗竹というのは渡来種で1728年に京都に移植されたという説と1736年に鹿児島に移植されたという説がありますがどちらにしても300年足らず前の話です。かぐや姫の登場する「竹取物語」は日本最古の物語と言われていて9世紀から10世紀に出来たそうなので当時の日本には孟宗竹はなかったのです。


それでは一体、かぐや姫の生まれた竹は何なのか!?


光の中の虎竹


それは淡竹(はちく)に間違いありません。淡竹のひとつの特徴として白く粉が吹いたように見える竹表皮があります。何を隠そう日本唯一の虎竹も淡竹の仲間ですが、独特の虎模様はこの白塗りした下に隠されています。虎竹と言っても全ての竹に色付きがあるのではなく、一級品の色合いになるのは一部の竹だけです。ずっと色付きのない竹も多いのですが、そのような竹に何かの拍子に日の光が当たった瞬間、「光輝く竹」が表れ竹取り物語の秘密が解けた事を確信するのです。遥か昔、翁は淡竹の林でこのように光る竹を見つけて、かぐや姫が誕生したのです。




海と竹とプラスチック

女竹


を伐採する職人が減って良質の竹材が少なくなりつつありますが、それでも盛んに竹を伐って流通させているのが漁業用の竹材です。大型トラックに太い孟宗竹を積み込んでいる様子を何度か拝見したことがあって、どこに行くのかと言うと広島や遠くは東北の方まで運ばれて牡蠣の養殖筏に使われるとの事でした。

 
メンチクの葉


そんな話を思い出したのは沢山の女竹の葉を訪れた竹屋さんで見かけたからです。このだけの量の葉を落とすとは、かなりの本数の女竹だと思って聞くと、何と有明海で赤貝養殖に使われているそうなのです。


女竹


女竹のウラ(先端)の方は枝分かれしていて海中を浮遊する赤貝の幼生を付着させるのに良いのです。先の牡蠣筏にしろ、赤貝にしろ広い海で使うので大量の竹材が必要で、現在でもそれだけの伐採を続ける伐り子はいるようで心強いと感じました。考えれば海も穏やかな日ばかりではありません、漁場で使っていた竹が流される事もあるではないかと思います。しかし、竹ならどこに流れついても腐って無くなりますので最近よく耳にする海洋プラスチックのような心配もありません。自然の中では自然素材ほどよいものはないのです。


竹皮で巻かれたお菓子

 
あくまき


竹皮で巻かれた「あくまき」と呼ばれる食べ物があります。南九州独特の餅菓子だそうですが、保存性の高い食料として古くは関ケ原の戦いにも持参されたという由緒あるお菓子で端午の節句に食されています。あくまきと言われるくらいですから灰汁(あく)を使って作られます、抗菌性が高い竹皮に加えて灰のアルカリ性物質の作用で腐敗を抑えているのです。


さとまき、砂糖巻


さとまき


使われる竹皮は孟宗竹との事なので表皮の産毛はどうなのかと思いましたけれど、竹皮に包んでから煮込まれているので全くなくなっています。そんな竹皮から出てたのは実はあくまきではなくて砂糖巻きから縮まったされる「さと巻き」という羊羹に似たモッチリ触感の美味しいお菓子。実は竹皮ごと包丁で切って頂くのが正しいようです。


虎竹の竹皮、竹虎四代目(山岸義浩)


同じ竹皮でも虎竹の竹皮と見比べていただくと一目瞭然、こんなに違います。淡竹である虎竹の竹皮には孟宗竹にあるような黒い模様がないのです。模様のある竹皮を脱いだ孟宗竹には模様がなく、竹皮には模様がない虎竹にには虎模様が出てくるとは不思議なものだと、いつも思います。


五三竹(布袋竹)の川辺

護岸竹、ホテイチク


徳島の竹職人さんが五三竹(ゴサンチク)と呼ぶ竹は高知県では布袋竹と言うのが一般的で文字通り竹の下部分が布袋様のお腹のようにふっくらと膨らんだようになった竹なのです。ちょっと亀甲竹にも似たところがありますけれどマダケの仲間で全長はせいぜい6~8メートル程度、直径も4センチ程度と小振りな竹で密集して生えますから護岸用の竹としても植えられています。


遍路杖


独特の節の曲りが面白く釣り竿の柄に使われてたりしますが、竹虎では遍路杖として皆様にご愛顧いただいている竹です。こんな画像をご覧になられると、一体何人の水戸黄門さんが居るんだ?と思われるかも知れません(笑)。


布袋竹、五三竹、遍路杖


五三竹(布袋竹)の魅力は、このしっくりくるグリップです。


布袋竹、五三竹


この川岸にビッシリと生えた竹の向こうには水田が広がります。この竹たちは洪水の被害から農家さんを助ける守り神として風に吹かれているのです。


布袋竹、五三竹


さて、しかし今回は護岸竹としての五三竹ではなく、もう一つの物凄い作品になっていく竹の姿をご覧いただきたいと思っています。一緒に竹林にやってきた竹職人さんが「ここの部分がいいねえ、ここ使うんや」と指で触っています。すでに筍が生えていて伐採には不向きな季節なので竹を伐る事はありませんが、やはり竹を見る目は鋭くもあり、優しくもあります。


(明日の30年ブログにつづく)


竹の紅葉と落葉

 
竹の秋


は生命力にあふれ一年通して青々とした葉が茂っているイメージがありますけれど、実は他の植物と同じように紅葉もすれば落葉もします。ただ、あまり皆様がご存じないのは季節が秋ではなく春から初夏にかけてというタイミングと、落葉したのに気づかないくらい早く若葉が芽吹くからなのです。


竹の落葉


竹林がいつもの元気な青さではなく黄色く色づいているのは紅葉しているからです。自らのエネルギーを筍の成長に使い切り落葉する時期があるのです。


竹の落ち葉


ほんの一時のため竹が落葉するのが信じられないほどです、しかし竹林に入り足元を見るとこの通り、敷き詰められたように竹の葉がビッシリ。


竹の新芽


そんな竹のパワフルな所は、落葉するやいなや新しい若葉が芽吹いている事です。元気がないように見えても次の瞬間には立ち直って前向きに進んでいく、竹の姿には見習ってばかりです。