古い魚籠

魚籠


納屋の壁に、ずっと昔からかけられちょった魚籠かごが一つ。虎竹の里からすぐ近くにはニホンカワウソで有名な新庄川がありますけんど、実は、父は趣味がこうじてそこの川漁師の免許も持っちょりました。ワシの小さい頃には、鮎らあ食べきれんばあ採ってきよったきに、専用の冷凍庫があった程です。塩焼きはもちろんやけんど、しまいには、薫製まで作りよった。「また、今日も鮎かえ...」と、思いよりましたき。今、考えたら天然鮎じゃき、まっこと贅沢な土地柄ちや。


そんな父が使いよった魚籠かご。色が渋うなって、味がある。長い時間が醸し出す風格と存在感がある。ワシも、いつかこんなになれるろうか?


「オマン、どう思うぜよ?」


手にした魚籠に聞いてみたちや。そりゃあ、正直に言えんのお~。


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