銘竹としてのゴマ竹

虎竹林の胡麻竹


竹屋は夏痩せではなく、冬痩せすると言われる事があるのですが、それは竹の伐採が寒い時期に行われ、毎日のように急斜面を登って山仕事をせねばならない季節という事ながです。虎竹の伐採も晩秋から翌年の1月いっぱいと決められちょりますので今頃は竹林に行く機会が更に多くなっているのですが先日一本の立ち枯れしている竹を見つけたがです。竹の表面にはブツブツのゴマ状のものが出来ちょります、これはアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)、通称ゴマ菌が竹に付く事により発生するものながぜよ。


ゴマ竹


その自然に出来たゴマ竹を見て、改めて京都の清水銘竹店さんで拝見させていただいたゴマ竹の作り方を思い出したがです。ゴマ菌は枯れた竹に付きますので、自然に出来あがったゴマ竹は枯れてしまって製品にはならない状態ぞね。ところが、銘竹に仕上げる職人さんの技はゴマ菌を付けてゴマ状の模様はありながら竹製品として流通できるしっかりした品質の竹にする事にあるがです。


そのために、わざわざ高く成長した竹に梯子を掛けて竹の枝打ちをして裸の竹を作りだしゴマ竹を作り出します。自然に出来たカラカラに乾燥したゴマ竹を折って片付けながら、あの人の手を入れるからこそ表れるゴマ模様の美しさ、迫力を思うのです。


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