竹皮スリッパの底張り作業

竹皮スリッパ


竹の皮は、まっこと素晴らしい素材ぞね。昔の人はすごいですちや、竹皮の抗菌性を研究した訳ではないろうけんど、ずっと食品の包材として多用してきた事からも分かるように竹皮の力を知り抜いちょったようです。


昔と言うたちそんな前の事ではないがぜよ。自分の小さい頃には、まだまだお肉屋さんでは天然の竹皮を使うところも残っちょりました。自然素材は、だいたい湿気には弱いですけんど、比較的水気にも強いし、丈夫という事でお弁当箱代わりにもされてきたがです。そうですちや、テレビの時代劇などで竹皮にオニギリを入れちゅうのを思い出された方もいるのではないですろうか?


毎年、毎年、ドンドン竹は生えてきます。木のように植林する事もなく人の手を借りずとも地下茎で皆とつながって筍を出し、雨がふって水分が十分やったらなんと一日に120センチも伸びる事のある成長力のある竹。そして、天をめざして高くなるごとに、竹皮は一枚、また一枚と剥がれ落ちていくがです。その頃になったら職人さんは毎日のように竹林に通います。剥がれ落ちた、その竹皮を拾い集めて来るがですきに。


今、日本の竹林は、ほとんど大部分が活用されず、「放置竹林」という、あまり名誉と思えない呼ばれ方をしよります。そんな竹林で竹皮も、ほとんどが誰にも使われる事なく、誰のお役に立つ事もなく竹林に落ちたままになっちゅうがです。限りある資源は大切に使うていくべきなのに、こじゃんと(とても)、もったいない事。竹達にとっても、せっかくの自分たちの資源は人様の役にたち、人様に喜んでもらいたいと願うちゅうがです。


なので、竹虎ではこの地元の竹皮で編まれた竹皮草履を都会の皆さんに是非とも履いていただきたいと思うちゅうがぞね。国産でこんなにエイ、室内履きのものがある事を、フローリングに最高の履き物だという事を一人でも多くの方に知っていただきたいがです。


この作りかけちゃある竹皮スリッパもそうぞね。EVAスポンジ底を張り付けて外履き用に製造しよります。角の余った部分を切り取ってから、綺麗に削りだしたら完成。グラインダーに竹皮を当てることなく、スポンジだけを削らんとイカンきに、気がぬけない作業やき。けんど、熟練の職人が一生懸命に加工した完成品を見たら。これが本当に何かで削ったがやろうか?そんな風に思うてしまうほど、綺麗に仕上げられちゅうぜよ。


高温多湿の日本には、サラリとした涼しい履き心地がまっこと最適な竹皮スリッパは、夏のシーズンにむけて今から頑張って作っていきゆうがです。汗ばむ季節に、清々しい竹林の風に吹かれるような、気持ちのよい笑顔を思い浮かべながら竹工場の作業は続くがです。


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