価値ある細き山道

虎竹ピクニックバスケット


先日放映されたNHK world「A Treasured Creation」への感想が遠い国から寄せられています。こうして実際にメールやメッセージを頂戴すると、本当に全世界に向けて発信されているのだなあと実感します。


昨年11月からの打ち合わせにはじまって足かけ数ヶ月に渡り何度も虎竹の里にお越しいただき時間をかけて撮影いただいただけあって、自分達でも気づかないでいた虎竹や職人、高知の文化、自然の魅力をあますことなくお伝えできているのではないかと思っています。


今回は、特産の虎竹で編まれるピクニックバスケットをご紹介いただきました。番組にもあったように一昔前にはお豆腐を入れる豆腐籠として普通に使われていた竹製品のひとつです。今ではスーパーでプラスチック容器に入れられて簡単に持ち帰れるようになっていますので同じ用途にはできません。しかし、蓋や持ち手の付いた機能的な籠は今の暮らしの中でも十分にご愛用いただける力を秘めた籠だと思っています。


豆腐だけでなく昔の商店街への買い出しには手提げ籠や、ちょっとした笊を持って出かけるのが普通の時代があって時の流れと共に消えていった竹細工も多くあります。


虎竹の里の山道


この道は古の昔から此処にあって土佐藩のお殿様に献上された虎竹が運ばれた道です。大雨の降る温暖な土地柄の南国高知ですので、使われない山道は数年で通れなくなります、虎竹をトラックで運び出す未舗装の主要道路も峠までは同じ道幅で続きますが、その先は人がようやく歩けるどの小道が残るだけとなっています。


竹と人との変遷を見続けてきた虎竹の里の山道も当時と変わらないまま続きます。竹を載せるキンマ(木製のソリ)はキャタピラ付の機械に代わりましたが、その道筋はずっと変わることなくここにあるのです。


リニューアルした竹ティッシュケースについて

竹ティッシュケース


竹の集成材を使った竹ティッシュケースをリニューアルしました。集成材は竹を貼りあわせて一枚の板状にしたものを加工できるので丸竹材からは製造しづらかったものが可能になり竹製品に幅ができました。新しくするにあたり少し重厚なものがよいかと思って、竹板の厚みを9ミリで試作してもらいました。


竹ティッシュケース


このような竹製品は、出来あがった状態も目にとまったり手にとったりする部分では大事ではありますが、一番大事なのは使い勝手なのです。持った時にやや重みのあるのが気になりましたが、なるほど中身のティッシュボックスを入れて使ってみますと重量があるだけに安定感があります。


竹ティッシュボックス


しかし、室内でも持ち運ぶこともありますし、この重さは少し問題かと思いました、測ってみると720グラムあります。そこで6ミリの竹板に変更して同じサイズで作ってみますと重さは約460グラムまで軽くなり快適にご愛用いただけるようになりました。女性の方でも、お年寄りの方々でもストレスなくお使いいただける重量感です。


土佐網代(とさあじろ)の籠をお楽しみに

えび止め口巻


磨きの竹籠の楽しみは何と言っても時間の経過と共に深まる色合いです。香り立つような青々とした竹ヒゴで編み上がったばかりの籠というも清々しい感じがして大好きなのですが本当の意味で竹を使う、竹を愛でるという事ならば使うごとに飴色に育っていく竹籠の姿を楽しみたいのです。


竹籠、買い物籠


今年編まれたばかりの籠と数年前のものでは色合いがこれだけ違ってきますので同じ編み方、形、大きさでも全く見栄えが違うのがお分かりいただけるかと思います。


土佐網代買い物籠


まだ試作の段階です。楕円形なのか丸型なのか少し詰めてから、竹材の事なども考慮しつつ持ち手の太さや形を決めて近日には皆様にご紹介できるようにしたいのです。


土佐網代


まず最初に目立つ特徴は口巻のエビ止めと、飛びゴザ目の編み込みではないかと思います。しかし真骨頂は「土佐網代」と呼ばれる底編みにあります、見た目が同じような竹籠でも菊底編みになっている籠とは違いルーツは高知の昔ながらの竹細工にある伝統の籠です。


土佐網代とは地元高知で言われていた名称ではなく、この編み方に感動して技を習得された県外の方が畏敬の念をこめて名づけた呼び名です。この籠が大量に編まれて流通していた40年以上前には、職人さんの父親や祖父が作るのを見よう見真似で覚えて当たり前のように編んでいた籠だから改めて名前など付ける必要もなかったのです。


このような竹籠が土佐の籠として製作さていた事を知る人は今では誰もいなくなりました。古い籠は自分も、たまたま納屋に残されていた一点を持っているのみ。だから、どうしてもこの底編みで形にしたいと思っています。


あのスーパーアイドルグループ×竹トラッカー!「笑」=「竹」+「二人」

日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


昨日は日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を都内近郊まで運びテレビ番組の収録がありましたぞね。スーパーアイドルグループのメンバーの中からお二人がやって来られて虎竹はじめ、竹に関するお話しを色々させていただいたのです。話術も一流の方々とみえて田舎者の自分にもペースを合わせてくれます、短い間ですが垣間見えるそのお人柄に思わずファンになってしまうほどでしたがそのやり取りの中で何点か気になることがあったのです。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


それは、やはり若い皆様が竹について虎竹の里なら当たり前に思われているような事でもあまりご存じない事ですが竹を知らないと当然竹製品などを使う意識にはならないのかも知れませんし、価値も伝わりにくいと思います。まだまだ自分達の竹を伝える力、「伝竹力」が足りない事を感じます。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


世間一般とのズレも改めて思いました。それは世界竹会議のお話しをさせて頂いた時、「WBC」と言ったのですが即座に「野球ですか?」と聞かれます。なるほどワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball Classic)も確かに「WBC」です。いやいや、と言うか一般的には圧倒的に野球かボクシングでしょう。しかし、竹しか知らない自分が「WBC」と言う時の「B」は「BAMBOO=竹」以外にないのです。


世界竹会議(World Bamboo Congress)


この8月には世界竹会議(World Bamboo Congress)がメキシコで開催されます。3年に1度の、まさに竹のオリンピックのような大会ですが、その中で、日本人ではただ一人お招きいただいて基調講演の予定です。竹トラッカーを運搬する費用は自分達で調達せねばなりませんので製作する時にも多くの方に声がけさせてもらったクラウドファンディングを活用したいと考えていて更に竹の事を知ってもらい、竹の可能性を知ってもらうチャンスにできればと思っています。


竹トラッカー、竹虎四代目(山岸義浩)


昨日の撮影では、「笑」=「竹」+「二人」を感じました。竹トラッカーで賑やかな街中を走ってこられて満面の笑みを見せて頂いたスーパーアイドルのお二人にも勇気を頂戴しこれから挑戦がはじまります。




あのスーパーアイドルグループ×竹トラッカー!都内某所を疾走!?

日本唯一の虎竹自動車「竹トラッカー」竹虎四代目(山岸義浩)


もうこの歳になると誕生日といっても何か特別にプレゼントがある訳でなし、ケーキが用意されている他は別段普段の日とそう変わる事はありません。夕食がちっくと変わるくらいですろうか?いやいや良い年齢になってきたのですから50数年前の今日、痛い思いをして自分を産んでくれた母親にこそ感謝する大切な一日にせねばならないと思っています。


日本唯一の虎竹自動車、竹トラッカー積み込み


ところが、今年の誕生日は大きなバースデープレゼントを頂けることになったがです。それが何と、あのスーパーアイドルグループの総合バラエティ番組への日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」出演決定なのです。


日本唯一の虎竹自動車、竹トラッカー積み込み


テレビ局が手配してくれた車載トラックに竹トラッカーを積み込みます。荷台が後ろにズズズーと伸びてスムーズに乗り込むことができるのです、しっかり車体を固定したら、いざ東へ向かって発車ぜよ。しかし、こうして竹トラッカーを運んでいくのは2016年夏のチャレンジラン横浜以来1年半ぶり、再び東京の地を走行できるとは思ってもみませんでした。


日本唯一の虎竹自動車、竹トラッカー積み込み


竹虎四代目バースデーである本日、都内某所にて撮影が決行されます。しかも、今回は自分が11日間かけて1000キロ走破した竹トラッカーに、あのスーパーアイドルグループの中からお二人が搭乗され疾走するのです。


日本唯一の虎竹電気自動車、竹トラッカー


さて、一体どんな番組になるのか!?スーパーアイドルとは?田舎者なので、あんなカッコウの良いイケメンの方々と会うたら一言もしゃべれ無くなるのではと思いドキドキ心配しちょります。放映は4月予定だそうですので又皆様にはお知らせしますぞね!




土居瑞先生、第二十五回高新大賞受賞を祝う会

土居瑞先生、高新大賞受賞を祝う会


社会福祉法人ねはんの会理事長であられる土居瑞先生が第二十五回高新大賞を受賞されました。知的障害者の自立、支援に長年取り組んで来られた先生と竹虎とは竹虎二代目の頃からお世話になっていて竹の端材を使った細かな作業などで、ずっと助けて頂いてきました。


昔から竹は日本人の暮らしになくてはならない物でありましたが、その社会的地位は低かったためか弱者を放っておけない竹虎の社風を子供の頃からそれとなく感じてきました。祖父が障害をもった皆様の何かお役にたてる事かあればと親身になっていたのも竹を取り巻く環境が、土居先生の取り組む課題に重なる所があったからかも知れません。


土居瑞先生、高新大賞受賞を祝う会、竹虎四代目


個人的にも、竹の仕事が斜陽化して一番のお得意先がなくなるなど激変する業界にありまったく将来を感じる事のできない時に希望の光を見せてくれた恩師でもあります。どういう訳か自分のような田舎の小さな竹屋の話を聴きたいと北海道から沖縄まで全国100カ所で講演させて頂く機会がありましたが、その中で竹に向き合う姿勢を一変させてくれたお客様の話をしてきました。実はそのお客様こそ土居先生であり、ずっと心のどこかにいる方のお一人なのです。


生涯現役、土居瑞


御年90歳にしてますます元気、ハツラツとした姿は使命感そのもの。座右の銘である「生涯現役」「余生はなし」に見習い、自分も命果てる瞬間まで竹と共にあることを誓っています。


土居瑞先生、高新大賞受賞を祝う会


春野町ある知的障害者通所更生施設「涅槃の家」には涅槃の家の歌がありますが、その歌詞の中には「竹」という言葉が二カ所も出てきます。竹は、どのような環境にあってもスクスクと逞しく育ち、わずか3ヶ月で親竹と同じ背丈に成長します。その天を目指して真っ直ぐに伸びていく姿、そして、地中ではそれぞれの竹が地下茎で仲良く皆と手を繋ぐ助け合いの心を全ての皆さんに持って欲しいとの願いを込められているのではないかと思うのです。


土居瑞先生、高新大賞受賞を祝う会、竹虎四代目


先生が竹を愛し、竹虎を数十年に渡り可愛がってくれる理由は竹の生き様にあります。それにしても土居先生を見ていると自分が燃え上がり明るくできる世界は思うより広く、その光は遠くまで届くものだと感じます。


今回の受賞をまた励みにされて100歳めざして頑張る土居先生まっことおめでとうございます。


竹トラッカーで行く春の虎竹の里「NO BAMBOO NO LIFE」

日本唯一の虎竹電気自動車竹トラッカー


この冬は例年になく寒かったせいか竹トラッカーのバッテリーが使えなくなってしまっていました。交換したら前と同じようにガンガン走れるので安心しちょりますが、やはり小まめに乗っていたほうが良いとの事で天気も良いので近くの桜並木まで来てみましたぞね。




高知はすっかり春の陽気で、青々と茂る竹の葉も空の色も明るく心地よいのです。ふと思うのです、一般の方にとっては竹のイメージと言えばこのような青竹の色合いかも知れません。それならば、日本唯一の虎模様で編み込んで製作した竹トラッカーの見た目のインパクトはさぞ不思議に?印象的に残るのではないろうか?まっこと、素晴らしい竹だと改めて思うのです。


虎竹の里、竹林


さて、虎竹の里にフィリピン、カリンガ族の竹楽器製作者、演奏者であるエドガー・バナサン(Edgar Balansi Banasan)さん、ケント・バナサンさん達が来られていました。東南アジア一帯に広く見られる株立ちで節間の長い竹は笛の適材ですので素晴らしい楽器を製作れさていますが、それを日本の尺八などのように口で吹くのでは無く鼻で演奏されるのには驚きました。


竹トラッカー、エドガー・バナサン、ケント・バナサン、竹虎四代目


なんでも口は悪い言葉がでる事もあるけれど、鼻息はいつも変わらないからと聞いて、なるほどと納得します。言葉では十分理解し合う事はできませんが音楽は良いモノのです音色を聴けば竹の素材感から演奏者の心根まで伝わってくるような気がします。


竹の電気自動車も同じです。自分がどうしても二人乗りにこだわったのは竹を言葉ではなく体感頂きたかったからなのです。エドガーさんも、ケントさんも竹の車に乗ると子供のようにはしゃいでくれます。「amazing!」この言葉の他は何を言うているのか分かりませんが「NO BAMBOO NO LIFE」の気持ちは十分伝わってきます。8月にメキシコはハラパで開かれる世界竹会議(World Bamboo Congress)で竹トラッカーに世界中の人を乗せて走るのが、ますます楽しみになってきました。




「A Treasured Creation」Bamboo Basket

「A Treasured Creation」Bamboo Basket


ちょうど放映日前から出張という事もあって今回のNHK world「A Treasured Creation」(前回のブログではGreat creationとお知らせしていましたが変更になったとの事です)を見逃していました。放送時間は日本時間で3月21日の16時10分、22時10分そして3月22日早朝4時10分だったようです。


そんな大事な放映を忘れていたのか!?それならビデオは...?


どうか、ご安心ください。バタバタで見る事を失念してはいたのですが実はDVDで頂ける事になっていますし、何よりインターネットからなら、いつでも観られると聞いていたのでした。


日本唯一の虎竹林


先日お伺いしたバンコクの方から番組を観たとの嬉しい連絡が来ました。NHK worldさんは日本を海外に発信するテレビですので確か24時間世界中のどこかで放映が続いていたと思います。こうして日本唯一の虎竹と、里の自然、職人、今回取り上げていただいた虎竹ピクニックバスケットを海外の方にご覧いただけたのだと思うと本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


虎竹ピクニックバスケット


「A Treasured Creation」Bamboo Basket、お時間ある方は
是非ご覧いただきいと思っています。

虎竹鉄鉢が出来ました。

 
虎竹鉄鉢


鉄鉢とは元々は托鉢で僧が食べ物を入れる時に使っていた丸い形をした器の事です。鉢は鉄製だったので鉄鉢「てっぱち」と呼ばれていますが、竹工芸で初の人間国宝になられた生野祥雲齋が竹細工の世界に取り入れた籠だけあってずっと作り続けられている籠であり、冬ならミカンなど入れる馴染のある定番の籠のひとつなのです。


子供の頃から随分と目にしてきた馴染みの竹細工なので最盛期にはどれだけの生産がされていのたかと思っていましたが、ある職人さんに当時の様子を聞くと、ご夫婦で朝から晩まで作って何百個という単位で仕上げていたと言うから驚いた事があります。もちろん大量生産の時代は分業化が進んでいて、それぞれの内職さんから出来あがってきた部材を合わせて最終工程のみの場合が多かったと思うのですが、それにしても面白い時代があったものです。


虎竹鉄鉢


いくら編んでも注文が来るので「誰か竹籠を食っとるのか?」と職人が冗談を言ったという、そんな時代も経てきた籠でもありますので、素朴な中にも完成された美しさのある鉄鉢です。


今回は虎竹で作ってみた鉄鉢シックな感じに編み上がっています。いつものミカンも美味しそうで、つい手が伸びてしまいそうなのです。


続・田舎コンビニ構想

虎竹の里


高知県は少子高齢化が進む日本でも、その最先端を行く県なのです。あまり嬉しくないような事柄に限って国内トップクラスというのも困ったものですが本当の事なので、しっかり向き合わねばなりません。


人口減はこれからも想像を超えるスピードで進み、全県例外なく色々な課題が見えてくるに違いありません。人が減る、しかもかなりの割合で減る事を前提として地域を考えることが必要となってくる中で思い出すのが一昨年のローソン撤退問題なのです。


虎竹の里には唯一残された食料品、雑貨店として都会に無数にあるコンビニとは全く違った意味合いを持っている店舗が無くなることは地域に暮らす住民にとって大きな痛手です。その時に自分が「田舎コンビニ構想」としてお話ししたのが営業時間の変更でした。


大手コンビニチェーンでは全国津々浦々どこに行っても24時間営業が決められていますが、深夜早朝の人手を確保するのが難しい地域では、かってセブンイレブンがそうであったように朝7時から夜11時までの営業して人件費、光熱費のロスを失くしたほうが店の継続がしやすいのではないかと思っていたのです。店の採算自体はとれていても人の手配が田舎では非常に難しく、来客の少ない深夜帯に店を開けているのが負担のようでした。


セブンイレブン


20数年前に80万県民といわれた高知県は現在71万人、これからも人口の減る地域にあってそれでも生活基盤となっている店舗を残すには営業時間見直ししかないと考えていたのが1年前です。ところが、わずかこの1年で状況は大きく変わってきました。人口の減るのは川の流れのようなものですから止めることができません、それでは何が変わってきたかというとIT技術です。


少し前までは現実的とは思えなかった自動車の自動運転は既に実用化されて町で走っています。高速道路を行きかう大型トラックの運転なども今年か来年には自動化されるかも知れません。10年後には現在の人の仕事の半分はAIやロボットに変わってしまうと言われますが実は、そんなに時間はかからないように思っています。


竹林


IT最先端の中国では無人コンビニがあって店員さんがいなくとも何不自由なく品物が購入できるそうです。ホテルやファーストフード店でも機械化が進んでいますので、ここ数年で学生さんのアルバイトは不要になっていくでしょう。


田舎コンビニ構想にしても1年前には人の確保を心配していましたが、恐らく日本中のコンビニは自動化され無人での営業が近日可能になる事を思えば虎竹の里のように来客数の少ないコンビニも撤退することなく営業を続けてもらえるものと安心しています。


コンビニの撤退問題については何とか解決したようで、それは高知県下のみならず全国の過疎地域すべてにおいても同じで喜ばしい事であると同時に、このAIやロボット技術のスピードの早さには手放しで喜んでもよいのかと考えてもいます。凄い時代です。


竹トラッカー、第2回 オルタナ「グリーン・オーシャン大賞」優秀賞受賞

第2回 オルタナ「グリーン・オーシャン大賞」優秀賞受賞


日本唯一の虎竹で製作した電気自動車竹トラッカーが第2回 オルタナ「グリーン・オーシャン大賞」を受賞させていただきました。この賞は主催が株式会社オルタナ、後援に環境省などが参加していて今回は52社/団体の応募があったそうで、そのうち上位10社/団体と優秀賞18社/団体が決定したものです。


「SDGs」とは今回の大賞まで全く知りませんでしたがエス・ディー・ジーズと読みます。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、これには2015年9月の国連サミットで採択された17の目標があります。「グリーン・オーシャン大賞」は、このSDGsが規定する社会課題を起点にしたビジネス創出の優秀事例を表彰するものなのです。


竹トラッカー、オルタナ「グリーン・オーシャン大賞」優秀賞受賞


少し難しいですし国連サミットで193カ国が採択と聞きますと、田舎の小さな竹屋である自分達とは尚更関係のない事のようにも感じてしまいますが、高尚な事は多少理解できてなくとも竹のある暮らしとは、昔から続いてきた里山との共存の見本のようなものです。継続利用可能な唯一の天然資源である竹を活用する試みは理念も方向性も合致していると確信していました。


虎竹山だし


高知県須崎市安和のわずか1.5キロしかない谷間にある「虎竹の里」でしか成育しない不思議な虎斑竹、かっては年貢の代わりとして土佐藩山内家に献上されていた歴史ある竹。細々とながらも続いてきた山岸竹材店との100年、地域の皆との歩みが日本の名だたる企業の中にあって認められたのです。


Manzanillo(マンザニーロ)からXalapa(ハラパ)

Manzanillo(マンザニーロ)からXalapa(ハラパ)


メキシコのXalapa(ハラパ)で開催される第11回世界竹会議(World Bamboo Congress)にお招きいただいている話はこの30年ブログでも何度か書いてもいます。昨年の夏には日程が決定されていた事でもありますが、費用捻出に一部クラウドファンディングなど利用して一般の方のお力添えを呼びかけたいと考えていますので人前でお話しする機会があればお話しもしてきたのです。


まだまだ時間があるあると思っていましたが、いよいよ8月の事ですのでもう早くも半年ないのです。日本人として一人基調講演をさせていただける機会です、毎日の仕事がそのままお伝えせねばならない事であり講演内容をまとめるのに時間はかかりませんが世界中から人が集まるのであれば正しく思いを伝える工夫は必要です。


竹虎四代目


まあ、しかし、それより何より肝心の日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」の輸送についてです。神戸港からメキシコのManzanillo(マンザニーロ) の港までは何とか運んで行けそうですが、その港から会場までの陸送部分や、返送についての輸送について未定の部分が多くまだ確定できていません。


ハラパには美しい竹林の公園があり、竹トラッカーで思いっきり走ることのできるスペースがあるそうです。世界から集まられた皆様を乗せて走る機会などまさに千載一遇のチャンスです、本当なら遠く日本に来てもらって、さらに交通が不便だとお叱りをうける虎竹の里までお越しいただかねばならないのです。


世界竹会議、潭陽


皆様が来てくれるのを待つだけでなく、人の中に虎竹を持っていきいたと思ったのが竹トラッカー製作の理由のひとつでもありましたので、世界竹会議はまさにピッタリの場なのです。Manzanillo港から会場のあるハラパの街まではちょうど1000キロ?チャレンジラン横浜で走破した距離といみじくも同じぜよ、自分で走るのも遠かったですがトラックで運んでもらうにも、どうやら遠い距離のようです。


信じられない根曲竹の玉入れ籠

根曲竹玉入れ籠


これは、かなり珍しい根曲竹で編まれた玉入れ籠、恐らくご覧になられるのは初めての方ばかりではないかと思っています。根曲竹というと、その強さから様々な実用性の高い籠に使われてきましたが材料の関係からこのような大振りな籠はあまり製作されていません。


竹材の調達は昨年の内にすべて済ませていますので、どうしても欲しくて特別に編んでもらったものの2個しか出来ません。玉入れ籠用としては2個セットで使わねばなりませんが、1個はお客様にご紹介させていただき残ったひとつ自分の観賞用として手元にひとつは置いておこうと思っています。


根曲竹玉入れ籠


素朴な感じがどうにも格好が良いので手近で使えないかと思案していましたところ、チリ箱や雑誌入れにはサイズ的に大きすぎるのですが逆さにしてみると根曲竹のしなやかさと強さが活きてきます。高さが45センチですので仕事場の机の横におくサイドテーブルにピッタリです。書類など軽めのものはもちろんですが、重量のあるバックなどでも、さすがビクともしないのです。雪に鍛えられた根曲竹の強さを改めて感じる贅沢な道具となりました。


竹製の電気自動車「竹トラッカー」危機一髪

虎竹製の電気自動車「竹トラッカー」


竹は成長が驚異的に早く、伐採しても次から次に毎年生えてくるところが木材などとは大きく違います。継続利用可能なか唯一の天然資源と呼ばれる所以なのですが、環境に優しい素材の代表選手ですから、そんな竹で製作する自動車は二酸化炭素を排出するようなガソリン車ではいけません。


少し余談になりますが先日テレビを見ました。今のように温暖化が進み、もし南極・北極の氷がすべて溶け出すとしたら海面がどれくれらい上昇するかという質問だったのですが、何とビックリの66メートルでした!自分の聞き間違いであれば良いのですが、どうやら本当のようです。まさか、そのような事態になるとは思いませんが、そんな日が来れば虎竹の里はすっかり消滅しますし高知県など森林率84%と言ってるのが100%、山しか残らない形となってしまいます。実際のその日の放映ではシュミレーションで日本地図が出されていましたが、やせ細った国土になっていました。


このような地球規模の変化に自分達個人の力は微力です。なのでつい自分事として捉えられずにいたのが、ここ数年顕著になってきた虎竹の里の竹の色付きの変化に遅ればせながらようやく肌で気温の変化と影響を感じています。


温暖化の原因となるCO2など温室効果ガスの排出を防ぐための脱炭素化はこれから進めていかねばならない方向であり、遠からずして道を走る車は電気自動車(EV)になっていくであろうと思います。


虎竹製の電気自動車「竹トラッカー」


そこで日本唯一の虎竹自動車竹トラッカーは光岡自動車製Like-T3という電気自動車がベースです。充電時間の長さや、連続走行距離に普通車としての使用には多少劣るものの家庭用コンセントが使えるという利便性があり、現在このタイプの車の中では唯一の二人乗りというのが良いのです。


ところが、しばらく乗っていなかったらこの冬の寒さで起動用バッテリーがすっかり空になっています!こうなると電気自動車はウンともスンとも言わずお手上げぜよ。チャレンジラン横浜で1000キロ走破した時には、事あるごとに見て電気残量を確認したメーターの灯りも消えてしまっています。


しばらく相手にしなかったのでダダをこねているかのようですにゃあ。高知はすでに初夏の陽気の日もあります、バッテリー交換したら又こまめに乗りたいと思うのです。


三代目の門セットについて

竹虎工場、門セット


杉皮を何枚も重ねて重厚な屋根を製作しています。少なくなったとは言え、時折このような大型の竹製品のご注目をいただくのです。この屋根を二本の焼柱の上にのせて焼き板木戸など取り付ければ立派な門セットの完成ぜよ。


門セット


このような製品は、県外に配送する事も多いのですが今回の施工は高知市内のお客様でしたので自分達で施工に行きます。先日は牧野植物園に施工した6メートルの光悦寺垣をブログでお話しさせてもらいしまたが、竹は庭園でも多用されていますのでこのような工事などもあります。


杉皮屋根


真新しい屋根の美しさは言うまでもありませんが、この杉皮の屋根が時間の経過と共に枯れた風合いとなり苔を生したりしはじめると更に味わい深いものになってきます。


竹虎四代目、門セット


実はこの門セットをやり替えさせてもらうのは三回目。一番最初は祖父が40数年前に施工してから古くなったものを自分が20年前に新しくしました、そして又新しくなりましたので門セットは三代目、こうして長くご愛顧いただくお客様のお陰なのです。


晒竹の一本

白竹湯抜き


普通、皆様が竹と呼んでいる「竹」は孟宗竹か真竹であることが多いのです。しかし、モウソウだのマダケだの言われても見分けがつかないというのが大方ではないですろうか。ただ、青々とした青竹は正月飾りなど特別な機会に使われる事が多いのでご覧になられた事が多いかと思います。モウソウにマダケにアオタケ...、ますます分かりにくい、いやいや実は青竹とは真竹の事です。そして、その青さが特徴の真竹を加工して乳白色の色合いにしたのが白竹なのです。


この加工とは、湯抜きと言って熱湯で竹の余分な油成分を取るという作業をさしています。竹材を製品にして長く利用しようと思うと必ずしなければならない大事な工程なのです。


白竹湯ぬき釜


まあ、分かりやすく申し上げるなら熱いお風呂に竹を入れてサッパリしてもらうようなイメージです。大きな釜は沸き上がるまでに時間がかかりますので早朝から火を点けます、冬場に行う作業ですので竹虎でも白竹を製竹していた頃には、モウモウと湯気が立ちのぼる作業の様子は季節の風物詩のようにもなっていました。そうしてお湯から出たばかりの熱々の真竹は鮮やかな薄い緑色をしています。それが徐々に黄色い色合いに変化していきます。


晒し竹


その竹を寒い時期に太陽の日に当てて白い竹肌にしていくのが白竹であり、日の光に晒すので晒竹(さらしだけ)とも呼ばれるのです。


別府市竹細工伝統産業会館は、いつ来ても発見があります。一日いても飽きることがないような身近な竹から竹工芸までが並べられていて本当に素晴らしい場所なのです。日本の竹に光を当てた、竹芸で初めての人間国宝、生野祥雲齋の地元でもあり美しい作品も展示されています。


裏庭には、湯抜きされた青竹が冬の青空の下、天日干しのため立てかけられていました。じっと眺めているうちに、晒竹となる若竹達が枯れそうな伝統の大樹を皆で支えあっているようにも見えてきます。自分も、この一本でありたい、そう願うのです。


棕櫚持ち手、伝統の箕

箕


編みかけていた箕が出来あがってきました。昔ながらの竹細工は孟宗竹を意外と多用するのです。籠の芯となる骨の部分、太い持ち手など直径が太く、厚みと強さのある竹の性質が好まれて使われます。旬の良い時の竹を確保しておけば良いのですが孟宗は真竹や淡竹に比べて筍の出るのが早く、従って伐採時期も数か月さかのぼってしまいます。竹の需要と供給を考えた時に素材をいくらでも積み込んでおけた時代とは違うので、その辺りの見極めも大切になってきます。


網代編み


そんな事もあり、網代に編み込む部分は孟宗であったり真竹を使うことも淡竹の場合もありますが、まず一枚の網代編みを作ってから両サイドの三角に切れ込みをいれて折り返し底を作ります。


箕づくり


箕も日本中で広く使われてきましたので全国各地にその土地で身近に手に入れられる素材で様々な箕があって面白いのですが、土佐箕の特徴は持ち手部分の棕櫚にあります。高知に暮らす自分などにとっては箕の持ち手に棕櫚が巻かれているのは普通の事だと思ってきましたが、県外でこのような竹細工は見た事も聞いた事もないのです。


箕の棕櫚巻


伝統の技法で箕を製作する職人は本当に少なくなりました。まるで綱渡りのように技が繋がってきましたので、考えたら今までが既に奇跡的だったのかも知れません。大きな選択をせまられているのを感じます。


お一人様?お二人様?淡竹椀籠

お一人様淡竹椀籠


夫婦二人だけになったからというお客様から小ぶりな椀籠を頼まれて通常の籠より直径が10センチ程度小さな籠を作ってみましたぜよ。サイズを変更すると簡単に言ってますが結構大変です、特にスケールダウンするのは熟練の職人でないと出来なくて数個製作してみましたが気に入るものが編み上がりません。


椀籠


何個か出来あがったサンプルを見比べて口巻を当て縁にする事にしました。ところが今度は深さが気になります、小さくした分高さをとって容量を増やした方が良いのかと思いましたが、実際使ってみると浅い方が良さそうです。


お一人様淡竹椀籠


そこで、高さを若干低めにしてもらってようやく完成したのがお一人様の淡竹茶碗籠なのです。格好も良いですが、食器の出し入れがしやすく機能的な籠になりましたぜよ。


碗籠


「お一人様」となっていますが実際にはご夫婦でお使いになられるように考えたのがスタートでもあり、「お二人様」とネーミングを変えてもよいくらいの十分な収納力があります。手に取られた方は匠の技に惚れ惚れしてしまうこと間違いなしの淡竹(はちく)籠です。


牧野植物園、虎竹光悦寺垣と春

虎竹光悦寺垣、牧野植物園


今日の高知は最高ぜよ、空は青く晴れ渡り、陽射しはサンサンと降り注ぎ温かく過ごしやすいのです。道行く車は窓をあけて風を入れながら走っていきます、日当たりの良い部屋でも昼前になると締め切っていられないほどになるのではないでしょうか。


日頃はインドア派の人でも、ついつい外出したくなるような日なら是非散歩がてら訪ねてもらいたいところがあるのです。それが高知市五台山にある牧野植物園(遠くの皆様申し訳ございません)。緑や花々が美しい季節はまだまだ先かも知れませんがアップダウンのある園内を行けば軽く汗ばみそうな陽気の今くらいが心地よいのです。


牧野植物園


高知観光の隠れた名所として県外の方にいつもオススメしてきたのは虎竹の命名の父である牧野博士の偉業を顕彰する植物園であり、日本唯一の虎竹を移植させていただいているご縁がある事がひとつ。


牧野植物園


最近ではパワースボットとしても人気の場所ですが、そんな事を言われるずっと前からここは来るだけで気持ちがのよい癒しを感じる所だったことがひとつです。


牧野植物園、トサトラフダケ


そして、さらに先日は施工させていただいた6メートルもある虎竹光悦寺垣が完成しています。歩道にあわせて曲線を描くなだらかなラインは美しく多くの方の目を楽しませる事ができるのではないかと思っています。


高知に来られる機会がありましたら、観光名所は桂浜や高知城、日曜市ばかりではありません。84%を森林に囲まれた日本一の森林県である高知の真骨頂は山にあり、山の恵みと自然の豊かさを感じさせてくれる他にはない植物園が牧野植物園なのです。


パリの和食「円」、Japanese Restaurant「Yen」

ざる蕎麦


美食の街、パリに行ってまで蕎麦など食べなくても良さそうなものなのですがいくらパンが好きと言っても毎食、連日では少しというのもあり長く地元にお住まいされている日本人の方々からも絶賛されている手打ち蕎麦を中心にした和食の店「円」に行ったのです。


パリ「円」、Japanese Restaurant「Yen」


場所は、今回のプリミエールクラス展示会場のあるチュールリー公園(Jardin des Tuileries)からセーヌ川を渡った左岸のサン・ジェルマン・デ・プレという所にありました。


店員さんが日本の方ばかりでしたけんど、皆様笑顔で気持ちが良くて田舎者の自分などは言葉が通じるという事もありましたが本当にリラックスできます。本当の日本がある感じがしますので海外に不慣れな方はもちろん、フランスに長く滞在されて故郷を懐かしむ方にもオススメだと思いました。


パリ「円」、Japanese Restaurant「Yen」


さすがに老舗人気店だと感心しちょりましたが、何と言うてもビックリしたのは料理の味。蕎麦など高知で食べるよりもずっと美味しいのです。


パリ「円」、Japanese Restaurant「Yen」


まるで日本で食べているような本格的な日本食だからこそ、食器や竹ざるにもしっかり気を配られているようです。予約で満席になった店内を眺めながら思いよりました。


パリ・エルメス(HERMES)本店の竹家具とは?

パリ・エルメス(HERMES)本店の竹家具


「竹屋さんですか?それなら二階の竹家具を是非見て行ってください」


パリのエルメス本店には行くのは初めてです。外国のモデルさんのような方ばかりの中で緊張して、キョロキョロと立ちすくんでいる田舎者の自分に店員さんが優しく声をかけてくれます。


パリ・エルメス(HERMES)展示室


しかし、良くお声をかけていただきました。もし言うてくれなかったとしたら、こんな場違いな高級店の二階の更に最深部まで行くことはなかったと思うがです。


沢山のお客様でにぎわう店内とは違って静かなスペースには、まるで漆家具のように見えるスチール製座卓や「人間万事塞翁が馬」の故事にちなんだ馬をデザインしたキルト、籐や木製品など自然素材と革をあしらった作品が並んでいます。


デパートにならぶ高級ブランドにはあまり興味がないのですがエルメスは特別です。凄いところは、とにかく革にこだわっているところ、何にでも革を使おうとする姿勢は大好きです。


パリ・エルメス(HERMES)Karumi


そんな展示の中に竹のベンチとスツールはありました。竹の集成材を上手くつかって見事な美しさを表現していますが、安定感があり非常にしっかしていて快適な座り心地です。


アルヴァロ・シザ(alvaro siza)というポルトガルの国際的な建築家の方のものだと言いますが、その真骨頂は持ってみて実感ぜよ。なんと軽やかなことか! なるほど作品の名前が「Karumi」となっている理由が分かりました。


パリ・エルメス(HERMES)本店


さて、この会場の天井にもご注目いただきたいのです。お店の方は「レンガです」と言いますが、どうでしょうか?


パリ・エルメス(HERMES)本店


自分には涼しげな、伸びやかな竹に見えて仕方ありませんでした。銀座のアルマーニでしたか竹をあしらったデザインをビル全体に取り入れています。「21世紀は竹の時代」と1985年から言ってきました、エルメスでも竹の家具に触れ、竹の意匠を感じて世界で竹が見直されつつある事に喜んでいるのです。


パリ・Premiere Classe、2018年 その2

Premiere Classe、虎竹バッグ、竹虎四代目


Premiere Classeに来て本当に良かったと思う出会いがありました。実は、虎竹バックニューヨーカーは今から60数年前に開発された製品を日本唯一の虎竹で復刻したものです。


もともとモダンな竹の壁掛けかと思っていたものが一瞬で立体的な竹籠に変身する素晴らしさに心を奪われ、遠くニューヨークの街角で発見されてから日本に「里帰り」したという数奇な運命に魅せられて製作しました。


「里帰り」...?


Premiere Classe、虎竹バッグ


一体どういう事?と不思議に感じられる方もおられるかと思います。当時の竹細工、竹製品というのは日本から欧米への輸出品の一翼を担っていて、このタイプの竹バッグも大量生産されて船で太平洋を渡って行ってました。


フラットになる構造も製品を一度に大量に輸送するための工夫でもあったのです。ところが、誰がどこで、どうして作ったものなのか資料もなければ昔を知る職人さんもいません。しかし、何とか知りたいと手探りで探しているうちに行き当たった製作者の小菅小竹堂さん。天才的な竹の造形美は戦前に産業工芸デザイナーとして活躍されていたからこそでした。


Premiere Classe、虎竹バッグ


このようにして謎が解き明かされたニューヨーカーの原型の竹バッグは海外向けの製品でしたので小さい頃におばあちゃんの持っていた竹バッグで遊んだ記憶があるというアメリカの方にはお会いした事がありました。


しかし、肝心の生産国である日本の職人や製造会社、お客様の姿は全く見えてこなかったのです。ところが、今回のパリの展示会に偶然やって来れた東京のお客様が


「これ、使ってました!」


と言われるから驚きました。何と50数年前にハワイで購入して日本に持ち帰りずっと愛用していたそうなのです。当時の竹バッグの事を間接的に聞いてばかりだったのですが遂に実際に手にされていた方に巡りあいました。


犬もあるけば棒に当たりました。


パリ・Premiere Classe、2018年

Premiere Classe、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


2018年3月1日~年3月4日の4日間、昨年の春に引き続いてパリのチュールリー公園に特設された会場で開催されるPremiere Classeに参加させていただきました。


Premiere Classe


Premiere Classeは年に二度開催されていますがこの時期に開催される展示会はパリ中心部、コンコルド広場からルーブル美術館まで続く広大でパリでも一番古い野外美術館とも言われる美しいチュールリー公園(Jardin des Tuileries)なのです。


Premiere Classe、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


以前はデパートやイベントでの販売でリアルな接客をしていました。色々な方が来られるので本当に楽しいものですが、ヨーロッパだけでなく中東やアメリカ、アジアと世界から集まる方々にご覧いただけるのが魅力です。


Premiere Classe、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)


ご自身で革のバッグに一点づつ絵を描く方がおられたり


Premiere Classe、虎竹バッグ


Premiere Classe、虎竹バッグ


女性だけでなく男性の方々も格好が良いので何を持っても様になります。


Premiere Classe、虎竹バッグ


多くの方の中で、革編みのバックを製作されている方が印象に残っています。水草のうな自然素材を使い祖母が伝統的な手編み籠を作っていたそうで、その技法をそのまま革に置き換え、今では名だたるブランドの革製品を担当されるメーカーとなりました。


革編み目


素材は違えど編組のパターンというのは世界的に似たようなものがあります。まるで昔から日本の山々で山葡萄を使って編まれてきた籠そっくりなものもありますが、家族がずっと大事に伝承してきた編み方だと見せられる編み目は何よりも迫力があるのです。


「竹虎」と「国虎」、高知とパリと

竹虎四代目、パリ国虎屋、kunitoraya


「竹虎」と「国虎」、そもそも店名から親しみがあって学生の頃からドライブがてら何度となく通っていた安芸の饂飩屋さんがあります。ある日突然、フランスに店を出したと聞いて驚いたのは20代後半の頃でした。同じ高知でも毎日竹と埃にまみれている自分とは大違いだと羨ましく思いながらも、そのチャレンジ精神を見てもしかしたら田舎の自分達でもその気なら何かやれそうだとパリに出店された店主の顔も知らないのに少しワクワクしたものです。


パリ国虎屋、kunitoraya


数年前にお会いさせもらったら想像していた通り自然体でクール、格好がエイのです。パリでは知らない人のいない超人気店となっているので昼の早い時間でしたが予約でいっぱいでカウンター席で頂く事にしました。安芸の店で、いつも食べていた国虎うどんもパリで食すると一味違います。


パリ国虎屋、kunitoraya、カツオ


高知といえばカツオですが、お伺いした時にはちょうどカツオをさばいていまたので一皿出してくれました。見慣れたカツオも、こちらでは少し種類が異なるのか見た目は少し違いますが味はしっかりカツオ、故郷を思い出す味です。


パリ国虎屋、kunitoraya


確か鰻はヨーロッパでも良く食べられる魚のひとつだったと思います。煮凝りも美味しかったです。


パリ国虎屋、kunitoraya


もくもくと食材と向かう野本さん、三つ子の魂百までと言いますが若い時に受けた衝撃は今でも忘れられないのです。


入浴だけではありません、竹酢液のこんな使い方ご存じですか?

竹虎四代目(山岸義浩)


実は先日からフランスはパリ、Premiere Classeという展示会に参加させてもろうちょります。暖かで昼間なら暖房のいらない南国土佐とは打って変わって、こちらはマイナスの世界!


竹虎四代目(山岸義浩)


すでに3月になりましたが、いつもの竹虎タオルマフラーの上から祖父が使っていたウールのマフラーを巻いて最大防寒体制で外に出ます。


パリの雪


会場に向かう道路などもこんな感じ、まっこと見ているだけでも寒くなってきます。雪の積もった所に加えて凍結している箇所もあったりして龍馬ブーツで歩くのには滑りそうで注意が必要です。


Premiere Classe


歩いて10数分でチュイルリー公園(Jardin des Tuileries)に到着しますが、落葉樹が続く光景すらも高知ではあまり見たことがありません。慣れない零下の気温の中、会場に辿り着いた頃にはキンキンに冷えきっているのです。


竹酢液


さて、こんな寒い日は体の芯から温まるお風呂が一番なので竹酢液の出番!しかし、さすがにパリに来てまで竹酢液はないだろう?いやいや、そこが竹虎四代目ぜよ、お風呂一回分のミニボトルに小分けしてしっかり持参してきちょりますぜよ!


手荷物でビニール袋を何重にもして数回分あるだけですので滞在中何回楽しめるか分かりませんが凍える身体を温めたいと思いよります。竹酢液のお風呂に入って温まると、最強の暖房にしている部屋では暑すぎで汗が出てきます。そこで、風呂上がりには用もないのに部屋から出て暖房の効いていない廊下にでなくてはならない程です。


廊下にある大きな窓には薄い遮光カーテンだけしかなくて、ガラス越しに冷気が伝わってきます。お風呂に入りる前には冷えて仕方なかったのに、温まった後には、この冷気が反対に心地ち良く感じられるから恐るべし、竹酢液だと思います。


さて、しかし今回の動画では入浴以外で役立つ竹酢液のお話し、消臭、ペットのリンス、観葉植物への効果という3つでご紹介しています。


【竹虎】消臭や園芸にも色々使える。竹酢液のおすすめ使用方法3選!!


37センチの特大別注のスズ竹蕎麦ざるを無料プレゼントです。

別注スズ竹蕎麦ザル


網代編みのスズ竹蕎麦ざるに別誂えのご注文を頂いたのです。ところが通常は20センチと23.5センチ程度の小ぶりな笊ばかり作っているものだから急に直径が37センチもの大きな竹笊は最初から少し難しいようでした。


スズ竹


スズ竹は竹と言う名前はついているものの細く背丈も低く、筍の時の皮がずっと付いたままの笹類に属していますがその性質は竹編みにはもってこいの粘りと、柔軟性、堅牢性を兼ね備えた素晴らしい竹材です。


スズ竹職人


しかし、編み上がった別注竹ざるは手こずったと見えて少し歪な形になっています。自分などこれは、これで味わいのある一枚として喜んで使うのですが、全ての方に手放しで受け入れていただけるという事ではありません。


そこで、お好きな方に差し上げようとプレゼント企画を立ち上げています。フェイスブックはされていますでしょうか?竹虎では「虎斑竹専門店 竹虎」の他に「日本唯一虎竹部」という


会員様限定のグループを運営させてもらいよります。そこで、何でも好きなコメントを入れていただきますとエントリー完了!


フラットな形ながらお蕎麦はもちろん、鍋の生野菜などでも数名分を盛ることができます。3月15日締切、翌週にはお届け予定です。コメント頂いた方の中から1名様をお選びさせてもらいます。今のところコメントも少ないので確率がこじゃんと高い!です、何卒よろしくお願いいたします。




虎竹バックニューヨーカーINパリ 2018

竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、山岸義浩、虎竹バック


今年もパリのプリミエールクラスに参加させていただいちょります。60数年前のデザインに驚いて、どうしても日本唯一の虎竹で復刻したくなり多くの方のお力添えで形になった虎竹バッグです。


虎竹バッグニューヨーカー


マグネット式留め具


虎竹バッグニューヨーカー


虎竹のライン


虎竹バッグニューヨーカー


虎竹の葉で染めた留め紐


虎竹バッグニューヨーカー


フォルム


虎竹バッグニューヨーカー


虎竹染めのインナーバック


虎竹バッグニューヨーカー


竹虎のロゴマーク


虎竹バッグニューヨーカー


アウターバックまで


虎竹バッグニューヨーカー


実に色々と言いたい事はあるのですが自分が初めて感激したあの機能性。竹製の壁掛けが立体的なバックになる、華麗な竹の大変身を知ってもらえたらいいとだけ思っています。