竹縄鼻緒の下駄を見て

竹縄鼻緒の下駄


渋い、渋すぎる下駄。何が渋いかと言うと鼻緒にご注目ください、これが竹縄鼻緒なのです!竹縄と書いて「たかなわ」と読みます。竹虎の草履には竹皮鼻緒がありますけれど、これは比べものにならない丈夫さ!かって現代のような強度の高いロープがない時代には、お祭りの山車が道路を通る際などに竹縄で結束していないと通行許可が下りなかったという日本では昔から最強ロープとして活躍していたものです。今では知る人も少なくなった竹縄の伝統を守り続けている人々が東秩父村にいるのです。


竹虎四代目(山岸義浩)


実は自分は昔から城郭ファンです(笑)お城そのものも好きですが更に好きなのは石垣。色々な積み方があるのですが驚くようや大きな石をどうやって運んだのか?現代に残るまで、どんな方法で崩れないように堅牢に積み上げたのか?それぞれに先人の知恵が詰まっていると考えるだけで時間を忘れてしまうのです。そして、そんな建設現場でなくてはならなかったのが竹縄だったのではないかと思っています。


山葡萄紐


強いだけなら他の自然素材でも例えば山葡萄のツルなどはかなりの強度があります。何回か職人さんから頂いたことがあって今も手元に持っていますけれど確かに丈夫そのもの、しかし、竹の圧倒的な違いは身近な里山に沢山あって手に入れやすかったことです。


竹林


現代においても継続利用可能な唯一の天然資源と世界的に言われるほどの凄まじい生命力も他にはあまり見られない素晴らしい特徴です。地下茎を伸ばし毎年筍を生やして増える様は自然素材に頼らなければならなかった当時には、まさに夢の素材、天の恵みのような存在だったに違いありません。





淡竹、真竹と孟宗竹の見分け方

虎竹筍


虎竹の里では、そろそろ筍の季節を迎えています。日本唯一の虎竹は淡竹の仲間なので筍も特徴的なのですが、面白いのは竹皮に真竹孟宗竹のように模様がついていない事です。筍の時には模様が付いていないのに大人になって虎模様が付く虎竹と、筍の時には模様がしっかり付いているのにその竹皮を脱ぐと模様のない真竹や孟宗竹、不思議です(笑)。


孟宗筍


淡竹、真竹、孟宗竹という日本三大有用竹と言われる竹の中で筍が生えるのは孟宗竹が一番早く既に今年も何度か食された方がおられるかも知れません。孟宗竹に続いて淡竹(虎竹)が生えて、その後今月~6月中旬あたりに真竹が旬を迎えるのです。


虎竹トンボg


孟宗竹の筍は太くて美味しくて、筍の代名詞とも言えると思いますが淡竹も非常に味が良いので昔から好まれて食されている筍です。だから虎竹もきっと美味しいはず、ところが虎竹は3年ほど経たないと色付きが来ません。つまり筍の時には、良し悪しの判断がつかないので父も祖父も曾祖父も、虎竹と出会って100年間誰も食したことはないのです。


ところで虎竹ばかりと思われがちな虎竹の里にも少しは孟宗竹が植えられています。食料としても建材や加工用としても太く長い孟宗竹は本当に重宝されていたからです。そこでYouTube動画では淡竹、真竹と孟宗竹の簡単な見分け方をご説明しています。





竹の記憶

根付孟宗竹


この根付の孟宗竹の何と立派なことか、京都の清水銘竹店さんにお伺いすると威風堂々たる風格で出迎えてくれる竹達です。竹林にある美しい姿をそのままに掘り出し、運び出し製竹するには大変な労力と技術が必要なのですが一般的にはあまり目にする機会の少ない根付の竹を見る度に思い出す光景があります。


竹虎本店パンフレット昭和45年


それが今から50年前の昭和45年に開店したばかりの竹虎本店なのです。高知県西部の清流四万十川が全国的に知られるようになる少し前だったように思いますが、当時四国一長いと言われた焼坂トンネル開通で交通量の増加しだす国道56号線沿いに竹虎としては初の展示場としてオープンした店舗の正面屋根には、この根付の孟宗竹が一文字に飾られていました。


真新しいアスファルトの道路の向こうから、沢山の社員さんや地元の方々と共に見上げた空の色まで今でもハッキリと覚えています。


ゴマ竹


さて、ゴマ竹という竹があます。名前の通り、まるでゴマのようなブツブツが出来る面白い竹で、アピオスポラ・シライアナ(Apiospora shiraiana)あるいはアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)と呼ばれる糸状菌によってゴマが出るのだそうです。このような難しい菌の名前は知りませんでしたが、小学校の頃など竹林で遊んでいると立枯れした竹にゴマが出ていたり、長く放置されている竹材にも同じようなゴマで出ているのを見て育ちましたので身近な存在の竹でした。


煤けたゴマ竹


自分の見ていたゴマは自然に発生したもの、ところがゴマは人工的に作って銘竹として仕立てられている事を後になって知ります。今ではあまり使われていない竹虎のバックヤードの柱には図面角竹のゴマ竹が使われていました。角竹というのは筍の時に四角い木型をはめて成長させて四角い形にします。そしてゴマ竹にするには成長した竹の枝をすべて打ち払い立ち枯れ状態にします、そうすると竹に菌がついてゴマ状の竹になっていくのです。自然界の力に人が手を添える形ですので、どのようなゴマになるかは職人にも分かりません。


バックヤードの柱に使われている竹を良くご覧いただきますと煤けているのがお分かりいただけます。実はこれは自分が大学4回生の時に起こった大火災の名残なのです。一晩中燃え続けて竹虎は工場も事務所も本店も商品を満載した大型トラックも全てが無くなりました。遠くまで見渡せる、一面焼け野原となって何とも言えない無力感でした。


しかし、自分は火事の第一発見者となったからこそ竹虎に入社して今があります。現在、あの時とは比べようもない程の変化に今後どうなっていくのかも分かりませんが、いつかは「あの事があったから今がある」と思える日が必ず来ると強く信じています。



感動と驚愕の国産竹材「楽屋」

孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」


皆さんは「楽屋」と聞いて何を思い浮かべられるでしょうか?舞台俳優や歌手の方などが控室として使う楽屋をまず想像されるのかも知れません、しかし、今日皆さまにご紹介したい「楽屋」は少し違います。


千両


お正月の縁起物と知れられて門松などにも使われることもあるセンリョウという植物があります。晩秋にツヤのある緑色の葉に鮮やかな赤色の丸い実のコントラストが美しくて、おめでたい雰囲気があり新春飾りには最適とされています。


門松用の松


こちらの農家さんからも季節になると門松用の松と共に大量のセンリョウが全国に送られるそうです。茨木県神栖市(かみすし)は、このセンリョウの生産量日本一を誇る地域なのですが、この成育に「楽屋」が大活躍しているのです。


農業用竹資材


実は楽屋とは9尺(約2.7メートル)の長さに切った孟宗竹を約2センチ幅に細く割って針金で編み込んだ簾状の竹材で四方はおろか天井までびっしりと覆ったセンリョウの成育場の事でした。


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」


センリョウは強い日差しや風に弱いと言います、冬でも比較的温かな海辺の地域で栽培されていますものの竹の簾で海風を防ぐと同時に、日差しを遮らないと葉が日焼けして赤くなってしまいます。


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」


耐久性を考えてビニール製の覆いで遮光した農家さんでは日焼けを防ぐことができなかったそうです。そこで結局、自然素材であり通気性の良い竹材が使われ続けられていました。


楽屋中国製


とにかく大量の孟宗竹を必要とされますので安価なだけでなく大量調達のできる中国製簾が8割から9割をしめる現在、まだまだ日本の竹を使って昔ながらの仕事を続けられている会社様がおられると聞いて茨木県内に沢山ある孟宗竹を使って製造を続ける佐藤竹材店さんにお伺いしたのです。


孟宗竹


この辺りは平地が多く良質の竹の伐採、運搬には恵まれています。


佐藤竹材、孟宗竹


全国的に少なくなっている竹の切子が3名で伐り出した竹はクレーン車を使って積み下ろしされ工場の敷地まで運ばれてきました。


楽屋竹材切断


ホークリフトで丸鋸のある切断台まで運ばれ寸法通りの長さに揃えられます。


菊割


菊割


すぐ横には菊割の機械が置かれていて感激します!竹の太さにより最適な割幅に揃えられるように十数種類の菊割が吊るされていました!


割竹


佐藤竹材


竹虎でも20数年前までは、同じような加工で土壁に使う壁竹を製造していましたので本当に懐かしく昔の工場に戻ったようでいつまでも居たい気持ちです!


竹製造場


割竹は内側の節を取り除いて更に半割にされるために機械に通されます。何でもないように見える機械ですが、このような竹材加工機械を製造する会社は日本では随分と前になくなりました。なので新しい機械はおろか部品にも事欠くありさまですので加工機械をうまく調整しながら大事に使っているのです。


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」竹材工場


さて、細割にされた竹簾(たけすだれ)が竹編台に運ばれます。職人さんが加工機械に一本づつ割竹を通していきます、するとどうでしょうか!?


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」


一本、また一本と割竹が流て来る度に一段づつ下にズレていくと共に針金で自動的に縛られていくではないですか!


孟宗竹を使ったセンリョウ成育場「楽屋」加工機械


簾状の楽屋


こうして国産孟宗竹の割竹を使った丈夫な竹簾が編まれていきます。


簾状の楽屋


後はクルクルと巻き込んで一本の竹簾の製品が完成です。


簾状の楽屋


国内の孟宗竹は使い道がなくて増えすぎて放置竹林などと呼ばれています。そんな孟宗竹を大量に必要とするお客様が近くにいながら海外産に移行してしまうのは近年、中国の人件費高騰もあって価格だけで比べられているのではありません。


簾状の楽屋竹材


確かに2割程度の価格差があるものの品質の高い国産への要望がないわけではないのです。ただ竹材確保から製造の職人不足で数量をまかないきれません。


佐藤竹材


青々とした製造したばかりの竹簾も楽屋に使うと6~7年に一度はやり替えねばなりませんから継続して竹材を活用する仕事でもあるものの竹には旬があって管理の難しい竹に一年通して同じ加工量がないのも昔から抱える竹材の問題です。


日本製の楽屋竹


まさに自分達もそうであったし、多くの竹材を扱う会社が直面してきた大きな課題を今突き付けられている国産の楽屋です。佐藤竹材店さんの製品置き場に積み上げられた国産孟宗竹を使った貴重な竹簾の山を、いつまでもいつまでも眺めていたい気持ちでした。





国産真竹の竹皮について

国産竹皮


竹皮」と普通に呼んでいて日頃から目にしていますので全く何とも思っていませんでしたけれど竹皮が一体何なのか?と疑問に思われている方も中にいると知って驚くことがあります。もしかしたら竹皮の名前が分かりづらいのかも知れません、竹の皮だから竹林に生えている竹のどこかに皮が付いていると想像されるようなのです。


孟宗竹の竹皮


竹皮とは正確には筍の皮の事です。筍は、たったの3カ月で20数メートルの竹に成長しますのでその過程で筍の皮を一枚、また一枚と脱ぎ捨てるようにして伸びていくのです。この脱ぎ捨てられた皮が竹皮です、季節に竹林に入ると筍から竹に変わりつつある竹があちらこちらに生えていますが脱ぎ切れていない竹皮は剥がしては竹が傷んでしまいます。


竹林の竹皮


完全に脱いだ竹皮だけを拾い集め天日干しして加工された物が皆様の知っている竹皮です。しかしこの竹皮を集める職人も高齢化が進み日本の竹皮の99%は竹林で朽ちているのが現状です。


竹皮職人


天日干しした竹皮は焼いたスルメのように丸くなりますので平らにのしていく作業が必要です。そして全て自然素材のため太さや色合い、キズなど見極めながら選別していく技がまた凄いのです。





今では見られなくなった神業とも言える熟練職人の技、こうして動画で見ていてもあの日の竹皮工房の空気感をつい先日の事のように思い返されます。手際よく選り分けていく職人の格好良さ、自信に満ちた表情、凛とした雰囲気、まさに圧巻でした。


国産竹皮弁当


竹林に行けばいくらでもあるものではありません。その季節に筍が落とした竹皮だけを集めて行きますから毎日のように竹林に入るのです。そうした手間をかけ天日干しして作られる国産竹皮、少なりつつあるものの出来る限りお届けできればと思っています。



男竹、女竹、竹の不思議

孟宗竹、女竹


にも男、女があることをご存知でしたでしょうか?実は俗説なので科学的な何かがあるわけではありませんが、稈の一番下から伸びる枝が一本だったら男、二本なら女竹と言われています。ある筍職人さんは女竹の方が柔らかく美味しい筍だとも話しますし、男竹の根を移植しても筍が出ないこともあるようです。


孟宗竹


まあいずれも昔から言い伝えのように言われて来た類のものでもあって真偽は定かではありません。ただ、それれだけ日本人と竹が身近で親密な関係であった事、深い関心をもって日々見ていたという事は間違いないのです。


筍から竹へ


食べ物が豊富で医学も発達していてる現代人と違い、昔の人々は竹の不思議な生命力に憧れ畏敬の念を抱いていたと思います。毎年季節になれば誰の力も借りずノョキノョキと生えてくる筍、それがわすが3か月で20数メートルの高さにまで伸びていきます。その成長力には神秘的な何かをずっと感じていたからこそ日本国内だけでも合計で869カ所とも言われる様々な祭事や神事に竹が多用されることに繋がっているのでしょう。


雪の竹林、竹虎四代目(山岸義浩)


雪の多い地方の孟宗竹は四国や九州のものに比べて小振りですが厳しい自然に鍛えられた強さを感じます。実際、寒い地方の竹は粘りやしなりがあり良質なものが育つのです。


雪と孟宗竹


風雪の重みにじっと耐えながら青々とした緑をたたえる竹を古人はどんな思いで見ていたのでしょうか?竹が縁起の良い「松竹梅」と言われるようになったのは、きっと竹のこの溢れんばかりの強靭な生命力からではないかと考えています。


孟宗竹葉


小鳥たちが遊ぶ竹林に心地のよい風が吹き抜けていきます。揺れる竹葉は昔から変わることなく青く、見ている自分は安らいで爽やかさに包まれています。


続々・120年に一度のスズ竹開花

竹虎四代目、スズ竹開花


先週の30年ブログではスズ竹開花についてのお知らせをさせて頂きました。開花につきましては真竹や淡竹と同じように120年に一度と言われていますものの実は竹の生態には不明な点が多く正確なことはあまり分かってはいないのです。孟宗竹で60年周期という事例が確認された事がある程度で他の竹類について研究データがあるわけでも文献があるわけでもなく、ただ自然の神秘があるだけです。





もう動画はご覧いただきましたでしょうか?ハッキリした開花周期など詳しいことは分かっていなくとも、少なくとも現在仕事をされている80歳を超える職人の方々が始めての経験という一斉開花と枯れてしまった竹林の姿です。


スズ竹開花竹林


ただ、このように枯れてしまっているスズ竹の竹林が広がる一方、本当にわずかながら竹林が残っている地域もあるようです。


スズ竹四角小物籠


限定ながらスズ竹四角小物籠をご紹介させてもらっています。材料不足で大きな市場籠や行李は出来ない代わりに小振りな籠は少しだけ編む事が出来たのでした。


スズ竹四角小物籠


スズ竹四角小物籠


このような中で生まれる籠に少し希望を感じますが、やはり一日も早い竹林の復活が望まれる事に変わりありません。



京銘竹品評会2019

染め亀甲竹


何ともシビレてしまう形、太さ、ねじれ、色艶。亀の甲羅のように見える事から亀甲竹と呼ばれるです。節のラインが一本なので元々は孟宗竹ですが独特の風貌がそのまま固定化されて面白い竹になりました、この竹は更に染めて他にはない圧倒的な存在感を放っています。


京銘竹品評会


京都で毎年開催されている銘竹品評会には、ここでしから見られない竹が集まっているので楽しみにしていました。


図面竹


日曜日の朝のテレビ番組「サンデーモーニング」で出演者の後ろに活けられている竹を虎竹ではないか?とお問合せを何度かいただいた事がありますけれど実はあの竹は少し似てはいますがこの図面竹という竹です。


ゴマ竹


図面竹にせよ、このゴマ竹にせよ自然にできたものではなく自然の力を借りながら京都の竹林で職人が創り上げた竹なのです。それにしてもこの図面の角竹のゴマの付きようなで素晴らしいの一言です。


紋竹


又これも虎竹に似てなくもありませんが紋竹という模様のついた銘竹。


紋竹


近づいてみると紋々になった模様は花弁のようにも見えます。


京銘竹品評会


白竹


しかし、京都の竹といえば白竹につきます。晒竹とも呼ばれて油抜きをした後、太陽の下で日の光に晒すことによって白く輝く竹になっていくのです。


京都白竹


熱湯で油抜きをした竹もありますが美しいのは火抜きしたもの、一目で違いが分かる輝きは時間が経つにつれて飴色に成長していくのです。


数珠玉白竹


「根上り」と職人が言う本来は根っこになる部分が地面から伸び上がり竹になるものがあって、見てのとおり数珠が並んでいるような数珠玉と言う竹ができる事があります。このような竹を伐採することもないので京都以外で見る機会のない銘竹です。


白竹


茶華道の本場だけあって竹へのこだわりが尋常でない土地柄です。樋(ひ)ともミゾとも言うへこみの走る竹も珍重されているようで竹文化の奥深さを感じます。


続・近年の竹と害虫

食害、タケトラカミキリ


先日から何度かこの30年ブログでも話題となっている気候変動による自然界の変化。虎竹の色付きは数年前から感じていた事なのですが今年一番多く見られた竹の変化の一つに竹の虫による食害がありました。


この真竹に開いた大きな穴はタケトラカミキリという虫によるものです、表皮だけを残して竹の中身を食い荒らしてしまうので最悪の場合には手で軽くつまんだだけでボロボロと竹が崩れてしまうほど。同じ仲間で姿形はそっくりなベニカミキリという赤い虫もいて対処には例年対処には苦労しているのです。


チビタケナガシンクイムシの食害


久しぶりに箱を開けて覗いてみた竹簾には普通には見られない粉のような物が落ちていますけれど、これがチビタケナガシンクイムシの仕業。


チビタケナガシンクイムシの食害


3ミリ程度の小さな虫なので、このように竹粉が落ちてきてはじめて食害に気づきます。


チビタケナガシンクイムシの食害


孟宗竹、真竹、淡竹など竹の種類に関係なく食害にあいますけれど放っておくと薄い竹ヒゴなど切れてしまいそうになるくらいの旺盛な食欲なのです。


熱湯と竹籠


気づいた時にすぐに熱湯をかける、竹の様子を見ながら浸けこむなどして食害を止めます。一度では食害が止まらないことも多く何度か粘り強くやらねばなりません。


竹の害虫


光に透けてみると、こんな甚大な被害の事もあるのです。こうなると強度も落ちてしまい安心してお使いいただく事はできません。自分たちは竹がこのような食害にあわないようできるだけの管理をしていますがどれも100%ではないのが現状です。


もちろん薬剤などは自分自身が大嫌いなので使用しませんが、どうかすると建材等で防虫加工されたものでも食害がある場合もあるのです。あまり竹の虫について語られることはないものの、これも竹の自然の姿です。古来こうして竹と日本人は寄り添いながら暮らしてきた事を竹製品をご愛用いただく皆様にはご理解いただきたいと考えています。


竹林


そして近年の気候変動による食害の変化には注意深く見ていくものの原因は環境条件だけではなく山の荒廃であったり職人の高齢化であったりと自分達自身の問題でもあるように感じています。


「NO BAMBOO NO LIFE」、竹のない生活はありません。これから竹のある暮らしをご提案していく中で、ご愛用いただく皆様に竹を知ってもらう事がますます大切になってきました。



布袋竹の遍路杖

布袋竹、遍路杖


布袋竹は布袋様のお腹のようなふくらみがある事が名前がついています。この特有の繊維のねじれ、ふくらみの面白さはグリップに最適なので釣竿にも多用されますし、お洒落なステッキにもなりますので四国お遍路さんが使う遍路杖としても好評です。


布袋竹、遍路杖


それにしても布袋竹と一口にいいますが一本として同じ表情のものはなく、それぞれがオンリーワン、虎竹の色付きと同じです。





この700度のガスバーナーで一気に油抜き加工をします。


油抜きの竹材


油抜きの加工をすると切り口からこれだけの水分が噴き出してきます、竹は糖質の多い植物ですので糖分を含んだ油成分。中国では淡竹から取るこの液体を竹瀝(ちくれき)と呼んで喘息や肺炎の民間薬としています。


布袋竹、遍路杖


さて、この油分をウエスで拭き上げるとこの光沢なのです。何か透明な塗料を使っているのかと、お客様から聞かれる事もあるくらいですけれどもちろん何もしません。自然の竹の持つ力と魅力を引き出すお手伝い程度しか人の出来ることはないのです。


布袋竹、遍路杖


居合のつもりでしょうか?このような使い方は厳禁です(笑)。