2026年4月 4日の投稿

消えてゆく青竹温泉籠と、心意気の国産竹ざる

温泉籠


青竹で編まれる温泉籠

温泉籠とか湯籠とか言われる手付きの丸籠が沢山編まれている時代がありました。それこそ定番となっていたので、店にはいつでも数十個単位で置かれているし、主な産地であった九州でもボクの行く先々には常に見かける、まさにありふれた日常の籠のひとつでした。真竹をそのまま編み込む素朴な味わいのある籠でした、不思議なものでお値段も手ごろだったのにも関わらず、職人がどんどん製造して豊富にあった頃には実は特別に人気があった訳ではありませんでした。


ところが、手の早い熟練の職人さんが少なくなってきます。職人さんが高齢化すると、大きな竹を伐ったり割ったりする力仕事が大変なので大きなサイズから製造できなくなるのが常ですが、この温泉籠も大きな籠が編めなくなりました。幸い旅館やホテルなどで使われている籠は大中小と三種類あるなかの一番小さなものでした。たま、可愛いサイズ感が竹に馴染のない若い世代にも受け入れられやすかったようで、小ぶりな籠はすぐ売り切れになる人気でした。


温泉籠


青物細工の難しさ

とうとう小さい籠も編む人がいなくなり、長く編まれ続けた伝統の灯がひとつ消えて行くことになりました。そこで、不思議に思われる方もいるのではないでしょうか?売り切れるほど人気の籠なら、誰か若い職人さんが後を継いで製作を続ければいいのではないか。その通りなのです、けれど、問題は同じ品質のものを同じ価格で作り続けることは難しいのが現状です。青竹をそのまま使う竹細工は青物細工と言いますけれど、生活の道具ですし、いわゆる荒物のようなイメージがあり価格を上げられない部分があります。




温泉籠の職人動画

思えば、この古老の職人さんの姿もよく動画に残しておいたと思います。全国の若手職人さんが竹虎の動画を参考にしてくださっているとお声をいただきますが、是非このような先人の技を見て自分のものにしてください。動画には、いろいろな情報が隠されているので、普通の人には見えないものが、きっとあると思っています。


四ツ目編み竹ざる、竹虎四代目(山岸義浩)


心意気で編む国産竹ざる

さて、そういう意味ではボクたちの製造している国産竹ざるはどうでしょうか。青物細工の最たるもので、品質は異なるものの同じようなものは沢山輸入もされています。けれど、竹ざるって、皆様が竹細工と言えば、まず思い出すものの一つです。これだけ日本人の生活の中で役立ち、愛されてきた「竹」がすべてなくなるのは忍びありません。さらに、安心・安全なものをお使いいただきたいというお客様からのお声が、少ないとは言えあることを知ってますから、長く竹屋をしているボクたちとしてお応えしたいという思いがあります。しかも竹どころ高知の伝統的な孟宗竹を使う「サツマ」と呼ばれてきた竹文化があるのなら、自分の力の及ぶ限りは守り繋いでいきたいという心意気だけで製造しています。



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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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