浜で働く竹ざる達

竹ざる


竹細工といえば山間部で作られている印象があるかも知れませんが、実は海で働く竹籠や竹ざるも多かったので漁港近くに暮らす竹職人も多かったのです。高知では今でも港に行くとこうとして普通に竹が多用されていてホッとさせられます。


漁港


梅雨の晴れ間、潮の香りに誘われて波の静かな船着き場を歩きます。


干しざる


海鮮加工場では美味しそうなイカが竹ざるの上で干されていました。これからの土用干しに皆様にお使いいただいている国産竹ざると同じような形です。


重なった竹ざる


その奥には、もうもうと湯気の立ち込める大きな釜があって傍らには竹ざるが積み上げられています。この季節だと沖で獲れたウルメイワシを茹でる時にこの竹ざるを使うのです。


干し場


ウルメイワシは高知の海でも沢山獲れますので釜茹でしたシラスを最近では丼にしたり、ソフトクリームにふりかけたものまであります。ソフトクリームにシラス!?と驚きますが塩気が効いて実は悪くありません(笑)。


ちりめんじゃこ


一番良い時期はカタクチイワシの獲れる秋だと言いながらシラスを更に乾燥させて、ちりめんじゃこにしていきます。


プラスチック製ざる


今の時代です、釜揚げしたシラスを入れたり干したりする時には竹ざるを模したようなプラスチック製のものも沢山あるようです。しかし、浜辺でお仕事される方々は決まって竹がいいと口を揃えて話します。


竹ざる


どうやら竹ざるだとシラスを入れたまま持ち運びする際に重ねても適度な空間ができるのが良いようです。


竹ざる


何十枚と使う竹ざるに、それぞれの屋号など書入れるのは農村でも漁村でも同じです。今年も新調したり、壊れたものを補修したりしながら竹と共に続いてきた仕事があります。


忘れるくらい長く愛用する虎竹水切りステンレスざるの作り方

虎竹ステンレスザル


幸運のシンボルとして知られる馬蹄型が特徴と言えば虎竹水切りステンレスザルです。40年使ってもまだまだ現役という耐久性と4種類のサイズがあってキッチンで色々と活躍することから地味ながらも長く人気を続けているひとつなのです。ところが、これだけのロングセラーになっているステンレスザルですが金網部分から作られている事をご存知ないユーザーの方がほとんどだと知りました。


皆様が台所でお使いいただいているザルひとつひとつが平らなステンレスの金網を型にはめ手作りされています。長い間には色々なお声を頂戴しました、部材を変更したと事もありますし、ある時には鉄工所にお願いして特別に誂えてもらった型から見直しながら少しづつ改良して現在に至っているのです。手際良く完成するステンレスザルの仕事ぶりは、何度も何度も失敗や試作をしながらようやく辿り着いた職人の努力の賜物です。





国産竹ざる、昭和62年4月、5000円

竹ざる、サツマ


高知は84%が森林という日本一の山の国と言えるかと思います。山間地域は徳島県、香川県、愛媛県、それぞれの県境まで広がり、その地域ならではの山の暮らしが続いてきました。先日お伺いした仁淀川上流域の集落には20名ほどの皆様が暮らしていて、その生活の中には竹がずっと活躍してきました。


竹ざる


こちらのお宅にも年期の入った2尺サイズの竹ざるがありました。山菜を干したりして、ずっと使われつづけた逞しい表情ですけれど流石にしっかりした作りで何処も傷みひとつありません。


竹ざる


少し大きな村や町でしたら万事屋といった何でも取り扱う便利なお店があって必需品である竹ざるや竹籠なども置いていたものです。ところが山間地域に点在する小さな集落ではなかなかそのようなお店もありません。そこで竹細工専門の行商をされている方がおられたのです。


虎竹の里


今ではほとんど見られませんけれど虎竹の里にも干物など魚介類を扱う方や、珍味など食料品、あるいは刃物屋さんなど色々な方がほんの十数年前まで回ってこられていました。


竹ざる


竹ざるや竹籠の場合は職人が自ら編んだものを自分で売り歩く事が多く、それぞれのお客様との直接のやり取りの中で要望を聞き竹製品の精度を高め、技を磨く機会にしてきました。昔ながらの暮らしの中で鍛えられた籠が強く、逞しいのはそのせいです。


この竹ざるは昭和62年4月に購入したもの、今から33年前です。現役バリバリで使える丈夫さ、5000円で買ったと覚書までされていますから間違いありません(笑)竹を取り巻く環境は激変したことを思えば、当時から言うほど竹細工の価格は変わっていないようです。





マタタビ米研ぎざるを手にして

マタタビ蕎麦ざる


マタタビという素材は面白い。黒い木肌の下には真っ白い生地が隠されている。


マタタビ米研ぎざる


薄く剥いで使うと柔軟で粘りがあって、まるで竹と同じように扱える。やさしい手触り、耐水性も抜群であるこのマタタビ米とぎざるは素晴らしい。


マタタビ米ざる


水分を含むとヒゴが膨張して目から締まって米が目につまったり下に落ちてしまうことがないのが秀逸である。


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そして使うほどに深まってくるこの経年変色は、知らない方が見たら別の籠かと思われるほど。いつも申し上げることだが自然素材のこんな魅力的なざる一つで、都会の暮らしがどれほど豊になるだろうか。


嬉しい網代底の竹ざる

網代底竹ざる


とても嬉しい竹ザルをご紹介したいと思います。それがコチラ!網代底で編まれているという事以外は、1.8尺(55センチ)サイズの何ということもない竹ザルに見えるかも知れません。


古い網代底竹ざる


ところが確かこの1月でしたか、たまたま一体何年くらい前のものか分からないほど古い竹ザルに出会っていたのです。よくご覧いただきたいのですが、それが同じ竹ザルでした。


古い網代底竹ざる


大事に使われてきたであろう年期の入った竹ざるは、それは美しく歳を重ねた感じで魅力的でした。


古い網代底竹ざる


磨きの竹ヒゴの縁巻も枯れ具合も大好きです。


古い網代底竹ざる


もちろん同じ職人のものではありませんので力竹の差し込み具合など微妙に違うところはあります。


古い網代底竹ざる


手にしている竹ザルも編み上がったばかりという訳ではないものの、この竹ザルから見れば、まだまだヨチヨチ歩き?(笑)でしょうか。しかし、いずれこのように風格が出てくるのかと思えば笑みがこぼれます。


炭化加工でリニューアル新登場!蕎麦せいろ

蕎麦せいろ


夏の食事の定番といえばザル蕎麦は外すことはできないのではないでしょうか。近年のうだるような暑さの中、食欲も減退気味であったとしても冷たくキリリとして香りと喉越しのよいお蕎麦ならいくらでも食せてしまうものです。


竹虎では今春、定番であった蕎麦せいろをリニューアルさせてもらいました。
どこが変わったのか?もしかしたらすぐにお分かりいただけないかも知れません。実は材料として使用します孟宗竹を炭化加工する事により、以前は白っぽい竹肌だったものが少し茶色っぽい色合いになりました。


竹の害虫


手間のかかってしまう炭化加工に踏み切った要因には温暖化等による気候変化もあり多発する中害の予防です。まだ少し時間をかけて見ていく必要がありますが、日本の竹材自体が変化しているかも知れません。竹を食う虫はチビタケナガシンクイムシという小さな虫とタケトラカミキリ、ベニカミキリというカミキリ虫の仲間です。


この箕も持ち手部分を小さなチビタケナガシンクイムシの食害にあって穴だらけになっています。自然界の中で生かされているので仕方ないとは思っています、しかし竹製品としては使用に問題はありせんが、やはり販売はできないので製品にしてから虫に食われると目も当てられません。


孟宗竹


気候変化と共に原材料となる孟宗竹の竹林の管理が山の職人不足で十分でないことに要因があるかも知れません。虎竹の里の近くの孟宗竹の竹林で日本最大級の竹の開花を見つけました、孟宗竹は60年に一度開花と共に竹林全体が枯れるという不思議な生態を持っています。もしかしたら全国的に孟宗竹の持つ抵抗力自体が低下している可能性もありえます。


炭化窯


とにかく、このような状態では安心して製品を皆様にお届けすることはできません。そこで一番安全で効果の高い熱と圧力で竹を蒸し焼き状態にする炭化加工を施すことにしたのです。


竹製鬼おろし


竹製鬼おろしも同じ孟宗竹を原材料にていますので炭化加工してリニューアルさせていただきました。鬼歯だけが少し白っぽく見えると思われた方は素晴らしい!炭化加工にすると若干ですが強度が落ちるので、強い力のかかる鬼歯部分はそのままの竹に残してあるのです(笑)。


ザル蕎麦、そうめん


蕎麦せいろには、もちろんお蕎麦だけでなくて饂飩やそうめんなどもいいものです。炭化加工によりカビの発生にも効果アップしたリニューアルせいろで夏を乗り切ってください。

日本製?外国製?竹ざるについて

盆ざる(竹ざる)


お蕎麦屋さんなどで良く使われる事のある盆ざるです。皆様に馴染みが深い竹細工のひとつだと思いますが、どれが国産で、外国製か分かりますでしょうか?そうですよね、少し遠いですしどれがどれだかサッパリだと思います(笑)しかし、注意深く見ていると細かいところで色々と違いがあるようです。縁巻の色や毛羽立ち、竹ヒゴの綺麗さなど、でもこうして離れて見ても竹ヒゴや縁巻の違いに特徴があります。そして、実は中でも一番で丁寧に作られているように見えるこの竹ざるが外国製なのです。


盆ざる(竹ざる)


少し意外に思われるかも知れませんが今や外国製の竹製品も「安かろう、悪かろう」ではありません。海外の生産国も次第に生活水準も人件費も上がるにつれて価格自体も国産のものと違いがない代わりに品質管理をしっかりされた良いものが出来るようになっています。


盆ざる(竹ざる)


ただ、こちらの外国製蕎麦ざるの白い縁巻はPP、つまりポリプロピレンです。合成樹脂なので熱に強く耐久性が高く近くでご覧いただいても質感や微妙なシワ、光沢が竹とそれほど違和感がありません。扱いやすさは抜群ですから沢山のお客様が来られるような飲食店などでは非常に重宝されるのではないかと思います。


蕎麦ざる(竹ざる)


しかし、ここまで品質が良いだけに輸入品と知らずに「国産」と表示して流通されいる事には憂慮しています。同じような竹ざるを国産竹材を使って昔ながらの職人が編んでいる中、お客様が外国製を見て「さすが国産だ...」と頷いているのを見ていると、これではいけないと感じるのです。


蕎麦ざる(竹ざる)


もちろん日本のモノづくりも皆様が思う以上に高齢化が進んでいます。大量に製造されていた竹細工ほど、沢山の竹材が必要ですが今では伐採する職人も少なくなり求められるような数量ができない事もあります。それでも若干見劣りする場合があったとしても、やはり自然素材にこだわる日本製を守りたい。


盆ざる


だからたとえ不良品も国産竹細工を買い支えるつもりでやって来たのは今回の盆ざるを含めて今に始まった事ではありません。目の前にある竹ざるたち、これが国内では最高水準の品質であり天然籐の縁巻を使ったこだわりの竹製品です。現在これ以上の品質の国産竹ざるの製造はできません。


冬には鍋料理に、夏には蕎麦ざるとして日本の食卓に欠かせない盆ざるについて日本製、外国製それぞれの違いを踏まえた上でお客様が用途によってお選びいただく事が大事だと思っているのです。そしてそれを、しっかりお伝えするのは竹を生業とする者の使命です。



国産四ツ目竹ざる60センチ新登場

国産四ツ目竹ざるの影


南国土佐の温かい日差しに60センチサイズの四ツ目竹ざるの影が濃くクッキリと見えている。先日から製作することになった四ツ目ざる40センチに一回り大きなサイズが仲間入りしたのだ。


網代編み


先日の30年ブログでもお話しさせてもらったように多くの竹ざるは画像のような網代編みかゴザ目編みで目が詰まっている。


四ツ目編み


しかし用途によってはこのように目の粗い竹ざるが好まれる事があり昔は結構このような四ツ目ざるやエビラもあった。実際、古い民具を保管している施設に行くとこのようなタイプのざるは多く見ることができるのだ。


日本製梅干しざる


今回の四ツ目ザル60センチ登場で、網代ざる、四ツ目ざるそれぞれに2種類のサイズができて使う方のお好みで選べるようになった。


日本製四ツ目竹ざる60センチ


縁部分は強度の高い孟宗竹、内側の四ツ目編み部分はしなやかな真竹を使っている。思った以上に今年は竹材を使ったので既にもう残り少なくなった、後どれくらい編んでもらえるだろうか。



気が付くと国産の四ツ目竹ざるが見当たらない

国産四ツ目竹ざる40センチ


竹ザルはゴザ目編みか網代編みの場合が多い。どのような編み方かイメージできない方もいるかも知れないが、要するに竹ヒゴを隙間なくガッチリと詰めて編まれているのである。そんな普通の竹ざると比べると通気性は一目瞭然で圧倒的に良い、四ツ目竹ざるの40センチサイズができた。


国産竹ざる


青く見える竹ヒゴが真竹の表皮を薄く剥いだ「磨き」の竹ヒゴであり、白っぽいヒゴがその後に取った材料である。空洞があるために木材などと比べると厚みのない竹材ではあるが、何枚にも薄く削るようにして使っているのだ。竹材を油抜する事なくそのままに使う「青物」と呼ばれる細工では、このように青×白のコントラストが美しい籠や笊が多々ある。そんな素朴な編み込みを眺めながら少し前の事を思い出していた。


昔の四ツ目ざる


以前は、このような四ツ目編みの竹ざるも普通にあって珍しいものではなかった。ところが、いつ頃からか?ふと気づくと国産の四ツ目ざるなど何処にも見当たらなくなっている。


国産四ツ目竹ざる編み方


自然素材の難しいところは伐採に旬があるという事だ。たとえば今頃になって孟宗竹が足りないとなっても品質が落ちてしまうので伐る事ができない。真竹で四ツ目の編み込みはできても縁部分に使う丈夫な孟宗竹がなければ一つの竹ざるとして完成しないのだ。


日本製梅干しざる、さつま


土用干しに人気の網代編み竹ざるの編み込みと縁部分をご覧いただくと分かるように、この二つの部材で竹ざるはできている。身近に使われてきた竹ざる一枚でも実はどのように出来ているのか?長年愛用されている皆様でも、もしかしたら考えた事もあまりないかも知れない。





そう思って最近、1時間近い長い動画を作ってみた。もしお時間あれば少しでもご覧ください。


国産竹ざる、万歳

竹ざる


編み上がったばかりの竹ざるは、まだ瑞々しさが残っていて青竹の香りが漂っています。今日は気持ちのよい日本晴れなので竹ざるたちをズラリとならべて天日干し、昔なら当たり前の光景ですが現代にこれだけ沢山の数が揃っているのを見ることは日本広しと言えどもそうある事ではありません。しかも、これでまだ半分。


竹網代


西日本の竹ざるの多くはゴザ目編みか、この国産竹ざるのような網代編みが多いのですが高知では網代編みの竹ざるを「サツマ」と呼びます。竹の技術者の多かった土佐と日本一の竹林面積を持つ薩摩とは昔から人の交流が盛んだった事が最近分かってきました。職人の行き来がある中で、当然技術交流もあったろうと想像できますので網代編みの竹ざるは鹿児島から伝わったものであり呼び名も「サツマ」となっていると思います。


竹ざる製造、サツマ


大きな干しざるは農家でも大変重宝されてきましたけれど網代編みはこの大きなざるには適していますので多くの職人が作る事になり竹ざるの代名詞として「サツマ」の名前も定着したのです。