竹林のカラスとは!?

2015年9月 3日

京都の竹林


先日より、京都の図面竹のお話しを何度かさせていただきましたぜよ。梅雨明けの7月から8月上旬にかけて、お天気を睨みながら竹に薬剤を塗布していく作業は、雨が降ると薬剤が流れてしまうため、まっこと(本当に)その年の天候まかせやったです。また、お盆過ぎになると京都の盆地特有の暑さのため、竹の薬剤塗布部分には汗をかくと言うきに凄いものですちや。


けんど、薬剤塗布の作業が終わったら一段落ぞね。後は、11月まで放置しておくだけやそうなのです。できれば初霜が降りて竹が固まってから伐採するとエイとの事ですが、近年の温暖化では、なかなかその時期に霜は期待薄かも知れませんにゃあ。それにしても、虎竹も霜が降りると虎模様が付くと言われていますので、竹と霜との関係も容易成らざるものがあるようです。


さて、そんな竹林の中で一風変わった一角が所々にあることを、前のお話しの中でさせて頂いた事があったかと思うのです。先端を切り飛ばした上に、枝を全て打ち落とし、裸になったような竹の稈だけが、まるで棒のように突っ立ているがぜよ。


胡麻竹


これは一体何かと言うたら胡麻竹を作っていたのでした。竹林で自然に立ち枯れした竹にアピオスポレルラ・バンブサエ菌という、何度聞いても覚えられない名前の細菌が作用して、自然に胡麻状のツブツブができる場合もあるのですが、京都のこの竹林では人工的に、胡麻竹を銘竹として生産しているのです。


明らかに他とは違う胡麻竹を作っている一角に歩いて行っていると、何やら普通の孟宗竹とも違うし、胡麻竹とも違うような、少し黒っぽくなった竹がありますぞね。不思議に思っていたら職人さんが教えてくれます。


「これはカラスや」


カラス竹


えっ?竹にカラスいう種類があるのかと思いよりましたら、何でも胡麻竹を作っている中で意図せず黒っぽくなる竹があるそうで、このままでは胡麻竹としては売る事は出来ません。そこで、カラス竹という名前をつけたとの事やったのです。自分の学生の頃には前進真っ黒な服装をした人達が、カラス族と呼ばれたりしちょりましたが、黒い竹に、上手な名前を付けられたものですぞね。


ほとんどの竹が胡麻竹に成っていく中で、熟練の竹職人さんでさえ思い通りにできないカラス竹とは、希少価値もあって値打ちがあるがではないろうかと思うがぜよ。黒竹という、黒い竹はありますが、細く背丈も低い竹なのです。孟宗竹のような立派な太さのあって黒く色をした竹など、自分達でも、あまり見る機会はありません。これが一体どんな色艶の竹になっていくのか?落ち着いた渋い感じで自分は好きな感じなのです。













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図面竹の竹林 その2

2015年8月19日

図面竹の薬剤


清水銘竹店の清水さんが硫酸と硝酸を混ぜ合わせた薬剤を作っています。


「あのブルーシートの養生でっか?」


「まあ、仕事を始めたらすぐに分かりはりますわ」


そう言うて笑いながら今度は軽四トラックの荷台に積まれた袋から、何やら取り出しているのです。


図面竹の薬剤


図面竹を創るのに塗りつける薬剤は硫酸、硝酸を混ぜた液体に、今度は砥の粉や近くの山から集めてきた砂混じりの土など、適量混ぜて作られているのです。液体だけだと竹表皮に固定されにくく模様は付きにくいのですが、ある程度粘度を持たせた液剤は竹に付きやすく、砂混じりの土が竹表皮に細かいキズをつけて薬剤の浸透を助けると言うがです。この薬剤などは当然職人さんにより分量が違いますが、その時々の気候や、その日の仕事の竹などにもより、薬剤の分量は微妙に加減をされているとの事やったのです。


図面竹薬剤塗布用の道具


この薬剤を図面竹に付けていく道具が又面白いがです。3メートル用と4.5メートル用の二本が用意されちゅうのは3メートルの高さまでと、それ以上の高さとで、それぞれ道具をやり変えるからぞね。


図面竹薬剤塗布作業


低い場所に薬剤を付けるのに、わざわざ重く長い道具は必要ありませんし、高い場所には短い棒では届かないのです。まっこと薬剤塗布ひとつとっても、このようなノウハウがあるがやにゃあ。


図面竹薬剤塗布作業


見上げていると首が痛くなるような高いところまで薬剤を付けちょります。だいたい5メートルくらいの高さまでを目安にされよりました。けんど、よくよく作業を見ていたら、薬剤を塗布するというより、先端部分を叩いているように見えますぞね。


いやいや、更によく見ていたら叩いてから先端を竹表面に擦りつけているような動きです。実はこれが薬剤塗布の技のひとつであり、あとで図面竹の模様の付き方にも大きく影響されるようながです。薬剤には砂が混じっているとお話ししましたが、擦りつける事により砂で竹表皮にキズをつけているのでした。


図面竹薬剤塗布の道具先端


薬剤塗布用の棒の先端部分に使われちゅうのは、トラックの古タイヤを短冊状に切ったものながです。これなら弾力に富み、仕事もやりやすいように思いますが、このような道具一つできるのにも、恐らく試行錯誤があってから、ようやくこんな形に落ち着いているのだと思うのです。


図面竹薬剤塗布


薬剤が塗られた後の竹を拝見させていただくと、まだ乾いていないので赤土が塗られたように見えるのですが、このままの状態で11月以降まで置いておき伐採して更に加工を重ねるのです。同じような薬剤で、同じように作業しても、その時々の条件によって色づきの出来映えが違うというのは、長年の熟練の技も大自然には、やはり敵わないという事ながですろう。


図面竹の竹林にて清水さん


竹林から出てこられた清水さんの顔面マスクには液剤が飛び散っちょります。よく見たら帽子にも、上着にも、ズボンにも、劇薬を混ぜた薬剤の跡か残ります。なるほど、これだから、薬剤塗布の際の仕事では、暑いと言えども肌の露出を避けているのだと納得するのです。


京都の銘竹


「ここ見なはれ」最初に見てビックリしたブルーシートの理由を清水さんが教えてくれますぜよ。


京都の銘竹作り


キッチリ養生していないと、薬剤がこのように隣の竹にも飛び散ってしまうのです。このようになった竹は、職人の思惑と違う模様が付いてしまいます。竹表皮を使わない製品にするつもりの竹だと良いのですが、京都の銘竹は竹表皮が命ながです。この竹は残念ながら、表から見えない袖垣の芯等に使うしかありません。


京都の竹は茶道、華道の発展と関係が深く、竹への美意識が、もの凄く高い方が多いがです。そんな土地で鍛えられた竹文化だからこそ、一環して感じるのは職人さんの竹への愛情と、竹への誇りぞね。もっと早くから気づくべきやったがです。あの、しっとりした茶室で静かに湯気をたてる一服のお茶も、見事な手さばきで活けられよった一輪の花も、京都の美しい、この竹林から既に始まってちょったのではないろうか?ようやっと思い至って、しゃがみ込み、ずっと向こうまで続く竹の姿をまた眺めてみたのです。













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図面竹の竹林

2015年8月18日

図面竹


図面竹という銘竹も実は小さい頃から、ずっと馴染みのある竹ながです。京都で生産される竹で室内装飾などに広く使われてきた高級竹材ぜよ。竹の表面に虎竹と同じように模様が入った独特の風合いなのですが、大きな違いが一つあるのです。それは、日本唯一の虎竹は、安和の自然が創りだす天然の柄模様ですので、竹林の機嫌の成すがまま、人の手でコントロールできるものではありません。ところが、この図面竹というのは職人が竹に模様を付けてくいのです。つまり、職人技が創り出す竹という事ですぞね。


自分は、このような田舎にいながら、これらの美しい銘竹に触れる機会があって幸せやったです。そもそも竹虎は大阪天王寺が創業の地であり、取引先は関西が多かったという事もあり高知から虎竹を出荷すると、その帰りの空になったトラック便には京銘竹を満載させて入荷する、そんな行き来がずっと続いちょりました。


店頭に沢山立てかけられた図面竹は丸いモノもありましたが、四角い竹がほとんどで、一体どうしてこんな竹ができるのか?ツルツルした竹の表面を小さな手で摩りながら、子供心に、いつも不思議に思いながら見上げていたのです。


図面竹の竹林


人工の竹、図面竹が硫酸を使って竹表皮に模様を付けていくと知ったのは、それから随分と後になっての事ながです。けんど、本や写真で見たり、職人さんから話しを聞くなどして、知識としては知っているものの、実際に図面竹の色づけを見る機会はなかったがぜよ。


一つの理由に、その色づけの時期が一年でも本当に限られた時だけ。年にもよるようですけんど、だいたい2~3週間くらいの間だけの仕事なのです。それも、その年の気候や竹の成育などにより変化しますので、なかなか仕事を拝見するタイミングが難しかったのです。


しかし、そんな事を言うていたら、いつまで経ってもこの京都の誇る銘竹の現場に行くことはできません。昨年の冬前より昔からのお取引先様である清水銘竹店さんにお願いして、職人さんの仕事に合わせてでもお伺いしようと心に決めちょりました。そして、遂にその時がやってきたのがですが、前に、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でも紹介させていただいた角竹を創っている竹林がその現場でした。


図面竹の養生


けんど、一歩竹林に足を踏み入れると異様な光景が広がっちゅうのです。何?あれはブルーシートを竹に巻き付けちゅうがやろうか!?けんど、まさか...何のために竹に...近寄ってみると、まさに一本、一本にブルーシートが巻き付けられています。しかも、根元から4メートル以上も上まで、しっかり巻かれているのです。これは...今まで全く見た事のない竹林の景色に、ただ、ただ立ち尽くすしかなかったのです。













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青竹酒器のこだわり

2015年7月31日

青竹酒器用竹材


青竹酒器の青々とした竹筒にお酒を入れると竹の香りが移り、味も美味しくなるのはもちろんですが、見た目の清々しさも抜群なので新春のお祝いの席などに使われます。以前は沢山製造したこともあってホテルさんや旅館さんに収めよりました。最初の頃などは板前さんが青竹酒器を大事に扱いながら、少しでも青さを長持ちさせるようにと冷凍庫に入れるのに驚いたものです。まあ、それくらい青竹の色合いの良さを楽しめる期間は短いがですが、この猛暑続きの夜の宴に涼をよぶ野趣あふれる演出などにも、まっこと、これほど最適なものはないがです。


さて、山から同じような頃合いの竹を伐り出してきて並べらちょります。この竹を汚れを落とし節のところで切って酒器に加工しますけんど、この本数の竹で一体何個の酒器が出来るかやろうか?ひとつ、ふたつ、みっつ...節の数を数えて、だいたいこれくらいですか?と聞いてみたら大ハズレぜよ。


青竹


この職人さんの答えた数はなんと5個です。5本の竹としても節は沢山ありますので上下に節のついた筒状のものは、もっと沢山切り出すことができるよに思われる方もおりますろう。けんど、太さが揃わないという事ながです。竹は元の方が太くて、ウラ(先端)にいけばいくほど細くなっちょます。熟練の山の職人さんの中には、この元とウラの太さの違いをできるだけ無くすような竹の管理もあるそうですけんど、どうしても、やはり太さは違ってくるのです。


そこまで、こだわらない方もおられて1本の竹から酒器でも、御猪口でも出来るだけ作ることもあるかと思うのですが、確かに、お店でズラリと並べた時に太さが違えば、あまり格好良いものではないですにゃあ。どうですろうか?5本の竹から5個しか作らないと聞きますと、一つの青竹酒器のお値段が決して高いものではないと思うがですぞね。言わなかったら、竹が全て同じ太さで5個の酒器など、1本の竹で作れてしまうと勘違いされる方がもしかしたら居られるかも知れませんちや。かっては身近で毎日の暮らしにあった竹なのですが、そんな事を心配するほど日本人と竹とは、ちっくと距離が開いているのです。













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京都の真竹 その2

2015年6月18日

京銘竹白竹


湯抜きの白竹は白さが強調されていて、それは、それで晒竹の綺麗さというものを感じるのですが、火で油抜きされた白竹の魅力というのは又格別なものがありますぞね。火抜きされた何とも雰囲気のある光沢と美しい白竹の表皮をこじゃんと(とても)注意深く見ていくがです。そう、まるで虫眼鏡片手で探偵にでもなったかのような気分になって、じっくり、じっくり探していくと、ようやく見つけられる、小さな小さな穴が節と節の間の稈の部分に開けられているのです。


この穴は入荷した青竹を水洗いした後に、それぞれの節間に職人さんが極細の高速ドリルで開けられた穴ぜよ。けんど、わざわざ穴を開けるのはどうしてやろうか?話さない限り、大方の方が気づく事すらない穴の存在を知ると、何故、開けられたものなのか不思議に思われるのが普通ですろう。


白竹の穴


実はこの針の先ほどと言うても大袈裟でないような細かい穴は、青竹をガスバーナーで炙って油抜きしている時に必要になってくる穴なのです。竹の何処の部分にでも適当に開けている訳ではなくて、元の部分には必要ないですが、ウラ(先端)の方になるにしたがい、竹の身の厚みが薄くなるので元から2メートル程度の高さから上には、一つの節に一つの穴が開けられちゅうのです。


炎で竹を熱していくと節間にある空気が温められ膨張し、ついにはパンッと大きな音をたてて割れてしまう事あるがですぞね。竹虎の工場でも虎竹の油抜きが始まると、竹独得の甘い香りと、パンッと甲高い音を立てて節合いが勢いよく割れる音が聞こえきますぜよ。もちろん、割れてしまうと商品価値はなくなりますので、そうならないようにガスバーナーでの油抜きの加減をしていくのです。炙り時間が短いと竹に含まれる油成分が出切っていないので、ウエスで拭き上げるにしても、綺麗に拭き取れずムラが出てしまいます。反対に時間が長すぎると焦げる事もあれば竹割れを起こす事もあるのです。


油抜きをする際の熱を利用して竹の曲がりを矯めていきますが、この矯めの工程でも、熱の入れ具合により音を立てて割れる場合があります。こんな小さな穴ひとつで、そんな割れを未然に防いでいるのです。ところが、この穴も全ての竹材に開けるという事ではないがぜよ。丸竹のまま使う場合には穴を開けて出来るだけ割れない工夫をしよりますが、短く切って加工していく材料には開けてないのです。


これは、こんな小さな穴からでも湿気が入り、竹の内側にカビなどが発生する事があるからなのです。切断面を見せる寸胴など花器に加工する場合は、火抜きの熱の入れ具合により、黒ずみがシミのように見えますので油抜きには慎重な作業が要求されますけんど、それと同じように竹の外側の美しさばかりでなく、切ったり、割ったりしないと分からない竹の内側の美しさまで心を配る職人気質、まっこと、知れば知るほどに竹職人の技と深い愛情に驚くばかり。室内装飾用、あるいは加工用として厳選に厳選して一本づつ大切に生み出される、京銘竹の伝統と凄みを感じずにはおれないのです。













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京都の真竹

2015年6月17日

真竹水洗い


竹と言えば虎竹の里と自分達は思いよります。それは虎斑竹(とらふだけ)という日本唯一の虎模様の入る竹が、ここにしか成育せず、他の場所に移植しても不思議な事に美しい柄が出ることがないからなのです。虎竹は淡竹(はちく)であり、竹細工に多用される竹のひとつですけんど、もうひとつ日本には真竹という代表的な竹があるがです。今日は、この真竹について、ちっくとお話しさせていただきますぞね。


普通、皆様が「竹」と呼ばれる時に頭に思い浮かぶのは、孟宗竹か、淡竹か真竹かの3種類の事が多いがです。それだけ一般的に目にされる機会も多い竹だと思います。先ほど言いましたように虎竹は淡竹の仲間ですが、同じような太さ、高さの竹で真竹という竹は全国各地に生育しちょって、節間の長さ、身の厚み、粘りやしなり等から竹細工には最適の竹ながです。


お米にしろ、野菜、果物なども寒暖の差が大きいと美味しいと言われますが、実は竹にも同じ事が言えて、寒暖の差が竹の品質に大きく関わるようです。日本全国に質のよい竹というのがありますが、土質や竹林環境は違うものの気温差という条件は似ている気がしちょります。京都の真竹が良いと言われるのも、盆地で寒暖の差があるからですろう。伸びが良く、身が厚く、質のよい真竹、けんど、さらに京都の真竹の名声を高めるのは竹職人の晒しの技なのです。


竹は青竹のままですと耐久性に劣りますので、必ず油抜きのという余分な油をとる加工が必要なのです。「晒し」と言うのは真竹の油抜きという加工した後に、天日に干して晒す事から「晒し竹」と呼ばれちょりますが、こうして製竹される竹は、よくご覧になられる事も多い白竹ですぞね。この加工での京都の竹屋さんでの真竹の扱いは「むむむ、さすが...」と思わせるものがあり、それが、まず一本一本丁寧に柔らかいブラシ等を使う洗いなのです。真竹の油抜き加工には、熱湯で加工する「湯抜き」と「火抜き」という二つの方法があり、それぞれ違いがあるがですが、湯抜き加工しか行わない竹屋さんから見たら、この水洗いは衝撃ぜよ。熱湯を使い仕上げていく場合には、水洗いなど考えた事もないからです。


真竹加工用ガスバーナー


けんど、京都の竹屋さんでは時間をかけて職人さんが手洗いしよります。こうやって綺麗に汚れを落とした後にガスバーナーで火抜きするのです。この油抜きの違いは湯抜きは竹内部の成分が全て抜けるので、割れが入りやすくなるのに対し、火抜きは比較的割れが入りづらいと言います。これは火抜きにより竹の油成分が表皮に染み出して、ある種のコーティングされたよう状態になるからと職人さんは話されます。


割れに常に気を配り、注意を払っているのは、京都の真竹は加工用としての用途もさることながら、京銘竹として室内装飾などに利用いただく機会が多いからなのです。火抜きの前の水洗いなど手間を惜しまない加工の工程も、ツルツルとなめらかに仕上げられる美しい竹肌をそのまま活かす製品なら用途の地域性があるからと感じます。火抜きの際に竹の油分を拭き取るウエスがありますけんど、あらかじめ水洗いして汚れを落とした竹です。竹虎の工場での虎竹の火抜きに使うウエスと比べると断然綺麗なものでした。火抜きの前に既に余分な汚れが十分に取り除かれている証です。


京の真竹が真っ白というよりベージュがかったような特有の光沢を放つのは火抜きのせいであるのですが、その真価が問われるのは、実は加工直後の竹ではありませんぜよ。時が経てば経つほどに深まる飴色のような色合い、静かにではありますが貫禄と風格を、さりげなく漂わせる晒竹の迫力、歴史のある京都だからこ育まれた、竹文化の一つではないかと感じるがです。













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竹を逆さに立てる、もうひとつの理由

2015年6月 6日

  晒竹(真竹)


皆様ご存じのように竹は元の方が太くて先端になるに従い細くなりますぞね。だから、竹を壁に立てかける場合にはウラ(先端)を下にするのが普通ながです。もし、元を下にたてかけていったとしたら最初はエイかも知れませんが、段々と元の部分ばかり前にドンドンと張り出してきて、しっかり整理して保管することが出来づらくなってくるのです。


竹は伐採時期が決まっちょって、一時期にその年の竹が全て出そろいますので、竹の量が大量に工場に入って来たときなどは、ウラと元と交互に立てかけていくなどという裏技もあるにはありました。今ではそんな事は夢のような話し、懐かしい思い出話しぜよ。長尺の竹もそうですが、1メートル程度に短く切断して、2箇所、3箇所紐で縛った竹束なども元の方を下にして置いたら最後、その衝撃で紐が緩んで束を再度縛りなおすような事にもなりかねませんぜよ。細いウラの方を下にして立てると反対にギュッと紐がしまるのです。


さて、竹を逆さに立てかける理由は一応そんな所なのですが、専門の方でも案外しらない、もう一つの理由というのが実はあるがぞね。それはベニカミキリに代表される竹の虫対策なのです。おっと、そうそう、竹を虫が食うことすら、あまり知られちょりませんが、竹細工に一目で穴と分かるような大きな虫食い穴を作るのが、この虫と、タケトラカミキリという名前は「タケトラ」と付くものの、「竹虎」とは随分違う外来種の害虫ながです。


竹皮


この竹を食う悪い虫たちが卵を産み付けるのが竹節にある小さな穴。この穴は竹皮が竹節に付いていた時の名残で、竹はこの、竹皮を一枚また一枚と脱ぎ捨てながら伸びていきます。ポロリと竹皮が剥がれ落ちた時に竹皮の付いていた穴は竹節部分に残ります。虫たちは、この竹節の穴を狙って卵を産み付けるがですが、問題はその時の虫の格好なのですが、足を竹節の出っ張り部分に引っ掛けるように逆さになり生み付けるので、竹のウラを上に向けて普通に立てている状態だと虫が竹節を利用しやすく、卵を産み付けやすい状態になっているのです。反対にウラを下に向けていると竹節の引っかかりは下を向いており、悪さをする虫たちも、卵を産み付けにという訳ながです。


竹には「割れ」と「虫害」という二つの大敵があって、昔から山の職人も、竹屋も、竹職人もこれと向き合うてきました。現代人の竹離れ、いえいえ「竹忘れ」が進んで竹に携わる人口は、年々少なくなっていく一方ではありますが、竹を逆さに立てかけること一つにも、こんな深い理由があり、それを頑なに守り続ける、誇り高き竹人の魂にふれるごとに自分も奮い立つ思いで、嬉しくなってくるがですぜよ。













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孟宗竹という日本最大級の竹

2015年6月 3日

孟宗竹


孟宗竹(もうそうだけ)は、中国原産の竹で、仏教と一緒に日本に渡って来た竹なのです。一番最初に入って来たのが京都であるか、鹿児島であるか、諸説ありハッキリとした事は残念ながら分かっちょりませんが、一番自分が申し上げたいのは、いずれにせよ日本に来て数百年の竹ぞね。それが、現在では日本各地どこに行っても人の暮らす里山には見られるようになっているという所を注目してもらいたいがです。


現在日本には約600種類のもの竹類があるがですが、その中でも20数メートルの大きさに成長する最大級の竹であり、これだけ成育地域が広がっているという事が、昔から様々な用途として重宝されてきた証ではないかと思うがです。


京都を訪れた際に、美しい竹林に清々しい気持ちになられた方も多いのではないですろうか?手入れの行き届いた孟宗竹の竹林では筍が栽培されよります。今では安価な筍が輸入されるようにもなって、名産地やブランド筍以外の竹林では筍を掘ること少なくなり、いわゆる放置竹林と言われるような所が多くなりつつありますが、かっては日本中の孟宗竹の林では毎年季節になれば筍の収穫が行われ、伐採された竹は建材や農業、漁業用、竹細工用として有効活用され、美しい景観を保つと共に、人と竹との良い関係が続いてきたがぞね。


伐採しても毎年のように筍を生やし、驚くような成長力と、一年通して青々とした葉を茂らせる生命力は、昔から神秘的なものとして崇められ、様々な神事にも使われよりますが、人の管理ができなくなると反対にその逞しいパワーが仇となり、竹林の拡大などの問題とも言われる事がありますが、孟宗竹の放置竹林で悪いのは、もちろん竹の方ではなく、管理できなくなった人間の責任であり、竹の有効活用を出来ていない竹に関わる自分達の責任であるがぜよ。


孟宗竹は太く、身も厚く、竹としては実は様々な加工に適応する素晴らしい素材でもあるのです。虎竹の里には、当たり前ですが孟宗竹はあまり増やしていません。虎竹の竹林ばかりなので竹虎の細工で使う孟宗竹は、全て遠くの竹林までトラックで取りに行きよります。


しかし南方系の植物だけあって、やはり温暖で雨の多い気候の孟宗竹は育ちがエイですにゃあ。高知もそうですが、孟宗竹の竹林面積が日本一という鹿児島はじめ、九州の孟宗竹にはビックリするような太さのものがあります。反対に東北地方など寒い地域では同じ種類の孟宗竹であっても、もしかしたら違う種類?と思われるほど少し小ぶりなものが多いのです。


けんど、少し余談になりますが、雪の残る季節に東北の孟宗竹の竹林に行った事がありますぜよ。竹葉や節に真っ白い雪が積もる様は神聖ささえ感じられ、本当に心が洗われるように美しいものやったがです。とにかく雪の中でも竹の生命力は衰えることなく緑の葉を茂られちゅう、この白と緑の色合いのコントラストが、何とも素晴らしいがです。そして、雪の重みで大きく竹が曲がながらも、じっと耐えている竹の姿、雪の竹林は、まっこと感動に溢れちゅうと思うたのです。


さて、話しをもどして孟宗竹の太さをそのまま活かした竹ワインクーラーの事なのですが、こちらは、ずっと前からずっと定番でご愛顧いただく、天然の孟宗竹の特徴をそのまま活かした商品の一つですけんど、一番大変なところが自然の丸竹をそのまま活用する所ぞね。丸竹となれば、太さや形にバラつきがあるという事ながです。一つの竹林でも竹の太さ、形、性質には違いがあり、伐採した竹の、ほんの極一部しか材料として使える竹がないのです。


竹ワインクーラーは少しリニューアルして風合いを変えちょります。日本最大級の竹の迫力をご家庭や店舗様でも感じていただきたい、そんな思いは前々から何ら全く変わりません。沢山伐採する時に、太い孟宗竹だけを特別に選別して、工場内に大事に保管するようにしちゅうがですが、乾燥による割れや虫害などを選り分けて加工していくと、広大で無数にあるように思える竹の中から、製品としてお届けできる竹は意外なほど少ない事が分かるがです。













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胡麻竹の作り方

2015年5月19日

胡麻竹(ゴマダケ)


胡麻竹(ゴマダケ)は、文字通り竹の表皮にゴマ状のブツブツができる何とも変わった竹ではありますけんど、これも銘竹として茶華道では珍重されてきたがです。竹虎の本店で製品として一番多かったのは、やはり寸胴と呼ばれる花器でした。このゴマ柄と言いますか、いやいや柄ではないのです。手で触るとまさににゴマのような感触で本当に小さなゴマが付いたようぜよ。それが竹全体に均一に入った大きな竹が製品にされちょったのです。


実は、このゴマ竹については小さい頃から竹林で遊んだ自分達にとっては、まったく馴染みのない竹材ではなかったがですぜよ。竹は驚くくらいの生命力と成長力とがありますが、たまに何かの拍子で立ち枯れのような状態になった竹が竹林にあるのです。枯れて軽くなってしまっている竹を掴んだ時に、あれっ?と思うのが竹表皮に付いているゴマ状のブツブツ、まさに、これが胡麻竹やったわけです。


自然にできたゴマ竹


別に立ち枯れしているものだけではなくとも、竹を伐採して積み込んである竹に雨等がかかり、湿気が抜けず、湿ったまま長い間置かれていても、同じようにゴマ状のものが出来ている事があります。このような竹は、竹自体が傷んでいますので銘竹にはなりません。


ゴマ状のブツブツが出来る原因は、アピオスポラ・シライアナ(Apiospora shiraiana)又はアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)と呼ばれる糸状菌(カビ)の作用によると言われちょります。そういえば虎竹の山を研究に来られた京都大学の先生も、虎竹の模様は特殊な細菌のせいとも話されていたそうですぞね。竹には、このような菌による作用が多々あるがです。その菌の作用を人がコントロールして、より美しい銘竹に作り出すのが京都の銘竹の技ながぜよ。それなら、どうやって胡麻竹は作られるがですろうか?


胡麻竹の作り方


この孟宗竹の竹林には、ある部分にだけ異様な光景が目につきます。何か変だと思われませんでしょうか?そうながです、竹の先端が切りとられていて枝葉がないのです。実は、これが胡麻竹の作り方そのものながぜよ。3年から5年の孟宗竹は十数メートルにもなりますので、長いハシゴで先の方まで登り、先端と枝葉を切り落としてしまうのです。こうすると光合成のできなくなった竹は立ち枯れ状態となります。これを3月頃にしておいて、後は放置するだけ。あと胡麻竹に必要ものは適度な湿気ですろう。梅雨を経て秋以降くらいには菌のうまくついた竹には綺麗なゴマがつくそうです。その年の天候などにより胡麻竹の出来具合が違うというのは、こうやって人の手は加えるものの、その作り方には、ほとんど自然の力による所が大きいせいなのです。


けんど、こうやって竹林のある一箇所にだけこうやって胡麻竹を作るようにしているのは、先に出ました舌を噛みそうな細菌がそれぞれ発生した時に、近くに立ち枯れの竹が集まっていた方が菌がつきやすいためだそうです。まっこと、けんどこの枝葉のない竹林の光景も珍しい景色ぜよ。テレビに「なんとか珍百景」という番組がありましたが、これこそ「竹珍百景」のひとつですにゃあ。













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見事な青竹染色の技

2015年5月13日

青竹染色


青竹の清々しい色合いは日本人なら誰しも本当に心地よく感じる色合いだと思います。これからの季節、この青竹に入った羊羹なども和菓子屋さんどで良く目にするようになりますろう。見た目にも清涼感があり、冷たいお茶などと一緒に、つい手にしたくなる甘味となって定着しちょります。


この青竹の色合いと、スパッと切った竹の身の白さのコントラストが、日本人が一番好きな色の対比だと聞いたことがありますぜよ。そういえば一年で一番大事なお正月の門松も、ちょうど、この色合いになっていることを思いだしますちや。青竹の瑞々しさから季節の食器としても使われる事もありますぜよ。食材を盛り付けたり、酒器や杯としても多用されよります。ただ、この青竹には一つ難点があるがですが、それが、退色なのです。美しい青い色合いは、まっこと一時のもので、酒器や杯など切り口から、みるみる青みが抜けてゆき、落ち着いた色合いに変わっていってしまうのです。


今まで、この退色を解決すべく人工的な染色技術や塗装が繰り返し試されてきて、そのいくつかは製品としてもあるのですが、なかなか自然の色合いに勝るものは見る事ができなかったのです。ところが、先日、かなりリアルな青竹に迫る竹を拝見したがです。自分が手に持っているのが染色した青竹で、その横に並ぶのが自然の青竹ぞね。こうやってお話しますと違いが分かるかと思いますが、これが室内装飾や何か竹製品になって置かれていたら、恐らく気づく方は少ないのではないろうか?竹の技術もこうやって少しづつ進歩していることを見せてもろうて、まっこと嬉しい竹との出会いやったのです。













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