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![]() 竹の工場に足をふみいれたら、そこは見上げるくらいの竹、竹、竹でした。 奥のほうから、あちらから、こちらから聞こえてくる、 竹を切る音 竹を割る音 機械のまわる音 裸電球で照らされた薄暗い構内を進むと、竹を肩にかついで運びこむ数人のはちまき姿の職人さん。 一束、また一束とトラックから竹をおろすたびに、少し湿った竹の葉が、パサーッ、、、ヒラヒラと舞っています。 その竹の葉から あっ…、甘い香り ボクはこの竹の香りが大好きだったんです。 | ![]() |
![]() | 右に少し曲がった所には竹を横倒しにして山のように積み上げられた一角があり、そこに大好きな祖父がいました。 「ヨシヒロ、来てるんか?気ぃつけなあかんで」 じっとご主人様の仕事が終わるのを待っている愛犬のアトマも地面をするように尻尾を少しだけ振ります。 川に突き出すように作られたその作業場では、竹を色々な長さに切断する仕事をしていました。 明るい日差しと心地よい風が吹きこんでくるたび、いつも竹のほのかな甘い香りがする、自分の家族の働く工場の香り。 生まれた時からずっとある香りだと思っていました。 「ヨシヒロちゃんが来ちゅう」 口々に笑いかけてくれる、ほおかぶりしたおばちゃんたち。 「お菓子いらんかね」 色落ちしてボロボロになった前かけにも、指先に穴があきそうな軍手にも、竹の粉やら細い繊維やらがいっぱい。 手ぬぐいで汗をぬぐうそのおばちゃんたちの後には、色々な太さの竹が、長いもの、短いもの、様々なサイズに切り揃えられて束になり、天井近くまでうず高く積み上げられています。 |
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