竹炭タルトと、新店舗「怪獣酒場 新橋蒸留所」

竹炭タルト


テレビ番組で竹虎の竹炭パウダーを使ってくださる洋菓子屋さんのスイーツが紹介されていたと言うのを聞いて、そう言えば以前当社スタッフが作った竹炭お菓子があったと思い出して見てみました。


そうすると、なかなか美味しそうな竹炭パウダーを使ったかぼちゃタルトがありますぞね。サクサクのタルト生地には甘めのカボチャフィリングとの色合いが綺麗に見えるように竹炭パウダーを少し多めに入れちゅうとの事です。


竹炭シューアイス


竹炭パウダーは、小麦粉と同じように細やかな粒子ですのでケーキや麺類を作るのにも簡単に混ぜ込めるのでお陰様で色々な食品に加工利用されていますし、飲食店やホテル、旅館さんなどでもお使いいただく事が少しづつ増えてきたのです。


怪獣酒場 新橋蒸留所


竹虎の竹炭を使って頂いていると以前紹介したことのある怪獣酒場さんですが今月より何と新橋にも新店をオープンされています。待望の店舗名は「怪獣酒場 新橋蒸留所」、開店から凄い大人気で混雑のため整理券を配られているそうですぞね。


東京に行った時には新橋は通る事がありますので京急ショッピングプラザ ウィング新橋って何処かと思って調べてみたら、ほとんど新橋駅と言ってもよいくらいの近い場所にありました。今度、上京する機会があったら一度のぞいてみたいぜよ。皆様も話の種にどうですろうか?


第58回全国竹の大会、高知県大会「竹業界の夜明けぜよ!」

第58回全国竹の大会、高知県大会、渡邊政俊先生


全日本竹産業連合会の第58回目となる全国竹の大会が坂本龍馬の生誕日でもあり命日でもある11/15日(水)に高知県で開催される事になったがぞね。つまり、58年目にして初めての高知開催、未熟ながら自分が実行委員長を務めねばなりません。「竹業界の夜明けぜよ!」龍馬の言葉をもじって思いつきで言った言葉がそのままテーマになっています。


先週には京都の事務局より渡邊政俊先生が来高されて準備も大詰めでした。渡邊先生はドクターバンブーと言われて竹では世界的に有名な故上田弘一郎博士に学ばれた凄い方なのです。実は高知には日本唯一の虎竹だけではなく、トヨタレクサスの竹ステアリングを製造するミロクテクノウッドさんという素晴らしい会社様があります。「竹イノベーションを生みだし、循環型モデルの構築を」がテーマのシンポジウムでは、こちらの片山弘紀社長様にもご登壇をお願いしています。竹の新素材利用のトップランナーとして全国の皆様にご覧いただける機会となればと思うちょります。


第58回全国竹の大会、高知県大会、白木谷


この竹の大会は全国各地の主な竹産地で開催される事が多く、翌日には現地視察研修会が開催される事が恒例です。高知大会では「衣食住」のうち「食」の側面からも竹を体感いただきたいと思って、地元婦人会の皆様にご協力いただく四方竹スペシャルランチを含めた特産の四方竹の竹林見学を予定しています。


第58回全国竹の大会、高知県大会準備、白木谷


最近知名度を上げてきている四方竹ですが竹林まで来られた方は多くはないと思います。東南アジアの国に迷い込んだのか?とさえ思えるような四方竹の竹林の壮観な景色は日本ではあまり観ることの出来ないものではないかと思っています。


第58回全国竹の大会、高知県大会、四方竹


昔から不思議に思っていましたが四方竹は、まるで切り揃えられたかのように高さがほぼ同じなのです。まさか一本づつ手を入れているとは思っていませんでしたが、風に倒れないように対策をする同時に筍の成長を考えて地面への陽当たりを良くするため竹の先端を切り飛ばしていました。まさに、ひとつひとつ手塩にかけながら育てたブランド筍だという事を知ったのです。 


いよいよ今週水曜日まで。ANAの機内放映に竹虎登場中。

竹トラッカーANAの機内放映


今月は、まっこと(本当に)有り難いことにANAの国際線、国内下り線の機内放映で竹虎が紹介されていました。それもいよいよ今週の水曜日まで5月末日までとなりましたので、もしご搭乗予定のあられる方は是非ご覧いただきたいと思っています。


今回はたまたまこのような嬉しいお話しをいただいて飛行機の中で放映いただきましたものですから意外なところでご覧になった皆様からお声をかけていただくようになりました。特に高知の方にとりましては地元の自分達でも良く知らなかったような情報も満載の番組ですので多くの方が注目して観ていただいているようで感謝なのです。


そう言えば、不思議なことに毎年製作する年賀状ですが今年は酉年という事もありましたが竹トラッカーで空を飛んでいます!今まで気づかなかったのですが、よくよく考えてみますとまさに今回の全日空さんでの奇跡のような放映を予見していたかのような一枚ぜよ。製作いただいたのは工芸作品だけでなくテレビや映画、雑誌、舞台と幅広く活躍されている高名な写真家・ミナモトタダユキさん。凄い方だと思っていましたが予知能力もあるがやろうか?


竹虎ANAの機内放映g


見納めという事で、最後にもう一度観れたら良いと思っていたら昨日の最終便に乗る機会があったがぞね。高知に帰ってくる便という事もあるかも知れませんが、結構多くの方が関心を持ってご覧になられゆうように思うて嬉しかったがです。


続々・竹籠、左巻きの理由

竹籠、左巻きの理由


伝統を受け継いできた竹籠に口巻きの方向が違うような事があるがやろうか?今まで資料館に展示されている籠などはもちろんの事、倉庫に収納されているような古い籠まで各地の竹細工を見てきました。そして、現在も編み続けられる竹を見回してみてもそのような例はあまりないがぜよ。


どうしても気になって聞いてみる事にしたのですが、実はもしやと思い少し予想していた返答が返ってきたのです。左巻は師匠からの助言だったと言います、この方は左ききで右巻の竹編みでは、どうしても力が入らず困っていたそうです。それを見た師匠のアドバイスで反対巻きを試してみると力を入り上手に巻くことが出来て、それ以来ずっと左巻で編まれているとの事でした。


椀籠


今回のケースの場合には当事者から直接お話を聞くことができるので謎も解けてスッキリしました。しかし、このように右巻の竹細工が左巻きで伝承されるのは近年の事であり、また非常に希な事ではないでしょうか。


右きき、左ききの職人は昔から沢山あったろうと思われますが、そのような中であっても右巻の竹細工、左巻の竹細工と明確に別れずっと続いて今日まで続いて来ているからです。


二重竹ざる(ふたえばら)


日本では縄文時代後期(前2500年~前1300年)の遺跡から、現在も同じように使われている網代編みや、四ツ目編みの技法の竹籠が出土しています。身近で加工性の高い竹は、数千年前から日本人の暮らしと共にあり、そんな悠久の歴史を経て今なお残る竹の技への関心は高まるばかりなのです。


続・竹籠、左巻きの理由

左巻き竹かご


この真竹で編まれた竹ざるは直径が42センチ程度ある少し大きめのもので非常に美しい縁巻きと人柄を表すような丁寧な仕事ぶりが気に入って、ずっと手元に置いてあります。竹といえば真竹に決まっているような地域にあって、当然真竹で編まれたざるなのに縁巻きが左巻きなのが興味深く謎として心に残ります。


師匠にあたる名人と言われた職人も右巻きだったのに、どうしてだろうか?「もしかしたら」と心当たりがあるものの確かな事ではありません。昔ながらの伝統の籠は、その地域に根ざしたものであり毎日同じ仕事をしている背中を見て覚えた籠です。だから使われる竹から、編み方から、細やかなあしらいまで、同じ技が受け継がれ遺されています。口巻きの方向が違うなどあろうはずがないと思っていたのです。


竹ショルダーバック


これは、何年か前にお願いしていた竹ショルダーバック。何度か使って少しづつ良い色合いになりつつあるところぜよ。けんど、この綺麗な口巻きも、やはり左巻き。右巻きの技術を見てはじめた竹細工なのに左巻きになっている謎がどうしても解けません。念ため師匠の職人の作った籠を見直してみると右巻き。


これは一体どうゆうことなのだろう。とうとう聞いてみる事にしたのです。


竹籠、左巻きの理由

篠竹米とぎざる


左巻きの竹編みは一部の地域を除いては、ほとんど見られないと思われていますが実は篠竹細工など東北地方の竹編みは、かなり広い地域に渡って左巻きです。真竹等とは違う笹類の仲間なので、その竹の種類の違いかあるのかとも一瞬考えてみました。


篠崎ざる


ところが、同じ篠竹を使う竹細工も北関東より南に下がってくると、どういうワケか右巻きになっていますので面白いものです。以前のブログでもお話しさせて頂いた事がありますが、かって東京の江戸川沿いに繁っていた篠竹を使った篠崎ざるには200軒もの竹職人がいたといいます。


多摩のメカイ籠、篠竹


こちらで拝見した堅牢な竹籠はすべて右巻きでした。多摩のメカイとして知られた篠竹を使った竹細工があります、一昔前には大量生産されてトラックに山積みされて築地などの市場に運ばれいた生活用品として広く流通していた竹製品です。このメカイについても古い時代の籠から、新しい籠までやはり右巻きで仕上げられています。


淡竹かご


西日本に来ますと篠竹など細い竹を使う編組細工はほとんどなくなります。唯一、河川の護岸などに多用されていた蓬莱竹(高知ではシンニョウチクと呼びます)という南アジア原産の竹が使われるくらいでしょうか。そして、ほぼ当たり前のように右巻きの籠ばかりになっていて、突如として左巻きの籠が現れるのです。


淡竹籠


しかし、淡竹をそのまま使う籠というのは無骨ぜよ。他の竹に比べれば決して洗練された感じはありませんが人を惹き付けて離さない不思議な魅力と力強さがある竹です。青かった淡竹籠が渋い風合いになってくるほど年を重ねてみても、この口巻き方向の謎は解き明かされることなくただそこにずっとあるのでした。


続々・淡竹椀籠の秘密

米あげざる(マンゴク)


ところが、この縁巻きに関しては実はそれほど単純ではないのです。たとえば、ズラリとな並んだマンゴクと呼ばれる作り手のそれぞれ異なる米あげざるたち。自分の手元にはざる、籠、魚籠など昔ながらの竹細工から新しい竹製品までかなりの種類を置いていますがその中にあって、この竹編みは用途が同じでも各地の職人さんにより作りが微妙に異なっているのが本当に興味深いがぜよ。


米あげざる(マンゴク)


その中に底が半円形になった独特の形をしたマンゴクがあります。口巻き部分の左巻き、右巻きのお話しをさせてもらいましたが、左巻きの地域の職人からいただいたものであり、この地域特有の形と編み方なので当然この地方で編まれた米あげざるとばかり思っていましたが口巻きは右巻きです。


米あげざる(マンゴク)


幅広の竹ヒゴが進行方向に並んでいて、重たい籠を引きずりながら運べるように特徴的な形をしていて他の地域では編まれていないはずなのに口巻きを見ると、どうやらこの地域とは別の流れをくむ竹職人がこのマンゴクを編んだという事になります。


しかし、使われている竹は確かに淡竹...。淡竹を使いながらも右巻きの細工をする職人がいるのだろうか。淡竹の竹細工をする地域も職人も知り尽くしている気になっていましたが、「井の中の蛙」やったのか。竹の世界はまだまだ広く深いようで実は悪い気はしちょりません、ちっくと嬉しくさえ思えてきました。


続・淡竹椀籠の秘密

竹碗籠


そもそも真竹ではなくて、どうして淡竹を使っているのか気になります。真竹の方が細工がしやすいのではないろうか?そう思って今まで何度も、何人もの職人に聞いた事がありますが淡竹を使う職人は全員が淡竹が粘りがあり扱いやすいと口を揃えるのです。


孟宗竹


これは孟宗竹を使う竹職人にも共通しちょります。どちらかと言えば編組細工には向いていない竹素材だと思われていますので孟宗竹で籠を編むと聞いたら驚く方もおられますろう。ところが、孟宗竹を昔からずっと使ってきた職人にとってはこれほど扱いやすく、強く、綺麗な竹編みができる素材は他にないと熱く語って譲りません。


小さい頃からの思い出があるせいか人一倍思い入れが大きい竹茶碗籠たち。ここに3つ並んで写っているのは、手前二つは淡竹で編まれた籠、右上に写っているのは青物細工では日本でも指折りの名人級の腕前だった職人から頂いた思い出のある真竹製の籠ぞね。


竹茶碗カゴの口巻


それぞれの竹籠で見ていたら気づきにくいのですが、こうして並べてみると違いがお分かりになられる方もいるのではないでしょうか?試しに竹虎の職人ではありませんが、社員に持ってもらって質問してみると正解を言うてくれました。そうなのです、口巻きの方向が二つの竹籠で違います。黙って渡すとなかなか気づくものではありませんが、さすがです。


竹茶碗カゴの編み方


真竹や淡竹、あるいは蓬莱竹など竹の種類には関係なく、竹籠の縁巻きは竹ヒゴを右巻きにしていくのが一般的と言ってよいほど多いです。海外で編まれる製品の中には同じ形の籠でも右巻き、左巻きが混在している場合がありますが日本国内で昔から編まれてきた竹籠は右なら右、左なら左、この淡竹茶碗籠でしたら何個編んだとしても全て当たり前に左巻きなのです。


淡竹椀籠の秘密

淡竹椀籠


淡竹(はちく)の竹細工は全国的にみてもそう多くはありません。ところが虎竹が淡竹の仲間なものだから、親近感は他の真竹で編まれる青物細工の比ではないのです。伐り出された淡竹が積み込まれている光景など日本中探しても虎竹の里以外でありませんので、その時点で既にまるで身内のような気さえしてくるのです。そんな気持ちが通じるのか、今回もひとつ小振りな水切り籠を頂きましたぜよ。


淡竹椀籠、水切り籠


しかし、同じ地域にあったり、あるいは元々のルーツが近しいものがあったりする昔ながらの竹籠は作り方を師匠から見よう見まねで伝えられてきていますので作り方や形が同じだったりするのですが竹表皮部分を使う、竹表皮部分を薄く剥いで磨きにする、など細かな所で個性があって、まっこと(本当に)面白い。


淡竹椀籠力竹


随分前の竹籠で色が落ちついた風合いに変わった水切り籠を裏返すと力竹が入っていますが、竹節が見えている事から分るように竹表皮部分を底側に向けて取り付けています。


淡竹椀籠力竹


ところが、同じ流れをくむ別の職人さんの新しい竹籠では形などよく似た籠なのに力竹の竹表皮部分が反対の内側に向いています。


淡竹椀籠の作り方


見ていたら飽きない竹籠ですけんど、この水切り籠には更に面白い秘密が隠されているのです。


炭化竹の竹踏み

竹踏み(炭化)


竹踏みの最後に炭化竹を使った少し変わった竹踏みの紹介をちっくとさせて頂きたいと思うちょります。青々とした普通の踏み竹に比べますと、色が茶褐色になっていますがこれが高温高圧で蒸し焼き状態にした竹踏み(炭化)なのです。


竹踏み(炭化)


青竹踏みは青々とした竹の雰囲気をそのままご家庭でお楽しみいただける竹製品でもあります。もちろん、鮮やかな色合いは褪めていき落ちついた乳白色のような色合いになってきますが、この炭化竹は最初からこのような渋い風合いただよう仕上げなのです。


こうして炭化加工するこのと一番のメリットは、これからの湿気の多い季節などには特に注意の必要なカビ防止、そして防虫効果があります。


竹踏み(炭化)


それにしても、このツヤと輝きはどうですろうか?竹表皮を薄く剥いでいますので竹節部分もツルツルで、好みもありますが足当たりは一番優しいかも知れません。


竹踏み(炭化)


これだけ美しい仕上げなので、これは何か塗料を使っているのではないか?そんな疑問を持たれるお客様がいても不思議ではありません。


竹踏み(炭化)製造


しかし、何を隠そう塗装や何かは全く施してはいません。職人が一本つづ丁寧に機械を使って磨きあげたそのままの光沢なのです。もしかしたら足で踏むのが惜しくなってきたのではないでしょうか?まっこと(本当に)そんな価値の十分にある竹踏みながぜよ。


超超強力青竹踏み、青竹踏みの中の王様「踏み王くん」の話

青竹踏み


今週は月曜日から青竹踏みの話ばかりで、いい加減にしたらどうぜよ?と思われちゅう方もいるかも知れません。けんど、止めませんぞね。日本中の皆様が、特に若い皆様が青竹踏みの良さに気が付いて毎日の暮らしの中に取り入れてくれるまでは止めるワケにはイカンのです。


青竹踏み


青竹踏みには孟宗竹を使った普通のタイプと、少し細めの真竹を使った強力青竹踏みがあることをお話ししているかと思います。竹材の選別が非常に難しいことは知っていただいたかも知れませんが更に真竹を使う強力青竹踏み「踏王(ふみお)くん」は、身の厚みのある竹ではありますものの孟宗竹に比べるとやはり薄いのです。


自然素材は生きています。乾燥を良くさせていたつもりでも縮んだり、反対に広がったりするから大変です。製造途中でそのように変化する青竹踏みは、すぐに選り分けることができますが、展示している最中や、保管してある時、あるいはお客様のお手元に届いてから変化の起こる竹材もあります。


青竹踏み


前にもお話しした事があるように思いますが、縮んでしまった青竹踏みはこんなに丸くなって、まるで加工する前の1本の丸竹に戻ったような感じぜよ。


こうなったらお客様には販売する事はできないし、もったいないにゃあ......。ところが、自分などはこのような形になった超超強力青竹踏みが大好きなのです。踏王くんよりも、更にピンポイントで足裏のツボにダイレクトにグッ!とくる痛キモち良さを知ってしまうと他の青竹踏みには戻ることができません、まっこと(本当に)何とも言えない踏み心地ぞね。


超強力青竹踏み


朝に使うと一日のスタートにキリッと気持ちが入るし、夕方頃のちょっと疲れが出た頃に踏むと元気が盛り返してくる気がします。風呂上がりの温まった足には血行がよくなるのかジンジンして後はスッーと疲れがとれるようです。


世間一般ではドリンク一本で気力、体力が復活するのだと思いますが、虎竹の里では青竹踏み一本で復活するのです。


更に続く、国産青竹踏みのこだわり

青竹踏み、超強力青竹踏み「踏王」


通常の青竹踏みは半割にしますので1個の竹材から2個の製品が加工できるのに対して、踏み王くんの場合には6:4の比率で切り割りしますので1個の竹材から1個の製品しかできません。驚かれるかも知れませんが、あの20メートル近い高さのある真竹でも普通の節間の竹なら、たったの2~3個しか製造できないのです。


青竹踏み、超強力青竹踏み「踏王」


だから、孟宗竹より更にシビアに竹を厳選して伸びの無い、節間の短い竹を選ぶことによって何とか1本の竹から4個程度を製造しています。それでも長い真竹のほんの一部しか利用できません、真竹も地域によってはかなり太い竹がありますので、大きさも頃合いが良く青竹踏みに適した素材となると竹を伐採する職人は四六時中アンテナを立てて見ているという事になるがです。


竹踏みの厚み


この竹の肉厚をご覧ください。もちろん、これより薄い竹材も当然ありますが、できるだけ竹の元の方で厚みがあって竹節は必ず2カ所に入るように切断します。これだけ材料を贅沢に使い、手のかかる竹踏み作りですから、実はもっと高額にせねば決して引き合うものではありません。青竹を使用していますので、これからの季節は天日干しなど商品管理をしっかりしないとカビが生えてしまう事もあります。


超強力青竹踏み「踏王」


こうして改めて考えてみても簡単なようで、まっこと(本当に)青竹踏みは手間暇かかる竹製品です。2001年から始めたインターンシップで地元の大学生が青竹踏みすら知らない事にショックを受けて、どうにかして竹を知らない世代の方にも気軽に手にしてもらいたい、ただただ、そんな思いで採算はひとまず置いておいて提供続けている製品なのです。


特に真竹製の踏王くんは皆様にご提供を続けていくだけでも精一杯、やれるだけはやりたいとチャレンジ精神にも似た気持ちで臨んでいます。


続々・国産青竹踏みのこだわり

真竹踏み、踏王


ここ数日の30年ブログをお読みいただけますと、里山を見渡せはあちらこちらで見る事のできる日本最大級の竹である孟宗竹を使った青竹踏みでも、適材となる太さ、身の厚さという事になると竹素材の伐採の段階から結構大変であることが分かりいただけたのではないかと思いますぞね。


しかし、細身の真竹を使った強力青竹踏み踏王くんは更に大変です。もしかしたら、普通の青竹踏みに比べて細身で足裏のツボにピンポイントで当たる青竹踏みを以前から考えられた方もいたかも知れません。お客様の中にも、このような細身で急角度の青竹踏みを探し回っていた方も少なくないと聞きますが日本国内を見ても自分達の製品以外はあまり流通していないのは、もしかしたら竹素材を継続的に確保し続けることが思う以上に困難な事だからではないでしょうか。


真竹踏み、踏王


孟宗竹も耐久性を考えて元に近い部分しか使用していませんが比較して身の薄い真竹なら、尚更のこと元に近く身部分に厚みのあるしっかりした部分でしか材料を取る事ができません。


真竹は本来、節間の伸びのよい性質を持つ竹です。それが籠や笊などの竹細工を編む場合には非常に使いやすい素材として広く使われる理由ともなっていますが、青竹踏みに加工する場合には、一本の製品に2つの竹節を入れますので出来るだけ伸びの少ない竹を探さなければなりません。真竹の強みが、作る製品が変わることによって弱みになったといいますろうか、孟宗竹より更にハードルの高い竹材が求められるのです。


続・国産青竹踏みのこだわり

青竹踏み


木立の中に生える竹は少しでも早く太陽の光を浴びたいと思って節間の長い立派な竹に成長します。「若い頃の苦労は買ってでもせよ」と言われますが、竹も人も伸び盛りの逆境は大きくプラスに作用するようです。だから自分の使う素材を自分で伐りに山に入る職人さんは、そのような場所の竹を選ばれる方が多いのです。


青竹踏み


青竹踏みには節間は短い方が良いので反対に元々日当たりがよい山頂付近の竹が使われます。普通の孟宗竹でしたら、1本の竹から4本くらいの素材しか取ることができません、半割にして使うので合計で8個の青竹踏みを製造できる計算です。


孟宗竹


ところが日当たりが良いために、あまり伸びる必要のない竹を伐採すると1本から6本の素材を切り出す事がでますので合計12個もの青竹踏みが製造する事ができるのです。何と製造効率は150%になります、竹素材そのもので勝負するというか、まさに竹材をお届けするような青竹踏みですので、素材選びがいかに大事かと言う事です。


こうして厳選した竹材を熱湯で油抜きする、湯抜きという工程をへて製品になっていきますがよい竹材を選んだとしても、必ず竹の元やウラ(先端部分)で端材というものが出来てしまいます。自然素材を扱っている以上は仕方ない事ではありますが、出来るだけ皆様にお求めやすい安価な価格で提供続けるためには、この部分の有効活用をしっかり考えていく必要があります。


国産青竹踏みのこだわり

青竹踏み(タケフミ)


国産の青竹踏みは竹を半分に割っただけの簡単な商品のように思われるかも知れませんが、実はこれを国産の竹で大量に用意しようと思うと皆様が考えもしないような手間がかかっているのです。まず青竹踏みは丈夫で厚みのある孟宗竹で作るようにしていますが直径で10センチ程度の細いものばかりを伐採せねばなりません。


お客様の中には何かの材料を取った残りのウラ(竹の先端)に近いところの細い部分を有効活用しているので安価に製造できていると思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、実際にはそうではなく細身の孟宗竹を青竹踏み用に厳選して伐採し、元に近い所だけを製品化します。


青竹踏み


青竹踏みは太ささえ揃っていれば良いというものではなく、人の体重を載せるものですから強度が必要ですぞね。そこで、元に近いところの身に厚みがあり、尚且つ一本の青竹踏みには必ず節を二つ入れられる素材を使用しているのです。竹の先部分では節間が長くなりすぎて二節は入れられません。


孟宗竹、モウソウタケ


そこで山の目利きが大いに必要になってくるのです。直径が細いだけではなく、できるだけ伸びの無い竹が青竹踏みには適していますので、そのような竹材を広い山々の中から探さねばなりません。通常の竹細工の場合ですと、少しでも節間の伸びの良い竹が重宝されますのに、その正反対なのです。さて、それでは伸びの悪い竹とは何処にあるのか?明日は、この辺りからお話を始めたいと思うちょります。


洗濯竹籠(角)のある暮らし

洗濯竹籠(角)


この脱衣籠は本当に美しいのです。もともと楕円形に編まれる米あげざるだった竹籠を出来る限り角ばって製作したいと思い、随分と職人さんには骨を折ってもらっていますがその分他には見ることのない脱衣籠となっちょります。


洗濯竹籠(角)


底に力竹のように見える幅広の三本竹は重たくなった竹籠を片方を持ってズルズルと引きずりながら運ぶ際の滑りを考えた工夫です。もちろん今でも農家さんでは実用品としても使われることのある竹細工ではありますがさすがにこれだけ丁寧に仕上げられた籠は外で乱暴に使うことはできません。


洗濯竹籠(角)


生真面目な職人の手仕事が伝わってきそうな素朴な温もりを感じる竹の脱衣籠、こんな竹のある暮らしで、ちっくと豊かな気持ちになってもらいたいと思うがです。


台湾からの訪問団 国立台湾工芸センター

台湾で見た竹ソファ


まだ先の事ではありますがこの秋、国立台湾工芸センターの竹に従事される方々を中心とする訪問団が虎竹の里に来られることになりました。実は、3年ほど前に台湾の竹をじっくりと見て回った事があって、先進的な竹製品への取り組みやモダンな新しい発想で次々に生み出される竹加工技術の高さ、豊かさには驚くばかりだったのです。


台湾で見た竹ソファ


一番の違いは竹への関心の高さです。自分が訪れた地が竹産地の南投県か中心だったせいもあるのか?それでも一般のご家庭には竹で創られた家具が普通に置かれて使われています。もしかしたら日本と同じように近代化が進んで、人々の暮らしは変化を続けているのだと思うのですが一人一人の心に竹が色濃く残っているのを感じたのです。


世界竹会議、潭陽、竹虎四代目


そう言えば一昨年に韓国潭陽で開催された世界竹会議(world bamboo congress)にも台湾からは多数の参加者が来られていました。人数もそうですが参加されている方の若さと、熱量の違いが少しうらやましくも思えたのです。


台湾で見た竹椅子


本当に興味深い竹製品が沢山あって時間を忘れるような日程でしたが、その中で強く印象に残るひとつがオブジェのような作品たち。確かソファやベンチのように腰掛けとして使用できるものだったように覚えちょりますが、本当に斬新です。頭で思い描くことはあっても、実際に竹で形作る事とは雲泥の差があります。竹の未来が見えて来るのは、きっとこんな面白い竹が実際に形になっていく場所からですろう。


台湾の素晴らしい竹人の皆様に虎竹の里をご覧いただけるとは本当に光栄で嬉しい事だと今から楽しみにしちょります。


竹酢液の抗菌実験

竹酢液の抗菌実験


暑くなってきたら毎年ニュースなどで問題となるひとつに食中毒がありますぞね。夏場に向かっては雑菌が繁殖しやすくなる季節ということですが、竹虎で竹酢液を愛用している社員が自分が入浴に使っている竹酢液の抗菌性を調べてみたいと言うことで、是非にと実施してもらう事にしたのです。


正式な抗菌実験などは、それ専用の施設があって例えばサルモネラ菌ならその菌の元を培養液で増やしてから他の細菌の影響をうけないように管理しながらテストするようですので今回の実験は全く正式なものでもないしデータを取るようなものでもないのです。


竹酢液の抗菌実験


ただ、やはり自分達自身が好きで毎日のように使っていて、お客様にも自信をもってオススメしている竹酢液の事を公の機関ではなく自分達の手で簡易にでもやっておく事があっても良いと思いました。培地を用意して竹酢液入り、竹酢液なしの2種類で比較テストをする準備が完了です。


竹酢液の抗菌実験


細菌は台所に発生していたカビ菌を使ったそうです。カビ菌を同じように2つの容器にいれて1週間程度放置して様子を見てみたら一目瞭然の結果でした。竹酢液なしの方にはカビが発生して黒くなっているのに対して、竹酢液入りの方にはまったく何の変化も起こっていません。少なくとも竹酢液の抗菌力は明らかに実証されているのです。


そういえば竹虎四代目が自ら、竹酢液で蚊除けのこんな人体実験もしています。




TOKIOの森

TOKIOの森


竹林の清々しさはいつも感じていることです。明るい陽射しが差し込む竹林に、サワサワと気持ち良さそうに竹葉がゆれたかと思うと心洗われるような風がスッーと通り抜けていきます。ここにいられる幸せを感じる瞬間でもあります。


虎竹の里は竹林ばかりではありせん、杉や檜、そして小さい頃よく遊んだ自然木の山々も沢山あるのです。最近、そんな木の素晴らしさを改めて感じる機会がありました、縁あってお連れいただいた高野山では木の生命力あふれるたたずまいに圧倒されました。竹はわずか3ヶ月で成長してしまいますが、樹木は何十年、場合によっては何百年と生き、少しづつ成長していきますので又竹とは違う神秘さや畏敬の念を覚えるのです。


TOKIOの森


竹林の帰りにふと小川のせせらぎに誘われて脇道をそれて歩いてみました。小鳥たちのさえずりが聞こえる静かな森林も虎竹の里のもうひとつの顔ながです。


ここは勝手に自分が「TOKIOの森」と名付けている場所ぜよ。実は数年前の事ですが「ザ!鉄腕!DASH!!」というテレビ番組で15メートルの超巨大水鉄砲を作るという企画に挑戦したことがあったのです。その特大水鉄砲を100人で押して消防車と消火競争するという破天荒な試みで非常に楽しかった事を思い出します。


水鉄砲用孟宗竹


その時に、アイドルグループTOKIOの長瀬さん、松岡さんが来られてここの森で孟宗竹を伐採されました。竹は竹林に生えてるものよりも、こうして樹木の中に生える竹の方が木々に負けず早く成長して日光を浴びるため節間の伸びが良いのです。だから竹職人さんによっては、わざわざこのような森を選んで竹を探す方もおられるほどですがあの暑い夏を振り返りつつ静かに森林浴してみるのです。


蓬莱竹ミニ小物籠

蓬莱竹小物籠、磯かご


蓬莱竹のしなやか性質を活かして小籠を編んでもらいましたぞね。普通、磯遊びや山菜や野菜籠として使われる磯籠と比べると形は同じですが、大きさはこんなにも違うのです。本当の卓上で、ちょっとしたモノ入れとして使ってもらいたいサイズです。


自宅の玄関やリビングの定位置にいつも置いておいて、帰宅時に車の鍵やお部屋の鍵などでもサッと放り込んだりしていたら遊びに来た友人も目を見張るのではないですろうか。


蓬莱竹ミニ小物籠


さて、そんな蓬莱竹小物籠に更にサイズを小さくしたミニ小物籠を作ってみたくて職人に話たら快諾いただいて編み上がったのがこの籠なのです。竹細工にも適正なサイズ感というものがあって、籠を小さくするような手仕事をお願いできるのは熟練の職人さんの証ぜよ。


蓬莱竹ミニ小物籠


昔ながらの職人気質の方ですので製作時の集中力は半端ではありません。小気味よいほどの手さばきで驚くような短時間で編み上げるミニ小物籠なのですが、この深い飴色になった経年変色の風合いは、短時間でというワケにはいきません。長い、長い時間をかけて少しづつ渋みを増していくしかないのです。


虎竹眼鏡ケースのリニューアルと虎竹材について

虎竹眼鏡ケース


虎竹眼鏡ケースは内張をシックな感じの茶系の色合いに変えてより高級感のあるものにリニューアルしました。虎竹は自然の虎模様で色目の濃いものから、薄いものまで色々なのですが基本的には落ちついた風合いの内張がマッチすると思っています。


しかし、今回注目いただきたいのは実は内張の事ではなくて虎竹眼鏡ケース本体の両サイドのあしらいについてです。恐らく言わなければ気づかれる方は少ないかと思うのですが今までは一枚の虎竹で製作していた箇所が今後は部材を半割で使うことになっています。


虎竹眼鏡ケース


良く見ていただくと中央に切れ目が入っている事がお分かりいただけるかと思います。二枚の虎竹部材を貼り合わせて作られているのです。


実はこれには近年の虎竹材の事情があります。虎竹の里に育つ竹は虎竹ではありますが全てに虎模様の色づきが出るわけではありません。色づきの原因がハッキリ解明されていませんが気温も大きな要因の一つであり温暖化で冬でも温かい事が虎竹にとってはあまり良い状況にはなっちょりません。


虎竹下駄


元々淡竹の仲間なので太い竹が豊富にあることはないのですが、特に山出しされてる竹に太く身の厚みのある竹が少なくなっています。細い竹ヒゴにして使う竹細工には問題ありせんが、広い面を必要とする細工には大きな影響があり材料確保が難しい場合が出てきているのです。


そこで眼鏡ケースも一枚物の虎竹板から半割サイズへと規格変更をしたという事なのですが実は虎竹下駄などはもう随分と前から虎竹パーツのサイズを微妙に変えて対応してきています。虎竹は虎竹の里の大自然の恵みぜよ、人間にはどうする事もできないのでこうして自分達のやり方を変えていくのです。


100年前から虎竹の里のニューフェース

虎竹の筍


孟宗竹より1ヶ月半くらい遅れて生えてくるのは虎竹の筍たちぜよ。この季節に昔と違って心配事が増えたのはこの筍たちがイノシシや鹿に食べられてしまう事なのです。太い孟宗竹の筍でも生えかけのものを丸かじりしていくイノシシには驚きますが、虎竹は淡竹(はちく)の仲間で孟宗竹のように太い竹ではありません。


イノシシがやってきたら、ひとたまりもない大きさぞね。いやいや小さいからこそイノシシは見逃してくれるのか?そんな事を思いながら虎竹の里のニューフェース達を少しやきもきもして見ております。


ANA機内放映に竹虎登場


先日も、この30年ブログではお話しさせていただきましたが実は今月5月はANAの機内放映の番組で高知特集があります。国内線の下りと国際線全線でご覧いただく事ができ、その中で竹虎を紹介いただいております。虎竹電気自動車竹トラッカーも颯爽と走る姿が写しだされていますがこの車体は全て日本唯一の虎竹で編み込まれているのです。


機内番組で大きく取り上げていただく虎竹を画面で拝見させてもらうと何やら誇らしげに胸を張っているかのようです。この里でしか成育しない不思議な虎模様の竹、しかし、その全てに美しい模様が出るワケではなくまた、その模様が出るのはこのニューフェースたちが成長して3年経った後のことです。


いわば全てが期待の新人という事ですから、虎竹の里では淡竹なので美味ということは知っていても誰も虎竹の筍を食べようとはしません。おそらく、父も祖父も曾じいさんも食したことは無いのではないろうか。虎斑竹は山岸家が100年前に出会った時から、そんな特別な竹なのです。


倉富敏之先生の版画「竹編組」

倉富敏之先生「竹編組」


竹編組と書いて「たけへんそ」と読みます。一般的に竹細工と言うと皆様が頭に思い描くような竹を細いヒゴにして編んだり、組んだりして一つの形にしていく技法の総称です。昨年の夏、日本唯一の虎竹電気自動車竹トラッカーで高知から横浜まで1000キロのチャレンジランをさせてもらいましたが、行く先々での充電は道中のコンビニさんにお願いしていました。そこで若い方々に竹編みで仕上げたボディを見てもらったり、触っていただく機会が多かったのですが接着剤や釘のようなものを使っているのだと思っていたらしく、竹の弾力だけで竹編みが完成されていると知らない方が何人もいて驚きましたぞね。


倉富敏之先生「籃胎漆器」


籃胎漆器とは竹編みで仕上げた下地に漆を塗り重ねて作る器ですが、その下地編みにより出来あがる器の表情が決まりますので編み方も多種あります。倉富敏之先生の工房の近くには漆器の産地がありますので近年ではあまり使われていない編み方もあるようですが、このような作品も作られていました。こうして拝見してくいと籃胎漆器に使われることのある竹編みだけでも本当に種類が多く竹の可能性はまだまだあるのだなと感じます。


倉富敏之先生の版画g


先生の作品には竹職人さんがよく登場されるのも自分が好きなところです。昔ながらの竹の仕事は、竹そのものの魅力はもちろんですが、同時に作り手への感謝の思いを先生が決して忘れてはいない事を感じます。


倉富敏之先生の版画「私の手仕事」

倉富敏之先生「私の手仕事」


倉富敏之先生の作品は凄い。ご自身も竹が好きで素晴らしい竹籠も編まれるし、竹の研究や職人への技術指導にもずっと携わってこられ竹の事を熟知された先生ならではの作品だから凄いのです。そして、先生の竹のように真っ直ぐな「私の手仕事のなかで伝えたい」思いに感動します。


竹の編み方は200種類以上と言われますが、身近で加工性の高い竹は全国各地で様々な利用をされ発展してきた長い歴史があります。同じような編み方でも呼び名が異なったり、微妙な違いがあったりしますが、それらを版画として残すと同時に各地の名称を統一して明記されるという誰もしてこなかったであろう仕事にも挑戦されてきました。


版画家、倉富敏之先生


ご自身の作品を見る目は優しいです、しかし、まったく満足されている様子はありません。竹は、まだまだ奥が深く、やりたいことは沢山あると話されます。


倉富敏之先生、版画原版


しかし彫刻刀の跡の残る原版も圧巻です。「竹編組と技術技法の基本形」竹編みを紹介して、中央にはその竹編みの技をつかって製作される竹細工を描かれています。


倉富敏之先生、竹編組と技術技法の基本形
 

どれほどの情熱を注げば、どれだけ竹を愛したら、このような作品が生まれてくるのだろう?これが本物だと思います。竹を志す全ての竹人の工房にこれらの版画が掛かっていると素晴らしいとさえ思うのです。


版画家 倉富敏之先生の作品


倉富敏之先生の版画「かごはこづくし百選」

倉富敏之先生「かごはこづくし百選」


倉富敏之先生の版画をはじめて目にしたのは、もう随分と前のことでずっと心のどこかに引っかかっていて時々思い出しては懐かしさにも似たような不思議な温もりを感じていたのです。


ある竹職人さんのご自宅をはじめてお伺いした時にも壁に掛けられている大きな版画に再会し、いよいよご縁のある版画だと思いながらも、なかなか倉富先生にお会いできるチャンスはありませんでした。


倉富敏之先生、竹虎四代目


たまたま突然機会が訪れて福岡県久留米市にある先生の工房にお邪魔したときには、倉富ワールドの迫力に圧倒されて声が出なかったぜよ。しかし、初めて行ったはずなのに全く初めての気がしません。竹の版画に囲まれていると何とも心地よい空気感が漂っていて朝から晩まで一言も口もきかずとも飽きることがないようにさえ思えてきます。


倉富敏之先生「かごはこづくし百選」原版


「かごはごづくし百選」と名付けられた作品には竹冠のついた文字が並びます。竹虎では「籠」という漢字をよく使いますけんど籠にも「篭」をはじめ数種類の文字があり、それぞれ品物や職人にもよって使う漢字が違っていて面白いがです。


倉富敏之先生「かごはこづくし百選」原版


竹冠のつく漢字は常用漢字だけでも140もある事をご存じでしょうか?竹がどれくらい日本人の生活に密着し、愛されてきたかが分かるかと思います。倉富先生もきっと、その事を多くの方に知って欲しいとの気持ちからこのような作品が生まれたがですろう。


版画とはご存じのように木材等に彫った版を作り墨をひいて紙に表現しています。漢字の形も逆さに彫らねばなりませんが、仕上げられた作品しか拝見した事がなかったのに、こうして実際に原版に触れると改めて倉富先生の竹への情熱を感じることができます。


版画家 倉富敏之先生の作品


白竹八ツ目手提げかごで買い物に行く

白竹八ツ目手提げかご


テレビ番組でサザエさんをご覧になられていたら買い物に行くお母様方が手提げ籠を持たれている事に気づくかと思います。今では手提げ籠をもって買い物に出るなど見かける事もなくなりましたが、自分の小さい頃までは虎竹の里のような田舎でも近くの小さな万屋に出かける母親は必ず手提げ籠を持って買い物に行ってました。


手提げ籠を持ち歩くことがなくなったのは昭和30年頃から日本全国に広がっていったスーパーマーケットの台頭で買い物のスタイルが変わってきてからでしょうか。それまでは、野菜は八百屋さん、肉は肉屋さんという個々のお店での買い物が主流でしたので籠を持ち歩く必要がありました。地域によっては近くの魚屋さんに買い物に行くための竹籠があったり、豆腐を入れて持ち帰るための豆腐籠があったりしたのです。


白竹八ツ目手提げ籠の収納力


お買い物の手提げ籠に多用されていた竹籠の事など今の若い女性の方々は知りませんし馴染みもありません。ところが、竹虎では竹の手提げを愛用している社員が多いのです。もちろん最初から竹の事を知っていたり、竹が好きだったわけではありません。毎日竹に囲まれ、竹に触れるうちに自然といつの間にか使う鞄が竹に変わっているようです。


日本人と竹とは長い長い付き合いがあり、いくら時代が変わっても竹のDNAは生き続けている事を感じますが使うかぎり実用的でないといけせん。


白竹八ツ目手提げかご


たとえば白竹八ツ目手提げかご、母が30年近く愛用しているものは飴色に変わっていますが編み上がったばかりは晒し竹特有の白さが際立っています。スリムな形に見えますので実際に買い物にいって一体どれくれらいの容量があるのか試してみますと、キャベツや白菜、ほうれん草、ニンジン、リンゴ、バナナ、卵、牛乳、ケチャップ、醤油と、こんなにも沢山のお買い物ができるので少し驚かれるかも知れません。


実際竹籠にこれだけ入れると結構な重さにもなりますので、この手提げ籠などは小さいサイズもありますが大は小を兼ねますし、竹籠自体の重さは約80グラムと気にならないくらいですので、自分がオススメするのはいつも大きめですぞね。


農家の納屋で休んでいた竹籠

手付き竹籠


「芋を入れたり、野菜やら放り込んで使いよらあね」


農家の作業場で見かける竹籠は、いい顔をしたものが多い。ここにある竹は耕耘機や鍬やカマとおなじ現場で働く本物の籠、自分はこんな働く籠たちが大好きです。元々こうして使われる竹編みはオーダーメイドの時代があって、製作の容易な竹ならではのひとつの大きな利点でもあるのですが、使う人の体格や用途に合わせて大きさを変えたり編み方を変えてきました。


大きく丈夫な籠には沢山作物が入るものの、手伝う奥様には重たすぎるので少し小さくするとかその家の働き手の事を考えて竹編みをされていた職人さんの話は何度聞いても面白いのですが、嬉しいのは今でもそれに近い竹文化がわずかながら残っている事ぜよ。


もちろん、これは竹に限らず全ての道具に言えることで例えば自分の小さい頃には虎竹の山出しに使われていたキンマ(竹製のソリ)です。一台のキンマを木工職人さんが通いでやってきて納屋で仕上げているところを何度か見たことがありますが、山の職人さんの使いやすいように長さや幅、高さなど調整されていたようです。


竹ざる


竹は加工性の高さと用途の多さ、種類の豊富さから毎日の暮らしの中にあって使い手の声により使い勝手を考えて常に進化を続けてきた道具であり、より使いやすく、より強くと研ぎ澄まされているのです。籠の一編み一編みには先人の知恵と工夫が込められていて、これい以上何も足せず、何も引けずという極みの籠のように磨かれた竹細工に出会うと嬉しくなります。


ところが技は伝承されても、手は変わるので全ての竹が素晴らしく完成していくかというと又違っています。ゼロからはじまるものもある、そして、それがまた面白いのです。