焼坂の整備

山,道づくり


虎竹の伐採シーズンに合わせて、焼坂の山道整備を行いました。今年は集中豪雨が多く、また短時間に集中して雨が降ることが多かったために谷を流れる水が山道に溢れた箇所もあり、例年以上に山道が荒れたと感じます。


イノシシや鹿などがエサを求めて山の斜面や山道を掘り返しているのも、もう一つの原因としてあるように思います。山の斜面から土が落ち、道は掘り返されて所々盛り上がっています。そのため踏み固められた道が柔らかくなり、山道を流れる水で掘れていきます。


困ったことではありますが、この山にこうして車の通れる道があることだけでもありがたいことで、おかげで山の頂上付近までトラックを乗り入れられ、虎竹を伐採し、運び出せることができます。車の乗り入れのできない遠い山からはワイヤーを張って、そのワイヤーを伝って竹を下ろしていた時期もありました。


一般の道路は綺麗に舗装されており、どこにでも車で行くことができるのが当たり前のように思っています。しかしそれは誰かが整備し、管理してくれているおかげでもあります。道が悪くなったとはいえ、そこに道があることに感謝し、大事に整備をしながら、この山道を大切に使っていきたいと思うのです。

イメージ共有の難しさ

別注,竹細工


竹虎の販売している商品の他に、こんな物ができませんか?といろんな形や大きさの竹製品のお問合せをいただきます。それは大変ありがたいことで、竹虎ならできるかもしれないとお客様に思っていただいているからこそ、お問合せをいただけると思っています。


インターネットが普及して、誰でもこんな高知の田舎の竹屋を知っていただける機会も増えたおかげでもありますが、反面近くにあった竹屋さんや職人さんが少なくなり、相談できるところがなくなってしまったこともあるのではないかと寂しい気がします。


日本の竹文化や長く育まれた伝統の技を守り、継承させていく事を使命としている竹虎として、できるだけその期待に応えていきたいと思います。ただ、写真や図面などでは伝わらないイメージや、柔らかさや硬さ、使用状況による使いやすさや耐久性など、細かい部分でのお客様とのイメージのズレがどうしても出てしまいがちです。


また初めて作る商品には試作や試行錯誤もあり、どうしても製作には手間がかかるため割高になり、お値段の部分でもお客様の思いとは離れた物になってしまうことも多いため、製作を簡単に受けることができず、時にはお断りをさせてもらったり、製作できてもどうしても慎重にならざるを得ないのです。


今回は照明に組み込む虎竹の六つ目編みを製作させてもらいました。六角形の形の照明で、六つある20cm四方の枠にこの六つ目編みと和紙をはめ込んだ照明を製作されるようです。


イメージ作りのために残っていた4mm幅のヒゴで編んでみました。お客様のイメージとは少し違うようでしたので、ヒゴ幅を1mm落として3mm幅のヒゴで編みました。ほんの1mmの違いですが、出来上がりイメージは全く違います。


出来ることと出来ないことがありますが、お客様の思いをよく聞き、理解し、お客様と製作側のイメージの溝を少しでも埋めながら、別注商品は作らせていただいているのです。

別注竹輪

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別注の焼板木戸を製作しました。ヒジツボで固定すると風情のある取り付けになるのですが、少し大きめの焼板木戸は重量もあることから、取り付けは丁番金具をお勧めしています。丁番で固定するには固定する柱が角柱でなければ固定しづらいですが、ヒジツボでは重さで釘が抜けてきて、次第に木戸が垂れてくるためです。


もう一方の開け閉めする方には簡易の鍵にもなる取っ手がついているものもありますが、こちらも金具で固定する方がしっかり固定できることから、金具で止められる方が多いようです。


しかし今回のお客様は竹輪での固定を希望されており、また止めるほうの柱が大きいこともあり、別誂えで竹輪を製作しました。直径22cmほどの竹輪ですが5回巻きつけて作るため、製作には余分も入れて4mほどの長さの竹が必要になってきます。


5mmほどの幅のヒゴ1本あればいいのですが、そのヒゴを作るにも1本の竹を割らなければいけません。また竹輪の大きさによってヒゴ幅や厚みを変えなければ綺麗な竹輪にならず、編んでみて綺麗にいかない場合、また幅や厚みを変えて製作します。


また竹輪は竹の張りを利用してがっちりと固定された竹輪になります。薄いヒゴにすれば編みやすく失敗もありませんが、張りの無い柔らかく解けやすい竹輪となります。適度に張りを持たせながら編める幅と厚みがあり、またそれに耐えうる材料の竹の選別も必要です。


このように竹輪一つとっても別注の商品は作ってみないとわからないことが多く、そこには自然素材を使って手作りで作るがゆえの難しさがあります。たった1本のヒゴから作る竹輪一つですが、製作には1本の竹を必要とし、そこには職人の経験と技術が詰まっているのです。