京都の真竹 その2

2015年6月18日

京銘竹白竹


湯抜きの白竹は白さが強調されていて、それは、それで晒竹の綺麗さというものを感じるのですが、火で油抜きされた白竹の魅力というのは又格別なものがありますぞね。火抜きされた何とも雰囲気のある光沢と美しい白竹の表皮をこじゃんと(とても)注意深く見ていくがです。そう、まるで虫眼鏡片手で探偵にでもなったかのような気分になって、じっくり、じっくり探していくと、ようやく見つけられる、小さな小さな穴が節と節の間の稈の部分に開けられているのです。


この穴は入荷した青竹を水洗いした後に、それぞれの節間に職人さんが極細の高速ドリルで開けられた穴ぜよ。けんど、わざわざ穴を開けるのはどうしてやろうか?話さない限り、大方の方が気づく事すらない穴の存在を知ると、何故、開けられたものなのか不思議に思われるのが普通ですろう。


白竹の穴


実はこの針の先ほどと言うても大袈裟でないような細かい穴は、青竹をガスバーナーで炙って油抜きしている時に必要になってくる穴なのです。竹の何処の部分にでも適当に開けている訳ではなくて、元の部分には必要ないですが、ウラ(先端)の方になるにしたがい、竹の身の厚みが薄くなるので元から2メートル程度の高さから上には、一つの節に一つの穴が開けられちゅうのです。


炎で竹を熱していくと節間にある空気が温められ膨張し、ついにはパンッと大きな音をたてて割れてしまう事あるがですぞね。竹虎の工場でも虎竹の油抜きが始まると、竹独得の甘い香りと、パンッと甲高い音を立てて節合いが勢いよく割れる音が聞こえきますぜよ。もちろん、割れてしまうと商品価値はなくなりますので、そうならないようにガスバーナーでの油抜きの加減をしていくのです。炙り時間が短いと竹に含まれる油成分が出切っていないので、ウエスで拭き上げるにしても、綺麗に拭き取れずムラが出てしまいます。反対に時間が長すぎると焦げる事もあれば竹割れを起こす事もあるのです。


油抜きをする際の熱を利用して竹の曲がりを矯めていきますが、この矯めの工程でも、熱の入れ具合により音を立てて割れる場合があります。こんな小さな穴ひとつで、そんな割れを未然に防いでいるのです。ところが、この穴も全ての竹材に開けるという事ではないがぜよ。丸竹のまま使う場合には穴を開けて出来るだけ割れない工夫をしよりますが、短く切って加工していく材料には開けてないのです。


これは、こんな小さな穴からでも湿気が入り、竹の内側にカビなどが発生する事があるからなのです。切断面を見せる寸胴など花器に加工する場合は、火抜きの熱の入れ具合により、黒ずみがシミのように見えますので油抜きには慎重な作業が要求されますけんど、それと同じように竹の外側の美しさばかりでなく、切ったり、割ったりしないと分からない竹の内側の美しさまで心を配る職人気質、まっこと、知れば知るほどに竹職人の技と深い愛情に驚くばかり。室内装飾用、あるいは加工用として厳選に厳選して一本づつ大切に生み出される、京銘竹の伝統と凄みを感じずにはおれないのです。













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京都の真竹

2015年6月17日

真竹水洗い


竹と言えば虎竹の里と自分達は思いよります。それは虎斑竹(とらふだけ)という日本唯一の虎模様の入る竹が、ここにしか成育せず、他の場所に移植しても不思議な事に美しい柄が出ることがないからなのです。虎竹は淡竹(はちく)であり、竹細工に多用される竹のひとつですけんど、もうひとつ日本には真竹という代表的な竹があるがです。今日は、この真竹について、ちっくとお話しさせていただきますぞね。


普通、皆様が「竹」と呼ばれる時に頭に思い浮かぶのは、孟宗竹か、淡竹か真竹かの3種類の事が多いがです。それだけ一般的に目にされる機会も多い竹だと思います。先ほど言いましたように虎竹は淡竹の仲間ですが、同じような太さ、高さの竹で真竹という竹は全国各地に生育しちょって、節間の長さ、身の厚み、粘りやしなり等から竹細工には最適の竹ながです。


お米にしろ、野菜、果物なども寒暖の差が大きいと美味しいと言われますが、実は竹にも同じ事が言えて、寒暖の差が竹の品質に大きく関わるようです。日本全国に質のよい竹というのがありますが、土質や竹林環境は違うものの気温差という条件は似ている気がしちょります。京都の真竹が良いと言われるのも、盆地で寒暖の差があるからですろう。伸びが良く、身が厚く、質のよい真竹、けんど、さらに京都の真竹の名声を高めるのは竹職人の晒しの技なのです。


竹は青竹のままですと耐久性に劣りますので、必ず油抜きのという余分な油をとる加工が必要なのです。「晒し」と言うのは真竹の油抜きという加工した後に、天日に干して晒す事から「晒し竹」と呼ばれちょりますが、こうして製竹される竹は、よくご覧になられる事も多い白竹ですぞね。この加工での京都の竹屋さんでの真竹の扱いは「むむむ、さすが...」と思わせるものがあり、それが、まず一本一本丁寧に柔らかいブラシ等を使う洗いなのです。真竹の油抜き加工には、熱湯で加工する「湯抜き」と「火抜き」という二つの方法があり、それぞれ違いがあるがですが、湯抜き加工しか行わない竹屋さんから見たら、この水洗いは衝撃ぜよ。熱湯を使い仕上げていく場合には、水洗いなど考えた事もないからです。


真竹加工用ガスバーナー


けんど、京都の竹屋さんでは時間をかけて職人さんが手洗いしよります。こうやって綺麗に汚れを落とした後にガスバーナーで火抜きするのです。この油抜きの違いは湯抜きは竹内部の成分が全て抜けるので、割れが入りやすくなるのに対し、火抜きは比較的割れが入りづらいと言います。これは火抜きにより竹の油成分が表皮に染み出して、ある種のコーティングされたよう状態になるからと職人さんは話されます。


割れに常に気を配り、注意を払っているのは、京都の真竹は加工用としての用途もさることながら、京銘竹として室内装飾などに利用いただく機会が多いからなのです。火抜きの前の水洗いなど手間を惜しまない加工の工程も、ツルツルとなめらかに仕上げられる美しい竹肌をそのまま活かす製品なら用途の地域性があるからと感じます。火抜きの際に竹の油分を拭き取るウエスがありますけんど、あらかじめ水洗いして汚れを落とした竹です。竹虎の工場での虎竹の火抜きに使うウエスと比べると断然綺麗なものでした。火抜きの前に既に余分な汚れが十分に取り除かれている証です。


京の真竹が真っ白というよりベージュがかったような特有の光沢を放つのは火抜きのせいであるのですが、その真価が問われるのは、実は加工直後の竹ではありませんぜよ。時が経てば経つほどに深まる飴色のような色合い、静かにではありますが貫禄と風格を、さりげなく漂わせる晒竹の迫力、歴史のある京都だからこ育まれた、竹文化の一つではないかと感じるがです。













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竹を逆さに立てる、もうひとつの理由

2015年6月 6日

  晒竹(真竹)


皆様ご存じのように竹は元の方が太くて先端になるに従い細くなりますぞね。だから、竹を壁に立てかける場合にはウラ(先端)を下にするのが普通ながです。もし、元を下にたてかけていったとしたら最初はエイかも知れませんが、段々と元の部分ばかり前にドンドンと張り出してきて、しっかり整理して保管することが出来づらくなってくるのです。


竹は伐採時期が決まっちょって、一時期にその年の竹が全て出そろいますので、竹の量が大量に工場に入って来たときなどは、ウラと元と交互に立てかけていくなどという裏技もあるにはありました。今ではそんな事は夢のような話し、懐かしい思い出話しぜよ。長尺の竹もそうですが、1メートル程度に短く切断して、2箇所、3箇所紐で縛った竹束なども元の方を下にして置いたら最後、その衝撃で紐が緩んで束を再度縛りなおすような事にもなりかねませんぜよ。細いウラの方を下にして立てると反対にギュッと紐がしまるのです。


さて、竹を逆さに立てかける理由は一応そんな所なのですが、専門の方でも案外しらない、もう一つの理由というのが実はあるがぞね。それはベニカミキリに代表される竹の虫対策なのです。おっと、そうそう、竹を虫が食うことすら、あまり知られちょりませんが、竹細工に一目で穴と分かるような大きな虫食い穴を作るのが、この虫と、タケトラカミキリという名前は「タケトラ」と付くものの、「竹虎」とは随分違う外来種の害虫ながです。


竹皮


この竹を食う悪い虫たちが卵を産み付けるのが竹節にある小さな穴。この穴は竹皮が竹節に付いていた時の名残で、竹はこの、竹皮を一枚また一枚と脱ぎ捨てながら伸びていきます。ポロリと竹皮が剥がれ落ちた時に竹皮の付いていた穴は竹節部分に残ります。虫たちは、この竹節の穴を狙って卵を産み付けるがですが、問題はその時の虫の格好なのですが、足を竹節の出っ張り部分に引っ掛けるように逆さになり生み付けるので、竹のウラを上に向けて普通に立てている状態だと虫が竹節を利用しやすく、卵を産み付けやすい状態になっているのです。反対にウラを下に向けていると竹節の引っかかりは下を向いており、悪さをする虫たちも、卵を産み付けにという訳ながです。


竹には「割れ」と「虫害」という二つの大敵があって、昔から山の職人も、竹屋も、竹職人もこれと向き合うてきました。現代人の竹離れ、いえいえ「竹忘れ」が進んで竹に携わる人口は、年々少なくなっていく一方ではありますが、竹を逆さに立てかけること一つにも、こんな深い理由があり、それを頑なに守り続ける、誇り高き竹人の魂にふれるごとに自分も奮い立つ思いで、嬉しくなってくるがですぜよ。













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孟宗竹という日本最大級の竹

2015年6月 3日

孟宗竹


孟宗竹(もうそうだけ)は、中国原産の竹で、仏教と一緒に日本に渡って来た竹なのです。一番最初に入って来たのが京都であるか、鹿児島であるか、諸説ありハッキリとした事は残念ながら分かっちょりませんが、一番自分が申し上げたいのは、いずれにせよ日本に来て数百年の竹ぞね。それが、現在では日本各地どこに行っても人の暮らす里山には見られるようになっているという所を注目してもらいたいがです。


現在日本には約600種類のもの竹類があるがですが、その中でも20数メートルの大きさに成長する最大級の竹であり、これだけ成育地域が広がっているという事が、昔から様々な用途として重宝されてきた証ではないかと思うがです。


京都を訪れた際に、美しい竹林に清々しい気持ちになられた方も多いのではないですろうか?手入れの行き届いた孟宗竹の竹林では筍が栽培されよります。今では安価な筍が輸入されるようにもなって、名産地やブランド筍以外の竹林では筍を掘ること少なくなり、いわゆる放置竹林と言われるような所が多くなりつつありますが、かっては日本中の孟宗竹の林では毎年季節になれば筍の収穫が行われ、伐採された竹は建材や農業、漁業用、竹細工用として有効活用され、美しい景観を保つと共に、人と竹との良い関係が続いてきたがぞね。


伐採しても毎年のように筍を生やし、驚くような成長力と、一年通して青々とした葉を茂らせる生命力は、昔から神秘的なものとして崇められ、様々な神事にも使われよりますが、人の管理ができなくなると反対にその逞しいパワーが仇となり、竹林の拡大などの問題とも言われる事がありますが、孟宗竹の放置竹林で悪いのは、もちろん竹の方ではなく、管理できなくなった人間の責任であり、竹の有効活用を出来ていない竹に関わる自分達の責任であるがぜよ。


孟宗竹は太く、身も厚く、竹としては実は様々な加工に適応する素晴らしい素材でもあるのです。虎竹の里には、当たり前ですが孟宗竹はあまり増やしていません。虎竹の竹林ばかりなので竹虎の細工で使う孟宗竹は、全て遠くの竹林までトラックで取りに行きよります。


しかし南方系の植物だけあって、やはり温暖で雨の多い気候の孟宗竹は育ちがエイですにゃあ。高知もそうですが、孟宗竹の竹林面積が日本一という鹿児島はじめ、九州の孟宗竹にはビックリするような太さのものがあります。反対に東北地方など寒い地域では同じ種類の孟宗竹であっても、もしかしたら違う種類?と思われるほど少し小ぶりなものが多いのです。


けんど、少し余談になりますが、雪の残る季節に東北の孟宗竹の竹林に行った事がありますぜよ。竹葉や節に真っ白い雪が積もる様は神聖ささえ感じられ、本当に心が洗われるように美しいものやったがです。とにかく雪の中でも竹の生命力は衰えることなく緑の葉を茂られちゅう、この白と緑の色合いのコントラストが、何とも素晴らしいがです。そして、雪の重みで大きく竹が曲がながらも、じっと耐えている竹の姿、雪の竹林は、まっこと感動に溢れちゅうと思うたのです。


さて、話しをもどして孟宗竹の太さをそのまま活かした竹ワインクーラーの事なのですが、こちらは、ずっと前からずっと定番でご愛顧いただく、天然の孟宗竹の特徴をそのまま活かした商品の一つですけんど、一番大変なところが自然の丸竹をそのまま活用する所ぞね。丸竹となれば、太さや形にバラつきがあるという事ながです。一つの竹林でも竹の太さ、形、性質には違いがあり、伐採した竹の、ほんの極一部しか材料として使える竹がないのです。


竹ワインクーラーは少しリニューアルして風合いを変えちょります。日本最大級の竹の迫力をご家庭や店舗様でも感じていただきたい、そんな思いは前々から何ら全く変わりません。沢山伐採する時に、太い孟宗竹だけを特別に選別して、工場内に大事に保管するようにしちゅうがですが、乾燥による割れや虫害などを選り分けて加工していくと、広大で無数にあるように思える竹の中から、製品としてお届けできる竹は意外なほど少ない事が分かるがです。













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胡麻竹の作り方

2015年5月19日

胡麻竹(ゴマダケ)


胡麻竹(ゴマダケ)は、文字通り竹の表皮にゴマ状のブツブツができる何とも変わった竹ではありますけんど、これも銘竹として茶華道では珍重されてきたがです。竹虎の本店で製品として一番多かったのは、やはり寸胴と呼ばれる花器でした。このゴマ柄と言いますか、いやいや柄ではないのです。手で触るとまさににゴマのような感触で本当に小さなゴマが付いたようぜよ。それが竹全体に均一に入った大きな竹が製品にされちょったのです。


実は、このゴマ竹については小さい頃から竹林で遊んだ自分達にとっては、まったく馴染みのない竹材ではなかったがですぜよ。竹は驚くくらいの生命力と成長力とがありますが、たまに何かの拍子で立ち枯れのような状態になった竹が竹林にあるのです。枯れて軽くなってしまっている竹を掴んだ時に、あれっ?と思うのが竹表皮に付いているゴマ状のブツブツ、まさに、これが胡麻竹やったわけです。


自然にできたゴマ竹


別に立ち枯れしているものだけではなくとも、竹を伐採して積み込んである竹に雨等がかかり、湿気が抜けず、湿ったまま長い間置かれていても、同じようにゴマ状のものが出来ている事があります。このような竹は、竹自体が傷んでいますので銘竹にはなりません。


ゴマ状のブツブツが出来る原因は、アピオスポラ・シライアナ(Apiospora shiraiana)又はアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)と呼ばれる糸状菌(カビ)の作用によると言われちょります。そういえば虎竹の山を研究に来られた京都大学の先生も、虎竹の模様は特殊な細菌のせいとも話されていたそうですぞね。竹には、このような菌による作用が多々あるがです。その菌の作用を人がコントロールして、より美しい銘竹に作り出すのが京都の銘竹の技ながぜよ。それなら、どうやって胡麻竹は作られるがですろうか?


胡麻竹の作り方


この孟宗竹の竹林には、ある部分にだけ異様な光景が目につきます。何か変だと思われませんでしょうか?そうながです、竹の先端が切りとられていて枝葉がないのです。実は、これが胡麻竹の作り方そのものながぜよ。3年から5年の孟宗竹は十数メートルにもなりますので、長いハシゴで先の方まで登り、先端と枝葉を切り落としてしまうのです。こうすると光合成のできなくなった竹は立ち枯れ状態となります。これを3月頃にしておいて、後は放置するだけ。あと胡麻竹に必要ものは適度な湿気ですろう。梅雨を経て秋以降くらいには菌のうまくついた竹には綺麗なゴマがつくそうです。その年の天候などにより胡麻竹の出来具合が違うというのは、こうやって人の手は加えるものの、その作り方には、ほとんど自然の力による所が大きいせいなのです。


けんど、こうやって竹林のある一箇所にだけこうやって胡麻竹を作るようにしているのは、先に出ました舌を噛みそうな細菌がそれぞれ発生した時に、近くに立ち枯れの竹が集まっていた方が菌がつきやすいためだそうです。まっこと、けんどこの枝葉のない竹林の光景も珍しい景色ぜよ。テレビに「なんとか珍百景」という番組がありましたが、これこそ「竹珍百景」のひとつですにゃあ。













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見事な青竹染色の技

2015年5月13日

青竹染色


青竹の清々しい色合いは日本人なら誰しも本当に心地よく感じる色合いだと思います。これからの季節、この青竹に入った羊羹なども和菓子屋さんどで良く目にするようになりますろう。見た目にも清涼感があり、冷たいお茶などと一緒に、つい手にしたくなる甘味となって定着しちょります。


この青竹の色合いと、スパッと切った竹の身の白さのコントラストが、日本人が一番好きな色の対比だと聞いたことがありますぜよ。そういえば一年で一番大事なお正月の門松も、ちょうど、この色合いになっていることを思いだしますちや。青竹の瑞々しさから季節の食器としても使われる事もありますぜよ。食材を盛り付けたり、酒器や杯としても多用されよります。ただ、この青竹には一つ難点があるがですが、それが、退色なのです。美しい青い色合いは、まっこと一時のもので、酒器や杯など切り口から、みるみる青みが抜けてゆき、落ち着いた色合いに変わっていってしまうのです。


今まで、この退色を解決すべく人工的な染色技術や塗装が繰り返し試されてきて、そのいくつかは製品としてもあるのですが、なかなか自然の色合いに勝るものは見る事ができなかったのです。ところが、先日、かなりリアルな青竹に迫る竹を拝見したがです。自分が手に持っているのが染色した青竹で、その横に並ぶのが自然の青竹ぞね。こうやってお話しますと違いが分かるかと思いますが、これが室内装飾や何か竹製品になって置かれていたら、恐らく気づく方は少ないのではないろうか?竹の技術もこうやって少しづつ進歩していることを見せてもろうて、まっこと嬉しい竹との出会いやったのです。













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まだ続く、京銘竹、角竹作り

2015年5月11日

角竹作りの竹林


筍が次々に生えだしている明るい竹林です。ここは、最近まで筍栽培用とされていた所との事ですので、竹のウラ(先端部分)が切り飛ばされちょります。実際には切るのではなく、ある程度大きくなった時に揺さぶり折るのですが、こうする事により、枝が少なくなった竹林には、太陽の光が多く差し込み、土中を温めてくれますし、強い風が吹いても竹の揺れが小さく、竹根を傷めないとの事なのです。筍収穫用の竹林はすぐに分かりますぞね。竹の先端がポキリと折れたような竹が並んでいます。今度竹林を見る機会があれば、是非注意深く見てもらいたいがぞね。


へこみ角竹


満足いく角竹ができる確率が半分とも話しされちょりましたが、筍に対して木枠が大きすぎると、綺麗な角竹にはなりませんし、反対に木枠が小さいと、竹中心部にへこみができたりするがです。木枠は大きすぎても、小さすぎてもダメ。ちょうど筍の成長ぶりを見越してピッタリの木枠を取り付ける、この角竹作りの大事な部分は竹林での竹と職人との対話に尽きるのです。


木枠から頭のでる筍


筍の成長は、まっこと早いがですぞね。見る見るうちに伸びるというのも大袈裟ではないほど、一日に1メートルを超えて大きくなる驚くべき成長力なのです。前にはめ込んだ木枠から頭を出して伸びている筍を見つけましたぜよ。さて、これからどうするかと言うと...。


角竹作り


「ヨイショ!」と声を揃えて二人がかりで木枠を下から持ち上げます。下の部分は既に木枠で四角形に固まっているので、筍の成長にあわせて木枠を上へ上へとズラしていくのです。清水銘竹店の職人さんが、人の合わせるのではなく、竹に合わせる、という自分達の仕事の事を話してくれましたが、意味が少しづつ分かってきましたぜよ。


角竹作り途中の竹


木枠が外された竹を触ってみると見事に四角形の形になっちょります。なるほど、これが角竹になった瞬間か...。しっとりと湿気を含んだ竹皮の下に角張った形を確認して嬉しくなります。竹皮の表皮には細かな毛が生えています。この短い毛のお陰で滑りやすくなり木枠をズラしていくときに役立っているようです。竹虎では竹皮草履や包材としても利用する竹皮ですが、やっぱり、なかなかスグレモノなのです。


木枠を筍に合わせる


見上げるような、ずっと上の方にまで木枠が上げられました。こうして木枠を使う工程は5月一杯くらいまで続くそうです。木枠の先端から筍が更に伸び枝がでる頃になると木枠を外します。この頃になったら梅雨がそこまで来ちょりますが、木枠をしたままの長雨は箱の中が蒸れて竹が傷むので、それまではに作業を終わらせねばなりません。角竹作りは、自然そのものが相手ながです。その年の筍の成育、気象条件、その時々の天候など、複雑な要素のからまる中で、毎年変わらない品質の竹を仕上げつづけるのは、長年の伝統の技術と、竹への愛情ではないかと思うちょります。


美しい角竹


角竹で意外に知られていない事は、角竹は全て一年竹なのです。木枠を外してそのまま竹林で成育させておき、11月には伐採するというのは自分達の虎竹からすれば、ちっくと考えにくい事ではありますけんど、職人技により創られる角竹は慎重の運ばれて油抜きして、このような見事な、まさに京銘竹と呼ぶにふさわしい、威風堂々とした竹になっていくのです。













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清水銘竹店の角竹作り

2015年5月 9日

京都の角竹作り


「自分達は予想屋や...」


まず最初の言葉に何!?とビックリさせられると共に、並々ならない竹への自信と愛情を感じて嬉しくなりますぜよ。予想屋というのは、その筍が一体どのくらい成長するのか分からない段階で、サイズの決まった木枠選び、はめ込んでいくからなのです。だから、木枠を決める工程は真剣勝負そのもの。部外者に立ち入ってもらっては困るという厳しい雰囲気ですぞね。


この日、木枠を決められていたのは清水さんの弟さん。近年まで筍畑だった陽射しのタップリ入る竹林で兄弟二人で働かれゆうがです。久しぶりにお会いする弟さんは若い頃には竹を運ぶためにトラックで何度も竹虎にお越し頂きよりました。あの頃に比べると白髪は増えたけんど、角竹作りの職人としての凄みの増し方は、それどろこではない、現場では声もかけられないほどの迫力ながです。


角竹用木枠


木枠は数百本あるとの事やったのですが、それぞれサイズが明記されちょり、太さが細かく別れていて、どんな太さの筍にも対応できるように用意されています。角竹に作る筍はその竹林でも1番筍か2番筍に限るそうぞね。それ以降の筍は成育も悪く大きくなりきらないものもあるそうです。けんど、「予想屋」と自らを言うだけあって、頭を出し始めて伸び出した筍に、それぞれ決まったサイズの木枠をはめるのは、長年この仕事をされてきた職人さんでも非常に難しい作業ですろう。


清水銘竹店、清水さん


木枠をはめ込んだら数カ所を紐で固く縛っていく作業があります。こうすることで丸く成長する筍の形を木枠でギュッと抑え込み、角い形にしていくのです。


竹製コミ栓


職人さんの傍らに置かれた竹籠にはコミ栓と言われる半割した竹をハス切状にしたものが入れられちょりました。何に使われるのかと思っていましたが、木枠を部分的に締めたい場合には、縛った紐部分にコミ栓を打ち込み、更にきつく調整をされているのです。


竹小枝


ふと横に置かれちゅう木枠を見ると枝打ちしたばかりの小枝を切って、コミ栓にされているものもありましたぜよ。本当に微妙な調節はこんな風に、その場の職人さんのカンと工夫です。こんな細やかな仕事ぶりが、自分が小さい頃から竹虎にも沢山立てかけてあった、あの見上げるような立派な角竹に繋がっていたのか...!?「この竹は、どうして角い形やろうか...」小さい両手で角竹をなで回していた日の事が蘇ってきて、まっこと、感動してしまうのです。


角竹作り竹林での作業


木枠を決めてはめ込んだ後は周りの竹に紐を張って固定していきます。青い竹が無数に生えている竹林に色も鮮やかな白い紐が張り巡らされた様子は、他ではまず見ることがない、この辺りの竹林だけの景色です。まっこと、知らない方がたまたまご覧になられたら、一体何事かと、幻でも見たかのように目を何度もこすって驚かれるような光景ですぜよ。













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京銘竹、角竹作り その1

2015年5月 8日

角図面竹


さて、先日竹セリ市で銘竹を色々と拝見させてもらいました。実は、竹虎には特産の虎竹ばかりがあるように思われちょりますが、今は少なくなったものの祖父の代から集めてきた県内外の銘竹が沢山あり、自分も小さい頃から、虎竹と同じように、この銘竹が暮らしと共にあったがです。大学卒業してから一人で住んでいた離れの玄関は、もともと一番最初の店舗だった所で天井が5メートルほどの高さになっていて、各地から来る色々な銘竹置き場になっていましたので、朝晩行き帰りに毎日観て、毎日触れていた馴染みの竹達でもあるがです。


そんな銘竹の中でも京都で作られる角竹という竹があるがぜよ。竹は丸いのが常識かと思いますがこの常識に真っ向から挑戦して、誰も見た事のないような角い竹を創り出す先人がいるから、まっこと竹の世界というのは面白いがぜよ!


清水銘竹店、清水さん


京都の清水銘竹店さんは祖父の代からのお付き合いのある老舗竹屋さんぜよ。自分も学生時代や修行中には運転手の助手として大型トラックに竹を満載して、京都まで何度か走ってきた事があるがです。小さい頃から角竹は良く目にする竹であり、木枠にはめて作る事を竹虎に来られていた清水さんのお父さんや、祖父から聞いていました。けんど、話しに聞くだけで実際に見た事がなかったので、今回、どんな仕事をされているのか様子を拝見させていただける事になり、まっことドキドキワクワクやったがぜよ。


京都の孟宗竹林


京都は孟宗竹の筍の栽培が盛んな地域でもありますぜよ。こちらの筍と高知で自分などが職人さんから頂く筍の違いは、土の中にあるか、土の外にあかるやろうか?高知では土から出て大きく育った筍を食用にしますぞね。穂先筍というて人の身長より高くなったような筍を採る事もあります。ところが、京都の筍は土の中にある真っ白く柔らかい筍ちや。土から出て黒くなった筍は「クマ」と呼ばれてあまり食されないようです。


まあ、それはさておき角竹作りは、そんな筍シーズン真っ直中の竹林で行われるがぜよ。手入れの行き届いた竹林は、まさに筍畑ちや。こんな美しく気持ちのよい職場は、何処を探してもちょっと他にいはないがぞね。


角竹用木枠


これが角竹作りに使われる木枠ぜよ!高知でこれを見みせたら、鰻を捕る道具かよ...?などと言われそうなくらい、まっことソックリですぞね。竹製で編まれたウケの他に、ちょうどこんな大きさの木枠でつくられた細長い鰻捕り用の道具が使われちゅうがです。けんど、これは鰻などとんでもないがぞね。角竹を作る筍用として使われる伝統ある道具なのです。清水銘竹店さんでも、お父さんの代から40年、50年と大事にしながら、ずっとこの木枠を毎年使って角竹作りをされてこられちゅうのです。


孟宗竹林にて清水さん


どうやって筍に木枠をはめていくのだろうか?自然の筍だから同じ大きさのものとかあるはずありません。また、その時々により筍の成育状態も違いますろう。1日に120センチも伸びることのある爆発的な成長力のある筍相手やき、まっこと、想像もできないような苦労があるのではないろうか?


「明日は作業があるさかい、見せてあげるよって」


竹林で見る職人さんの姿は、本当に格好がエイものです。自分達の仕事や竹林に並々ならぬ自信と誇りを感じるがです。


竹材置き場


竹葉の敷き詰められた竹林の中にリンが置かれちょります。伐採した竹を積み上げて保管する場所になっているのです。考えたら、この辺りの竹林は平地が多いのです。手入れの行き届いた竹林は差し込む陽射しも柔らかく絶好の竹置き場ぜよ。


竹の養生


ふと見ると、竹置き場にある一本の竹の根元何やら巻き付けられています。竹を積み上げた時に、当たってキズなどが入らないようにという、この竹への思いやりですぞね。こうやって竹を愛しむ仕事人の方々です、創り出す角竹は、さぞ素晴らしいものに違いないと期待が高まるのです。













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竹のセリ市 その2

2015年5月 5日

芽付竹


銘竹のセリ市が滋賀と京都で今も続いているのは、竹が茶華道と深い繋がりがあるからながです。この芽付竹なども竹の枝を長さを揃えて切られちょります。節部分の油抜きには手間がかかるとの事ですが、そんな事を全く感じさせないような美しい仕上げになっているのです。しかし、このような茶室などに多用される竹は、一般のご家庭では見ることはありませんし、普通の方が来られると「一体何のためにこのような竹があるのたろう?」少し不思議に思われたりするかも知れませんちや。


しゅみ竹


しゅみ竹という独特のシミのような模様の入る銘竹も展示されちょります。このような竹も見た目の渋さが好まれて、切りっぱなしの竹に銅板をはめ込んだ寸胴と呼ばれる花器にもされてましたし、職人さんによっては景色のよいところを茶杓などにも作られるのです。


矢竹


こじゃんと綺麗な矢竹もありましたぜよ。矢竹は文字通り、昔の合戦などに使われた弓矢の矢にする竹ぞね。有名な武士が弓矢用にするのに、矢竹を庭に植えたものが、今に伝わっていると言うのも聞いた事がありますが、この竹は細さが、ほぼ均一で伸びがよく、比較的真っ直ぐ、そして、節が低い事から矢に適しちゅう竹なのです。


竹は、しなやかで柔軟なイメージがありますけんど、この矢竹を加工して火入れして矯められたものは、ビックリするくらい硬く丈夫になっちょります。三本の矢の話しがありますろう?一本なら折れる矢が三本なら折れない話しですが、まっこと、あの硬さで三本なら、簡単には折れませんぜよ。竹は、こんな柔と剛の相反する特製を併せ持つ不思議な素材ながです。


竹セリ市会場


それにしても、というのはエイです。こうやって選りすぐられ、それぞれの竹職人が手塩に掛けた竹たち。普通は竹細工といえば、竹を編むとか、何かを作るとか、そちらにばかり目がいくことが多いですけんど、ここにズラリと立ち並ぶ竹そのものにも伝統の技と職人魂がこめられた竹文化の結晶と言えるがですぞね。心地よい初夏の風が吹き抜ける展示場は、本当にいつまでも居たくなるような心地のよい空間になっちょりました。


煤竹


圧巻の煤竹が、やはり目を引きますにゃあ。縄目がクッキリと付いて、これが数百年という長い年月を経て、自然にできたものは信じられないようなデザインの見事さです。滋賀県の北部の方にいくと気温も低く一年の内かなり長い期間、囲炉裏に火を絶やさなかったと言います。そこで、煙にずっと燻されこのような濃淡がハッキリとした、誰かから手で描いたと聞いても納得しそうな煤竹が生まれるのです。古い民家では300年と聞きますので、まさに時というアーティストが創作した芸術作品なのです。


煤竹


もちろん、この煤竹も最初からこの美しい輝きを放つワケではないぞね。真っ黒く煤けた竹を一本、一本手入れして油抜きをして磨き上げる、竹職人の技がプラスされてこそ数百年の時を超えた竹に新たな生命を授けることができるがです。ただの汚れた竹として、その役割を終えるのか、次の世代に受け継がれて又数百年、人のお役立ちをさせてもらえるのか、竹職人の腕にかかっちょりますので、やはり職人は凄いです。


変竹


変竹(へんちく)と呼ばれる、少し変わった曲がりのある竹も、お茶室などの設えなどに使われる事があるようです。定番の竹ではありませんが、このような竹も銘竹として珍重されるのが日本の竹文化の一面でもあるのです。


竹セリ市


この竹のセリ市は63年間という長い歴史のある竹材業界の最先端の一大イベントであり、情報交換の場でもあります。昔の隆盛を知る方からは、ちっくと寂しい声も聞かれますが、いやいや、今の時代の中での竹のあり方を思えば、これだけの銘竹が並び、人が集い、セリ市が開催されちゅう事こそ、竹業界のひとりひとが誇るべきぜよ、素晴らしいではないですか!日本人と竹は数千年の歴史と付き合いがあり、竹はずっと生活の中にあったがです。竹虎では1985年から「21世紀は竹の時代」と言うてきましたけんど、忘れたように見える竹は、必ず竹は思い起こされる日がきますぞね。竹のセリ市は、そんな事も感じさせてくれたのです。














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