夏の強い日差しを避けて、日陰の縁台に腰かけると、スーッと涼しい川風が吹きぬけ、それと共にチリンチリンと風鈴の音。エアコンで温度を下げた室内も良いですが、こうして自然の涼味を感じられるのも、日本の暑い夏ならではの風物詩です。最近は、あまり風鈴の音色を耳にすることも少なくなりましたので、たまに聞こえてくる優しく甲高い音は、本当に嬉しいものです。
風鈴の起源をご存知でしょうか?中国では、竹林に青銅製の鐘のような「風鐸(ふうたく)」を吊るして、風の向きや音の鳴り方で吉凶を占う風習があったそうです。そんな大陸から伝来した風鐸を日本では魔除けに使い、風鈴となったと言いますからもともと、竹林で使われていただけあって、風鈴には竹が相性抜群なのかも知れません。
だからという訳てもないのですが、竹虎では今年、新しい風鈴を3種ご用意する事にしました。黒竹いかだ風鈴は、深みのある黒竹を筏状に組んだ風鈴です 。虎竹の里は、日本唯一の虎竹の産地ですが、すぐお隣の町では昔から良質の黒竹が生産されています。高知県の黒竹は、古くは竹笛の素材として多用されていましたが、茶道、華道などにも使われる品格ある竹材です。現品限りではありますが、ひとつひとつ独自の表情を持つ風鈴に仕上がっています。
赤染いかだ風鈴は、女竹を鮮やかな赤色に染め、筏型に組んだ製品で、元々は花籠の下に敷く花台として作られています。和洋どちらのインテリアにも調和しそうな赤染めは、竹の素朴さを保ちつつ色彩で新たな表情を醸し出しています。
最後に日本唯一の虎竹で編んだ四海波風鈴です。馴染の形と可愛いサイズで花籠としても人気です。「四海波」には四方の波風が治まり平和でありますように、との願いが込められていますから現代の世の中にこそ必要な籠のひとつと言えそうです。これらの竹風鈴は、短冊をお好みのものにすることで雰囲気も変わります。暑くなりそうな今年の夏には、竹風鈴の心地よい音色に自然の風を感じていただきたいと思っています。
コメントする