超特大!超レアな4尺!直径120センチの二重竹ざる(ふたえばら)

4尺竹ざる


超特大サイズの竹ざるが編み上がってきた!これは大きい!毎年、土用干しに竹ざるをご愛用される皆様でも、竹細工が好きな方でも、こんなレアな竹ざるになると正直ご覧になられる機会は少ないと思う。そもそも60センチ(2尺)サイズの竹ざるでさえ、一般のご家庭では持て余してしまう事があるのでワンランク小さい40センチサイズの竹ざるを使われる方も多い。


孟宗竹


この竹ざるは縁部分だけでなく、底部分の網代編みも太くて繊維密度が高い丈夫な孟宗竹を使う。普段はあまり竹細工に活用されない孟宗竹が材料だが、この広い竹林から一体何万枚の竹ざるが出来るだろうか?


超レアな直径120センチの二重竹ざる


それにしても、直径60センチが倍になっただけで圧倒的な迫力になる120センチ超特大サイズの竹ざる。更に、この竹ざるは二重編みとにっている。網代の底面の裏側には、真竹を使った六ツ目編みで強力に補強されている。二重になっているので「ふたえばら」と呼ばれるが、この大きさ、二重編みの堅牢さには理由がある。実は、この竹ざるを使って数人がかりで味噌作りが続けられてきたのだ。驚愕の竹細工には、感動すべき竹文化、人の暮らしがある、YouTube動画で味噌作りを是非ご覧ください。





米研ぎザルの出来るまで

米研ぎざる職人


真竹で編まれる米研ぎざるは、何処ででも見かける何の変哲もない形と大きさなので、実はあまり注目される事が多いとは言えない竹細工かも知れない。しかし、昔からずっと定番であり使い続けられてきただけあり、汎用性は高い。米研ぎざるとしてお使いにならない場合でも、キッチンにひとつあれば本当にアレコレと重宝する万能選手なのだ。


米研ぎざる


定番と言っても、近年、熟練の職人さんが少なくなり、製造は必ずしも多くはない。これには製作の難しさもあるので、今回は皆様にその制作過程をYouTube動画でご覧いただきたいと思って用意している。


米研ぎざる編み方


編み初めから、段々と形になっていく行程を通して、竹の特性を知り、竹細工への親しみを感じて頂けると嬉しい。


米研ぎざる製作


米研ぎざるの作り方


竹細工職人


米研ぎざるは、ここからが職人の腕の見せどころとなる。


米研ぎざる職人


編み込みが縁に近づくにつれて曲線がキツクなるのだ。小さいザルほど蒸すがしいので、自分がデスクで物入に使っている直径13センチのものは達人が編み上げている。


米研ぎざる5合


実際に5合のお米を入れてみた、場合直径28センチ、深さが10センチの米研ぎざるだから、容量にかなりゆとりがある。現在では、一家当たりの人数が減少傾向なので、5合でも炊くようなご家庭は少ないのかも知れないが、この米研ぎざる一つあれば7~8合くらいまでは余裕で米研ぎする事ができる。





名人の米ざるのチャンス

名人の米ざる


どんな世界にも名人と呼ばれる方がいると思うが、竹細工の世界にも一線を画すような美しい籠を編み上げる職人がいる。たまたま年末の大掃除の時に倉庫から久しぶりに出てきた、この米ざるもそんな名人が世に出したもの達だ。通気性の良い不織布の袋に入れてから、他の製品と区別できるようにフタを開けたままの段ボールにいれて大事に保管していた。長く置いてあったから、このような逸品を仕舞っておいた事さえ忘れてるほどだった。


深竹ざる


先日、新しくご紹介している縁巻部分を籐で二重に仕上げた深竹ざるなども同じだが、竹ヒゴを横に編んでいく横編み言っている竹ざるは製作が難しい。これが平だと、比較的容易に手の若い職人でもこなしていけるのだが、深さがある竹編みは熟練職人の仕事だ。


孟宗竹深ざる


一昨日、1月18日の記事でも書いた孟宗竹の竹ざるも直径が60センチ、深さは20センチあって普通の職人では、とても手に負えない。どうにか編む事は出来ても、とてもこのエレガントな美しさを醸し出す事は不可能だ。さらに、日頃竹を触っている竹人がこの竹編みを見ても孟宗竹だと思うだろうか?一般的に粗いと素材だと思われている竹材を、ここまで繊細かつ、緻密に編み込める熟練の技は凄い。


米研ぎざる


近年の米研ぎざるや味噌漉しざるは、家族の人数が少なくなったので小さくなりつつあるけれど、横編みのざるは小さくなっても難しい。古老の職人が、割と平気な顔でこなしているのは、やはり同じ籠を何百個も何千個も編み続けてきたからだろう。当時は、生活必需品としての竹だったから、そのような手仕事が求められていたのだ。


さて、現代ではもう二度とないかも知れないような名人作の真竹米ざるを(大)と(小)とそれぞれ1個限定でYouTube特別販売させてもらった。実は小さいサイズの直径約50センチ、深さ約16センチは、まだ残っている、これはチャンスです。





国産竹ざるの縁作り

国産竹ざる60センチ


これから虎竹伐採や山出しが続く虎竹の里だが、竹林での仕事の合間にも網代編みの国産竹ざるの製造を少しづつ進めている。60センチと40センチの2種類があるのだが、真竹の方の準備が遅れていて60センチサイズの製作が中心だ。ただ同じ竹細工が出来れば良いというものではない、高知では伝統的に孟宗竹を使った竹細工が続いてきたので、その伝統を継承して竹材にもこだわる。


日本製竹ざる縁


昔ながらの古老の職人は、竹ざるの縁についても実に手際よく、綺麗な円を描くように製作されていた。しなやかな竹なので簡単に丸くなりそうだが、竹の性質にもよるし身の厚みが揃っていないと美しい縁はできない。


国産竹ざる製造


ところが近年では、熱を利用して綺麗な丸縁を作る「型曲げ」という道具があるから便利だ。


国産竹ざる


竹を真っ直ぐに矯め直しする場合にも熱をいれるけれど、曲げたい時にも、こうして熱した鉄板に沿って割竹を固定すると思うような曲線を作り出す事ができる。


国産竹ざる縁


熱を入れて曲げた竹縁は、油抜きしたような色合いになっている。少し若竹色のようになって見栄えが良いが、この色合いはすぐに変色する。


国産竹ざる縁、竹虎四代目(山岸義浩)


どうだろうか?綺麗な丸さではないだろうか。


国産竹ざる


こうしふ縁をつくり、網代編み、あるいは四ツ目編した底編み部分とあわせて竹ざるを完成させる。昨年は定番の網代編みが間に合わず、四ツ目編みの竹ざるが殆ど製作できなかった。今年は少しでもご要望にお応えできるようにと考えています。





竹網代の麹菌が作る、我が家自慢の味噌

味噌バラ、竹ざる


以前、二重編みの竹ざるを使う味噌作りを拝見させて頂いた。直径が3.5尺(105センチ)もある網代編みの大ザルの上で大豆や麦を混ぜ合わせるという、ちょっと他では見られない凄い体験に圧倒された。


竹ざるの味噌作り


そして、今回改めて同じ鹿児島県内での味噌作りを見せていただく機会をいただく事になった。実はそれには理由があって、そもそも竹網代編みの竹ざるを使う味噌作りは各ご家庭でされていて、それぞれの家庭で味噌の味が違っていたと古い竹職人から伺っていた。


竹バラ、網代編み


なぜならそれは、竹網代編みの隙間にそれぞれのご家庭の麹菌が住みついているからだと言うのだ。前に拝見した竹ざるを使う味噌作りでは、竹文化に親しみを持ち大切にしながらでも、ざるの上にビニールシートを被せた方法だった。そこで、どうしても昔ながらの竹ざるをそのまま使用する味噌作りとのどのようなものか?それに使う二重編み竹ざる(ふたえばら)とはどんなものか?知りたいと思ったのだった。


竹ざる味噌作り、大豆を蒸す


竹ざる味噌作り、麦


蒸し器から湯気が立ち上ってきた、そろそろ麦が蒸し上がったようだ。


竹ざる味噌作り


この熱い麦の熱を竹ざるに広げて冷ましていく。ここでは、竹ざるそのままに使われている!竹は細いバラが出てしまう事もあるけれど、もちろんこちらの竹ざるの竹編みは素手で触れてもツルツルで心地よいくらいだ。


竹ざる味噌作り


竹ざる味噌作り、大豆


この伝統の味噌作りは地域によって若干方法が異なるようで、こちらでは大豆を蒸してミンチにした後はそのままプラ樽に入れて麦と一緒に持ち帰られていた。


持ち帰る味噌


後はそれぞれのご家庭で発酵具合などみながら作られていくそうだ。


大型竹ざるの縁


それにしても、伝統にも迫力にも感動する大ザルを使った味噌作り、それを支えるのはやはり竹文化である。直径1メートルを超える大きな竹網代編み、その丁寧なヒゴ取りと編み込み。身の厚い太い孟宗竹を使う堅牢な縁など、しびれる竹細工に魅了されっぱなしの味噌作りだ。





蘇る名人の米研ぎざるの技

米とぎざる


直径26センチで深さが9センチ程度ある米研ぎざるだから、5合程度までのお米なら十分に入れられる大きさだ。昔ならいざ知らず、現代のようにご家族の人数が少なく、またお米を以前のように食べる事が少なくなっているので十分なサイズではないだろうか。


米研ぎざる


竹の旬が良くなり、今年の青竹細工が少しづつ編み上がるようになってきた。これから年末にかけて、茶碗籠や手付き籠、御用籠なども出来あがる予定だが、こうして欠品になりがちな米とぎざるが揃うと嬉しくなってくる。


竹米とぎざる


納屋や離れに自分の仕事を作る内職の職人さん達は口をそろえて幸せだと言う。自分の好きな時に、好きなように仕事ができるのが一番だからだ。編みが若干粗くなったり、微妙な歪みが出たりするようになった古老の竹ざるを見ながら、定年退職する会社勤めの方のようにキッパリと竹から離れた職人の華麗な技を思いだした。





味噌バラと寿司バラ

ふたえばら、竹ざる


網代編みの竹ざるの裏面を六ツ目編みで補強した、ふたえばらと呼ばれる二重ざるがある。二枚並んだ竹ざるの色合いが異なるので、別の竹ざるかと思われる方もいるかも知れないが、青い竹ヒゴが時間の経過で変色したたけで全く同じ竹ざるだ。




竹ざるの底は、しっかり網代編みされているのに更に六ツ目編みする必要があるのか?不思議に思って、ずっと昔は見栄えなのかと考えていた事もあったけれど、この竹ざるを使う味噌作りを知ってからは必要不可欠な必然の細工だと知った。




梅干しざるとして多用いただいている、定番の網代編みの国産竹ざるをご覧いただいても六ツ目の補強は入れていない。2尺(約60センチ)サイズと大きくとも、梅干しや野菜を干したりする用途では耐久性に全く問題ないからだ。


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ところが、もう一つだけ網代編みに六ツ目編みを入れる竹細工がある。それが、自分が手にする1.4尺(約42センチ)の寿司バラだ。二枚の竹ざるを持っているように見えるけれど、実は片方が蓋になっているので、これで1セット。


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竹ざるで寿司飯を作るのも面白いけれど、乾燥を防ぐために蓋が付いているのも素晴らしい。大家族だった当時は、大量の寿司飯を作るので、もっと大きな寿司バラだったから、やはり耐久性から二重編みになったと思う。この辺りは味噌バラと同じ、しかし、ピタリとはまる蓋付きとは青物細工の中でも秀逸だ。


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さらに、この竹細工が好きなのは網代編みに蓬莱竹が使用されている所。節間が長いので、この程度の大きさなら節を入れずに編まれているから使いやすい。



二重竹ざる(ふたえばら)六ツ目編みの秘密

二重バラでの味噌作り


あまり馴染のない方からは聴き直されたりもするが、鹿児島では今でも味噌を竹ざるを使って作られている。詳しい作り方などについては改めてお話しさせていただく機会をつくるけれど、今回はその味噌作りに使う、二重竹ざる(ふたえばら)についてご説明したい。


竹ざる


二重竹ざるは、網代編みした竹ざるの裏面を六ツ目編みで補強した竹ざるの事だ。竹虎で定番で販売させてもらっているサイズは2尺、つまり60センチで現在の日本の暮らしの中では最大サイズだと思っている。ところが、味噌作りとなると3.5尺(105センチ)もの大迫力の竹ざるが使用される。かつては、4尺(120センチ)や5尺(150センチ)なんて言う二重竹ざるも普通にあったようだ。


ふたえバラ六ツ目編み


どんなサイズの竹ざるにも裏面には六ツ目編みの補強が入り、非常に丈夫に編まれている。しかし、前々からずっと疑問に思っていた事があるのだ。確かに六ツ目を入れると強度は高まるけれど、浅い竹ざるにそこまでの重さがかかるのだろうか?一般的な干しざるのような使用方法だけなら、あまり必要としない造作ではないだろうか?


竹ざるでの味噌作り


ところが、実際に味噌作りの現場を見ると、なるほど六ツ目編みを入れたくなるような工程が続く。蒸した麦や大豆を大量に入れる重みもあるけれど、数名の女性たちが竹ざるの周りに集まり、混ぜたり作業をする中で底面には随分と負荷がかかる。


使い込んだ二重バラ


数十年使われてきた二重バラの底をみると、六ツ目編みの竹が重なった部分に底ズレの痕が残っている。竹で一番強い竹皮部分で、六ツ目編みして底に編み込む知恵は、味噌作りから自然に出来あがったものだと思う。高知で伝統的に作られてきた竹ザルは「サツマ」と呼ばれてきた、技術交流の盛んだった頃に鹿児島から伝えられた証だ。しかし、高知では竹ざるで味噌作りはしないから裏面に六ツ目編みをすることはない。



資料館級の竹細工あり

土用干し用エビラ


エビラは、今年の土用干しシーズンも沢山の方にご愛顧いただいた竹編みのひとつだ。「エビラ」と検索するとゴジラと対決する怪獣が、まず出てきて、それほど一般的な製品でない事が分かる(笑)。実は城跡が好きで石垣ファンなのだが、四国の覇者とも言われる長宗我部元親の岡豊城跡には高知県立歴史民俗資料館があり、実はエビラはここに何枚も収蔵されている。


高知新聞、エビラ


そんな事を思い出したのは、今月初めに地元の高知新聞で懐メロや民具で認知症予防という記事が掲載されていたからだ。こちらに写っているのは別の資料館が保管されているエビラだった。


エビラ


まさに、資料館に収められているレアな竹細工という訳だが、何と竹虎では当時の大きなサイズだけでなく、都会に向けたハーフサイズまで製作している。


土用干し、竹ざる


資料館に収められている籠は、年期が入っていい味を出しているから、年に一度は見学させていただくようにしている。何度も行っても、その都度新しい発見があり本当に楽しい。そして、そんな歴史のある竹細工が現代でも作り続ける事ができて、人様の役に立てている事が素晴らしいと思っている。





竹ざるで味噌作り?伝統のミソバラ

古いミソバラ


倉庫に仕舞われていた網代編みの竹ざるは大迫力だ。普通に生活していたら、まず目にする事のない大きさで、直径が一つは3尺(約90センチ)、もう一つは4尺(約120センチ)もあるから凄い。こんな平らな竹ざるが何に使われていたのかと言うと、実は味噌作りだ。蒸した麦を冷ますのに、この大きな竹ざるを使う、そして冷ましてから麹菌と混ぜるのだが、薄い竹ヒゴを網代編みした細かい編み目にその家独特の菌が生きているから、同じ地域でも各家庭それぞれに風味の違う味噌が出来ていた。


寿司バラ


それにしても、この大きさには自分でも面食らってしまう。前に、宮崎県の寿司バラと言う竹笊を最後の職人さんから頂いたお話しをした事がある。寿司飯を竹編みのザルで作るなんて、味噌作り同様に馴染がないと少し意外に感じてしまうが、この寿司バラも結構な人数分を作る事ができるサイズであるものの、内側は1.3尺(約40センチ)しかない。


寿司バラ


つまり、3尺(約90センチ)、4尺(約120センチ)サイズの竹ざるがいかに大きいかお分かり頂けるかと思う。竹虎では定番としている2尺(約60センチ)だって、沢山の梅干や野菜を干すのには都合がよいけれど、都会に暮らす方の中には、もしかしたら置き場所に困っている方もおられるかも知れないなどと想像する(笑)。このビッグサイズの竹ざるが、どうやって使われてきたのか?近いうちに皆様にご紹介したいと思っています。