虎竹の里も梅雨入りしました。

踏み竹の天日干し


平年より5日、去年より26日早く高知県が梅雨入りしました。そういえば去年は梅雨入りが遅く、明けるのも遅かった分、夏が長く秋が短かったような記憶があります。梅雨という時期は正直あまり好きではありませんが、1年の中でも大変印象深い時期ではあります。


梅雨時は2年前の西日本豪雨が記憶に新しいように、水害の多い時期でもあります。雨が続き、川の水量が多い時にまとまって雨が降ると、川の氾濫が起きやすくなります。消防団に所属しているのでこの時期に激しい雨が続くときには、いつも須崎市を流れる新荘川の水位をネットで確認し、水防団待機水位まであとどれくらいかを確認したり、虎竹の里を流れる川の氾濫しやすい場所を見て回ることが日課となります。


そして湿気の多いこの時期に一番気になるのが、竹材のカビです。竹はもともと水分を持っていますし、湿気も吸いやすいように思います。カビの生えやすい商品にはいつも気を配っています。梅雨時の晴れ間にはこうやって、まだ乾燥しきっていない踏み竹などは天日干ししています。


竹の害にはカビと虫がありますが、それでもいつも使っていると早期発見できて、対処することが可能です。カビはすぐ拭けば取れますし、虫は熱湯消毒してもらえれば小さな穴が開くだけで、使用には全く問題ありません。竹製品はいつもそばに置いて、使ってもらうことが長く使っていける秘訣だと思うのです。

虎竹葉の香り

虎竹葉


日本唯一の虎斑竹の葉をお茶にするための竹の葉摘みが竹虎工場内で行われています。毎朝出勤すると、事務所のパソコンを立ち上げ、ブラインドを開けてから神棚に手を合わせます。そのあと竹虎工場を開けるために工場内に入るのですが、最近の工場内は空気が違います。


山に入った時や竹の伐採時に竹葉の香りは嗅ぎますし、自分にとってはそう珍しい香りではないのですが、伐り出されたばかりの虎竹葉がトラックいっぱいに積み込まれた工場内は虎竹葉の香りが充満しているのです。


晴れた日には事務所から工場に入った途端、工場の上部の光取りから注ぐ朝日の光に照らされた青々とした葉っぱの色と、その虎竹の葉の濃い香りに毎回なんともいえない気持ちよさと感動が味わえます。やはり竹は山に生えているときが一番きれいだと思うし、葉の香りも自然の香りに勝るものはないと感じます。


この香りを少しでもお茶にしてお伝えできればいいなと願うと共に、工場を開ける前の竹の葉の充満した香りが毎朝の楽しみになっているのです。

虎竹茶摘み

竹炭


竹の伐採時期は秋から冬にかけてとされており、今は伐採の時期ではありませんが、虎竹茶用の虎竹の葉っぱを取るために竹林の整理を兼ねての伐採をしています。


温暖化の影響とも言われていますが、竹林の色付きの悪い虎竹の割合が多くなってきています。虎斑竹特有の模様が出てはいますが、ほんの一部であったり、薄くしか出ていないものなど虎斑竹として使えないような竹を選んでの伐採です。竹を間引き、竹と竹の間隔を開けて太陽光をしっかり竹林にいれてあげることは虎斑竹の色付きにはとてもいいことです。


それと同時に立ち枯れている竹や雑草や小さな木を整理していきます。竹は成長力が非常に強いので、タケノコから3ヵ月で親竹と同じ大きさに成長します。でもその成長段階で立ち枯れの竹や小さな木と接触すると、それが竹の傷になります。荒れた山ではせっかく綺麗な色が付いている竹に立ち枯れ竹に擦ったと思われる傷があるのを見かけて残念に思うことがよくあります。


竹の色付きのためにも、傷防止のためにも山の整理は大変重要なことですし、次の伐採時に山に入りやすくしておくということも重要です。この取ってきたばかりの青々とした虎竹の葉っぱを今度は手摘みで取っていきます。おいしい虎竹茶になればいいなと作業をしながら楽しみに思うのです。

仕事の楽しみ

竹炭


竹虎工場の仕事は3K の部類に入り、今の若い方には敬遠されがちな職種であるという人がいます。「きつい」「きたない」「きけん」のローマ字の頭文字を取っているのですが、幸いなことに自分はそう思ったことが入社した当時から一度もありません。


山での竹の積み下ろしや、真夏の暑い中での火を使った油抜きなどしんどいと思ったことはあるのですが、肉体労働はしんどいですし、夏の工場内で火を使えば暑いのは当たり前のことで、それを黙々とこなしている先輩職人さんをいつも見てきたからです。しんどいのは自分が弱いからだといつも思って仕事をしてきました。


とはいえ、その感覚は人それぞれですし、今の若い人には尚更わからないことのようにも思います。最近は山に入ることが多くなり、しばらく入らなかった山の整理も多くなりました。若い職人たちにはその作業が大変だとしか感じていないようです。これでは能率も上るわけがありませんし、やりがいや楽しさをもっと伝えていかなければと思っています。


確かに急斜面の山に入り、まだまだ暑さの残る時期に蚊などの虫に悩まされながら下草を刈ったり枯れた竹を切り倒していく作業は大変です。でも綺麗になった山を見るのは達成感がありますし、また来年以降のその山からどんな竹が生えてくるのか考えれば、大変なほど楽しみと期待も大きいのです。


工場での仕事は朝から同じ仕事を黙々とこなしていくことも多いです。その中でいつも言っていることは時間を物差しにして欲しいということです。綺麗に良いものを作るのは職人として当たり前ですが、自分の上達が一番わかりやすいものが時間だからです。


作業の内容によりますが、自分は決められた作業ではいつも時間との戦いをして、勝った負けたと一喜一憂しながら毎日の仕事をしていました。誰よりも早く、うまくという目標だけがその時の楽しみだったように思います。


そういう風に考えると楽しいよと若い職人に何度となく伝えては来
ましたが、なかなか伝わっていないようです。人それぞれ考え方も違いますし、楽しみ方も違います。まだまだ伝え方が悪いのかも知れまん。


でもこうやって炭の選別をずっとやる作業の中でも、時間との戦いや、選別の精度を上げることや、お客様のところに届いてしっかり調湿や匂いを取ってくれるか、喜んでもらえるか、など考えることはたくさんあり、その中で楽しみを何か見つけて喜んで仕事ができればずっと成長できるし、本人も楽しく仕事ができると思うのです。

うらすき

うらすき


虎竹買い物かごの巻き縁用ヒゴを取りました。籠の縁部分の仕舞にはピクニックバスケットのような釘止め当て縁や当て縁など、いろいろな方法がありますが、竹ヒゴや籐を巻き付けて仕舞うのを巻き縁と呼びます。巻き縁にも普通の巻き縁や返し巻き縁、透かし巻き縁、千段巻き縁など、いろいろな方法の巻き縁仕舞があります。


巻き縁はただ竹を巻き付けるだけの単純な手法だと思われがちです。しかし美しく巻くには竹ひごの厚さや幅のバランス、巻き回数など、しっかりと合わせていく必要があり、また巻き竹の節の部分が角に来てしまうと折れやすくなってしまうなど、自分には非常に難しいと感じる方法です。


虎竹はハチクの一種であるため、割り剥ぎはし易いのですが、真竹に比べると固い性質なので、できるだけ柔らかそうな竹を選んで巻き縁の材料とします。柔らかそうな竹の判断基準は明確ではありませんが、模様や質感など、虎竹を扱っている者であれば経験である程度はわかります。


その竹を割り剥ぎし、幅を揃えて面取りした後にうらすきで厚みを揃えていきます。銑台と呼ばれる台座に刃物を取り付け、その下に薄く剥いだ竹を挟み込みます。その竹の厚みがこれから取るヒゴの厚みになるように刃物を食い込ませながら、銑台と刃物の隙間を調整してからヒゴの裏側を削り取って厚みを揃えます。


竹細工の刃物は切り出しナイフ以外は一般的に切れすぎはよくないとされています。あまり切れすぎると刃先が竹に食い込んでヒゴが切れてしまうこともあるからです。うらすき銑の刃物も同様で、少しだけ切れにくくしてあるので、立てる刃物の角度で切れ味を調整しています。


しかしこのうらすき作業だけでは微妙な厚さ加減が出しにくく、最後は竹割り包丁や切り出しナイフで裏をしごきながら厚さを調整しないと自分では最適なヒゴ作りが出来ません。作ろうとする籠に最適なヒゴを取る難しさと大切さを改めて感じたうらすきとなりました。

虎竹の運び出しもそろそろ終わりです。

虎竹


昨秋から始まった虎竹の伐採も伐採期限の1月までで終わりました。それまでに倒していた虎竹の枝を払い、山から降ろして来る作業もそろそろ終わりです。


この山は切り子さんに伐ってもらっている山なのですが、竹を運び出す運搬機が故障してしまい、少し時間がかかっているようです。とはいえ、山の中でこうして倒している分には日差しで竹が焼けることも少なく、品質的には全く問題はありません。


自分たちで伐った虎竹はもう山から運び出し、竹虎工場内で各サイズに切断し、工場内に立てかけられています。これからは油抜きや矯正作業をして虎竹の製品にしていきます。


思うような色付きの竹が少なかったり、大きさもまちまちで欲しいサイズの竹ばかりというわけにもいきませんが、そこは自然を相手にしている仕事なので仕方のないことです。こうして苦労して山から運び出してきた竹を、これからは大事に、上手に生かしていく作業に入っていくのです。

別注スリッパ

黒竹


身体のゆがみやいろいろな原因で左右の足の長さが多少違うということはよく聞きますし、実際整体などに行くと自分の足の長さもゆがみでずれており、治してもらったことも何度かあります。それでも明らかに左右の長さが違い、左右高さの違う履物を履かれている方もいるようです。


そんな方から竹皮スリッパの片方だけ高くできないか?というお問合せをいただき、何度か作ったことはありますが、今回はそういう理由ではなく、雨の日に少しでも水がかからないように履きたいので、両方を高くしたいというご要望でした。


厚底スリッパ用のスポンジを背中合わせに2枚貼り合わせ、片方の地面につく部分を平らに削って、そこに竹皮草履を貼り付けます。貼り合わせたときは貼り合わせ部分がはっきりとわかる感じでしたが、草履部分からはみ出たスポンジを削ると、貼り合わせ部分も目立たなくなりました。


別誂えということでお値段も少し高くはなりますが、それでもこの竹皮草履の気持ちよさを分かってくださり、自分の好みにしてまで履きたいと思ってもらえることは、とても嬉しいことなのです。

黒竹切断

黒竹


伐採した黒竹を竹虎工場に持ち帰っての切断です。大きさや竹の伸びなどを見ながら4mや2mなどの規格の長さに切断します。その後、枝を払ったあとの節部分を目打ちして取り除きます。そして油抜きをし、矯正作業で真っすぐにして、黒竹の製品にしていきます。


その規格の長さに切断した黒竹の先の末竹を、今度はまたいろんな用途に合わせて切断していきます。虎竹縁台の腰かける部分用の竹や袖垣の黒竹張の部分に使用する竹、枝折戸の横部分に使う竹など様々な用途に、これも大きさや伸び具合などを見ながらの切断になります。


伐り出してきた竹を、その竹を見ながらいろいろな用途に切り分けていくこの切断作業を、竹虎工場で一番大事な作業だと常々思っています。1本1本違う竹を、最適な用途に切り分けていくには経験と竹を見る目、そして工場内の仕事がわかっていなければできない作業です。


今の竹虎でこの椅子に座れるのは工場長とこの若い職人だけです。ちょっとした竹の大きさの違いなどで出来上がる商品の見え方が違ってくることや、何が今、一番竹虎工場で欲しい材料となるのかなど、まだまだ気づかない部分もありますが、この作業の大切さは本人もよくわかっています。


このあとの油抜きや矯正作業、そして商品作りを通して、自分が切断した仕事の是非がわかります。いろんな作業をしていくことで、見えてくることもたくさんあります。そういうことに気づいていって欲しいから、この大事な作業を若い職人に任せているのです。

黒竹伐採

竹林


日本唯一の虎斑竹の生産地である高知県須崎市安和にある竹虎は虎竹を主に扱っていますが、黒竹も扱っています。黒竹の二大生産地の一つである中土佐町は隣町であり、昔から黒竹の組合があり、最盛期は何十万本もの黒竹を生産していました。


黒竹は名前の通り黒っぽい竹で、昔から室内の装飾用や庭に植えたり、鉢植えにしたりと、その竹の美しさから虎斑竹と同じような用途で使われることが多いようです。また新竹は緑色ですが、1~2年目からだんだんと色が付いてくるのも同じです。


虎斑竹に比べると柔らかく、粘りがあるので、竹細工に使いたい方が多いのですが、大きさが直径2~3cmくらいのものが多く、節間も短いため。割り剥ぎをしてヒゴを作るのにはあまり向いていません。やはり黒竹は丸のまま使うことが多く、竹虎では黒竹すのこや虎竹縁台の座面部分、黒竹箒など、さまざまなものに使っています。


黒竹も虎斑竹と同じで、伐採する切り子さんの高齢化などにより、伐採する人が減っており、数年前から自分たちでも山に入って伐採をしています。色の付き方が虎斑竹と同じ感じなので、色付きや竹の年齢などを見ながらの伐採ですが、黒竹の方が細く、長さも短いために数段扱いやすいと感じます。


とはいえ細いためにかなり伐ったと思っても、束にすると思ったより少なく、トラック一車伐るとなるとかなりの本数を伐ることになり、枝打ちも含めるとかなりの時間を要します。


以前は切り子さんが出してきてくれた黒竹でしたが、自分たちでやることで伐採の苦労やありがたさがよくわかります。以前よりもさらに思いの詰まった竹たちを、大事に製竹し、商品にして、虎竹の里から送り出していきたいと思うのです。

新竹の油抜き

虎斑竹


虎竹の伐採シーズン真っ最中です。伐り出された虎竹の入荷も少しづつではありますが始まっています。温暖化による色の付き具合の悪さも心配していましたが、整備された虎竹の山からは綺麗な虎竹が出てきており、とりあえずホッとしているところです。


伐り出された虎竹はトラックに積み込んで竹虎工場に運び込まれます。それを色付きや大きさや曲がり具合などを見ながら規格の長さにカットし、選別します。竹細工用の虎竹はできるだけ真っすぐで素直に伸びている竹を選びます。また割って剥いで編むために、当然竹の品質の良い物を選んでいます。


虎斑竹


それを窯で油抜きをします。虎竹は表面にロウ状の白っぽい汚れが付いているため、それをガスバーナーの窯で焙り、竹の中からも油を噴出させ、油をウエスで拭き取ります。綺麗にするのはもちろんですが、そうして竹の油を抜くことで変色や虫の害から竹を守ることにもつながります。


この綺麗になった虎竹は竹細工職人さんのところに行きます。この竹がまた素敵な竹細工となって帰ってくるのが楽しみになった新竹の油抜きとなりました。