ネパールの魚籠(びく)

ネパールの魚籠


は世界に1300種類以上あるというように言われますきに。その竹を使うた竹細工、竹製品はこじゃんと(とても)豊富です。竹工芸は大陸から伝わり、四季のある美しい日本の感性で磨かれたと思うちょりますが、工芸品としての竹も東南アジアにも沢山ありますぞね。もともと竹は熱帯性の植物です。日本では北海道に竹はなく青森県あたりが北限やったりしますので、赤道の通る東南アジアで竹が生活の中に多用されるのは当然の事ぜよ。


ネパールの魚籠


そして、そのような国々の中にはかっての日本がそうやったように、今でも竹が人の近くにあって、ありとあらゆる暮らしの中に竹は溶け込んでいて、漁をする時の魚籠なども当然のように竹編みの籠が使われちょります。大阪は国立民族学博物館に展示されていた古びた魚籠もそのひとつ。


そう言うたら、かって日本には海流にのって東南アジアの地域から人々が移り住んで来て、竹文化も同時に伝わったと何かで読んだことがあります。この二つの魚籠を見たときには日本の古い籠かと思いました。近くにいって「ネパール西部」という文字を見た時には、ちっくと鳥肌が立ってしもうたがです。


魚籠


今でも日本で編まれゆう腰てご等と呼ばれる事もある魚籠。職人さんに話しを聞いたら、父親がやりよったのを見よう見真似で編みゆうとか、師匠の方に教わった通りに作っている、と必ず言われます。つまり、昔からの伝統の形やいう事やと思うがです。


ネパールで使われゆう魚籠と日本の魚籠がこんなに形が似るという事は、長い時間をかけて機能性を追求して、だんだんと進化したがですろうか?まさか、偶然ではないですろう。他の竹ざるや竹籠でも、まるで日本で編まれたものと同じような竹細工がありました。


遠い時間や距離を越えて伝わった技術が今まで脈々と続いてきちゅう......そう考えただけでこの手にした魚籠がロマンの塊のように思えてきましたぜよ。行った事も、言葉も分からん国と繋がっちゅうかも知れんとは、まっこと素晴らしい事ですちや。今日は地球が、ちっくと(少し)だけ小さく感じれる。こんな世界観もあるがやにゃあ。


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