またひとつ、驚きの竹

2016年2月 2日

  図面竹


昨日のお話させていただいた曲ったような珍竹は実は大変価値があり、当然一点モノでもありますので大切に室内装飾などに使われてきた竹素材なのです。以前、琵琶湖のほとりに建てられていてる山元春拳という方の旧邸「蘆花浅水荘」に行った際にも、こじゃんと(とても)面白い竹が床の間に使用されちょりました。このような竹が、どのように使われるのか?特に床の間の生活をご存じない若い方にはイメージできにくいかも知れないので一度ご覧いただきたいと思うのです。


さて、今回ご紹介させていただいている図面竹も腰が折れ曲がったかのような格好ですが、実はこの竹は図面竹の模様の色合いが人工的に付けられた柄であるのと同様に、この曲り自体も竹職人さんの技術で曲げられているのです。どうですろうか?凄い技ですろう!?


それでは一体どうやって曲げているのかと言うと...、おっと、竹虎の事を少しご存じの方はガスバーナーの加工を思い出されているのかも知れませんにゃあ(笑)日本唯一の虎竹はガスバーナーの炎で高温に熱してから竹の曲がりを真っ直ぐに矯め直す加工をします。なので、こうやって面白い曲がりを出す時にも熱を入れて矯め木を使い曲がりを出すのではないかと思われる方もいらっしゃるかも知れません。


図面竹の木枠


ところが...。


それは大ハズレながぜよ。昔からお取引をさせて頂いちょります京都の清水銘竹店さんにお伺いした際に木枠を沢山拝見させてもろうたのですが、この図面竹の曲がりは筍の時に、このようなカーブを描く曲がった特別な木枠をかぶせて作っているのです。竹職人と自然の竹との共同作業のようなものですぞね。こうやって木枠を設えても、人の思惑どうりに竹が曲がる事ばかりでもないし竹をそのまま置いておいても、このような曲がりには絶対に成長する事はないそうぜよ。


あの大きな孟宗竹を四角い形にしつつ、しかも曲げを入れるという高度なテクニックで出来あがる図面竹は、まさに京都の熟練竹職人の技の結晶とも言えますろう。まっこと、竹の世界は驚きに満ちちょりますぞね。













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たったひとつ、希望の竹

2016年2月 1日

銘竹


京都の銘竹市に行った時には普段あまり目にすることのない珍しい竹達に出会いましたぜよ。そんな中のひとつに根元から90度に曲がった珍竹があったのです。


竹は一日に最大で120センチも伸びた記録があるくらい成長力のある植物ながです。この竹は筍として生まれ、その驚異的な力で上を目指して伸びようとした時に、たまたまその進行方向に石があったのか?何があったのか?とにかく真っ直ぐに伸び上がる事ができず折れ曲がり、それでもその障害物を回避したところから逞しくスクスクと大きくなった、言うなればこじゃんと(とても)苦労した竹なのです。


人間にたとえるとするなら、ちょうど伸び盛りの子供の頃ぜよ。この竹も、もしかしたら思うたかも知れませんぞね「どうして自分だけ、こんな大きな岩の下敷きになって真っ直ぐ伸びられないのだろうか?」。同じ竹林では仲間の若竹がドンドン伸びて行っているのに、自分が望んだわけでも悪いわけでもなく、たまたま置かれた運の悪さを嘆き、悲しんだのかも知れんがぜよ。


けんど、その時にはマイナスとした考えられなかった事で、辛い思いもしたかもしれませんけんど迷いながらでも道を探した結果はどうやったろうか?朝の来ない夜は無いと言われますけんど、本当にその通りで大きな岩はどこまでも続いちゅうわけではなく、しばらく我慢したら上に伸び上がれる場所が見つかった!


望まない境遇で不幸にも思えなくもありませんけんど、そのハンデを乗り越えてみたら他の竹にはない魅力と価値がついて、数え切れないほどの竹が生まれて来る中にあっても選ばれ、竹の本場である京都の銘竹市のような輝かしい舞台に立つことが出来るちゅうのです。


この竹は希望です。人は皆が強く、順風満帆ではないと思うちょります。けんど、大きな壁を前にして泣くのか、笑ってみるのか。諦めない事の大切さと、いつでも人には明日がある事を教えてくれるために、この竹は此処にあるがです。













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銘竹としてのゴマ竹

2015年12月23日

虎竹林の胡麻竹


竹屋は夏痩せではなく、冬痩せすると言われる事があるのですが、それは竹の伐採が寒い時期に行われ、毎日のように急斜面を登って山仕事をせねばならない季節という事ながです。虎竹の伐採も晩秋から翌年の1月いっぱいと決められちょりますので今頃は竹林に行く機会が更に多くなっているのですが先日一本の立ち枯れしている竹を見つけたがです。竹の表面にはブツブツのゴマ状のものが出来ちょります、これはアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)、通称ゴマ菌が竹に付く事により発生するものながぜよ。


ゴマ竹


その自然に出来たゴマ竹を見て、改めて京都の清水銘竹店さんで拝見させていただいたゴマ竹の作り方を思い出したがです。ゴマ菌は枯れた竹に付きますので、自然に出来あがったゴマ竹は枯れてしまって製品にはならない状態ぞね。ところが、銘竹に仕上げる職人さんの技はゴマ菌を付けてゴマ状の模様はありながら竹製品として流通できるしっかりした品質の竹にする事にあるがです。


そのために、わざわざ高く成長した竹に梯子を掛けて竹の枝打ちをして裸の竹を作りだしゴマ竹を作り出します。自然に出来たカラカラに乾燥したゴマ竹を折って片付けながら、あの人の手を入れるからこそ表れるゴマ模様の美しさ、迫力を思うのです。













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煤竹について

2015年12月17日

煤竹


煤竹(すすたけ)は、高級竹材としてお茶やお花の道具などに多用される竹ですけんど、孟宗竹や真竹などと同じように竹の種類として自然にあるものではないがです。昔は一般的であった茅葺き屋根には、骨組みとして竹材が沢山使われていましたが、この竹が100年、200年と長い時間をかけて囲炉裏の煙に燻されている間に自然な深みのある色合いに変わっていくがぜよ。


茅葺き天井


薪やバーベキューの煙などを思い出していただきたいと思うのですが火を入れると屋外であってもモウモウと煙が立ちのぼります。現在のご家庭では室内で火を焚くのはガスコンロくらいですが昔は調理をしたり、暖をとるのにも囲炉裏の火が大きな役割をしよりました。パチパチと音をたてて燃える火は心安らぐ物ですが、この室内での煙は差し込む光がハッキリ見えるくらい、普通に思う以上に充満しちょります。


煤竹虫食い


この煙が竹の色づきを良くしますし、また茅葺き屋根の素材につく防虫効果などもあったと言われます。ただし、煤竹の場合には元々、虫が入っていたためですろうか、虫食いの穴がある竹材もあるがです。ずっと昔の竹材でありますので、虫穴があったり、乾燥しすぎちょって細工用として使えなかったりする事が煤竹の扱いが難しい部分なのです。


煤竹縄目


梁の部分に縄で縛られた部分だけが白く残っちゅうのも、この竹の景色に味を醸し出している所ですろう。使われた当時は青々としていた青竹が白っぽくなり、更に月日を重ねてこのような深みのある茶褐色に変わるがです。この色合いの違いは、時間的な事はもちろんありますが囲炉裏で燃やされてきたものに左右されると言われますので、地域によって竹の品質にも大きな違いがでてくるのです。


煤竹編み


これは職人さんがご自身で使われちょった竹テーブルでしたろうか。煤竹の自然な色合いの違いは編み込まれると更に複雑に絡み合い、面白い模様となって見る人、使う人を楽しませてくれるがです。













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竹林のカラスとは!?

2015年9月 3日

京都の竹林


先日より、京都の図面竹のお話しを何度かさせていただきましたぜよ。梅雨明けの7月から8月上旬にかけて、お天気を睨みながら竹に薬剤を塗布していく作業は、雨が降ると薬剤が流れてしまうため、まっこと(本当に)その年の天候まかせやったです。また、お盆過ぎになると京都の盆地特有の暑さのため、竹の薬剤塗布部分には汗をかくと言うきに凄いものですちや。


けんど、薬剤塗布の作業が終わったら一段落ぞね。後は、11月まで放置しておくだけやそうなのです。できれば初霜が降りて竹が固まってから伐採するとエイとの事ですが、近年の温暖化では、なかなかその時期に霜は期待薄かも知れませんにゃあ。それにしても、虎竹も霜が降りると虎模様が付くと言われていますので、竹と霜との関係も容易成らざるものがあるようです。


さて、そんな竹林の中で一風変わった一角が所々にあることを、前のお話しの中でさせて頂いた事があったかと思うのです。先端を切り飛ばした上に、枝を全て打ち落とし、裸になったような竹の稈だけが、まるで棒のように突っ立ているがぜよ。


胡麻竹


これは一体何かと言うたら胡麻竹を作っていたのでした。竹林で自然に立ち枯れした竹にアピオスポレルラ・バンブサエ菌という、何度聞いても覚えられない名前の細菌が作用して、自然に胡麻状のツブツブができる場合もあるのですが、京都のこの竹林では人工的に、胡麻竹を銘竹として生産しているのです。


明らかに他とは違う胡麻竹を作っている一角に歩いて行っていると、何やら普通の孟宗竹とも違うし、胡麻竹とも違うような、少し黒っぽくなった竹がありますぞね。不思議に思っていたら職人さんが教えてくれます。


「これはカラスや」


カラス竹


えっ?竹にカラスいう種類があるのかと思いよりましたら、何でも胡麻竹を作っている中で意図せず黒っぽくなる竹があるそうで、このままでは胡麻竹としては売る事は出来ません。そこで、カラス竹という名前をつけたとの事やったのです。自分の学生の頃には前進真っ黒な服装をした人達が、カラス族と呼ばれたりしちょりましたが、黒い竹に、上手な名前を付けられたものですぞね。


ほとんどの竹が胡麻竹に成っていく中で、熟練の竹職人さんでさえ思い通りにできないカラス竹とは、希少価値もあって値打ちがあるがではないろうかと思うがぜよ。黒竹という、黒い竹はありますが、細く背丈も低い竹なのです。孟宗竹のような立派な太さのあって黒く色をした竹など、自分達でも、あまり見る機会はありません。これが一体どんな色艶の竹になっていくのか?落ち着いた渋い感じで自分は好きな感じなのです。













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図面竹の竹林 その2

2015年8月19日

図面竹の薬剤


清水銘竹店の清水さんが硫酸と硝酸を混ぜ合わせた薬剤を作っています。


「あのブルーシートの養生でっか?」


「まあ、仕事を始めたらすぐに分かりはりますわ」


そう言うて笑いながら今度は軽四トラックの荷台に積まれた袋から、何やら取り出しているのです。


図面竹の薬剤


図面竹を創るのに塗りつける薬剤は硫酸、硝酸を混ぜた液体に、今度は砥の粉や近くの山から集めてきた砂混じりの土など、適量混ぜて作られているのです。液体だけだと竹表皮に固定されにくく模様は付きにくいのですが、ある程度粘度を持たせた液剤は竹に付きやすく、砂混じりの土が竹表皮に細かいキズをつけて薬剤の浸透を助けると言うがです。この薬剤などは当然職人さんにより分量が違いますが、その時々の気候や、その日の仕事の竹などにもより、薬剤の分量は微妙に加減をされているとの事やったのです。


図面竹薬剤塗布用の道具


この薬剤を図面竹に付けていく道具が又面白いがです。3メートル用と4.5メートル用の二本が用意されちゅうのは3メートルの高さまでと、それ以上の高さとで、それぞれ道具をやり変えるからぞね。


図面竹薬剤塗布作業


低い場所に薬剤を付けるのに、わざわざ重く長い道具は必要ありませんし、高い場所には短い棒では届かないのです。まっこと薬剤塗布ひとつとっても、このようなノウハウがあるがやにゃあ。


図面竹薬剤塗布作業


見上げていると首が痛くなるような高いところまで薬剤を付けちょります。だいたい5メートルくらいの高さまでを目安にされよりました。けんど、よくよく作業を見ていたら、薬剤を塗布するというより、先端部分を叩いているように見えますぞね。


いやいや、更によく見ていたら叩いてから先端を竹表面に擦りつけているような動きです。実はこれが薬剤塗布の技のひとつであり、あとで図面竹の模様の付き方にも大きく影響されるようながです。薬剤には砂が混じっているとお話ししましたが、擦りつける事により砂で竹表皮にキズをつけているのでした。


図面竹薬剤塗布の道具先端


薬剤塗布用の棒の先端部分に使われちゅうのは、トラックの古タイヤを短冊状に切ったものながです。これなら弾力に富み、仕事もやりやすいように思いますが、このような道具一つできるのにも、恐らく試行錯誤があってから、ようやくこんな形に落ち着いているのだと思うのです。


図面竹薬剤塗布


薬剤が塗られた後の竹を拝見させていただくと、まだ乾いていないので赤土が塗られたように見えるのですが、このままの状態で11月以降まで置いておき伐採して更に加工を重ねるのです。同じような薬剤で、同じように作業しても、その時々の条件によって色づきの出来映えが違うというのは、長年の熟練の技も大自然には、やはり敵わないという事ながですろう。


図面竹の竹林にて清水さん


竹林から出てこられた清水さんの顔面マスクには液剤が飛び散っちょります。よく見たら帽子にも、上着にも、ズボンにも、劇薬を混ぜた薬剤の跡か残ります。なるほど、これだから、薬剤塗布の際の仕事では、暑いと言えども肌の露出を避けているのだと納得するのです。


京都の銘竹


「ここ見なはれ」最初に見てビックリしたブルーシートの理由を清水さんが教えてくれますぜよ。


京都の銘竹作り


キッチリ養生していないと、薬剤がこのように隣の竹にも飛び散ってしまうのです。このようになった竹は、職人の思惑と違う模様が付いてしまいます。竹表皮を使わない製品にするつもりの竹だと良いのですが、京都の銘竹は竹表皮が命ながです。この竹は残念ながら、表から見えない袖垣の芯等に使うしかありません。


京都の竹は茶道、華道の発展と関係が深く、竹への美意識が、もの凄く高い方が多いがです。そんな土地で鍛えられた竹文化だからこそ、一環して感じるのは職人さんの竹への愛情と、竹への誇りぞね。もっと早くから気づくべきやったがです。あの、しっとりした茶室で静かに湯気をたてる一服のお茶も、見事な手さばきで活けられよった一輪の花も、京都の美しい、この竹林から既に始まってちょったのではないろうか?ようやっと思い至って、しゃがみ込み、ずっと向こうまで続く竹の姿をまた眺めてみたのです。













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図面竹の竹林

2015年8月18日

図面竹


図面竹という銘竹も実は小さい頃から、ずっと馴染みのある竹ながです。京都で生産される竹で室内装飾などに広く使われてきた高級竹材ぜよ。竹の表面に虎竹と同じように模様が入った独特の風合いなのですが、大きな違いが一つあるのです。それは、日本唯一の虎竹は、安和の自然が創りだす天然の柄模様ですので、竹林の機嫌の成すがまま、人の手でコントロールできるものではありません。ところが、この図面竹というのは職人が竹に模様を付けてくいのです。つまり、職人技が創り出す竹という事ですぞね。


自分は、このような田舎にいながら、これらの美しい銘竹に触れる機会があって幸せやったです。そもそも竹虎は大阪天王寺が創業の地であり、取引先は関西が多かったという事もあり高知から虎竹を出荷すると、その帰りの空になったトラック便には京銘竹を満載させて入荷する、そんな行き来がずっと続いちょりました。


店頭に沢山立てかけられた図面竹は丸いモノもありましたが、四角い竹がほとんどで、一体どうしてこんな竹ができるのか?ツルツルした竹の表面を小さな手で摩りながら、子供心に、いつも不思議に思いながら見上げていたのです。


図面竹の竹林


人工の竹、図面竹が硫酸を使って竹表皮に模様を付けていくと知ったのは、それから随分と後になっての事ながです。けんど、本や写真で見たり、職人さんから話しを聞くなどして、知識としては知っているものの、実際に図面竹の色づけを見る機会はなかったがぜよ。


一つの理由に、その色づけの時期が一年でも本当に限られた時だけ。年にもよるようですけんど、だいたい2~3週間くらいの間だけの仕事なのです。それも、その年の気候や竹の成育などにより変化しますので、なかなか仕事を拝見するタイミングが難しかったのです。


しかし、そんな事を言うていたら、いつまで経ってもこの京都の誇る銘竹の現場に行くことはできません。昨年の冬前より昔からのお取引先様である清水銘竹店さんにお願いして、職人さんの仕事に合わせてでもお伺いしようと心に決めちょりました。そして、遂にその時がやってきたのがですが、前に、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でも紹介させていただいた角竹を創っている竹林がその現場でした。


図面竹の養生


けんど、一歩竹林に足を踏み入れると異様な光景が広がっちゅうのです。何?あれはブルーシートを竹に巻き付けちゅうがやろうか!?けんど、まさか...何のために竹に...近寄ってみると、まさに一本、一本にブルーシートが巻き付けられています。しかも、根元から4メートル以上も上まで、しっかり巻かれているのです。これは...今まで全く見た事のない竹林の景色に、ただ、ただ立ち尽くすしかなかったのです。













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青竹酒器のこだわり

2015年7月31日

青竹酒器用竹材


青竹酒器の青々とした竹筒にお酒を入れると竹の香りが移り、味も美味しくなるのはもちろんですが、見た目の清々しさも抜群なので新春のお祝いの席などに使われます。以前は沢山製造したこともあってホテルさんや旅館さんに収めよりました。最初の頃などは板前さんが青竹酒器を大事に扱いながら、少しでも青さを長持ちさせるようにと冷凍庫に入れるのに驚いたものです。まあ、それくらい青竹の色合いの良さを楽しめる期間は短いがですが、この猛暑続きの夜の宴に涼をよぶ野趣あふれる演出などにも、まっこと、これほど最適なものはないがです。


さて、山から同じような頃合いの竹を伐り出してきて並べらちょります。この竹を汚れを落とし節のところで切って酒器に加工しますけんど、この本数の竹で一体何個の酒器が出来るかやろうか?ひとつ、ふたつ、みっつ...節の数を数えて、だいたいこれくらいですか?と聞いてみたら大ハズレぜよ。


青竹


この職人さんの答えた数はなんと5個です。5本の竹としても節は沢山ありますので上下に節のついた筒状のものは、もっと沢山切り出すことができるよに思われる方もおりますろう。けんど、太さが揃わないという事ながです。竹は元の方が太くて、ウラ(先端)にいけばいくほど細くなっちょます。熟練の山の職人さんの中には、この元とウラの太さの違いをできるだけ無くすような竹の管理もあるそうですけんど、どうしても、やはり太さは違ってくるのです。


そこまで、こだわらない方もおられて1本の竹から酒器でも、御猪口でも出来るだけ作ることもあるかと思うのですが、確かに、お店でズラリと並べた時に太さが違えば、あまり格好良いものではないですにゃあ。どうですろうか?5本の竹から5個しか作らないと聞きますと、一つの青竹酒器のお値段が決して高いものではないと思うがですぞね。言わなかったら、竹が全て同じ太さで5個の酒器など、1本の竹で作れてしまうと勘違いされる方がもしかしたら居られるかも知れませんちや。かっては身近で毎日の暮らしにあった竹なのですが、そんな事を心配するほど日本人と竹とは、ちっくと距離が開いているのです。













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京都の真竹 その2

2015年6月18日

京銘竹白竹


湯抜きの白竹は白さが強調されていて、それは、それで晒竹の綺麗さというものを感じるのですが、火で油抜きされた白竹の魅力というのは又格別なものがありますぞね。火抜きされた何とも雰囲気のある光沢と美しい白竹の表皮をこじゃんと(とても)注意深く見ていくがです。そう、まるで虫眼鏡片手で探偵にでもなったかのような気分になって、じっくり、じっくり探していくと、ようやく見つけられる、小さな小さな穴が節と節の間の稈の部分に開けられているのです。


この穴は入荷した青竹を水洗いした後に、それぞれの節間に職人さんが極細の高速ドリルで開けられた穴ぜよ。けんど、わざわざ穴を開けるのはどうしてやろうか?話さない限り、大方の方が気づく事すらない穴の存在を知ると、何故、開けられたものなのか不思議に思われるのが普通ですろう。


白竹の穴


実はこの針の先ほどと言うても大袈裟でないような細かい穴は、青竹をガスバーナーで炙って油抜きしている時に必要になってくる穴なのです。竹の何処の部分にでも適当に開けている訳ではなくて、元の部分には必要ないですが、ウラ(先端)の方になるにしたがい、竹の身の厚みが薄くなるので元から2メートル程度の高さから上には、一つの節に一つの穴が開けられちゅうのです。


炎で竹を熱していくと節間にある空気が温められ膨張し、ついにはパンッと大きな音をたてて割れてしまう事あるがですぞね。竹虎の工場でも虎竹の油抜きが始まると、竹独得の甘い香りと、パンッと甲高い音を立てて節合いが勢いよく割れる音が聞こえきますぜよ。もちろん、割れてしまうと商品価値はなくなりますので、そうならないようにガスバーナーでの油抜きの加減をしていくのです。炙り時間が短いと竹に含まれる油成分が出切っていないので、ウエスで拭き上げるにしても、綺麗に拭き取れずムラが出てしまいます。反対に時間が長すぎると焦げる事もあれば竹割れを起こす事もあるのです。


油抜きをする際の熱を利用して竹の曲がりを矯めていきますが、この矯めの工程でも、熱の入れ具合により音を立てて割れる場合があります。こんな小さな穴ひとつで、そんな割れを未然に防いでいるのです。ところが、この穴も全ての竹材に開けるという事ではないがぜよ。丸竹のまま使う場合には穴を開けて出来るだけ割れない工夫をしよりますが、短く切って加工していく材料には開けてないのです。


これは、こんな小さな穴からでも湿気が入り、竹の内側にカビなどが発生する事があるからなのです。切断面を見せる寸胴など花器に加工する場合は、火抜きの熱の入れ具合により、黒ずみがシミのように見えますので油抜きには慎重な作業が要求されますけんど、それと同じように竹の外側の美しさばかりでなく、切ったり、割ったりしないと分からない竹の内側の美しさまで心を配る職人気質、まっこと、知れば知るほどに竹職人の技と深い愛情に驚くばかり。室内装飾用、あるいは加工用として厳選に厳選して一本づつ大切に生み出される、京銘竹の伝統と凄みを感じずにはおれないのです。













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京都の真竹

2015年6月17日

真竹水洗い


竹と言えば虎竹の里と自分達は思いよります。それは虎斑竹(とらふだけ)という日本唯一の虎模様の入る竹が、ここにしか成育せず、他の場所に移植しても不思議な事に美しい柄が出ることがないからなのです。虎竹は淡竹(はちく)であり、竹細工に多用される竹のひとつですけんど、もうひとつ日本には真竹という代表的な竹があるがです。今日は、この真竹について、ちっくとお話しさせていただきますぞね。


普通、皆様が「竹」と呼ばれる時に頭に思い浮かぶのは、孟宗竹か、淡竹か真竹かの3種類の事が多いがです。それだけ一般的に目にされる機会も多い竹だと思います。先ほど言いましたように虎竹は淡竹の仲間ですが、同じような太さ、高さの竹で真竹という竹は全国各地に生育しちょって、節間の長さ、身の厚み、粘りやしなり等から竹細工には最適の竹ながです。


お米にしろ、野菜、果物なども寒暖の差が大きいと美味しいと言われますが、実は竹にも同じ事が言えて、寒暖の差が竹の品質に大きく関わるようです。日本全国に質のよい竹というのがありますが、土質や竹林環境は違うものの気温差という条件は似ている気がしちょります。京都の真竹が良いと言われるのも、盆地で寒暖の差があるからですろう。伸びが良く、身が厚く、質のよい真竹、けんど、さらに京都の真竹の名声を高めるのは竹職人の晒しの技なのです。


竹は青竹のままですと耐久性に劣りますので、必ず油抜きのという余分な油をとる加工が必要なのです。「晒し」と言うのは真竹の油抜きという加工した後に、天日に干して晒す事から「晒し竹」と呼ばれちょりますが、こうして製竹される竹は、よくご覧になられる事も多い白竹ですぞね。この加工での京都の竹屋さんでの真竹の扱いは「むむむ、さすが...」と思わせるものがあり、それが、まず一本一本丁寧に柔らかいブラシ等を使う洗いなのです。真竹の油抜き加工には、熱湯で加工する「湯抜き」と「火抜き」という二つの方法があり、それぞれ違いがあるがですが、湯抜き加工しか行わない竹屋さんから見たら、この水洗いは衝撃ぜよ。熱湯を使い仕上げていく場合には、水洗いなど考えた事もないからです。


真竹加工用ガスバーナー


けんど、京都の竹屋さんでは時間をかけて職人さんが手洗いしよります。こうやって綺麗に汚れを落とした後にガスバーナーで火抜きするのです。この油抜きの違いは湯抜きは竹内部の成分が全て抜けるので、割れが入りやすくなるのに対し、火抜きは比較的割れが入りづらいと言います。これは火抜きにより竹の油成分が表皮に染み出して、ある種のコーティングされたよう状態になるからと職人さんは話されます。


割れに常に気を配り、注意を払っているのは、京都の真竹は加工用としての用途もさることながら、京銘竹として室内装飾などに利用いただく機会が多いからなのです。火抜きの前の水洗いなど手間を惜しまない加工の工程も、ツルツルとなめらかに仕上げられる美しい竹肌をそのまま活かす製品なら用途の地域性があるからと感じます。火抜きの際に竹の油分を拭き取るウエスがありますけんど、あらかじめ水洗いして汚れを落とした竹です。竹虎の工場での虎竹の火抜きに使うウエスと比べると断然綺麗なものでした。火抜きの前に既に余分な汚れが十分に取り除かれている証です。


京の真竹が真っ白というよりベージュがかったような特有の光沢を放つのは火抜きのせいであるのですが、その真価が問われるのは、実は加工直後の竹ではありませんぜよ。時が経てば経つほどに深まる飴色のような色合い、静かにではありますが貫禄と風格を、さりげなく漂わせる晒竹の迫力、歴史のある京都だからこ育まれた、竹文化の一つではないかと感じるがです。













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