2013年竹虎カレンダープレゼント開始

2013年竹虎カレンダー


いよいよ明日から早くも11月ぞね。日の昇るのは遅くなりましたきに朝は真っ暗。さすがに肌寒くなってきましたので、そろそろ作務衣の下にVネックセーターを着る日もあるのではないですろうか?


さて、毎年この時期になりますと恒例行事のようにさせて頂くのが竹虎オリジナル卓上カレンダープレゼント企画なのです。この一年も、アッという間に過ぎましたけんど、よくよく落ち着いて考えましたら色々ありました。新しく製作する事のできた竹製品もありますし、リニューアルさせた竹細工もあるがです。そして、それもこれも全て作り手の竹職人がいてこそ。そこで2013年竹虎カレンダーは職人にスポットを当てましたぞね。ちょうど2000年の年賀状には大好きな内職のおばちゃんの手を大きく印刷しました。


30年来、当社の内職を続けてくださっている方々がいます。シワだらけでゴツゴツした手は、あかぎれもつれです。でも、僕はこの手が大好きです。一生かけて大事に大事に守っていく大切な宝です。


こうやって書きました。思いは、あの時と全く同じです。この一年、竹虎をご愛顧いただきました皆様への感謝と、2013年も頑張っていく竹虎の決意の気持ちを込めて、竹虎オリジナル卓上カレンダーをお届けします。


※竹虎カレンダープレゼントの 詳しい内容はこちら企画ページをご覧ください。


竹密度とは?

和傘


和傘は好きで、ずっと愛用していた時期もありました。それこそボロボロになって穴があくまで持っちょりましたが、そんな傘を差しちゅう方は、最近いないのでかなり珍しがられたことを覚えちょります。使い勝手から言うと、確かに洋傘や折りたたみ傘にかないませんけんど、もともと竹虎が明治27年に大阪天王寺で創業した当時、和傘の骨竹などを扱いよったという事を祖父からずっと聞いて育った言うこともありますろうか?


昔から日本の暮らしになくてはならない竹製品のひとつと言うこと以上に妙に愛着があるがです。今、大切に使いよります国内老舗メーカーさんの洋傘も、傘骨の多さや、持ち手の竹根などが何となく和傘の雰囲気を醸しだしちゅうきに気に入っちょります。


とあるイベント会場で野点用の大きな傘を見てこんな事を思いよりましたが、そうそう、こんなお話をご存じですろうか?竹林の手入れのお話ですけんど、毎年ドンドン生えて、成長も驚異的に早い竹、しばらく放置しちょりましたら人口密度ならぬ竹密度がこじゃんと高くなります。そこで、適正な隙間ができるように間引く事も必要になってくるがですが、どれくらいの間隔で竹を伐ったらエイと思われますか?


実は、なんと先ほどからお話しよります和傘がヒント。和傘を差したまま竹林の中を歩けるくらいそれくらい間合いを開けて手入れするのが適正と言われよります。

さて、さて、エイ事を聞いたと思うて早速、そんな目で皆様のお近くの竹林を見とうせや。どれくらい合格しちゅう竹林がありますろうか?


菊割り

菊割


竹屋には菊の花が、こじゃんと咲いちょりますぞね。まあ、菊の花言うても金属製です!そうながです、竹割りをするのに使う道具のひとつで、菊の花のような形をしちょりますので菊割りと呼ばれる金具があるがぞね。


先日、数少なくなった竹工場にお伺いさせてもろうた事があったがです。横積みされた丸竹や切断するための丸ノコ、竹の切り屑が舞う竹工場は、何処に行っても懐かしい香りがします。目を閉じたら、小さかったあの日に戻れるがやきに、周りを見上げてばっかりやったあの頃。ランニングシャツの大人たち。長い竹を肩にかついで大声で話しよった。


竹を切る音、竹を炙る音、竹を割る音、竹を積む音、竹を数える音...。虎竹の甘い香りに誘われて歩いていきよったら祖父の愛犬アトマが駆けてくる。


「ヨシヒロ、あぶないやろ、そっちはアカンで」


祖父の声に振り返っても写真の中で笑いゆうだけ、今朝は気持ちのエイ涙だけ、もう書けんがやきに。


三ツ手籠

三ツ手籠


びっくと珍しい竹籠を見せてもろうたがです。今では、ほとんど作られていない籠。三本手が付いているところから、三ツ手籠と呼ばれてきた伝統の竹籠です。お年寄りの職人さんに聞いたら、昔はこの竹籠で麺類を茹で上げるのはもちろんやけんど、魚を買いに行ったり、豆腐を入れたり、まっこと、万能籠というほど、あれこれ使われよったようです。三ツ手籠を手にエプロン姿のお母さん方が行き交う夕暮れ時ちどんなんやったですろうか?のどかで、あたたかくて、まっこと戻って見てみたい光景ですぞね。


二本手のところを補強する意味で、もう一本取り付けて耐久性と使いやすさを考えられた籠ですけんど、なんか思い出す形やにゃあ。ずっと、眺めながら考えよりましたけんどようやっと思いだしましたちや。そうぜよ、掃除の時のちり取りやちや。木製でも同じような形のモノがありましたけんど、学校ではブリキ製の三本手のチリ取りを良く使うた覚えがあるがです。


竹でも、木でも金属でも、強度や使い心地を極めていったら結局似たような形になってくるがですろうか。まっこと、面白いものながです。


鮨屋の虎竹箸

鮨たかの


東京の新橋と言うたらサラリーマンの街として有名ですけんど、東京駅もすぐですし銀座も近い。田舎に暮らす自分などからしたら、まっこと東京の中心地と言うてもエイがではないかと思うような沢山の人の行き交う賑やかな街ですぞね。


その新橋に「鮨 たかの」はあるがです。駅から徒歩数分。階段を上がった所にあるカウンター数席と小上がりのこじんまりとした大人の隠れ家のようなお鮨屋さん。あたたかくて居心地のエイ雰囲気なのは一人で切り盛りされよりますご主人高野さんの人柄ですろう。日頃、このようなお店には縁のない自分が尋ねていったのは理由があるがです。


虎竹箸


「竹虎さんとこのお箸を使っているよ...」


ええっ!?


東京の有名なお鮨屋さんらあで虎竹のお箸を使うて頂きゆうとは思いもしなかったので、こじゃんと驚いたがです。「こりゃあ、一回お伺いさせてもらいたいにゃあ」そう、思いながらもなかなか機会がなくて、それから月日は流れ、ようやく「鮨 たかの」さんのドアをたたく事ができたがぞね。


お刺身は高知で新鮮な海の幸をいただきよりますがやっぱり、花のお江戸の魚は違うぜよ。当然美味しいがです。お鮨も美味しい!けんど、それよりご主人の高野さんがとにかく、虎竹箸を色々な仕事に使いゆうのが心から嬉しゅうてなりませんちや。


「包丁よりも使ってますよ...」


本当に、言葉どおり、まな板の上に、いつもスタンバイさせちょってあれこれ、あれこれ。オープンして4年半言いよりましたろうか?ずっとご愛用いただきゆう虎竹のお箸は年期も入ってすっかりプロの表情に。いなせな鮨屋さんの職人の表情になっちょりました。お店から外に出たら雨模様の日でしたけんど心は、まっこと(本当に)晴れ晴れとしよったぞね。


名入れ箸などの刻印

  字体が選べるようになりました。名入れ出来る『虎竹男箸・女箸』。






2012年6月11日



                        竹虎 株式会社 山岸竹材店




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                     字体が選べるようになりました。名入れ出来る『虎竹男箸・女箸』。

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 ■要約

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8000膳以上売れている竹虎のお箸。その中でもプレゼントに喜ばれているのが『虎竹男箸・女箸』への名入れサービス。

お名前や10文字で愛を伝えませんか。





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 ■本文

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創業明治27年、老舗竹屋四代目がオススメするこの『虎竹男箸・女箸』。虎竹の箸は、

ここ高知県須崎市安和でしか成育せず、イギリスBBC放送も取材に来たという珍しい竹

「虎斑竹(とらふだけ)」から作られます。特に男箸の場合、かなり大きく身の厚い虎竹

でないと作れないため数量が限られる貴重な箸です。そのため、大事な方へのプレゼント

に非常に喜ばれています。



この『虎竹男箸・女箸』で喜ばれているのが、「名入れサービス」。このお箸に名前や メッセージを

入れることができます。この度、その名入れの際の字体をお選びいただくことができるようになりました。



日本語の場合、「ゴシック体」「明朝体」「楷書体」より

アルファベットの場合、「ゴシック体」「明朝体」「斜体」より

お好きな字体で入れることができます。



  「名入れサービス」ですが、名前ではなく、10文字までのメッセージを入れる こともできます。



  『いつもありがとう』



  『お仕事頑張ってね。』



  『いつまでもお元気で』



10文字でも伝わる気持ちがあります。名入れをした『虎竹男箸・女箸』は世界で 一つのオリジナル。

あなたの大事な方へ、ぜひこの『虎竹男箸・女箸』で気持ちを伝えてください。





 <虎斑竹専門店 竹虎>

 虎竹男箸 販売価格2,940円(税込)


 虎竹女箸 販売価格2,415円(税込)





虎竹男箸


虎竹男箸
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土窯づくりの最高級竹炭

竹炭窯


炭窯というたち、実はいろいろな窯があるがです。乾留炉、流動炉、キルン窯、耐火レンガ窯、移動式炭化炉...。竹虎の最高級竹炭は昔ながらの土窯を竹炭専用に改良した窯で800~1000度の高温で焼かれよります。低温の窯で焼かれた竹炭との一番の違いは音ですろうか。高温の窯で焼かれた竹炭は硬さが増して竹炭の特性のバラツキのない高品質の炭になって叩くと、キンキン!キンキン!まるで、金属のような音がしますぞね。


けんど、その分、竹炭を焼く技術や窯にノウハウがこじゃんと必要ながです。実は、何でもないように見えるこの土窯も竹炭職人の知恵と工夫の結晶、企業秘密が詰まっちゅうがやきに。竹炭職人は竹素材の吟味、乾燥具合はもちろん、季節や、その日の天候まで考慮して時によっては泊まりがけで窯を見守り、2週間という時間をかけて、一窯、一窯焼いていくがです。機械窯のように短時間で常に一定の竹炭が焼き上がるワケではありませんきに。実は、窯があいたものの、お客様にお分けできずお待ちいただいた事も、実は今まで一度や二度ではないがです。


さて、空になった竹炭窯にはこれから長さを切りそろえた割竹の束を奥から立てていきます。窯入れ、とか窯だてとか呼ばれよりますが、時間をかけて焼き上げられたら美味しいご飯や、美味しいお水のお役にたつ立派な竹炭になって出てくるがです。


古い虎竹盛り皿

虎竹盛り皿


竹虎の本店、ガラスケースの中に古い虎竹盛り皿があるがです。もう、誰が編んでくれたのかもハッキリ分からないような一枚。けんど、竹への思いは、こじゃんと伝わってくるぜよ。幅広に取った虎竹の竹ひごを、これ以上は頑丈に編み込めないと思えるほどガッチリ編み込んじょります。竹の節を見せることによって盛り皿の表情は全く違う面白みと男性的な野趣を感じさせてくれて、こじゃんと好きながです。


虎竹盛り皿底


さて、けんどこの盛り皿が大好きな秘密は裏面に隠れちょります。盛り皿を裏返すと、


「ええっ!?なんと、凄い」


ゆるい曲線になっている盛り皿を安定させるために、焼き物でいうところの高台が付いちゅうがですが、この高台が何と竹をよじって縄にしてそれを丸い円形の高台にして盛り皿に取り付けちゅうかです。竹虎には色々な竹を使うた竹ざるや盛り皿、竹籠がありますけんど、こんな竹縄を使った足付きの竹細工は他にはあまりありせんぞね。あれは、どうやったろうか?これは、どうですろうか?色々と思いをめぐらすけんどやっぱり、コレだけではなかったろうか。まっこと、こんな凝った盛り皿は手にして眺めるだけで何とも嬉しゅうになるちや。


幸せな虎竹達

渡辺竹清作虎竹盆


ニューヨークの有名宝石店T社と言うたら、あの有名な映画女優も朝ご飯を食べた言うきに、こじゃんと(とても)有名ではありますが、自分たちからしたら祖父の時代から親しくしていただきよります竹芸作家の渡辺竹清先生が作品を提供しよったと言うことで、かなり特別な思いのある、ブランドのお店となっちゅうがです。あのT社からデザイナーが、わざわざやって来られてご自分の創作された竹編みの仕事が海を渡るち、まっこと夢のある、凄い事やにゃあと渡辺先生の工房にお伺いする度に思います。


この日も、ぶらりと立ち寄らせてもろうちょりました。別に用事もないけんどここに居ると、妙に祖父を思い出すがです。ほんで、ついつい落ち着いて長居してしまうがぞね。そう言うたら父も、いっつもここに来よった。もしかしたら、同じ気持ちやったがやろうか?

ふと見たら、こじゃんと(とても)渋い虎竹のお盆があるぜよ。


「先生!これはエイですねえ!」


先生は、いつものゆったりされた表情で頷くだけやんど、虎竹に言うちゃりました。先生には聞こえないように、言うちゃりました。


「オマンらあ、幸せやにゃあ」


世界の認めた竹の巨匠のお眼鏡にかない作品に使うていただいた虎竹達。さぞ、嬉しいがですろう。編み込みの一つ、一つが一人、一人に見えてくる。みんなあが、笑いゆうように思えてなりませんちや。


ほっこり土曜日、しっかり飯籠

飯籠


さて、早くも土曜日がやったきましたぞね。週末は、どうやってお過ごしされよりますろうか?自分は、これと言うて趣味もないし、面白みもない男ですきに。週末も竹に囲まれちゅう事が多いでがです。けんど、アレですちや。秋空がスキッと晴れ渡ってから庭の柿なども美味しそうに色づくと、別段、何をするでも無いですけんどお腹が空きますぞね。そうそう、ちょうど職人さんから頂いちゅう新米もある。米とぎざるでササッと洗うちょいてから、ぬくぬくのご飯でも炊こうやにゃあ。


おっと、そうぜよ忘れたらイカンがが、炊飯用竹炭ぜよ。土窯にこだわって2週間かけて高温で焼き上げた竹炭はキンキンと金属のような音がするがです。夏場はピッチャーにいれて美味しいお水を作りよりましたが、やっぱり、これからの季節は炊飯やきに。日本人に生まれて、まっこと良かったと思うのは香り立つ炊きたてご飯をいただく時やろうか。お新香だけでも十分に満足できるがです。


小さい頃には良く見かけよりました飯籠は風通しのよい軒下に吊して置いちょりましたきに、持ち手が必ず付いてました。最近はあまり使われなくなったと言いつつも、持ち手の無い場所をとらないタイプの竹籠が好まれゆうようです。ほっこりしながらネコちゃんと過ごす午後もまたエイちや。


バイバイ、サンキュー竹帽子

竹帽子


1980年放送の番組やったです。調べてみました、だから今から32年も前のテレビです。けんど、当時の事をまるで先週見たかのように覚えちょります。それほど強烈な印象でした。


自分は全寮制の明徳中高等学校に通いよりましたので、ほとんどテレビを見る機会はなかったのですが、たまたま、この日の、その時間、徳島県の池田町いう所で行われた合宿に参加しちょって、そこの合宿場のロビーにあったテレビに釘付けになったがです。そのテレビに出演していたのはロックンロールのカリスマ。名前くらいは知っちょりましたが話している姿は初めて観ました。けんど、そのインタビューを受ける顔つき、話し方、椅子に座って話しよりましたが凄い迫力やった、圧倒されましたちや...。


おっと、どうしてこんな昔話しになったがですろうか?つい、先日池田町を通りかかってあの合宿場の事を懐かしく思い出したきやろうか?そうぜよ、だから「バイバイ、サンキュー竹帽子」ぜよ。あれから何度となく聴いた唄をもじったがですきに。あのスーパースターのような格好のエイもんではないですが、夏の日差しをさえぎって頑張ってくれました竹帽子もしばらくは、お別れぞね。ひとつ、ひとつ竹職人の手仕事が生みだした逸品。びっくと(少し)記念撮影しよう思うて並べて撮ったがです。


また、来年も日差しが眩しゅうになってきたら頼みますぞね。そんな独り言を言うたら来年のシーズンが早から恋しくなってきたがです。


真っ直ぐな白竹手提げ籠バック

白竹手提げ籠バック


朝日をうけて輝く白竹手提げ籠に出会おうたぜよ。びっくと(少し)大袈裟に言うたら神々しい感じすらしてくる。いやいや、けんど見た目だけではないがです。実際この手提げ籠バックへの職人のこだわりを目の当たりにしたらあながち大袈裟でもないにゃあ。そう思えてきますぞね。


全体的に無骨な印象を受ける手提げかごです。それは、形や大きさなど使い勝手を考えられた作りであると同時に、作り手側からのデザインというよりも長くご愛用いただく使い手の方からの声を、ひとつひとつ活かしていった結果という事ではないですろうか?


竹かごバック


近頃では、あまり見かけた事のない堅牢なつくり。特に傷みやすい底部分の四隅には幅1.8センチもある竹が交差して、しっかりガードしちょります。底に、ゆるくカーブを描いた形は横から見ても、こじゃんと美しいですが裏返して底面をみたらその幅広の力竹の中央部分には竹の節がきていてあえて、そのまま残してあるあたり、ああ~竹の事をよく分かっちゃあるにゃあ、竹の事を愛してくれちゅうがやにゃあ。竹好き人間の心を鷲づかみにするがぜよ。


手提げ籠の口部分の籐巻きもスマートには仕上げられちょりません。長く長く愛用できることを一番に考えられちょります。縦の竹ひごを口部分で折り曲げ籐巻きするので、見た目には不揃いでゴツゴツした感じに見えますけんど、この男性的な作りと、作り手の真っ直ぐな意志が伝わってくる籠に感激ちや。真っ直ぐな竹で出来た真っ直ぐな志の白竹手提げ籠バックながやき。


虎竹傘立て

虎竹傘立て


ゴロリと転がった円柱形の竹編みかご。日本唯一の虎竹を染めて、びっくと(少し)違う風合いに仕立てちょりますが一体これは何に使う竹籠ですろうか?直径が30センチで高さが55センチもある。かなり迫力のある大降りなサイズの竹かごぞね。そうです、もちろん、花かごとしてもお使いいただけますろう。花展の大作や店舗や商業施設での華やかな演出にはもってこいです。けんど、もともとは花籠として作っちゅうがではありません。


傘立て


ジャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン!


正解は虎竹傘立て。金属製の筒を入れて傘立てとしてお使いいただくがです。「女心と秋の空」などと言われますけんど、昨夜は綺麗な星がいっぱい出ちょりましたので今朝は快晴かと思いよりましたら冷たい雨...。まあ、今日のような雨の日に活躍する傘立て。なかなか、竹製のこんな渋い傘立てを見掛ける事はないですが、考えてみたら傘立ていうものは玄関に置かれちょります。言うたら、そのお家なり、会社様なりの顔みたいなものですきに。お越しいただいた方が、


「こりゃあ、エイにゃあ~」


と、思わず声に出しそうな存在感のある傘立てがあっても構いませんろう。大切な方をお迎えするのにはうってつけの逸品やと思うちゅうがです。


シダ編み籠の記憶

シダ編み籠


シダは、ご存じのように日本中どこの山にいっても沢山見ることのできる植物ですけんど、このシダを使うて編み込んだ籠があると言いますと結構驚かれることがあるがです。ご存じない方は是非見とうせよ。竹虎に籠は多いですけんど、この籠は、びっくと特別、それがシダ編み食器籠ですきに。


たまにお話する事がありますが、実は、かって虎竹の里には良質のシダがあったそうで、近くの町からも茎の長いシダを求めて集めに来られる方がおったそうです。遠い昔、小学校の頃に小遣い稼ぎに、このシダ屋さんにシダを持って行かれていた方によると、虎竹の里の隣、漁師町久礼にはシダを集荷する業者さんが2社もあったと言います。それだけ大量の材料が流通してシダを使った製品も沢山作られ、販売されていたのはやはりシダが身近な素材であり、耐水性にすぐれ、毎日の生活用品として欠かせないものやったからだと思うちょります。


先日、倉庫を片付けしよりましたら、一つの古いシダ編み籠が出てきましたぞね。一本一本のシダのヒゴは丁寧に加工され、網代編みは、まっこと(本当に)しっかり編み込まれ丸みを帯びた形は、見とれるばあ美しいがです。


ホコリをかぶった籠を水洗いして陰干ししちょりました。その脇に座って、ずっとシダ籠を眺めちょりました。一体どんな職人さんが、こんな素晴らしい仕事をしよったがやろうか?この優美な籠を、どんな人が使いよったがやろうか?乾きの早い籠を手にしてみると、何という弾力、しなやかさ、軽さ、先人の技のすごさを思いながらこんな籠を生み出す日本の自然や風土、文化を改めて好きにならずにおれんがです。


虎竹の声が聞こえる?

虎竹林


先週の金曜日に国内ソフトウェアベンダーの団体「MIJS」の皆様が虎竹の里に見学にお越しいただいちょりました。気持ちのよい秋空の広がる一日やったですし、どうしても日本唯一の虎竹林をご覧いただきたいと思うていましたきに、まず虎竹の古里、焼坂の山にご案内させていただいたがです。


大きなバス2台に分乗されてきましたので、一応、舗装はしちょりますが狭い田舎道です。帰り道のUターンなども考えて皆様には途中で降りて頂き15分程度歩いていただく事にしたがです。道は途中から未舗装の山道となり、竹林への上がり口からは、さらに細い急斜面となっちょります。都会からお越しのビジネスシューズの方ばかりでしたきに、さぞ歩きづらかったのではないかと思います。まっこと文字通りご足労おかけしましたちや申し訳ございませんでした。


けんど、実際に虎竹の竹林に入っていただきますと、ここでないと感じて頂けない時間を過ごしていただけると思うがです。特に今回は、この静かな竹林で何も話さないようにしましょうとご提案があってから、1分間の沈黙を皆様で体感しましたけんど、風の音、竹の葉のせせらぎ、小鳥の歌声......。皆様には、どんな声が聞こえましたろうか?


竹虎本店前


本店前に帰ってきてから、さっきまでおった竹林の場所や1.5キロしかない虎竹の里の谷間でしか成育しない不思議な虎竹の事を改めてご説明させていただくがです。


竹虎工場


工場では虎竹の油抜きの行程や竹細工の仕事の様子をご覧いただきました。東京を中心に全国各地からお越しの皆様でしたけんど、それぞれのお住まいの土地で虎竹を見掛けたとしたらその虎竹は、ここのガスバーナーをとおり、油抜きで虎模様を浮き上がらせて、しっかりよそ行きの化粧をして、この日本唯一の虎竹の里から送り出された竹という事を思い出していただけたらこんな嬉しい事はないがやきに。


竹虎見学


竹虎本社工場前で一枚写真を撮らせていただきましたぞね。地元高知の方でも虎竹の竹林はおろかたとえ自宅近くに孟宗竹の竹林があったとしても、毎日の通勤では竹林の横を通りすぎる事はあったとしても、実際に竹林に入る機会は、あまりないのではないかと思うちょります。なので、今日これだけの方に山道を歩き竹林にはいり竹に触れていただいただけで実は自分としては、こじゃんと嬉しい事ながです。


そう、焼坂の虎竹たちにとっても自分たちの事を知ってもらい、こじゃんと驚いたり興味をもってもらうことは何より嬉しい事ですろう。えっ?何でそんな事が分かるち?それは、ここでも竹の声が聞こえる言うちょりますきにご覧ください!


玉袖垣のカーブ

玉袖垣


竹垣には、それこそ数十メートルもある長い物があるがです。建仁寺垣という代表的な竹垣がありますけんど、京都の建仁寺に作られたことから、この名前が付いたそうです。実は他にも光悦寺垣、龍安寺垣など「寺」と付いた竹垣があります。広い敷地の目隠しに使われますので長さも必要とされますぞね。


けんど、そんな竹垣とは別に袖垣と呼ばれる垣は玄関脇や庭の目隠しなどに設置するもので、幅は60~75センチくらいの物が主流で大きい物でも90センチくらいまでながです。分かりやすいようにセンチで言いましたが、実際は2尺、2.5尺、3尺というサイズで呼ばれます。実は形も、高さなども様々。まっことバラエティーに富んだ袖垣があるがですが、竹虎で製造する袖垣を大別すると片方が丸くなった「玉袖垣」と両方とも真っ直ぐの柱の「角袖垣」この二つに分かれちょります。


さて、虎竹玉袖垣をご存じない方が見られたら太い虎竹をそのまま使うて造られちゅうように思われますけんど、実は、孟宗竹で袖垣の芯になる部分を作ってその上を細く割った虎竹で芯を隠すように巻いているのです。ただの一本の竹を使っているワケではないのでとても丈夫。庭で太陽や雨風に当たっても少々の事ではへこたれないタフな作りとなっています。


玉袖垣は片方が丸く曲がっちゅうと言いましたが、中の芯の部分の孟宗竹を、どう曲げているかと言うと竹に三角形の切り込みを入れ、このように自然なカーブが出るようにしちょります。何という事ではないけんど製品に仕上げてしまったら外からは見ることの出来ないこれも、竹屋のちっくとした技の一つですちや。


虎竹の里の保育園跡地にて

虎竹の里の保育園


幼い頃、虎竹の里の保育園に記念写真撮影のため、隣町からカメラマンのおじさんが来られちょりました。ああ、せっかく遠くから来ちゅうので、全体写真だけではもったいないと子供心にも思うて(?)写真屋のおじさんにお願いして園の中央にあった石の上でポーズして一枚撮ってもろうたぜよ。今にして思えば、こじゃんとスタンドプレーやちや(^^;)


けんど、不思議なことに随分小さい時の事やのに、この写真を撮った時の事は結構ハッキリ覚えちゅうがです。実は、この保育園に通いだす前に当時の国鉄にひと駅ゆられて、須崎の幼稚園に1年ほど通いよりました。この頃、安和駅には立派な駅舎があって駅員さんも2名ほどおられた思います。ホームは高台の上になっちょりますので、安和全体がよく見渡せて、遠くの煙りがたなびく竹虎の工場をながめて汽車を待ちよったのです。


あそこには大好きな祖父がおって、父も働きゆう、職人のおんちゃんや、おばちゃんも沢山おる、竹を油抜きする甘い香りがただよいゆう、竹を切る大きな音がしゆう、遊びに行ったらアメ玉をもらえる。何をしているか分からんけんど竹が山のように積まれた場所、にぎやかで活気のある場所。幼い頃の写真から次々と蘇る記憶は、まっこと懐かしいもんばっかりぞね


竹虎四代目


あの頃に戻れるろうか?


そう思うて、ここに来たがです。ワシは田舎者で頭も悪いし、何ちゃあ分かっちゃあせん。「日本一と言われた、おじいちゃんのような竹屋になりたいぜよ」そう思うて何とか毎日やりゆう。けんど、まだ、まだ。けんど、まだ、まだ、何ひとつ真似すら出来んちや。


あの頃に戻れるろうか?そう思うてここに来ましたけんど、山鳥が鳴きゆうだけやきに。


しびれる菊底編み

菊底編み


昨日の続きですけんど、竹籠の事やったろうか?竹ざるの事やったろうか?何やったかといいますと、そう、そうです、菊底編みのお話でしたぞね。


その竹職人さんは考えたそうです。丸籠を編む時に菊底編みにするけんど、底から見たら、こじゃんと美しいこの編み込みもいつも底になってしまって、人からは見てもらう事ができない。どうしたらエイろうか?そう思うて一つ作ってみたのが、この竹籠やそうです。いつも底になっている部分が主役となって何か心なしか喜んで笑いゆうようにも見えますぞね。手付きにしちゃあるのは膝を曲げずに持ち運べるように。


竹籠


「こりゃあ、まっことエイねえ~!」


自分が部屋で使いたいと思うほど気に入りましたけんど、まだまだ、職人さんは浮かぬ顔しちょります。この竹編みに満足していない所があるがです。籠と言うよりも、ちょっとした台のような感じで収納力という面からは十分ではないかも知れませんけんどインテリアとして、そこにあるだけで和みそうですし、ご愛用いただく方なりの使い方が色々とあると思いよります。


それにしてもいつも、底編みになっている脇役がステージの真ん中でスポットライトを浴びたとたんスーパースターのように輝きだしたようで、いやいや、エイもんやにゃあ。


虎竹模様の美しい菊底

菊底編み


菊底編みは文字通り菊の花のような形に見えるきにその名前が付いちょりますけんど、丸い竹ざる竹籠にはよく使われる編み方の一つながです。竹細工としては馴染みのある編み方ですので、かえって日頃は結構みすごしがちでもありますが、改めて店内を見渡しながら歩いてみるとその多さに、びっくと(少し)驚くくらいながぜよ。おっと、そう言うたら虎竹ゴミ箱の底も菊底編みですけんど、虎模様がハッキリと際だって、これだけでも、まっこと美しいと思いませろうか?


飯かご


こちらは飯籠の蓋部分ぞね。中央に見える半割の竹は蓋を持ち上げる持ち手ですきに編み上げたばかりの飯籠は青々としちょりますが、この籠は年代物で色目が変わり渋く赤茶色になっちょります。一体いつ頃のものか分かりませんけんど、長い歳月で竹に円熟味が増して更に迫力が出ちゅうように思うがです。けんど、やっぱりこれだけでも美しい...。この菊底編みの編み目の美しさに注目しちゅうのは、実は自分だけではないがぞね。この編み込みを全面にだして、こじゃんと格好のエイ作品を作られている竹職人がおるがです。


さて、その作品とは......!?


明日、ご紹介させていただきますぞね。

埋炭の施工

埋炭


埋炭(まいたん)とは炭素埋設とも呼ばれちょります。気の流れのよい、いわゆるイヤシロチ(弥盛地)化するために炭を地中に埋めて磁場の調整をすると良いと言われゆうがですが、住宅床下用竹炭とびっくと(少し)似ていますが、湿度や消臭目的として床下に竹炭を入れるのとは、又まったく違うものながです。一番の違いは埋炭は呼んで字のごとく炭を地中に埋めていく事。一般的には直径1メートル、深さ1メートル程度の穴なかに竹炭粒を入れていくのですが、3mm以下のかなり細かい微粉末を水を入れながら撹拌しますぞね。


けんど、穴を掘るという作業は、まっことキツイ仕事です。竹虎ではシーズンに伐採した虎竹を大量に積み上げて保管しよりましたが、その際には保管場所の土場に穴を掘り、太い柱を立てましたのでその大変さは良く知っちょります。穴掘りにはユンボなど重機がないと大変かと思いますので、基礎工事をしていただいている業者さんに頼まれる事が多いようです。まあ、穴さえ掘っていただければあとは、これも施工業者さんが良く使われよりますようなコンクリートを撹拌する機械です。


通常20キロ入の箱を10箱、つまり200キロ程度の竹炭を入れて施工していきます。意外と結構な量になりますので自分も施工業者さんが、ちょうど現場に持ってこられている機械を何度もお借りした事がありますけんど、これがあると、まっこと楽ですちや。注水しながら竹炭を入れていきますと、最初は柔らかい液状の竹炭が水分が抜けると上にのっても足跡も付かないくらい固くしまった状態になります。こうなってから埋め戻したら完了ぜよ。


竹かごのスカート?

竹のスカート


竹に長年向き合うて来られた職人さんのこだわりには、まっこと感動する事が多々あるがです。実は、その度まだまだ自分の竹の知識の足らなさや、竹への思いの浅はかさを思い知る事にはなりますけんど、感動させていただける事や、新しい事を教えていただける事の喜びがはるかに大きくて、いつも、毎回、どきどきワクワクしよります。この時も、田舎の未舗装の狭い道に慣れちゅう自分でも、こりゃあ、大丈夫やろうか?と思うてしまうような細い細い曲がりくねった急斜面の道を登っていきました。けんど、心はこじゃんと(とても)ときめいちょりましたぞね!


出会った、白竹で堅牢に編まれた竹かごは全体が輝いていましたが、ひときわ美しくキラリと光っちゃあるのが底の足部分。足の部分を籐で巻くのは、普通にある竹細工なのですが、「長年の使う内に竹は平気だけれど籐が傷んで切れる事もある」。そこで、この竹職人さんが工夫したのは足部分の籐が直に接地面に触れないようにと竹ヒゴを幅広く取ったカバーを付けたこと。これは、素晴らしいアイデアちや。もともと丈夫な籐にさらにカバーをするとは、凄い。機能的に優れたものですが、結果的に見た目にもモダンで、新鮮な印象をうけるがです。けんど、カバーか......?なんかしっくり来ませんきに「スカート」と呼ぶ事にしましたぞね。「スカートをはかせた竹籠」なかなかエイですろう?


自分の竹籠を何年も何年も愛用してもらいたいと言う使う方への心使いも感じますし、手間のかかる仕事を普通に、黙々とされる姿に竹職人のプライドと、確かな自信を感じる。そして、何より竹への愛情を感じる。竹の世界はこんな出会いがあるきにゃあ、素晴らしいがぜよ。


骨董屋の古い竹ざる

竹ざる


「ああ、それ持って帰れ」


手に取って、しげしげと竹ざるを見ている自分に向かうてそう言うてくれるがです。大事なものなのでは?と聞くと、いやいや自分の作ったものではないけれど、骨董屋で見つけて面白いものなので漆をぬって壁飾りにしようと思いよった。そんな事を言われるがです。


竹職人とは不思議なものやにゃあ、と感じる時があるがです。もう初老という年齢の方でもみんなあ、子供のような心を持っちゃある。短パンにランニングシャツで夏休みの工作が面白くなって熱中しゆう、そんな、真っ直ぐな、無邪気な澄んだ心があるようちや。とにかく手を動かす事が好きながぜよ。


けんど、それだけではないぞね。虫籠を持って、あの小道、あの小川走りまわりよった夏の日を思い出すような心。そうそう、好奇心かにゃあ。いくつになっても、モノ作りへの好奇心をなくしてないがやきに。まっこと納得した。「ここが、こうで、ああで......」他の竹籠も取り出して一生懸命に説明していただく。幸せそうな横顔みながら納得した。


竹のバターナイフ

竹バターナイフ


皆様、朝はパンですろうか?ご飯ですろうか?自分は、もともとご飯党ですけんどやはり、パンが手軽やしご飯の炊ける香りもエイけんどパンの焼ける香りも、こじゃんと(とても)好きですきに、朝は、だいたいパンながです。


さて、そこでパンというたらバターぞね。バターナイフは、金属製のものもエイですけんど、竹虎四代目は当然、竹やきにこうやって温もりのある自然素材の竹を使いだして、かれこれ20数年たつろうか?色々な竹バターナイフを使いましたけんど、まっこと少しの事ですけんど朝の清々しい光の中で竹を取り出す心地よさと言いますろうか。毎日の暮らしの中での事やきに、だんだん薄れそうにも思いますけんどやっぱり今でも感じるがやきに。何本かある内の、気分で今日はコレにしよう...。ああ、そうそう竹箸と一緒ぜよ。


さて、そんな竹バターナイフですけんど、炭化加工という熱と高圧で蒸し焼きのような状態にして耐久性を高めちょりますが、同じように機械にかけてもやはり自然のものですきに乾燥具合等によりこれだけ色合いに違いがあったりするがです。極端に違うものを選りすぐってみましたが、どちらも全く同じ加工をした同じ商品ぞね。竹籠を、ひとつ、ひとつ手で編み込んで同じサイズに作ったつもりでも微妙に違うちゃあるまあ、判子を押すようには出来んものながです。


二代目竹虎の夢を見たぞね

虎竹


祖父の夢やった。いつものように真っ黒になって、虎竹を切りよりました。周りには5、6人の頬被りしておばちゃんたち。忙しそうに、てんてこ舞いしよります。祖父が後ろの愛犬アトマの方を振り返る。何か話しかけゆう。アトマは警察学校で訓練されたシェパードですき、座った姿が格好がエイ。けんど、それより、前かけ姿で笑う祖父は眩しいほどに格好がエイ。


自分が乗り物酔いなどした事がなくて、何でも結構乗り物は好きでリラックスして、すぐ寝てしまうのは幼い頃から。祖父の運転する車で全国の竹屋さんを廻ったせいですろうか?まっこと日本中、行った事がない場所がないというくらいあっち、こっち連れて行ってもろうたがぜよ。


先日、出張で龍馬空港から飛び立ちましたけんど「どれ、土佐湾の海でも眺めるかにゃあ」と、窓の外を見たらありゃあ...?いつの間に高知の海はこんなに船が多くなったろうか?!コンビナートも見える......。こりゃあしもうた!土佐湾のつもりが、東京湾やったです。どうやら離陸前に、また眠ってしもうたようですちや。けんど、空の上の夢は祖父に会える事が多いきにいっつも大好きながぜよ。


竹のレシートスタンド

竹レシートスタンド


前にもお話した事があるように思いますが、もう10年近く前の事。東京にある大きなホテルの喫茶店に数人で入った時の事。ウェイトレスさんが手にもってこられた伝票を立てるレシート立てが虎竹やった事がありました。初めて来た喫茶店、大都会のホテルです。自分たちが製竹した竹が、こんなお洒落で沢山の人がおる所ですまして、目の前に置かれてちゅう。まっこと(本当に)驚いて思わず、そのレシート立てを手にもって周りの人達に虎竹の説明をしたがです。けんど、こうやって日本唯一虎竹の里の竹たちは、人から人の手を伝うて全国各地の色々な所で使うていただきゆうがですろう。こじゃんと(とても)有り難いことやと思うたがです。


真竹の表皮を薄く剥いだ刃物の跡を残して、びっくと面白い仕上げにした竹のレシートスタンドを見てあの日のコーヒーブレイクを思い出しましたぞね。あそこでは、誰ひとり虎竹の事を知る人はおりませんでした。今でも虎竹の事は一体どれくらいの方に知っていただいちゅうろう?


「竹に模様があるのが、普通と思いよりました。」


地元で生まれ育った若い社員が平気な顔でこんな事を言う。虎竹の里の常識は世間様から見たら少しズレちゅうかも知れませんきに、要注意やにゃあ...。いつも、そう思うがです。


竹職人の威厳

竹籠編み


いままでの、ほのぼのとした優しい笑みは消え、キリリとした口元。竹編みを始めた途端、おばあちゃんは熟練のプロの竹職人の表情になるがぜよ。鮮やかという言葉がピッタリくるような手さばき。寸分の狂いもない手仕事に、この道一筋の職人の凄みを感じてしまいます。竹ざる竹籠を編み始めると、職人さんの世界になるがやき。その迫力に黙って見守るしかない世界。この時も、言葉をかけることも出来ないようなおばあちゃんの物作りの世界、ただ、ただ圧倒されその格好良さに見とれるだけながちや。


マンゴク


実用的な竹細工を作りゆうという自覚。どんな重たい物を入れても、荒っぽい使い方をしてもビクともしない、へこたれない堅牢な竹籠の作りは、外からは見えない口部分の縁にも見ることができるがです。長い一本の竹ひごで編み込んでいっちょりますが、その竹ひごを縁で切ることなく、ネジって縁にかけた状態で編み続けていくのです。こうする事により編み込みの丈夫さは最強となります。


竹ひご


こちらの竹工房では力のいる竹ヒゴ取りと仕上げが男性の仕事。編み込みが女性の仕事と代々役割が決められちゅうがですが、丸い竹から細い細い竹ひごを取るのも指の感触だけが頼りの熟練の技。一見、同じような仕事に見える竹ヒゴ取りも竹籠のやわらかなカーブを編みあげるのには同じ幅の竹ヒゴを使うというワケではないがです。マンゴク(万石)には細さが3種類ある竹ヒゴを使い分けしゆう。竹編み中央部分と両脇では底の曲線の形が違います。両脇ほど細くしなやかな竹ヒゴで編み込んでいくがです。


工房の窓から外を見たら、すぐ近くの山で真竹が風にゆらぎよりました。これらの竹細工の材料は、そこの土手から川を渡り伐りだされ、また長い竹を肩にかたいで川を渡って帰ってくるそうです。ああ、一度でエイきにそんな職人さんの姿を見たいぜよ。青々とした長い竹をかたぎ片手には刃物をもってズボンの裾をまくりあげて歩く姿は、さぞ素晴らしいろう。


そうそう、できたら自分も長い竹をかたいで川を渡ってみたいぜよ。今の若いものは竹もかたぐ事ができん。そんな風に思われちゅうがやったら名誉挽回のチャンスじゃあ。自分は、竹屋。竹をかたぐ事が専門やきに、誰よりも太い、長い竹をかたいで驚かせちゃろうかにゃあ。まっこと、びっくと楽しみができたちや。


竹職人の微笑

竹職人の微笑


なんとチャーミングな、おばあちゃんやろうか?80歳を目の前にしちゅうとはとても思えない熟練の竹職人さんに会うたぜよ。竹籠には青物と呼ばれる、切り出した青竹そのままで籠を編む竹細工がありますけんど、この竹職人さんは、この青物細工一筋50年の大ベテラン。50年ですぞね?まっこと凄いがです。


いつも思うがですが、竹を扱う職人さんは、どこでも、誰でも、とにかく若い、元気ぜよ。年齢を聞いてビックリする事が、まっこと多い。そう言えば虎竹の里の古老からは「竹を触りゆうと歳を取らない......」などと嘘か本当か分からない話を聞いたことがありますけんど、こんな、おばあちゃんに出会うたら、まんざら大嘘の話でもないかも知れんにゃあ。ほんで、こんな魅力的な笑顔をフッと向けてくれるのも、竹一筋にやってきた長い長い人生があるからですろう。竹工房の仏様みたいに見えましたちや。



竹職人のおばあちゃんの作る竹籠は、真竹を割って何と10メートル近い長さの竹ヒゴを取りその長い竹ヒゴで編んでいくがです。主に農作業に使われてきたコエジョウケと呼ばれる、たい肥をいれる竹ざるやマンゴク(万石)と言われる玄米と籾殻を選別する竹籠などちや。長い一本の竹ヒゴで作りますので継ぎ目がなく強い竹籠ができるがです。


出来上がったマンゴクを手にさせていただきましたぞね。コエジョウケと同じような形と編み方をしたマンゴクですが、竹ヒゴの細さが更に細く取られちょって、形、編み込み、すべてが美しく、堅牢さが伝わったきます。素朴でありながら、毎日の暮らしや生活の中で活躍して、昔からの伝統を引き継ぎ守り続けゆう竹の技が、これからも若い職人さんに受け継がれていくために自分も出来ることがあるのではないろうか?


あの、おばあちゃんの笑みを思い出す度に、考えるがです。