2012年6月 8日の投稿

竹のウェストバック?

魚籠


先日の民具展を拝見させてもらいよったら、あの竹職人のおんちゃんの顔が見とうなったがです。93歳、まだまだ現役。作りたい時に作りたいものを思いのまま編み込む。静かな自宅兼工房には丁寧な仕事がキラリと光る竹細工がズラリ。虎竹魚籠とは又違う風合いのマダケで編まれた、ひときわ輝きゆう壁にかかった小さな魚籠に目がとまるがです。


「それは女房が、さげて(持って)行きよったヤツぜよ」


奥さんと一緒に仲良く近くの渓流までアメゴ釣りに出かけることも多かったと言う職人さん。さすがに思い出の品はイカンけんど、棚の上にあった、こじゃんと美しい魚籠を手にしました。平成12年4月と製作した時を書き込んじょります。と言うことは、何と12年前。いやいや、たまらんような色つやになっちゅう......。見るほどに魅入られてどうしても頂きたくて頼みこんで一つ頂いてきたがぜよ。


「おおの、こりゃあエイちや」腰に下げて一人悦に入りゆうがです。おっと、けんど釣りに行くがでは、もちろん無いですぞね。ウェストバック!そうそう、携帯電話やち財布やち何でも入れ放題じゃあ。虎竹の里では、これをウェストバックと呼ぶがやきに。


コメント(2)

野上 好志子 返信

竹のウエストバッグを拝見しているうちに、思い出したことがあります
父は土佐久礼の人ですから 土佐久礼や須崎には親戚がたくさんありました
今でも何人かは知らないわけではありませんが 5~60年前に毎年暮れになると高知から息子のうちに手伝いに出てきておられた浅馬のおじさんと呼んでいた(たぶん父のおじさん)のおみやげが竹かごでした 自分で編んでもってきてくれてました
5つほどあったでしょうか 何に使うわけでもなく本棚の上に並べられていました
そのうちのひとつが 宝くじのはずれ券入れだったのをおもいだしました 宝くじには当たったことのなかった父でしたが かごいっぱいになっても捨てずにあふれていた宝くじとともに思い出しました
家を出るときに持って出てこなかったことが残念でなりません

竹虎四代目 返信

野上好志子様

いつもブログをご覧いただき、まっことありがとうございます!
土佐久礼といいますと虎竹の里のすぐ隣町
鰹の一本釣りで有名な漁師町ですちや
お父様が久礼のご出身という事で親近感がわいております。

竹籠のステキな思い出をお聞かせいただいて
心がなんか温かくなった思いです
お土産がご自分で編まれた竹籠とは素晴らしい
お手元にはお持ちになられていないようですけんど
心の中にいつまでもあるがではないですろうか?

実は自分にも大学四年の大火災で焼失したものの
今でも目を閉じたらハッキリ思いうかぶ
祖父の大事な竹細工があるがです。

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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。

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