宮岡聖天斎作の極小鳥籠

聖天斎作御殿籠


現在ではメジロや鶯を飼育することは禁止されているものの、自分の小さい頃には虎竹の里の農家さんなどては当たり前のように鳥籠があって小鳥たちが美しい鳴き声を聞かせてくれていました。高知では「コバン」と鳥籠の事を呼ぶのですが、従ってこのコバン作りをしている人も近隣だけでも数名いたのです。そんな環境だから小学校低学年の頃には友人のたちとオトリと鳥モチを持って山でメジロを捕ったり、鳴き声を競わせたりしたのは楽しい思い出です。


宮岡聖天斎作鳥籠


おっとオトリと言ってもご存知ない方は何の事かサッパリかも知れません。鳥籠に入れたメジロを山で鳴かせていると他のメジロたちが沢山近寄ってきます、鶯も縄張り意識が強いのか同じように近寄ってきていました。メジロなどは野鳥の中では人をあまり怖がらず手を伸ばせは届くような距離にまで飛んできましたので鳥モチ等で捕まえずとも自然の生き物を間近で見られる感動もありました。


宮岡聖天斎作鳥籠


今となっては遠い昔話です(笑)。しかし、この宮岡聖天斎作の鳥籠は昔に作られたとは言え現在でもその技の素晴らしさは健在です。極細にとった竹ヒゴの扉が本物と同じようにスムーズに開閉するのには、さすがとしか言いようがありません。




続・恐るべし根曲竹

 
小菅小竹堂作根曲竹掛花籠


昨日は、ほとんど見られない根曲竹玉入れ籠をご紹介いたしました。雪に鍛えられる寒い地方の竹ですから西日本ではあまり見る機会がありませんが、関東で活躍されていた小菅小竹堂さんの作品に根曲竹の掛け花籠があったことを思い出しました。新潟のお生まれですので身近な竹と感じられていたのかも知れません。


飯塚琅玕斎作根曲竹掛花籠


竹工芸の世界で人気を誇る飯塚琅玕斎作の花籠にも根曲竹は使われています。東日本では日常的に籠やざるに多用されてきた竹材なので、こうして偉大な大作家の方が花籠に編まれるのも自然なことだったのです。


竹ペン置き


そう言えば自分の愛用するペン置きにも根曲竹は使われています。一見根曲のようでないと思われそうなものの実は竹と竹とを縛って留めてある部分が根曲竹。このように細かく、まるで籐のような柔らかな使い方ができる竹材は本当に稀です。


根曲竹ステッキ


ちなみに自分がたまに使う事のあるステッキにも根曲竹のものがあります。この細さで頼りなく感じる方もおられる事かと思います、しかし全体重をのせてもしなりはするものの折れるように素振りは皆無。手に粘りと強さが伝わってくるよう、しかも割れもしない、凄い竹材です。


恐るべし根曲竹

 
玉入れ籠


一昨日の30年ブログでレアな逸品としてご紹介させていただきました根曲竹の玉入れ籠。いえいえプログでは近年の運動会で竹製玉入れ籠が使われなくなったというお話しだけさせていただいてました。レアな根曲竹玉入れ籠はこちらのYouTube動画で触れさせてもらっています。本当に少ない籠ですから自分で使いたいと思っていて、そしたらどうやってと使うおうか?




根曲竹の強さを活かせる場所として自分のサイドテーブルがありました(笑)、以来ずっと愛用しています、そして少し驚いたのですが毎日使う鞄の重さを測ってみるとパソコンやらカメラなどいつも携帯するけいか何と7.5キロもあったのです。しかし、これだけの重さを載せても全く問題ない堅牢さですから恐るべし根曲竹なのです。


根曲竹手付き丸籠


だから新しい根曲竹手付き丸籠なども使い勝手はお墨付きです。竹らしい風通しのよいザックリと編まれた六ツ目なのに安心の耐久性です。持ち手も細くて心もとないように思われる方がもしかしたらいるかも知れません。けれど、そんな心配は100%必要なし、自分がマイバックとしてスーパーで愛用する竹籠も一番使用頻度の高いのはこのタイプです。編み目が粗いということは軽さです、「軽くて強い」理想的な竹籠なのです。


限定の竹磨四ツ目長角小物籠

 
竹小物籠


この長角小物籠が人気なのに限定なのは何故でしょうか?実はサイズを間違えて製作してしまった規格外の竹籠なのです。自分の思っていた大きさとは違いますが、お使いになられる皆様には全く問題ありません(笑)。


角竹籠


竹材は淡竹(はちく)を使い、竹表皮を薄く剥いで編まれています。この竹表面の小さなキズや汚れを全てそぎ落としてしまう「磨き」という技法は本当によく出来ています。竹は表皮部分に近いほど強く耐久性がありますから、まさに強さと美しさの両方を追求した竹細工と言えるのです。ご参考までに同じ技法で編まれた大きなサイズの衣装籠をご覧ください。


竹かご


しかも表皮のついた竹材に比べて経年変色が早く深く進みますので自分も大好きな細工のひとつ。兎に角、この角籠を手にされた方は、まず端正な姿と強さに満足され時間を経るごとに深まる変化に又ご満悦いただけるのではないかと今から予想してます。


竹虎四代目の野望!竹製玉入れ籠編

 
玉入れ籠


かって小中学校の運動会・玉入れ競技には竹製の玉入れ籠が使われていました。ところが近年竹製籠を使う学校は少なくなり、子供たちが竹に触れ合う機会はますます減るばかりです。そこに危機感をもって、全国の小学校、中学校に竹製籠を使っていただきたいと野望を抱いて数年前から利益度外視で玉入れ籠を作ってきたのです(笑)。


白竹ランドリーバスケット


玉入れ籠は基本的な編み方のひとつ六ツ目編みで作られます、今まで同じ六ツ目編みで手付きランドリーバスケット等も製作してきましたが今回、日本唯一の虎竹を使ってシンプルな脱衣籠を作ることにしました!


虎竹脱衣籠


すでに試作の竹籠は編み上がっているのですが、縦の力竹をはぶいて編み目を際立たせシンプルな形にしたいと考えました。




あれから20年!牧野植物園の虎竹はどうなった!?

牧野植物園、竹虎四代目(山岸義浩)


綾小路きみまろの爆笑ライブで連発される「あれから40年!」ではありませんが「あれから20年!」です。高知市の五台山にご自身を「草木の精」と言われていた世界的植物学者・牧野富太郎博士の足跡をたどる事のできる牧野植物園が新しく開園されたのは1999年の事でした。何を隠そう牧野博士が虎斑竹命名の父という事で虎竹の里とも縁は深く、これを機会に他の地域ではうまく成育しない虎竹を移植してもらってから早くも20年が経ったのです。


牧野植物園、竹虎四代目(山岸義浩)


当時、ミュージアムショップにも虎竹製品を並べて頂いておりましたので毎月のように足を運び移植された虎竹の成長を見守ってきました。竹は成長力が強く毎年筍を出して新しい竹が増えていきます、最初の頃は感じなかったものの何年か経過すると徐々に新竹の様子が変わってきました。虎竹は淡竹の仲間なので竹表皮がしろっぽく見えるのが特徴です、良質の虎竹はその下に虎柄がうっすらと見えるものですけれどどうも柄が入っていないようでした。


さて、あれから更に月日が流れて今年は2020年...開園の時から人気のスポットとして沢山のお客様を楽しませ続けている牧野植物園の虎竹はどうなったのか?YouTube動画で詳しくご覧ください!




続・「竹との出会いで出来る技」渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫

渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


先週にご紹介した渡辺竹清先生作の線磨き四ツ目文庫のインパクトが凄いので、又同じものを掲載していると思われるかも知れない。外観だけをパッと見ただけでは区別は確かにつきづらい。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


しかし、これこそ前回の線磨きが更に進化した文庫なのである。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


渡辺先生が渾身の技で製作されたと話す竹肌にクッキリと浮かびあがる真っ直ぐな線。


網代編み


見惚れている場合にではない、上蓋を開けるとどうだ。渡辺先生の真骨頂である見事な網代模様で内側は豪華絢爛に飾られているのである。


網代編み


竹虎四代目(山岸義浩)


外側の意匠に圧倒されていたのに、文庫の中身が更にこれだから言葉を失ってしまう。


渡辺竹清


先生がずっと手元に置いておきたかったという思い入れのある二つの文庫、ようやく竹虎にやってきた。




虎竹茶香る、蒸しプリンとは!?

 
虎竹茶


今年の虎竹茶はかなり美味しいと人気です。というのも何回か申し上げておりますように仁淀川上流の県境に近い山深い集落で作られる沢渡紅茶をブレンドしたからなのです。相変わらず暑い日が続きますのでアイスでお試しいただきたいです。


虎竹茶


元々お遍路さんの難所と言われてきた虎竹の里で、何も差し上げられない当時に竹の葉のお茶を入れたという古老のお話しから生まれた虎竹茶。しかしブレンドは初めてですので何度も試作をして社員に味や香りを見てもらいながら作りました。


虎竹茶


もちろん、ホットでもどうぞ。


虎竹茶


そんな虎竹茶を囲んだお茶会でお菓子作りの話になって遂に完成した虎竹茶プリンがあります。出来あがるとフルーツや竹炭クリームまで飾りつけられていて本格的なのに驚きました。お茶の香るプリン、よかったらYouTube動画もご覧ください。




「竹との出会いで出来る技」渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫

 
渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


当社とは祖父の代より親しくお付き合い頂いている渡辺竹清作の線磨き四ツ目文庫がやって来た。十数年前に出会ってから、ずっと憧れの眼差しで遠くから眺めているだけだった逸品だ。どうしても忘れがたく、懐かしく感じるのは幼い頃に訪れて一度拝見しているのかも知れない。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


最大の特徴は6分(約1.8センチ)幅に取った平ヒゴに描かれる線模様。何だこれは?見れば見るほど魅かれてしまう、もう虜になっていた。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


少し離れてみるとこんな感じ、渡辺一門ならではと言われる独特の美しさ。この特殊な線磨きは1メートル切りした竹材を柱にあてがい一発勝負の中で全神経を集中させる技。創作の際の一瞬たりとも気が抜けない緊張感が静かに伝わってくる。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


そおっと上蓋を開けてみる、想像より驚くほど軽やか。


竹虎四代目(山岸義浩)


編み上げてから染める、そして、いし粉をつけて磨き研ぎ出してから漆を塗っている。そろばんを滑りやすくする時にも用いるイボタをホコリ入れに使う、イボタを落とすと立体感が際立つのである。


渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫


なるほど、このツヤツヤした滑らかな手触りはイボタか...。竹の細かい繊維までこうして表現されている作品は他にない。


渡辺竹清


渡辺竹清先生の作家人生でも4~5個しか創作できていない逸品と言うには理由がある、やはり素材だった。大分は全国に名だたる真竹の生産地だが、その中で国東半島の竹は有名である。先生自らが出向いて杉の木立の中に入って竹を探したそうだ。実は、雑木の中に生える竹は早く日光を浴びたいと伸びが良く良質な竹材が育つのだ。しかも若竹でないと線磨きの技法はできないのだからやっかいである。若過ぎてもいけない、1年半の年齢で陽に当たっていない柔らかい竹質の直径で9センチ、節間は45センチ近くある真竹を厳選したそうだ。


渡辺先生曰く「竹との出会いで出来る技」なのである。




続・虎竹スクエアバスケットのサイズについて

 
スクエアバスケット、虎竹角籠


さて、先日に引き続いて今回の虎竹スクエアバスケットはキッチンでも皆様のお役に立てそうです。


虎竹スクエアバスケット


スクエアバスケット


パソコン机でも不要なコード類などの収納にお使い頂きたいですし、アイデア次第でサイズをお選びいただけます。


四ツ目編み


A4サイズの下には今のところ、この4種類のバスケットを製作しています。


四ツ目籠


竹小物籠


虎竹角籠


生活の中に竹を取り入れる楽しさを是非多くの方に知っていただければと考えています。


虎竹スクエアバスケット


しかし、キッチンでは本当に活躍する場面が多そうです。


虎竹スクエアバスケットのサイズについて

 
スクエアバスケット、虎竹角籠


虎竹スクエアバスケット(衣装籠)に大きさが分かりやすいのではないかと思って、その下のサイズの籠を入れてみました。


スクエアバスケット、虎竹角籠


書類籠はA4サイズがちょうど入るような大きさにしています、デスク周りの整理には最適です。


スクエアバスケット、虎竹角籠


日本唯一の虎竹の模様は自然が生み出す柄ですので、それぞれ濃淡があったり斑に違いがあるのが面白いところです。四ツ目のシンプルな編み込みが虎竹の良さがを更に引き出しています。


スクエアバスケット、虎竹角籠


スクエアバスケット、虎竹角籠


竹籠は生活の様々なシーンに親和性が高いものですが、バスルームや洗面台に置かれていてもバッチリ似合いますしリラックスできます。


スクエアバスケット、虎竹角籠


虎竹角かご


かなりの重たいものを入れるには力竹が必要ですが、そけも省略した籠には新鮮さを覚えます。


角型竹籠の色々

 
角籠


竹製の角籠と言っても色々な用途がありますが今回は衣装籠だけを集めてみることにしました。網代編みの巨匠・渡辺竹清先生の工芸品のような脱衣籠、職人が「遺言」と思って受け取って欲しいと渡された虎竹編みの一閑張り衣装籠もあれば塗の脱衣後、白竹のもの、磨きのものなど様々です。


虎竹角籠


先日より皆様にご覧いただいております虎竹スクエアバスケットも一番大きなサイズは脱衣籠として使っていただきたいもの。

スクエアバスケット、角籠


もしかすると旅館やホテルなどの業務用以外ではあまり使われないのかも知れませんので、これより小さいサイズを少し考えていかねばなりません。



虎竹光悦寺垣6尺を作る

虎竹光悦寺垣、竹職人


今年の夏も猛烈に暑い日が続いています。そんな中、職人が製造しているのは光悦寺垣、京都の光悦寺に由来する半月形の曲線の中をヤライで組んで仕上げた竹垣です。袖垣に比べても特殊で一般のご家庭で使われることは稀ですが、忘れた頃に一つ、二つのとご注文をいただきます。


虎竹林


今回作っているのは6尺(180センチ)サイズの光悦寺垣、出来あがるとかなりの大きさです。もちろん日本唯一の虎竹を使って作ります、竹林の画像に写るのは「青々とした真竹みたいな竹で虎模様がない」と心配される方がおられると思います。青々とした竹は今年の若竹です、虎竹は3年程度経ってくると虎模様が段々と浮かびあがってきますのでご安心ください(笑)。


光悦寺垣製作


光悦寺垣の巻竹は芯部分の孟宗竹のゆるやかな曲線に沿って巻いていくので長めのものが必要です。庭の演出に欠かせない垣のひとつのバリエーションとしてずっと続いてきたものの近年は定番のサイズというより先の牧野植物園さんに設置させていただいたような別誂えが主流になるのかも知れません。


虎竹光悦寺垣、竹職人


これだけ存在感のある竹垣です、やはり置き場所を選んでしまうのは仕方ありません。しかし思えば自分の入社した30数年前に3尺から7尺まで各サイズを定番のように製作していたのですから日本人の暮らしはここだけ見ても大きく変化していることになります。




青竹で編まれる竹細工たち

 
温泉籠


昔から温泉籠と呼ばれて温泉場で使われていた手付き籠があります。オーソドックスな形の籠なので竹虎では似たような籠が農家さん向けとしても販売されてきましたが現在ではお客様のお好みで様々な使われて方がされています。それにしても長く製作できなかった大きなサイズを含めて久しぶりに沢山編み上がってきましたので思わず笑みがこぼれます。


菊底ざる


この季節にはザル蕎麦をいただく機会も多く、竹ざるを目にされる事も多いのではないでしょうか。緻密な編み込みのザルは蕎麦の味を何倍も美味しく感じさせてくれます。


青竹箕


また、青竹でしっかり美しく編まれた道具を使うと仕事の能率も上がります。


水切かご


梅干しざる


沢山編み上がる籠がある一方で、欲しくても出来ない梅干しざるがあります。それは今年の分の材料が無くなってしまったせいなのですけれど、竹林には青々とした竹がいくらでもあるそうなのに何故か?と不思議に終われてお問合せいただきます。


蕎麦ざる


竹は品質管理のために晩秋から冬場にかけての寒い時期にしか伐採しません。虎竹や白竹の場合には油抜きをすることによって竹の耐久性が上がり数年前の竹でも加工に使用できます。しかし、青竹細工の場合には油抜きすると、命でもある青さがなくなってしまいますので今年用の竹は今年中に使いきるのです。つまり、その時期に伐った竹がなくなれば青竹細工は終了、次期の伐採までは竹材のない状態が続きます。職人だけでなく竹材にも苦労もするこの多い青物細工は沢山編まれるだけで嬉しくなるのです。


9回逆転サヨナラ勝ちの、甲子園高校野球交流試合

 
虎竹の里


虎竹の里の浜辺から沖を眺めると半島のように突き出した野見と戸島、中ノ島、神島が見える。小さい頃には竹虎の工場が近くにあって、浜に竹材を並べてズラリと干していたので毎日の遊び場だったから、これらの島々の形は目に焼き付いている。だから中学高校の6年間を過ごすことになる全寮制の明徳に入学した時、後ろを振り返るとこれらの島々があって「ああ、遠くへ来てしまったものだ...」と寂しくも思った記憶がある。


そんな明徳が今年のコロナウィルスの関係で中止となっていたセンパツ出場予定だった32校と共に甲子園高校野球交流試合に参加した。テレビで最後のシーンだけしか見られなかったが鳥取城北に何と9回逆転サヨナラで勝利をおさめた。


竹虎社員


実は自分の明徳時代は最低だった。何をやっても中途半端、スポーツや勉強で活躍する周りの皆をまぶしく、うらやましく思って眺めているだけ。ところが、そんな落ちこぼれの自分に当時の吉田幸雄校長は「おまん、日本一の竹屋やろうがっ!」と何かに付けて大声で叱咤激励してくれた。


中学、高校時代、何をやっても諦めてばかりの出来損ないに何か元気づける事をと探しても良い所が見つからなかったので竹虎の事を持ち出してきたのだと思う。しかし、それが染み込んだ。卒業生スピーチに選んでいただき30数年前に卒業証書を受け取った場所に立ち、全校生徒を前にして確信した。野球部の後輩たちが大逆転を見せてくれたように、今度の危機を自分達は逆転せねばならない。今もこれからも、ずっと9回裏の状態だ。




虎竹枝折戸の作り方

 
枝折戸製作


虎竹の袖垣や枝折戸は完全な分業体制が整っていた。袖垣で言うと竹枠組みから、巻竹、仕上げまで大きく3工程に分かれていて、それぞれが専門職となりフル生産するのだが竹枠用の孟宗竹、巻竹の虎竹、仕上げに使う竹穂・四万十カズラ・ヒシギ等部材の採取の職人、その部材を加工・細工する職人のに細かく枝分かれのようにあったので内職を含めると数十人の人々が一枚の袖垣作りに関わっていた。


枝折戸製作


実は枝折戸も袖垣ほど複雑ではないものの枠組と編み込みは分業で毎日のように内職さんに通っていた時代がある。竹枠と編み込み用に薄く剥いだ「ヘギ竹」を届けると、待ちかねたように古老の職人が無駄のない手さばきで編み始める。柔らかいヘギ竹は、編み台の上でまるで激しいダンスを踊っているかのようだった。あの頃、2台の10トントラックに満載されて運んでいた袖垣や枝折戸は何処に行ったのか?今でも細々と続いている枝折戸製作を見ながら思っている。




風のとおる竹林

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名古屋を拠点に持続可能な庭園づくりをされているランドスキップさんが虎竹の里に来られていました。若い方々ばかりでしたが植物を相手に仕事をされている皆様ですので竹林への関心も大きいようです、今年は来社される方も少なかったので久しぶりにお客様を竹林にご案内できて自分も竹達にも良い一日となりました。


虎竹


にも表年と裏年があって今年は沢山の若竹が生えてきましたので春先の頃と比べると竹林の様子は、まるで一変しています。このように竹は驚くような生命力でドンドン生えていきますから、手入れされなくなった竹林が日光さえ入らない程うっそうと茂り荒れていくのは当然なのです。


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竹を間引きする場合、一般的には和傘をさして歩けるくらいの竹の間隔が良いとれされています。しかし、それは竹の種類や場所によって違っています、虎竹の里の竹林でも山の職人により異なっていてここは元々間隔を広めに取っていました。


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心地よい風が通り抜けるからか竹林につきもののように思われるヤブ蚊がいません。前もってそれをご存知だったのか、日頃草木と向き合われているので慣れておられるのか一人の方は素足でした。この時期の竹林に素足で歩ける所は他にあるでしょうか(笑)。それでも蚊にはさされていない様子でしたので人の手で管理して風通しや日当たりを良くすることの大切さを思います。


そういえば今年の4月に惜しまれながら亡くなられたC.W.ニコルさんに一度だけお会いさせていただいた事がありました。森のお話しをされる時、風が吹き抜ける、陽の光が入る事を何度となく言われてましたれど、樹木と竹の違いはあるものの、ずっと虎竹の里の竹林を思い出してたのです。そして、それが誰かの思いで作られたものでも無く、少なくとも土佐藩政時代から地域の人達によって綿々と受け継がれ続いてきている文化に価値を感じています。




惚れ惚れ経年変色!竹ピクニックバスケット

 
竹角籠


惚れ惚れするような古く美しい竹籠に出会いました。まず目を引くのは色合いです、真っ白だったはずの色合いが数十年という月日を経て、えも言われない魅力的な深みのある風合いです。形も素晴らしい、今では手間で誰もやらないし多くの職人も知らないかと思いますが当時の角籠は底に向かって微妙に小さく作られていて四隅のラインが斜めに降りて籠の安定感と品格を漂わせていたのです。


竹ランチボックス


実用性の高い竹細工の場合には古いものは概ね傷みがあるものですけれど、これはデッドストックとして置かれていたもので今までも最高水準の保管の良さ、虫喰いもありません。


竹弁当箱、錆びた金具


40年とも50年とも言う金具が時代を感じさせます、とにかく何から何まで渋い(笑)。


竹ピクニックバスケット


現在ではピクニックバスケットとして作られる新品の籠はこんな色合いです。見比べていただきますと色合いの違いに驚かれる方もおられるかも知れません、しかしこれが「時間職人」の神技です。


豆腐籠


ひと昔前には豆腐を入れて自宅に持ち帰る豆腐籠としても使われてきた角籠。豆腐だけでなく、野菜でも魚でも竹籠に入れて持ち運ぶのが普通の時代にスピードと効率化重視で大量に編まれたものなので内側の四角い竹フレームの曲げ部分には真っ黒い焼け焦げがついています。それが又、竹産業が盛んな頃の面影を今に伝えてくれているようで愛おしいのです。




国産孟宗竹のカトラリーたち

 
竹カトラリー


加工性の高い竹は昔からスプーンやヘラなどカトラリーやキッチン道具にも沢山使われてきました。細く割った桁をヒゴにして編み込み編組細工とはちがって竹素材を削り出して製作しますので、中が空洞になっている竹の場合は思った以上に大きな竹でないと身の部分が使いづらいのです。そこで多くは日本最大級の竹でもある孟宗竹が原材料に選ばれます。


竹スプーン


耐久性から金属のように薄く加工するには限界がありますので、例えば竹スプーンなどは最後に残ったカレーやスープを食するのに金属製の使用感には及ばないと感じる事もあります。しかし、それでもついつい竹製に手が伸びるのは特有の温もりを感じる手触り、口当たりの優しさが金属のカトラリーとは全く異なる使い心地だからです。


竹フォーク


近年は海外製造されたものも多くあります、しかし自分達は放置竹林などと呼ばれ使われる事の少なくなった日本の孟宗竹を製品としてお届けしたいと考えています。祖父の頃よりお付き合いのある職人が作るカトラリーに魅力を感じているのです。


虎竹トング


虎竹を使ったトングは数量があまり出来ませんのでウェブサイトでもご紹介していないものの、30年ブログをご覧いただいた方から色々なサイズでのお問合せを頂戴しています、こうやってボツボツと職人のペースで作られるものもいいものです。


竹箸


カトラリーとは少し違いますが、この竹箸は母が昔から褒めていた使いやすさと耐久性を兼ね備えた隠れた逸品。忘れるくらい長く愛用していると何度も話しています、そういえば小さい頃から食卓の箸立てにはこの竹箸がありました。いつだったか、ご自身の店舗に数十年立って竹とお客様とに向き合い続けられてきた女将さんが、奥の台所からこのお箸を手にして来られて母と全く同じ事をお話しいただいた時には鳥肌が立つ思いでした。


新しい虎竹脱衣籠

土佐網代籠

何でもないような竹籠ひとつにも歴史があり、盛者必衰の物語があります。今ではどこを探しても見つからない網代底とエビ止めの竹籠が、かっては高知県で大量に編まれていて「土佐網代」とまで言われていたなどと知る人など誰もいないのです。


昔籠


これが良くできた竹籠で、かなりの熟練職人の手によるものだとは思いますが秀逸なデザインや、細かくみると竹のあしらいなど感心するばかりです。


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そう考えると昔のことを振り返る事は大切かも知れません、まさに「故きを温ねて新しきを知る」です。


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地元ではメゴ笹と呼ばれ、県外ではオカメザサとも神楽笹とも言われている竹材で編まれた脱衣籠が銭湯に置かれていたのは随分と昔のお話しです。「笹」と名前がつくものの実際は竹の仲間であり、伐採してから細工に使える期間が極端に短いためにすでに30数年前には幻の籠となっていました。


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今回その籠をモデルに虎竹を使いより洗練された形に仕上げています。仕事柄と同時に籠好きが高じて資料館ができそうなほどの竹籠の中から古き良き時代が今に蘇ればと思います。




鬼滅の刃・禰豆子(ねずこ)の竹

 
禰豆子(ねずこ)の竹


竹虎ではお客様から竹製品について感想をいただきたいと思い、このようなお葉書を同封していますが嬉しいことに毎日のように様々なお返事を頂戴してします。中にはお写真を張られたり、イラストを描いてくださったりと本当にユニークなお便りをいただけるので自分達も楽しみにしています。先日はこのような絵を届けていただきました。アニメをご存知の方でしたらすぐにお分かりになるほど良く描けています、人気の「鬼滅の刃」に登場する主人公、竈門炭治郎の妹禰豆子の似顔絵でした。「ここにも竹がつかわれてます。」嬉しくて涙がでそうです。


竹


かなり話題となっているアニメとは聞いていましたものの実際拝見したことがありません。これを機に観てみると禰豆子がをくわえているのも分かりました、しかし最初から少しだけ違和感があったのは竹の節です。竹は元に近いほど節と節の間(節間)が短くなり、ウラ(竹の先端部分)の方ほど節間が広くなります。


禰豆子(ねずこ)の竹


時代設定は大正時代だったかと思います、禰豆子の鬼歯でも噛み切れないほどの強さのある身近な素材としては竹以外にはなかったでしょう。しかし節間が中央部分だけ広く両端が短くなるような竹はありません、いやいや現実社会にはないけれど、炭治郎たちの活躍する世界にはそんな竹があるのかも知れません。それなら、そんな竹も見てみたい気がします(笑)。


虎竹茶会

 
虎竹林


竹は稈だけでなく根の部分や枝葉までも使い切るこのとできる素晴らしい素材です。そこで虎竹は南国の日差しを浴びて青々と茂る竹葉を利用してお茶作りをしています。


虎竹茶


今年のお茶は沢渡紅茶をブレンドして更に飲みやすくなったと評判です、今の季節だと冷たくしてお飲みいただくと美味しさが身体に染渡る気がします。


虎竹茶


もちろん温かくしてお飲みいただくのが一番、豊かな香りに虎竹の里の風景が見えてきますでしょうか。竹虎社員が虎竹茶を囲んでお茶会していますのでよろしければご覧ください。




続・竹と笹

ホウライチク


をお話しする時に、もうひとつ忘れてはならないのがバンブー類です、真竹や淡竹のように地下茎を伸ばして広がることがなく株立ちで成長する竹です。高知で良く目にします蓬莱竹(ホウライチク)は、元々は熱帯系の植物で日本には火縄銃に使うために入って来た竹ですが、株立ちで田畑に広がる事もなく、しっかり土壌を固められる事から護岸用として多用されてきました。


何度かお話ししていますように、川の流れの急になるポイントには良く植えられているので小さな頃からずっと不思議に思っていた竹なのです。高知ではシンニョウダケとも言われる竹、よほど川縁が好きな竹だと勝手に思っていたものの後から考えると全て人が防災を考えて植えたものでした。熱帯系の竹ですので南国土佐の暑い日差しの気候が合うのでしょう、この蓬莱竹もかなりの大きさです。蓬莱竹がこれくらいに成長するには100年近くかかっています、つまり長い間この川の流れを見守り続けてきてくれた地域の守り神とも言えます。

 
蓬莱竹


昔から台風銀座と呼ばれ大雨に悩まされてきた土地柄です、このような蓬莱竹の林は珍しくありません。知らない土地だとしても遠くからでも一目で分かります、こうして並んで繁る蓬莱竹に沿って川が流れています。もちろん護岸用として活躍するだけではなくて、その節間の長さを活かした竹細工にも使われてきました、蓬莱竹(ホウライチク)の竹ざるに少し書いていますので関心のある方はご覧ください。


竹類、笹類、バンブー類と竹と言っても色々と種類があることがお分かりいただけたかと思います。日頃何気にご覧いただく竹も日本人の暮らしに昔から深く関わってきただけに少し知っていると面白い事があるのです。孟宗竹と淡竹、普通の方からすれば太さ以外に見わけのつかない竹も、この動画で簡単に見分けられるようになります(笑)。




竹と笹

孟宗竹林


は木でもなく、草とも違う竹特有の丈夫さ、しなやかという特性を持ち、身近にあって手に入りやすく加工性も高いことから縄文の時代から籠の素材とした使われてきています。竹の生育域というと日本や中国を思い浮かべる方が多いかと思います、しかし東南アジアやオーストラリア、中南米、アフリカなどの温暖で湿潤な地域に広く分布して、世界に約1300種、日本には約600種があるのです。


雪と竹


もともと南方系の植物なので孟宗竹などは日本の北限が青森か函館あたりと言われてきましたが近年の温暖化で少しづつ変化しているようにも感じます。そう言えば30年近く前には北海道のデパートにも売り出しに行ったことがありました、クマザザなどは沢山あるものの大きな竹がなくて竹製品は結構珍しがられた覚えがあるのです。


孟宗竹


竹は他の木と違って、受精しなくても地下茎から毎年筍が伸びてきて生育域を広げていきます。ところが、60年とも120年とも言われる間に一度、竹が花を咲かせることがあります。竹の花が開花すると、群生している竹が一斉に枯れてしまいます。虎竹の里の古老に聞くと虎竹の林も一部で開花した時期があり、やはり一帯の竹がすべて枯れたそうです。


竹の花


では竹の花というのはどんなものでしょうか?実は竹はイネ科の植物です。なので竹の花もまるで稲穂のような姿をしています。日本の竹の品質が世界最高と言い続けています、ササニシキやコシヒカリといった世界最高レベルの美味しいお米ができる日本で同じイネ科の竹の品質が良いのは自然な事だと考えているのです。


孟宗竹皮


そんな竹ではありますけれど竹には仲間に笹もあって、皆さん日ごろあまり疑問も持たずにおられますけれど一体竹と笹の違いをご存知でしょうか?実は最初に答えを言ってしまいますと明確な違いは分かっていないのです。もちろん大まかな選別はされています。まず背丈で別れていて背丈の高いものが竹、低いものが笹。両方とも筍から成長していきますが、その筍の皮が稈からすべてなくなるのが竹皮がずっと残ったままなのが笹といった具合です。


メゴ笹、オカメザサ


メゴ笹洗濯籠


しかし、背丈の低い竹もあって例えば高知ではメゴ笹と呼ばれて洗濯籠などに多用されるものがあります。これは全長で1メートルから2メートル程度の高さで竹としては小さいものですが竹類なのです。浅草の酉の市でオタフクの面をつける素材なので「オカメザザ」とも神楽に使うので「カグラザザ」という呼び名もあります、すべて同じ植物のことで「ササ」と名前がついているのに竹類なのです。


スズ竹


背丈の高い笹もあります、たとえば昔は弓矢の矢にしたことに名前の由来のある「ヤダケ」高さは長いものだと5メートル程度になりますが笹類です。幕末に新選組の副長として活躍した土方歳三が「将来武士になったらこれで矢を作る」と武士になる決意をこめて生家の庭に植えたという話があります。また、数寄屋建築に使われるという事で竹虎でも結構取り扱っていたメンチク(メダケ)も稈の高さは4メートル程度になります、「ヤダケ」「メダケ」と竹のような名前がついているのに笹類です。現在一斉開花はが始まって竹林が枯れてしまっているスズ竹も「竹」と付きながら笹の仲間です。


スクエアバスケット登場です

 
スクエアバスケット、脱衣籠


虎竹を四ツ目編みした巾着籠を数年前より作っていましたけれど、底編み部分だけを小物入れにされたいというお客様からのお問い合わせもあり四角籠での商品化をしていました。色々なサイズ展開をしたら面白いと思って、まずA4サイズが入る書類籠や衣装籠などにも使っていただけそうな大きな籠から取り組むことにしたのです。


スクエアバスケット衣装籠


衣装籠と聞きましても、あまり耳慣れない若い方々もおられるかも知れません。一番分かりやすいのは旅館さんなどで浴衣やタオルを入れてあるもので衣装盆と呼ばれる木製のものなどもあります。


虎竹四ツ目編み籠


巾着籠は虎竹模様が外側に見えるように編んでいます。実はその後に四ツ目編み小物籠として製作した籠もすべて外側に虎竹模様がでるようにしています。


虎竹四ツ目編み


ところが、せっかくの虎模様が見えなくなることから今後の籠はすべて内側に虎模様が来るようにしました。竹ヒゴがL字型に曲り立ち上がっていますが、このあたりの熱したコテを当てて曲げていく工程は動画でも詳しくご覧いただけます。


衣装籠、竹虎四代目(山岸義浩)


普通なら「虎竹四ツ目衣装籠」と呼ぶところを「スクエアバスケット」と名付けていますのはシンプルでモダンな竹籠に仕上げで今の暮らしの中でお使いいただきいたという思いを込めてのネーミングです。




捨てる所のない竹素材

竹皮草履竹皮鼻緒


長い梅雨がようやく開けて竹皮の整理をしながら少しづつ編み始めている国産竹皮草履です。自分の一番好きな竹皮鼻緒は若干耐久性に劣るため最近ではあまり製造していません。地味ですが実はこれはが昔から主流に履き続けられてきた草履なので少しでも作れるようにしたいと考えています。


国産竹皮草履用の竹皮


しかし、こうして竹皮を天日干ししているのを眺めていると改めて思います。筍が竹へと成長する過程で脱ぎ捨てる竹皮は草履に編まれるほか、おにぎり弁当用の包材としての活用方法もあります。


竹根細工


竹根の部分も地下に埋まっている部分なので活用されていないかと言うと竹根の景色も美しい茶器に変身するのです。


虎竹茶


こうして竹皮、竹根、稈、小枝そして竹葉まで捨てる所なく使い切ることのできるのが竹の素晴らしさ。今年の虎竹茶は仁淀川上流沢渡で作られる紅茶をブレンドして今までで最高の美味しさ、この暑さです冷やしてお試しください。