寒さが来ん、色が来ん

2015年11月26日

寒さが来ん、色が来ん


今年も虎竹の伐採の時期がやってきました。温暖化の影響なのか、年々暖かくなってきたと言われますが、今年はまた余計に暖かいように思います。


例年ですと虎斑竹は10月ころからだんだんと山に入り始め、山道の草を刈ることから始め、竹を切り、枝を落としてから束にして、ある程度の量になったらまとめて山から下してきます。11月も終わりに近づいているこの頃にはもう何台か虎竹が出始めていないといけない時期です。


虎竹になぜ虎模様の色がつくのか、はっきりとはわかっていません。また虎竹の山は全部が虎模様のできた竹ばかりと思われている方も多いようですが、その割合は2~3割程度です。あとは色がほんの少しある竹や、まったく色の無い普通のハチクです。


虎竹は生えてきた時は青々とした竹なのですが、だんだんと虎模様がついてきます。その色がついてくる要素の一つとしてて寒さがあります。霜がおりて、ぐっと寒くなったころからだんだんと色がついてくるようなのです。


ですから以前からこの虎竹の里では寒さを待っているところがあります。切り子さんが山に入るタイミングもこの寒さに影響されることが大いにあります。「まだ山に入らん?」との問いかけに、「こんなに温いも」と返ってきます。寒いのは嫌いですが、毎年冬の寒さを心待ちにしているのです。












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いろんな山

2015年11月12日

竹林


先日の夜、消防から、お遍路さんが焼坂の山で行方不明になったので、山を案内してもらうかもしれんと連絡がありました。幸いにして、まもなく発見されて事なきを得ましたが、そういえばあのおんちゃんが亡くなった時もこんな時期のこんな感じやったなーと思い返しました。


7年前の11月の神祭の前夜祭の仕込みの晩でした。山の切り子さんの家族から切り子さんが夜になっても戻らないので、探してほしいと電話がありました。山といってもあちこちにあり、どの山のどの場所で切っているかがまずわからないからです。


息子さんが先に出たと言うことで、息子さんにだいたいの場所を教えて追いかけました。夜の山は思った以上に真っ暗です。月明かりがあっても、木々にさえぎられて見えません。またその山は下から細い山道を20~25分ほど歩いていかねばならず、その上そこまでの山道には3か所ほどの分かれ道があります。


人ひとり通れるだけの山道ですし、当然標識などありません。間違ったほうに進めば全く違う山伝いに行くようになり、その場所には行けません。知り合いの人たちがぞくぞく捜索に山に入ってきてもその場所に来れる人がいないと思い、地元の消防団に出てもらうことにしました。


スピードを要していましたし、消防団に所属していましたので、直接団員を集めて、上司を残して山に上がり、その真っ暗い山道の分岐点に明かりを持って立ってもらいました。そのおかげで誰も迷うことなく、山の上のその切り子さんが切っていた場所にたどりつけたと思っています。


見つけた時にはもう亡くなっていました。寒い山の上で何もできずに警察や消防の救急隊員を待った時間が本当に長く感じられて仕方なかった。検分があるとのことで触ることもできず、何もかけてやることができなかったのは今でも悔やまれてなりません。


その横たわった姿も忘れられませんが、もう一つ忘れられない出来事がありました。下から20分の急な山道です。消防署員や警察の方たちは息を切らせて、それこそ這うように上がって来ていました。本当にそんな急な山道ですので無理もありません。


検分が終わり、亡くなったなった切り子さんを運ぶのにソリが必要になったのですが、携帯の電波が届かず、誰かが取りに下りることになりました。その時に同じ切り子をしている人が「俺がいてきちゃお」と言って、長い道のりを下りていってくれて、涼しい顔でソリをもって上がって来てくれたのです。


その時の光景は本当に今でもはっきりと思い出せます。山でこうして竹を切ることは本当に大変なことだと、この仕事をしている人の底力を見せつけられたように感じました。本当にあの人たちにはどう頑張ってもかないません。


そんなすごい人たちに支えられ、大変な仕事をしてもらっている人がいるおかげで、こうして竹虎も商売ができていることを本当に心強く思い、またありがたく思ったことでした。


勝手に団員を動かし、山に入れたので、2次遭難にもなりかねなかったと、後日消防のおえらいさんが怒っていたということを聞きました。一人真っ暗い山道の分岐で立たされて怖くてたまらんかったと団員にも言われました。何もなかったことが今となっては本当に良かったと思いますし、その時の仲間の団員の働きに感謝もし、誇らしくも思ったことでした。


その場所にはたまにですがお線香を供えに行きます。飲み屋で会えば「りゅーちゃん、まー飲みや」といっていつも生ビールをおごってくれていた切り子さんの山。虎竹の色付きはそうでもなかったけれど、あれほど綺麗な山はなかった。それほど山が好きな人で、いつも入っては整備していた山です。


マイカ線が結ばれた虎竹


こうしてマイカ線が結ばれた虎竹。あのおんちゃんが結んだに違いありません。なにをするのに結んだろう。お弁当でも結んでぶらくっていたのかなと思うだけで、少し近くに行けた気がします。


虎竹の山といっても、この小さな地域のいろんな場所に点在しています。同じ虎竹の山でも場所や向き、切り方などで全く違った竹が生えています。そしてその山には山主さんがいて、切り子さんがいます。山を思い浮かべるとその人が浮かんできます。


虎竹を大切にする以上に、自分たちには到底できないことをやっている虎竹の山にいる人たちを本当に尊敬する気持ちをいつも持って、大切にしていける竹虎になっていきたいと思うのです。












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