野田商店の巻き寿司の巻

野田商店


お腹が空いてきたら、いつも思いだす店があるがです。まっこと、竹虎もいつかはこんなになりたいにゃあ。ずっと前から、そう思うちゃあるお店ぞね。遠くても、わざわざでも行かずにはおれない、いつまでも応援したくなるお店。別段、見た目は普通です、どこにでもありそうなお総菜屋さん。けんど、ここの巻き寿司は一度食べたら忘れられんがです。こじゃんと旨い!いやいや本当に旨い!海苔の香りが抜群にエイ、素晴らしいがです。車に積んでいて、後からドアでもあけようもんなら、こりゃあ、車の中が磯ぜよ、磯ぜよ。


子供の頃に引き潮時に磯遊びを良くしましたけんど、そんな日を思い起こすぼあ磯の香りが充満しちょります。海苔のしっかりした食感も、これまたエイ。甘くジューシーな卵、カンピョウがアクセントとなりシソのさわやかさが食欲をそそるがです。まっこと(本当に)お話しゆうだけでお腹がグーグーやけんど、一口頬張っただけで人を笑顔にするようなこのお店が何処にあるか言うたら、なんと遠く離れた大分県は別府市ながです。温泉の街として有名ですけんど、竹工芸の作家の方も多い街でもありますぞね。


渡辺竹清先生のお宅はいつも祖父を思い出すきに、用が無くても、ついついお伺いしたくなりますけんど、前にも先生の所の帰りには、フェリーで食べるのに立ち寄りました。駅の高架下、どこか懐かしい商店街にある野田商店さんには自分のような熱烈なファンの方も多いろうにゃあ。お近くの方は、まっこと幸せやと思うがです。こうやって沢山の方に喜んでいただけるような、ずっと楽しみにしてもらえるような、県外から橋を渡ってでも、最終目的地としてお越しいただけるような、そんな竹虎に成りたいにゃあ、そう、思うちょります。


タートルネックで行こうちや

竹布タートルネック


竹布との出会いは、もう何年になりますろうか?


わざわざ東京からお越しになられた方に、初めて見せて頂いたものが竹布のボディタオルやったと思います。お風呂場にずっと置いちょってもカビが生えない、そんな事を聞いて後で半信半疑で試してみると、なるほど本当やったです。


その時には竹皮草履の製造作業などご覧いただいて帰られましたが、竹布は、その時から色々とお店にも置かせていただきよります。竹布を開発されたナファ生活研究所さんの竹に対する愛情にも感じるものがありますし、そもそも昔は生産されていた竹繊維を今の時代に蘇らせたという事は素晴らしいことだと思うがです。


竹布タオルからはじまって、Tシャツ、パンツ、ソックス、パジャマ、ストールそしてブランケット、タオルケット、ピローケースなど色々と使わせてもらいよりますがこの竹布タートルネックは、なかなかエイぞね。何せ、自分は冬場は、ほぼ毎日タートルネックやきに、こりゃあ、へんしも(早く)試してみないとイカンぜよ。


おっと、けんど女性用しか作られてないにゃあ、まっこと残念!けんど、タートルは何と言うたち首元がポイントですろう。このタートルネックは首が細めでキュッとしちゅう。竹布の機能性はもちろんですがなかなか格好もエイ、絵になるタートルちや。


虎竹の伐採の季節がやってきた

虎竹の里


さてさて、一段落ついた頃、ちょうど山のふもとから聞こえてくるのは正午のサイレンぜよ。


よっしゃ、一息いれるちや。


いや、まっこと美味いぞね。


やっぱり、こうやって竹のサラサラという風の音を聞き、小鳥のさえずりを楽しみながら竹林の中で食べるオニギリは最高ですきに。腰を下ろして見上げたら、真っ青な空をバックに緑の竹の葉の揺れよります。


「お昼やにゃあ、美味しいかよ?」


虎竹たちが話しかけてくれるようちや。こんな竹林の爽やかな空気を、めいっぱい都会の人たちにも味わうていただきたいもんぜよ。けんど、今日のお昼が、いつもより美味しいのには、理由があるがです。


竹の枕木


そうです、登ってきた小道の近く、車の通れる山道の脇に真新しい枕木が用意されちょりました。一体何やと思われますろうか?実は、これが山で伐採された虎竹を積み上げる場所になるがです。虎竹の里では、新竹の季節これからの山は、いつもより、ちっくとだけ賑やかになりますぞね。谷間にコン!コン!と竹を鉈で伐る音が響き、山だしの機械のエンジン音が聞こえてくる。


ああ、まっこと嬉しい季節やにゃあ。今年もやってきましたぜよ新しい枕木に、新しい出会いを感じて、わくわく、わくわく、そうじゃあ新入生が入ってくる感じに似ちょりますろうか。


竹虎では季節外れの新学期ぜよ。


田辺小竹氏×佐野珠寶氏のコラボレーション その2

田辺小竹氏×佐野珠寶氏


田辺小竹さんと佐野珠寶さんとのコラボレーションで、あの虎竹のインスタレーション「天と地」が、一体どんな表情になるろうか?想像もつかんけんど、わくわくする。ワシは、この目で見てご愛顧いただくお客様に虎竹の里で竹に関わるみんなあに古里の山の虎竹達に伝える義務がある。ちっくと大袈裟ですろうか?けんど、いっつも本気でそう思うちょります。


そこで、はじめて小竹さんにお電話させてもろうたがぜよ。小竹さんに参加を快諾いただいてお伺いした当日、見守るお客様は期待と緊張でピンと糸をはったような空気感やったけんど、当のご両人も真剣勝負の面持ちでお互いの創作をこじゃんと楽しまれゆうように見えましたぞね。


銀閣慈照寺佐野珠寶さん


銀閣寺の花方を佐野珠寶さんは雑誌やテレビで拝見したことはありましたけんど、直接見させて頂いて、生け花は完成した花の美しさは当然ですが、活ける動作そのものが美しいものやと初めて知りました。ピンと伸びた背筋で最初から決められちゅうように、動きに無駄も迷いも何ちゃあない、さすが凄いです。竹職人も達人になれば、なるほど手さばきが早く、流れるような自然な動きになるがです。同じように思えましたちや。


佐野珠寶さん


最後に小竹さんの花ビラにも見える作品。この中央の孔に注目してみたら珠寶さんの活けた一輪が顔をのぞかせちゃある。竹のトンネルが無限につづく時間の入り口のようでもあり、一瞬で終わる儚い夢のようでもある。まっこと不思議な景色となっちょります。竹も活け花も、古くからの伝統ある文化、ずっと続いてきたものが、これからも続いていく。ちっくと形を変えながら続いていく。そんな一場面を体感させてもらいゆう気がしてきましたぞね。


田辺小竹氏×佐野珠寶氏のコラボレーション

田辺小竹氏、佐野珠寶氏


竹の世界に新しい風を吹きこまれゆう田辺小竹さんは世界的にも有名な竹芸家ながです。日本唯一の虎竹を使うて作品作りをして頂きよりますので、前々からずっと気になっちょりました。けんど代々の名門のご出身。若いながらメディアにも度々登場されるご高名な作家の方やし自分のような田舎者の竹屋が、お伺いしてもご迷惑やろう。そう思うて気後れしちょりました。何年かかるは知らんけんど、ご縁があったら、いつかお会いさせて頂けますろう、そう思うちょったがです。


天と地


この10月に大阪にある正木美術館を訪ねました。ここに、小竹さんが竹のインスタレーション「天と地」を創作されちゅうと聞いたからです。静かな日本庭園の見える和室に、それはありました。何も知らずに行ったがです。知らない方がエイろうと、思うて行きました。ドキドキしながら誰もいない部屋に入ったら、


なんとっ!!!言葉にならんかったです。


竹が向こうの縁側から伸びてきて、畳の間まで来て広がり、立ち上がり、まるで生き物のように伸びて天井にいっぱいに広がっちゅう。穏やかな午後、それからの予定も忘れて畳に腰をおろして、ひとり、のんびり、こじゃんと心地のエイ時間を過ごさせてもらいましたちや。包み込まれるような作品はすべて虎竹ぞね。あの天井が「天と地」の「天」ですろう。あの竹の合間から、いままで虎竹を守り育ててきた先人が、祖父が、もしかしたら今の自分たちを見てくれゆうろうか?


一本の竹が、人の手を経て、こんな形に変わる。


小竹さんは「つながり」という事を意識されちゅうと言います。ワシは、この時、この部屋で竹虎118年の歴史のつながりを感じ胸が熱うなりました。だから、燃えてもきましたぞね。明日への闘志がふつふつと湧いてきたがやきに。


田辺小竹さん作品


けんど、床の間に鎮座する小竹さんの作品。その存在感というたら凄いにゃあ。あの口から飛び出してくるのは、一体何やろうか?


帰りがけ、後日、銀閣寺の花方であられる佐野珠寶さんとのコラボレーション企画がある事をしりました。これは絶対見たいにゃあ。受付の方に聞いたら、どうやら満席で入れんようぜよ。来月の企画やのに、さすが、これだけの競演。ご覧になられたい方も大勢おるがやにゃあ、困ったよ...。そんな事を思いながら帰途についたがです。


一期一会の虎竹筆

虎竹筆


竹筆作りの第一人者であられる釈迦院時雄先生に、日本唯一の虎竹を使うて製作いただいた虎竹筆。これが、実はなかなか曲者ぜよ。最初は虎竹やきと思うて、これからは虎竹筆しか使うことはないろう。そんな風にも思いよりましたが、これが、なかなか使いこなすのが難しいがです。自分のような自己流で好きなように書いてきた者にとっては基礎がないからですろうか?どうも、上手く書く事が出来ないがです。


竹虎では毎月、毎月、竹虎通信というミニ情報と言うか、何と言うか分かりませんけんど作りよります。おっと、これも2002年の9月からスタートしちょりますので、かれこれ10年やり続ける事が出来ちょります。けんど、虎竹筆でチャレンジしてみようと試してみたらいつもと全然違う感じになってしまうがぞね。それでも自分のイメージしちゅうモノやったらエイですけんど、思うた通りの線にはなりませんきに、まっこと困っちょります。そこで、あまりの扱いの大変さに遂に降参ぜよ。年内の竹虎通信は今まで通りの筆に戻って書くことにしちゅうがです。


けんど、先日ふと釈迦院先生の所にお伺いした時の事を思い出しよりました。先生は「一期一会」という言葉を書いて自分を待ちよってくれたぞね。一期一会と言うたら一生の内で一回きりの出会いだと思いなさいと言う事ですろう。昨日も、一昨日も一回しか無いような出会いをさせて頂きましたきに、今日は余計に、この言葉が身にしみますちや。


ああ、イカン。


それやったらイカン、イカン、イカンぜよ。


最後に手する筆と思えば、ワシが手にするのは日本唯一の虎竹筆しかないがやき。それは、この世に、ひとつしかないがやきに。


男の手提げ籠バック

手提げ籠バック


全体的な形は四角いガッチリしたフォルム。肉厚で幅の広い力竹を正面の両端、側面の両端に入れて、こじゃんと堅牢で男性的な手提げ籠を作りたいと思うちょりました。骨董市などに行くと見かける事のある、明治か大正とかに使われていた味わいのある革トランク。旅のキズや擦れが、かえって勲章のようになっている。タフな顔つきを眺めよったら...そうぜよ、竹の手提げでも、ちっくと(少し)こんな雰囲気の籠ができないろうか?今販売させていただきよります竹籠バックを参考にしながら職人さんと相談しながら一つ仕上げてみたがです。


本当やったら、ゴザ目編みと言うて竹ヒゴが横にビッシリ並んだ編み方を考えよりましたが、どうも単調になりそうな気がして八ツ目編みという八角形の編み目になる編み方にしましたぞね。お陰で籠に表情がでて、なかなかエイ感じになっちょります。男性が持つと言うか自分が使いたいというのが一番ながですが、使われる方を男性に想定しちゅうですきに、籐持ち手にも太めのものを選んでいただいた上に更に籐巻きして、持った感触もこじゃんと(とても)エイ。気に入りましたぜよ。


けんど、何というても一番のポイントは縦に入る力竹ながです。幅の狭い横方向や斜め方向、あるいは底部分を見たらゴッツイ力竹が交差して、こりゃあ、たまらんちや、しびれるぞね、とゾクゾクしてしまいますが、正面から見た時に、道ですろうか?ううん、中央に縦に一本力竹が通と、また雰囲気がガラリと違う。まさに男の持つ竹手提げ籠になるやろうか?いやいや、それは入れ過ぎになるかも過ぎたるは及ばざるがごとし、と言いますのでやりすぎたら、ダメやろうか?


こうやって側に置いて、一人あれこれ考えたり、竹ヒゴをあてがってみたり、至福の時間ではあるのです。


五本指ソックスそろい踏み


まっこと嬉しい事に竹虎では自社の商品を愛用してくれる社員が多いがです。デスクワークの社員の間では、こうやって一年通して竹皮草履が人気ぞね。竹皮草履は夏は涼しくてサラリとした感触が気持ちエイですけんど、冬は、冬で自然なぬくもりを感じるがです。竹虎の竹皮草履は型押ししていませんので、足裏への刺激がこじゃんとありますが、この刺激がマッサージ効果のようになり血行もよくなり寒さを感じることが少ないがです。


流石に足の甲は寒いので、タビックスや五本指ソックスを履きますが、しかし、どうですろうか?申し合わせたように五本指ソックスが揃いましたちや。半分の二人は竹布五本指ソックスですぞね。一昔前までは確か五本指ソックス言うたら、


「何それっ!?」


と言うて、ちっくと違和感のある靴下やったように思います。店頭で買うにしても、どこにでも販売している商品ではなかったですろう。そもそも自分の意識の中では水虫などの方のためのソックスと思うちょりました。ところが、先日もお客様からお便りいただきましたけんど、ドイツなどでは足の健康を考えて五本指が定番らしいですし、日本でも、こんなオシャレな柄が沢山あって若い方がドンドン履きだしましたぞね。五本指ですと、足の指先まで血行もよくなるし、冷え性の方にも効果的との事も言われよります。と言うことは女性の方の間では、ますます五本指ソックス化が進むのではないろうか。


そうそう、竹皮草履のような鼻緒の履き物は、女性の足に多い外反母趾という病気の予防にもなりますので「五本指ソックス×竹皮草履=足の健康最強コンビ」で暖かく元気に冬を越してもらいたいにゃあと、思うちょります。


虎竹ねこ籠バック

猫ハウス


いつだったか藁細工の猫ハウスをいただいて来た事がありました。藁を束ねて、かなり重厚なつくりで、そう、雪国で作られるというカマクラなるものに似た形です。カマクラは実際には見たことは無いですけんど、テレビか何かで紹介されちょりましたが中は暖かそうで、七輪を持ち込んでお餅を焼いたりもしよって、まっこと楽しそうやった事を覚えちょりますが、そのカマクラそっくり。


なかなか堅牢に作られていて藁の量もかなり使われちゅうぞね。だから、実際持ってみたら結構な重さもある猫ハウスやったがです。こんな丸みのある形によく作られるものやにゃあ、と両手に抱えながらしみじみと感心しよりました。職人の手仕事というのは本当に凄いものながぜよ。これらなら、あのテレビで見たカマクラ同様、寒い冬の日でも保温が効いて猫ちゃんもよろこぶにゃあと思うたものです。


虎竹ねこ籠バック


さて、藁細工の猫ハウスは、それはそれで置いちょきまして、ただいま、天気の良い昼下がり。さすが、土佐の高知ですちや、朝の冷え込みがウソのようにポカポカとしてきてお昼寝には、ぼっちり(ちょうど)の感じ。南国育ちの猫ちゃんが、入ろうか、入るまいか...考えているのか、いないのか?悩ませているのは日本唯一の虎竹で編み上げました虎竹ねこ籠バックぞね。猫ちゃんは、どうもこういう狭いところで丸くなるのが好きなようで、初めて見た竹籠で敬遠するのかと思っていたら、しばらく見ていたら慣れるのか、近づいてきて興味津々ながです。


もちろんこの猫籠バック、猫ちゃんは大好きですけんど、女性の方にも大好きな方がおられませんろうか?猫ちゃんのお昼寝だけでは、もったいないですきに、是非、お出かけや、お買い物の際には手提げ籠バックとしてご愛用いただきたいがです。おっと、そうやにゃあ、もしかしたら、休日などは猫ちゃんと取り合いになるかも知れませんぞね。


一閑張りの魅力

一閑張り行李


一閑張り(いっかんばり)は、ご存じですろうか?竹編みの上に和紙を貼って、その上に柿渋など塗料をぬり耐久性を高める日本に昔からある技法の一つながです。そもそも一閑張りは、暮らしの中の道具にあれこれありましたので、日本各地には職人さんもいて、製造もされよったと思いますが、今では本当に少なくなってから。自分の存じ上げる一閑張りの職人さんも数えるくらいながです。


その中のお一人とは、何度かデパートの催事などにもご一緒させていただいた事もありますが「農家の副業として雨降りなど外の仕事ができない閑な時にしていた細工やよ」そんな風に教えていただいちょりました。「閑」な時にしますので「一閑張り」。実は諸説ありますけんど、こんな風にも言われゆうがです。


一閑張り竹素地


この一閑張り行李は、竹編みの上に土佐和紙を貼り重ね。最後の仕上げに柿渋を使うちょります。幅を均等に割って、厚みも整えた竹ひごを丁寧にカッチリと角をたてて四角形に編み上げる技術は素晴らしいものながです。けんど、この竹編みが和紙で全部隠されちゅう...。


確かに竹が縁の下の力持ちのような、どちらかと言うと脇役のような形になっちょりますが、その実、行李表面の面白みのある豊かな表情。力竹が浮き上がった風格さえ感じさせる作りは竹編みあってこそ。土佐和紙と柿渋で隠されているかのように見える熟練竹職人の手業は、実は、反対に竹が主役と思えるほど美しく、力強く、この一閑張り行李の内側から光り輝いて主張しゆうがです。


とっても大好きなスリッパ

竹皮スリッパ


何か新しい事をはじめる時には、どうしてもしたい事やったら自分のお金も、時間も惜しみなく使うことがあると思うがです。「これをやり遂げたい」、強く思う信念は最初は小さな小さな火であっても強く、強く思い続けることによって飛び火し大きく燃えあがるがですろう。


竹皮スリッパを、どうにかして形にしたいと思いよりました。今では五本指ソックスは、すっかり定着していますが、昔は、自分の記憶が正しければ、あまり普及しておらず、水虫の方など一部の方が履くような意識やったと思います。だから、冬場はどうしても鼻緒のスリッパより、ソックスのまま履けるベルト式の方がお客様にオススメしやすい、ずっと、そう考えちょりました。竹皮編みの職人さんとの、やり取り、ベルト部分の芯の素材や生地、縫製の職人さん探し、鉄工所での機械づくり、EVAスポンジ底、接着剤、加工方法など、いつもの竹細工とは、まったく違う素材や技術を当時の自分が、誰にも相談できず手探りでやったきに、こじゃんと(とても)遠回りしたかも知れませんぞね。


結果が出ないうちは周りは冷ややかなものは分かっちょります。特に竹虎は古い歴史のある、職人気質の会社。今日、いつく作って幾ら、どれだけ、上手に作って幾ら。だから、通常の営業時間には勝手な製造は許されません。試作スリッパのEVAスポンジ部分の削りだしは、会社が終わってから機械を一人で外に運び出し工場横に隣接しちゅう本店の前にあったコカ・コーラの自動販売機の灯りの下でやりよりました。夜道を行く人が、


「あの竹虎の長男さんは、変わった事ばっかりしゆうよ...」


ちっくと哀れむような目で振り返ります。ワシは、こんな男ですきに何ちゃあ構わんけんどああ、あのおばちゃんは、お母さんの知りあいぜよ。お母さんまで、変に思われたらイヤやにゃあ。そんな事を思うたまま、頭にタオルを巻いたままの顔でゴーゴー回る機械を前にうつむいちょったがです。


竹皮スリッパが少しづつ売れるようになった、ある日。あるデパート売り場の下駄屋さんが商品をご覧になられて


「このスポンジ部分は、打ち抜きですか?」


と、聞かれますので


「当社の職人が、一足一足手削りしよります」


と、お答えしたら、目をまん丸くして驚かれました。この時も、商品の完成度の高さが認められたようで、まっこと(本当に)嬉しかったがです。竹虎の竹皮スリッパは竹皮部分を型押しせず、職人の手仕事だけで形を整えちょりますのですべて微妙に違うがです。とても、機械で大量生産するような打ち抜きは出来ません。


さて本日、こんなお葉書をいただきました


「とっても大好きなスリッパ 3足目...かな?」


こうやって作ってきた自分たちの竹皮スリッパに嬉しい、嬉しいメッセージ、何ちゃあありませんぞね。ただの、竹皮で出来たスリッパです。けんど、あの寒かった夜の「ひとりぼっち」が吹き飛ぶ思いぜよ。


虎竹ワインホルダー

虎竹ワインホルダー


11月15日と言うたら高知では坂本龍馬さんぞね。


ええっ?ご存じないですろうか、かの明治維新の英雄は誕生日と命日が同じながです。そこで、この日には龍馬さん生誕地を中心に色々なイベントがあったりして、こちらのテレビや新聞は毎年この時期には「坂本龍馬」で賑わうがです。


ところが、日本全国的に見たら、今年の11月15日(木)はやっぱりボジョレー・ヌーボー解禁日らしいですぞね!「らしい」と、言うあたり実はあんまり身近ではないがです。妙にワインというのが高級なイメージがありますきに、舶来品に弱い自分などは、どっちかと言うとこの季節、お酒のイベントやったら高知は三原村の「どぶろく祭り」の方が、まだ身近やろうか?ええ、三原村はこじゃんと(とても)遠いですきに、実は、行ったことはないがぜよ。行ったことはないですけんど、県西部にある人口1700人の三原村には「どぶろく特区」なるものがあってから、昔ながらの自家製のどぶろくが作られよって、どぶろく祭りには沢山の人でにぎわうそうぞね。


まあ、そうは言うてもどぶろくもエイですけんど、ワインの愛飲者の方は沢山おられますし、そんな皆様方に日本唯一の虎竹を知ってもらいたいにゃあと思うてこんな虎竹ワインホルダーを作ってみたがです。


もちろん、ボジョレー・ヌーボーに合わせたワケではありませんぞね。けんど、たまたまタイミングがあうて、今回はちょうどワイン好きのお客様に喜んで頂くことができたようですちや。年末、年始にもワインで乾杯される方も多いですろう。虎竹の材料の事もあるし職人さんが編みあげる数も決まっちょりますので、沢山はご用意できないのですが、ひとりでも、お二人でも美味しいワインの名脇役として新春からご愛用していただけるやったら、まっこと嬉しい事ですちや。


寿籃さんの世界 その2

寿籃作御所籠


昨日に続いて塩月寿籃さんのお話をさせてもらいますぞね。と、言うたちこの御所籠見たら、もう何も話しなどすることはないがです。そうですろう?


これは何で出来ちゅう御所籠やろうか?疑問に思う方もおられるかも知れませんけんど、この細い線、一本一本が竹ヒゴです。この細い竹ヒゴを、なんと正確に規則正しく縦横に並べては交差させちょります。美しい直線だけではなくて中央部分の波目模様の曲線が作品に変化をつけて、より面白味をだしてちゅうように思います。よくよくご覧いただいたら、所々に花に見立てた模様がちりばめられているのが分かります。遊び心を感じて、こじゃんと(とても)魅力的ぞね。


塩月寿籃


近づいて見たら、見るほど一体どうなっちゅうかと思うような御所籠。竹が、人の手を経て、こんな作品に昇華していくとは、まっこと竹の可能性を垣間見させて頂けますちや。祖父、竹虎二代目義治が40数年前にはじめて工場横に竹の展示場を建てた思いには、日本唯一の虎竹生産者の方々に、このような芸術的な作品も観てもらって竹世界の奥深さを感じてもらいたいと言う事があったそうぞね。


けんど、自分の言葉など別にどうという事もないように感じられるほど、存在感が大きい寿籃さんの逸品初めてご覧になられた職人さんたちも驚いた事ですろう。多くの人の魂をゆさぶってきた寿籃さんの御所籠は今日も棚に鎮座しちょります。作家と同じように凛として特別なオーラを放ち続けゆうがです。


塩月寿藍さんの世界

塩月寿籃さん作品


塩月寿籃さんとは祖父の時代から、そして父の代からずっと懇意にさせて頂いてきました。だから寿籃さんの作品も何点も店にはあって、学生の頃から家に帰って来るたびにワケも分からず眺めては、何という人を引きつける作品やろうかと、ため息をつきよったがです。もともと、好きになった作品は漆が多用されていて、竹細工か、焼き物か、塗り物か...?もしかしたら何かも分からないような器です。


何度も何度も塗り重ねられた漆の肌に、作り手の底知れない情熱のようなものを感じたがです。そして、値札を見て、確か腰をぬかした...!けんど、人の手が作りだしたものが竹細工が、こじゃんと(とても)雄弁というのを知ったのもこの時からかも知れませんちや。


それから、この竹芸士とは一体何者やろうか?


他にどんな竹細工をやりゆうろうか?


興味がわいて来て店にあった寿籃さんの作品を次々に見ていきました。他にもすぐに、まっこと自分で買いたくなるような(もちろん、高額で買えませんが)気に入る作品があったがです。網代編みした内側を漆にぬった菓子器、月とウサギの模様が浮き出ちょります。今まで、一体何回手にして眺めた事やろうか?ウサギは自分の干支でもあるし、丸い器に丸い月とウサギは何度見ても不思議と飽きがこんがです。


色々な作品を拝見して自分が寿籃さんに持った印象は、気の遠くなるような緻密な作業を淡々とこなす精神力の持ち主。独特の自分だけの世界観をハッキリと持たれた方。そして、「竹」を変えようとされちゅうイノベーター。竹の可能性に挑戦されている、高い高い壁に向こうて、もがいている姿を想像して竹の世界に入ったばかりので、まるで迷宮に迷い込んだ頃の自分と、まっこと同じではないろうか?勝手にそんなに思うた時期もありましたぞね。


さて、画像のこの作品、どんな思いで創作されたがやろうか?寿籃さんとは、その後、何度かお会いする機会がありました。けんど、静かな一室で目の前に置かれた作品をはさんで、何もしゃべらず、ただ竹をみつめるような寿籃さんの寡黙さと人を包み込むような大きさが、まっこと心地よくて、ゆったりしているうちについついお聞きすることを忘れちょりました。いや、聞かんでよかったと思うちょります。


これがはじまりで、これが終わり。


これが問いかけであり、これが答え。


たぶん、そんな事を言うに違いないがやきに。


最後の玉入れかご2012年

別注玉入れかご


恐らく2012年内は最後の別注になるのではないかと思うちょります。玉入れ籠の別注サイズが出来上がってきましたぞね。運動会の玉入れ競技に自然の竹素材が見直されてきて、嬉しいことにここ数年は玉入れ籠を沢山作らせていただくようになりました。職人もこじゃんと喜んじょります、ありがとうございます!


次の世代を担うていく元気なチビっ子たちのためと思うて、玉入れ籠はほとんど利益も何もなくただ、ただ、天然の竹籠で競技する子供たちの喜ぶ声が「お代」やと思いずっと頑張って作らせて頂きゆう商品のひとつです。ところが最近では学校だけでなくて、法人様のご用命も多くなりました。今までとは見慣れない医療施設からのご注文も多いのです。


先日新聞で市街地中心部の貸しビルが、飲食業からシルバー向け需要に転換されつつあるという事をみましたが、これからも少子化が進む日本ですので学校は少なくなりよりますが、反対にお年寄りは増えつつあってそんな世代の方むけの楽しみや遊びに竹籠をお使いいただくようになってきちゅうようです。


若い頃には当たり前のように竹を使われてきた方も多い世代。もしかしたら竹籠をご覧になられて、びっくと(少し)でも懐かしい思いや、安らぎなど感じていただく事はないろうか?昔の自然に囲まれて、竹トンボや竹馬で遊んだ、竹を削って水鉄砲や竹の玩具を作った、竹と人とがもっと近かった遠い日を思う事はないですろうか?もし、そんな事があったとしたらこれは、まっこと嬉しいことやにゃあ。出来上がった別注竹籠を見ながら、そんな事を考えるがです。


たけジャン

竹虎ジャンパー


「たけジャン」とは、東京の人に竹林に来ていただいてコレなんですか?と質問してみた時に「えっ?これの事」いくら都会育ちのボクでも知ってますよ。


「竹じゃん」


と返事した、などと言うことでは当然ありません。「たけジャン」は竹虎のジャンパーのこと、略して「たけジャン」(そのままですが)前に大手飲料メーカーさんでもジャンパーを○○ジャンと呼んで、ジャンパーのプレゼント企画をしていた事がありますけんど、実は竹虎でもこの「たけジャン」が当たるプレゼント企画を開催しゆうところです。知っちょりましたですろうか?


今はほとんど行く事がありませんが、自分が入社した頃は竹虎では、県外のデパートさんや催事の売り出しに結構行きよりました。そんな外へ出かけての販売の時、そして今や高知の人気スポットとして観光名所のひとつとなっちょります。高知市内のひろめ市場の中に支店のあった時には、作務衣が店員さんの制服やったがです。そんな中、店には作務衣という制服があるのに、工場の職人には制服のような揃いの服はなかったので、もともと「たけジャン」は工場の職人にも作務衣の代わりではないですが揃いの上着を作りたいと思うて知り合いの方に相談して用意したものぞね。


朝晩の冷え込みが全国的にも厳しくなりつつあって、冬将軍などという言葉もニュースで聞かれる事もある今日この頃。北風をビシッとシャットアウトする寒さ知らず...いえいえ、裏地は付いてますものの比較的薄いジャンパーなのでそこまで防寒性は無いかも知れませんが、ウィンドブレーカーのように風は通しませんぜよ。まあ、そんな事より背中についた竹虎マークがメラメラとあなたのハートに火をつけますぞね。そんな、燃える男の「たけジャン」。まだ、ご応募されてないあなた様は是非!いよいよ今週15日(木)までのチャンスですぞね~!


白竹風呂敷弁当箱

竹弁当箱


モノ作りが好きで職人の世界に入られる方は多いがです。けんど、一つの形にしていく事が好きな職人にも色々なタイプがあると思うちょります。ひとつは、同じ形、大きさのモノを沢山つくることの得意な方。また、もうひとつは、同じモノよりも独創的な新しい形を生み出すことの得意な方。


今日、久しぶりにやって来た作業場のこの職人さんは後者のタイプ。行く度に色々な製作のお話もして、まっこと楽しいがですが、倉庫を見るのがこれまた楽しい。いつも拝見しちょりますので目新しいものがないかと思えばやっぱり、その時々で自分の目がとまる所が違うがですろうか?前には気にならなかった、ひとつの四つ目編みの四角い竹籠が他の竹ざるの下になっているのを発見しましたぞね。これは少し古いものです。もともとは白竹で編まれたモノやけんど、色合いが白竹の経年変化特有の薄い茶褐色になりよります。


竹弁当箱


ええっと、これは竹弁当箱やにゃあ。それは、だいたい見ただけで予想が付きますけんど、なかなかユニークなのは竹籠の構造ながです。しなやかな竹の特性を活かした、竹ならではの竹弁当箱。四角い形の四辺を中心に折り畳むように集めてから竹センで留めるようになっちょります。最近ではあまり使うこともなくなりましたが、そう、ちょうど風呂敷を包む要領をそのまま竹弁当に応用したような感じながです。だから、自分が名前を付けるとしたら「白竹風呂敷弁当箱」やろうかにゃあ。


竹弁当箱


竹センを外して、四辺の竹蓋を開けた感じにしますと、お弁当を入れるにしても、何か他のものを収納するにしても口が大きく開きますきに、使い勝手はなかなか良さそうです。口を開けて、中身を入れたつもりになって、閉めて、また、開けてみて、閉めて...。何度かやりよりましたら、一人の社員に言われましたぞね。何かに似てると思うたら「プレデター」やと。そう言うたら、そんな映画がありました。アーノルド・シュワルツェネッガーが主演やったですが、プレデターは、その映画に登場する異星人です。


ええ?そうやったろうかと思いながらプレデターの画像を見直してみたら、なるほど、この竹弁当箱の開閉口とプレデターの口とが妙に似ちょります。けんど、白竹プレデター弁当箱とは名前は付けれませんちや(^^)


竹楊枝入れにリップスティック?

白竹楊枝入れ


時々、ふっと足の止まる竹細工や竹製品があるがです。思わず手にした楊枝入れ。もしかしたら多く方が、どうと言うことなく見過ごされるかも知れません。けんど、この白竹の表皮を所々薄く削って模様にした一見、ぶっきらぼうに見える表情、持ち手にしちゅう籐にも手を抜かず均等の幅、綺麗な表皮 、そして何と言うたち全体のフォルムを整える美しいライン。


籐持ち手で、もっと言えば籐を通しちゃある、穴。毛羽立ちやすい竹の穴の開け方を見るだけでも職人の丁寧な仕事ぶりが、そのまま手に伝わったくるようぞね。穴に籐を通して留める仕舞いも見事。まっこと、プライドを感じる手仕事ながです。内側も赤く塗っちゅうというのもエイちや。ちょっとした、こんな手間が、こんな彩りが、小さい竹細工を、こじゃんと(とても)引き立てゆうように思います。普通やったら、こんな丸竹を使う竹製品は竹節を使います。ところが、この竹楊枝入れは節を使わずわざわざ底を竹集成材で仕上げちゅう。どうしてですろうか?竹の節を使うたら1本の竹で作られる数が決まってしまいます。節と節の間の部分の竹材が使えなくなるので、このように、されちゅうと思うのですが。


さて、この、ちっくと(少し)古い竹楊枝入れを今朝のフェイスブックでご紹介させて頂いたら、ひとりの女性の方が「細身のリップクリーム入れに使いたい...」そんなお声を頂いたがです。ええっ!?なるぼと、と思いましたぞね。そこで早速一枚写真を撮る事にしてみたがです。


リップスティック


実は、自分も肌がデリケートですきに(ホントか!?)これは、ホントやけんど。冬場はリップスティックは昔から手放せないがです。現場や竹林に行く事も多いですきに、それぞれの鞄や、行く先々の机の引き出しにも忍ばせちょります。今日持っているのはニベアぜよ。ニベアのリップを入れてパチリ。どうですろうか?こんな感じで、使われたい言うことですろうか。いやいや、まっこと自分では思いもよらない、そして、バッチリなご愛用方法を教えていただいて今日は、こじゃんと(とても)嬉しい一日になりましたぞね。


いつも、フェィスブックでコメントいただく皆様本当に、本当にありがとうございます!この楊枝入れ自体は、販売する事はできませんけんど何か次の竹商品作りのヒントを頂けたように思うちょります。今後ともよろしくお願いいたします(^^)


竹杯

竹杯


高知には「べく杯」言うて、天狗やひょっとこの顔の形をした杯(さかずき)があります。どうしてそんな形かと言うと、注がれたお酒を飲み干すまで下に置けないようになっちゅうがです。中には小さな穴の開いた杯まであって、指で穴を押さえておかないとお酒が流れ出ます。まあ、結局、お酒を飲み干さないと手が離せません。まさに酒豪高知ならではのモノではないかと思うがですが、竹虎にも竹虎ならではの竹杯がありますぞね。


けんど昔は、まっこと(本当に)いろいろな竹製品が作られよったものやと思います。本店の棚の奥にあった竹杯ですが、今では作る事のできる職人さんも居なくなり詳しい事は分かりません。大きな竹の節、こりゃあ、竹で出来ているのは間違いないけんど、一体竹のどこを使うちゅうがやろうか?びっくと不思議に思われませんか?


ご存じのように竹は身がそれほど厚くなく節はあるものの中は空洞です。杯のお酒を入れる部分は竹の節で出来そうだけれど、高台の部分は出来ないハズ。接着やろうか?いろいろ思われるかも知れませんが、実はこれは竹根の部分の身のつまった部分を削りだして杯に製作されちゅうようです。杯の縁部分には微妙に竹表皮を残したりするあたり、この職人さんは、かなりのセンスの持ち主。もう月見には遅い季節になりましたけんど、優美な宴を演出してくれそうな一級品を手に取りながらげに、まっこと昔はいろいろな竹製品が作られよったものやにゃあ。改めて、又思うがです。


第六次産業

虎竹の里


最近「第六次産業」言う言葉を聞く事がありませんろうか?


第一次産業の農業、漁業、林業と第二次産業の加工、製造、そして、第三次産業の流通をかけあわせて第1次産業×第2次産業×第3次産業=第6次産業、と言う造語のことながです。つまり、例えば農業で生姜をつくりゆう方やったら、生姜の生産はもちろんされるのですが、生姜を使うた商品開発、加工もされて更に、エンドユーザーであるお客様の食卓まで自分達で直接お届けする販売、流通までやっていこうという考え方。


高知は園芸王国などと昔から言われてきましたが、いつぞや山形県にある有名なイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフが来高されていた時に、日本で野菜の美味しい所が三カ所ある。それが、山形の庄内、熊本、そして高知と確か言わていました。高知に暮らす自分などは実はあまり実感ないのですが、よくよく見てみるとナスやトマトは結構県外でも知られちょりますし、生姜など生産量が日本一の農作物も、いくつかあるようです。そんな南国土佐の美味しい野菜に自分たちならではの価値を更にプラスしてダイレクトにお客様に届けていく事はこれからの農業には絶対に欠かせないことですろう。


けんど、実はこれは自分がずっと考えてきた事。そして、やって来た事。2002年8月に熊本人吉にある中小企業大学に呼んでいただき、はじめて講演をさせていただいた時からずっとお話しさせていただいて来た事は、全く同じ考え方ながです。もちろん、第何次産業などと考えた事もありませんし、特別に戦略とか、展望とか言うものがあったワケでもありません。日本唯一の虎竹をもつ自分たちだからこそ自分たちにしか出来ないことをと考えた、たまたまの結果ながです。


竹林に生えている竹を伐採し、山から出して選別し、材料として加工して、自社であるいは内職さんや協力工場で製品化し、インターネットを使い直接お客様にお届けしたいにゃあ。そんな、自分の願いを、夢を、高知の田舎から都会のお客様までの長い、長いラインのお話をずっと言い続けてきました。もしかしたら「第六次産業」の先駆けとなったがやろうか?けんど、まっこと(本当に)コレしかなかったがです。難しい言葉は自分たちには似合いません。けんど、どうして竹虎が、この古里の竹林から最終的なお客様までの全てに関わることを決意したのかは、ただ、これだけ。


「日本に、ここにしか無い竹なんだよ」


「100有余年、虎竹でやってきたんだよ」


たった、これだけの事をお伝えしたかったがです。イギリスBBC放送など海外メディアが来られたりユニクロとコラボをする等という田舎の小さな小さな竹屋としては信じられないような出来事は、すべてこれだけをお伝えしたかった。そんな竹虎の「思い」が生みだした奇跡なのです。


虎竹を模倣した竹?

竹


虎竹やったら、どんな竹でも売れよった」


以前、お年寄りの職人さんから、こんに事を聞いちょりました。けんど正直、本当に竹がそんなに売れたがやろうか?素直に聞く事ができないと言うか、やはり実際に体験した事がない、見たことがないので実感として自分たちの竹が飛ぶように売れよったと言う事を、なかなか理解する事ができずにおりました。ところが、高知の虎竹の里から遠く離れた関東の地で、かっては虎竹を模倣して薬品で色づけした竹もあったと教えてもらい、まさにその実物の一本の竹を見せてもろうたがです。
 

「まっこと、こりゃあビックリしたちや」


驚く自分に、竹を持って来られた職人さんも満足気ぞね。ああ、そうか、これなら納得できますちや合点がいきましたぞね。あっち、こっち全国から注文がドンドンあって虎竹が足りなくて、それこそ、旬の時期に伐った竹なら山道に伐り捨ててあるものでも全部集めて運んでいったそんな伝説のような話しが分かるような気がするがです。けんどそれにしても、こじゃんと(とても)面白い時代があったもんやにゃあ...。もう今からの時代はとてもそんな事はないですろう。竹など自然素材に代わるプラスチック製品等は、あふれ効率化や利便性が追求されてくる中で昔からの道具達は次々と姿を消していきました。
 

近年では、ようやく日本の伝統の良さにも光が当たりはじめましたけんど、以前のような量産はできなくなっちょります。その代わりに、本物を残していくこと、 進化する事が必要やと思うちょります。竹と日本人との付き合いは古く、長い、そしてその関係は今までも変わり続けてきたようにこれからも変化を続けますろう。日本唯一の虎竹の歴史と先人のたどって来た道のりを虎竹を真似て作られたという一本の竹から振り返りこれからの行く道を思うてみるがです。


Clinton Inc Bamboo Growersのベスト

Clinton Inc Bamboo Growers


先週末には寒くなってきたお話をさせていただきましたが、寒くなってきたら作務衣の自分はどうするかと言うと、これです、これ。作務衣の上からも楽々羽織る事のできる裏地付きのベストぞね。何を隠そうアメリカはシアトルから日本唯一の虎竹見学に来られちょりました、Clinton Inc Bamboo Growersさんから贈られたモノながです。


日本唯一の虎竹を一目ご覧になられたいとわざわざ太平洋を渡って3名ほどで来社されちょりました。本国アメリカでは観葉植物としての竹を扱われるという事で、言葉は通じませんけんど「竹の心」は世界共通ではないですろうか?竹を思う、竹を愛する心と心で、ありがたく頂いたべストやき、そりゃあ、違う、温もりが違うぜよ!だから、もう何年も何年もずっと愛用しゆう一着。一冬このベストだけで過ごした事もあるほどちや。アメリカンサイズのXLやき、タートルネックの厚手のセーターの上に武道着に使うようなゴツイ生地の作務衣を着た上からでもゆったりと着ることができて、まっこと重宝しよります。


そして、やっぱり防寒に首もとが大切。首から肩口にかけての逆さT字帯をしっかり寒さ対策しないとイカン。そこで、自分は、しょっちゅうマフラーをしちょります。マフラーをしたままお客様にお会いしますぞね。出張にも行きますぞね。こんな話しをしたら、


「ええっ!?マフラーち、なんぜよ?」


「おまんが、いつもしているのはタオルやいかっ」


そう言うわれて首に巻いているマフラーを見たら、なるぼとタオルかも知れん...。(と言うかタオルです)(株)山岸竹材店と印刷されちゅう白いタオル。いやいや、けんど、これを虎竹の里ではマフラー言うがぞね。カシミアで出来たマフラーより、高価な有名ブランドのマフラーよりも、祖父が首に巻いちょった、父が腰にさげちょった、そんなマフラー(タオルです)を持ちたいがです。


だから、今日も首に巻くがぜよ。これで冬将軍もドンと来いやにゃあ。


竹の明日は、人の笑顔と共に

竹かごバック


竹は涼しい夏のイメージがあると言われたのは昔の事。今では、夏だけではなくて寒い季節にもご愛用いただけるようにと竹の手提げ籠バックなども工夫されて来ちょります。この竹かごバックなどもそうちや。黒竹の編み込みを漆で更に渋い色合いに仕上げて、持ち手に高級感のある組紐を付け、巾着にも泥染め木綿を使用するなどこだわりを感じる作り。冬場にも、お洒落にご愛用いだたけるように竹細工も、ずっと進化を続けゆうがです。


そもそも古くから暮らしの中に息づいて、ずっと続いてきた伝統的な素朴な竹籠にはホッと安らぐものを感じますきに、こじゃんと好きです。継承されてきた竹文化に、進化する竹文化があわさって新しい竹の未来が開かれると思うちょりますが、進化する竹には竹細工や竹製品という事だけではなくて、竹の素材としての持つ素晴らしい力、消臭性、抗菌性などの機能性、繊維、建材、食品、新素材などへの利用、そして、無尽蔵とも思えるような資源としての可能性。竹が人の役にたてる事はこれから、まだまだあると信じちょります。


「竹」×「人」で「笑」


竹の明日は、人の笑顔と共にあるがです。


笹の山にて

笹


いやいや急に寒くなってきましたけんど、虎竹の里あたりでこれだけ寒いのだったら山間部に行ったらまだまだこんなものではなく、こじゃんと(とても)冷え込んじゅうのではないですろうか?けんど、頭では分かっちゅうつもりでも、つい面倒に思い上着を持って行かずに凍えるような思いをしたことをこの笹の画像を見るたび思い出すがです。天気が良くて放射冷却言うヤツですろうか。とにかく、手もしびれるほど冷たい朝でしたちや。平地と山で、これだけ気候が違うのだと、しみじみ痛感しました。


しかし、それでも笹達は青々として元気ハツラツ。ニコニコ笑いゆうように見えますちや。まっこと(本当に)竹や笹の逞しい生命力というものを感じた早朝でもありましたぞね。たったの3ヶ月で二十数メートルの高さまで成長して、一年中、葉を茂らせる竹の神秘的な力。昔から、竹が神事などに多用されている事と無関係ではないのです。


まあ、ところで竹や笹があって、親戚みたいなものだという事はご存じかと思いますが、竹と笹の違いを知っちょりますろうか?背丈の高いものが竹、背丈の低いものが笹。そして、筍の皮が成長の過程でなくなるのが竹、皮がずっと付いているのが笹。一応、こんな定義があって竹だの、笹だのと呼びゆうがですが、実は背丈の低い竹もあれば背丈の高い竹ような笹もあるがです。まあ、竹は世界では1300種類。国内でも600種類あると言われますきにカッチリ決めつける事はできない言う事ですろう。


竹布五本指ソックスがリニューアル

竹布五本指ソックス


今度の竹布五本指ソックスは更に機能的にエイようです。竹布のソフトな感触を大切にしながら、耐久性を高める工夫がされちょります。ソックスの表面部分と言うたらお分かり頂けますろうか?床や靴との接地面には丈夫な綿糸が出るように、そして、内側の肌に触れる部分には竹布の糸が出るように考えて編まれたソックスながです。なので、靴下に求められる強さもありながら、竹布のやさしいソフトな履き心地もお楽しみにいただるがです。ふくらはぎ部分にゴムが入ってないので、締め付けないのも嬉しいところ。まっこと(本当に)五本指は近年すっかり定着しました。是非ご愛用いただきたいと思うちゅうがです。


竹布五本指


さて、ほんでこの足の指をリラックスさせる五本指で、室内履きとして夏から、ご愛用頂ゆう人気の竹皮草履を履いてみとうせよ。竹皮草履はサラリとした履き心地で夏場は最高ですきに、夏だけの室内履きスリッパと思われがちですが、実は寒い季節にも自然素材のあたたかさ、竹皮のマッサージ効果でじんわりと温もりがあって冬も快適にお履きいただけるがです。


先日お客様から頂戴したお声に、このような事がありました。「ドイツでは、靴を足に合わせる事が健康の基本、靴下は足の指先まで血液がちゃんと流れるよう必ず五本指」なるほど、血流にも良いのかと思いながらお便り拝読させてもらいましたが、外反母趾という足の病気も鼻緒の履き物の時代にはなかった病だと聞きます。自分なども一年中通して竹皮草履です。暑い時だけの履き物としちょったら、もったいないですぞね!まあ、いちど五本指ソックスと合わせて試していただきたいと思うちゅうがです。


竹の害虫

竹の害虫


竹は糖質の多い植物で、竹虎の工場でも油抜きと言うて数人がかりで大型のガスバーナーで作業をする。竹の加工の仕事の時には、甘い香りが工場内に漂うがです。この何とも優しい甘い香りを小さい頃から「我が家の香り」と思うて育ってきましたが、美味しそうな香りだけに、虫にも好まれるようながです。


竹を食べる虫には2種類あって、タケトラカミキリというカミキリ虫を小さくしたような虫とカナブンを、びっくと(少し)細長くして極小にしたようなチビタケナガシンクイムシがおるがです。また、厳密に分けるとタケトラカミキリは名前の通り虎模様がありますけんど、形はまったく同じでも鮮やかな赤色をしたベニカミキリもおりますので、まあ、3種類と思うてもらってもエイですが、竹虎で扱います竹細工で一番問題になるのは小さな虫、チビタケナガシンクイムシぞね。タケトラカミキリは比較的に身体が大きくて身の厚い孟宗竹や丸竹などに入って穴を開ける事が多く、小さいな竹製品ではあまり見かけません。


竹は旬が悪いと虫が入りやすいので、冬場の寒い時期にしか伐採せず、その材料だけを使うて一年間仕事をしていくのです。けんど、しっかり管理しているつもりでもどうしても竹の虫が入る事があるがです。不思議な事に同じ時期、同じ場所で伐って、同じように管理しちょりましても虫の食うもの、食わないものがありハッキリした生態も解明されていないので100%防ぐ事はできないのが現状ながです。


ただ、竹の虫というのは、竹表皮の硬い部分は食べず、竹の内側の身の部分だけを食べますので竹表皮を薄く剥いで編まれた竹籠や竹ざるは、絶対ではありませんけんど、だいたい大丈夫です。また、常時使いよります竹細工や竹製品は比較的、食害にあったという事は少ないようです。また、高温と圧力で人工的に炭化加工させたものは食べても美味しくないのか、防虫効果が高くなっちょります。一番気をつけて頂きたいのは年に数回だけ使用されて、後は押入などで保管してあるような竹の身を多用した製品ぞね。たとえば、えびら平かご等は、梅干しの時期に使うて後は仕舞うちゅうことが多いと思いますが、たまに注意して細かい竹の粉などが出ていないか見て頂くことが必要です。


虫干しなどを兼ねて天日に干していただくとカビの心配もありません。もし、粉がでていて小さな穴などありましたら、その穴を中心に熱湯をかけて駆除する方法があります。虫は熱に弱いので結構効果があるがですが、竹の中まで熱が入らない事もありますし場合によっては何回か繰り返す必要もあるがです。竹製品は身近に使いますきに薬剤はもっての他ですけんど、熱湯を使うのチビタケナガシンクイムシ退治の場合には火傷にはくれぐれもご注意してくださいませ。