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大きな大きな国産竹ざるについて

国産竹ざる120センチ


国産竹ざる120センチ

今の時代に「尺」と言っても、誰もピンとこないのでないかと思います。1尺=約30センチなので、この4尺の超特大の竹ざるは約120センチの大きさがあります。この夏も、皆様に大好評いただきました梅干し用の国産竹ざるが60センチなので、なるほど、ちょうど倍くらいのサイズ感か...。などと思っていたら大間違い!あくまでも直径の長さが倍なので、網代編みされた面積は4倍にもなります!だから編みあがりの姿はこんな大迫力になるのです。


国産竹ざる(ふたえばら)


何度かお話した事もあると思いますが、網代編みした竹ざるの事を高知では「サツマ」と呼びます。日本一の孟宗竹の竹林面積を誇り、竹産業の盛んだった鹿児島には、かつて高知から沢山の若者が働き手として招かれていました。だから、高知に竹の技術を持ち帰った職人から、自然とこの呼び名で広がったと考えています。


国産二重編み竹ざる


二重編み構造の国産竹ざる

この超特大の竹ざるは、「ふたえばら」とも言う二重編みの構造になっています。大きいので補強のために底面に六ツ目編みが入れられているのですが、これほどまでに大きな竹ざるが一体何のために作られたのかお分かりでしょうか?




味噌バラとは?

それが、実は味噌作りのためなのです。ご存知ない方にとりましては、当たり前ながら、竹ざると味噌...どう考えても共通項がなく、結びつきません(笑)。竹ざるは、九州の地域によっては「バラ」と呼びますので、味噌を作るための竹ザルで「味噌バラ」とさえそ言われています。そこで、YouTube動画でしっかりと、この大きな竹ざるが、味噌づくりにどんな風に使われているか?今も地域にしっかりと残る、昔ながらの共同作業をご覧いただければと思っています。このように数名のお母さん方が集まり、同時に仕事をされますので、4尺どころか5尺(150センチ)もある竹ざるも、更にもっと大きなサイズの竹ざるも用意されていました。


国産竹ざる


このような大きな竹ざるは、ヒゴ取から始まり多くの工程で小さな竹ざるとは全く別物の技術力が必要で、今後は昔ながらの綺麗な製品は編めなくなってしまうと危惧している竹細工のひとつです。さて、昨日も古老の職人さんの工房にお伺いしていて、ふと、この二重編み竹ざるの話しになりました。すると、高知でも自分たちの祖母の世代くらいまでは、竹ざるを使ったチラシ寿司作りが盛んに行われていたと聞きました。竹の編み目が滑りが良いから、寿司飯に具材を混ぜあわせるのに重宝したと懐かしそうにお話しされていました。


寿司バラ職人


最後の寿司バラ職人

宮崎でも、真竹と孟宗竹さらに蓬莱竹を組み合わせた網代編み竹ざるでチラシ寿司を作ります。こちらには蓋付きで、少し保管する機能もついていました。前にお会いさせて頂いた最後の寿司バラ職人さんと、編まれた美しい寿司バラが強烈な印象で残っていますが、やはり鹿児島~宮崎~高知は、黒潮の流れのせいか文化的に似たところがあるようです。





竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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