竹虎創業125周年の今年も本日限り

竹虎四代目(山岸義浩)


2019年もいよいよ本日限りとなりました。今年は竹虎創業125周年の節目になる年でした、こうして長く続けてこられたのはご愛顧いただきますお客様と支えてくれている全ての皆様のお陰。そして、大自然の生んだ奇跡とも言うような日本唯一の虎竹のお陰です。


虎竹の里


虎竹の里はわすが700人が暮らす小さな集落、正面に見える虎竹の故郷である焼坂の山々が静かな村をいつも見守ってくれています。


日本唯一の虎竹林


竹林に入って見える白っぽい竹たちが虎竹です。淡竹の仲間の虎竹を山で見るとこのように粉がふいたように見えます、皆様が竹製品になって手にする虎竹は全て職人の手によって引き出された美しさなのです。




昨日の30年ブログでは、ちょうど青竹の香りのお話しをさせてもらいました。竹の香りにはもう一つあって、それがこの油抜き加工をする時に出る甘く優しい香りで自分達が子供の頃から慣れ親しんだ心安らぐ香りなのです。


虎竹林


虎竹林の竹達は明るい陽射しを受けて青々と伸びています。


虎竹の里


今年の最後に、この竹達をこれからどう活かしていくのか。10月に多くの方の前で語った「虎竹の里まほろば計画」を思い出しています。




青竹の香り

真竹四つ目籠、めかい


前回の30年ブログで孟宗竹で編んだ四つ目籠のお話しをさせてもらいましたが、日本全国で同じような形の籠は需要がありましたから真竹や淡竹、あるいは根曲竹、篠竹、スズ竹などでも編まれてきました。手にしているのは「目籠(メカイ)」と呼ばれる四つ目籠は真竹で作られています。孟宗に比べると持った時の感触にも弾力があって柔らかい印象を受けますけれど弱い訳ではありません。


真竹、苦竹


真竹特有のしなりがあり重たい物を入れても上手く籠全体で支えあうので高い耐久性を誇ります。このメカイには口部分に返しがあって中から物が飛び出すのを防ぐというスグレモノです。


虎竹新竹


「木六竹八」という言葉があって、竹は旧暦の8月頃が伐採時期という意味です。新暦で言いますと8月下旬から10月上旬ごろに当たっていて虎竹の伐採も10月から11月にかけて始まっていますので竹虎の工場には今年の新竹が入って来て活気づいていてきました。


竹ざる


同じように真竹も伐採したばかりの新竹を使って籠やざるが一番鮮やかに見える季節です。青縁巻も美しいワクワクするような今では珍しい4枚組のざるが編み上がってきました。


青竹の香り


こちらには今年最後の新製品、3本の小さな竹節の足がポイントの真竹茶櫃籠もあります。それにしても青竹の瑞々しい香り...大好きです。


孟宗竹で編まれた四つ目籠

四ツ目籠


何の変哲もない何処かで見た事のあるような四ツ目編みされた竹籠です。黙っていたらそのまま行き過ぎてしまいそうな四つ目籠、自分も見慣れてしまっているので数年前までは普通のように思っていました。ところが昔ながらの竹材で、昔と同じように編み続けていた籠が気がつけば結構レアな竹細工になっています。


孟宗竹


ここに伐採されているのはご覧のとおり直径も太く身の厚い孟宗竹です。竹虎では袖垣の芯材として使いますので、このように山出ししていますが現在では孟宗竹は竹炭として焼かれる他ほとんど使われる事がありません。孟宗竹は真竹などに比べて太く重量もあり、割るにしても剥ぐにしても硬くて使いづらく竹細工には不向きとされているのです。


四ツ目籠


ところがその反面、孟宗竹を好んで使う古老の職人がいるのです。ひとつは高知の場合には身近に良質の真竹がなかったのかも知れません。ずっと質より量の時代でしたので太い孟宗竹が素材として選ばれていたのです。それと、もうひとつは強さです、農家や家庭の道具として使われていた竹編みは耐久性が一番に求められていました。




孟宗竹で編んでいる?聞いたら驚く職人もいるかも知れません。他では見られなくなりつつある竹細工、この竹ざるも縁には孟宗竹を使って丈夫に仕上げられます。


男竹、女竹、竹の不思議

孟宗竹、女竹


にも男、女があることをご存知でしたでしょうか?実は俗説なので科学的な何かがあるわけではありませんが、稈の一番下から伸びる枝が一本だったら男、二本なら女竹と言われています。ある筍職人さんは女竹の方が柔らかく美味しい筍だとも話しますし、男竹の根を移植しても筍が出ないこともあるようです。


孟宗竹


まあいずれも昔から言い伝えのように言われて来た類のものでもあって真偽は定かではありません。ただ、それれだけ日本人と竹が身近で親密な関係であった事、深い関心をもって日々見ていたという事は間違いないのです。


筍から竹へ


食べ物が豊富で医学も発達していてる現代人と違い、昔の人々は竹の不思議な生命力に憧れ畏敬の念を抱いていたと思います。毎年季節になれば誰の力も借りずノョキノョキと生えてくる筍、それがわすが3か月で20数メートルの高さにまで伸びていきます。その成長力には神秘的な何かをずっと感じていたからこそ日本国内だけでも合計で869カ所とも言われる様々な祭事や神事に竹が多用されることに繋がっているのでしょう。


雪の竹林、竹虎四代目(山岸義浩)


雪の多い地方の孟宗竹は四国や九州のものに比べて小振りですが厳しい自然に鍛えられた強さを感じます。実際、寒い地方の竹は粘りやしなりがあり良質なものが育つのです。


雪と孟宗竹


風雪の重みにじっと耐えながら青々とした緑をたたえる竹を古人はどんな思いで見ていたのでしょうか?竹が縁起の良い「松竹梅」と言われるようになったのは、きっと竹のこの溢れんばかりの強靭な生命力からではないかと考えています。


孟宗竹葉


小鳥たちが遊ぶ竹林に心地のよい風が吹き抜けていきます。揺れる竹葉は昔から変わることなく青く、見ている自分は安らいで爽やかさに包まれています。




※竹材の有効活用を「バンブーロス解消へ、驚異の除湿力の竹炭活用」として2022年5月21日の30年ブログにも掲載しています。驚異の竹炭の除湿効果の動画も併せてご覧ください。


竹二段重箱の仕切り板、別売りはじめました。

お節料理、竹二段重箱


クリスマスも終わって、いよいよ今年も終わりに近づいてくるとお正月のお節が気にかかります。リニューアルした竹二段重箱には井型と十文字があってそれぞれお使いの皆様によって選んでいだたけるようになっています。


お節料理、竹二段重箱、弁当箱


井型の場合には盛り付けの前にはこんな感じです、竹集成材の模様が美しく見えています。こうやって見ているとお料理好きの方などは何をどうやって盛り付けようか少しワクワクされるのではないでしょうか?


井型仕切り、お節料理、竹二段重箱


食材を多彩に考える場合には井型仕切りは便利です。


井型仕切り、お節料理、竹二段重箱


お届けの際にはこのような竹板となっていますので組み合わせるだけですが、お客様からこの竹板だけを別売りできないかとご要望をいただいておりました。井型を二つお使いになられたい方もおられれば、一段目と二段目でそれぞれ井型、十文字と組み合わせる方もおられます。


井型仕切り、お節料理、竹二段重箱


竹仕切り板だけのご用意はなかったのですが、思えばそれぞれのご愛用方法があり盛り付けも時々によって違いますので竹仕切り板が余分にあれば便利です。そこで竹仕切り板(井型)竹仕切り板(十文字)をそれぞれ単品でも販売させていただく事にしたのです。


お節料理、竹二段重箱、十文字仕切り


お節料理、竹二段重箱、十文字仕切り


松竹梅と言われますように縁起の良い竹の重箱で一年をはじめていただけるのは嬉しい事です。


竹サンタからのクリスマスプレゼント

魚籠


さて昨夜はクリスマスイブでした、皆さん素敵なプレゼントはいかがだったでしょうか。大人になっても12月のこの時期は何もないのにウキウキとしてしまいますが、特に今年は長い間待ち焦がれている大好きな贈り物が届きそうとあって楽しみにしていました。


魚籠、うなぎ籠


心待ちにしているのは、この特徴的な魚籠。魚籠の形はその地域の竹材にもよりますし、魚の種類によっても違います。この魚籠は首部分が狭くて胴体が張っている鰻用のもの、底に入れてある力竹の本数、竹の重なり、その下に見える四ツ目編みにしびれました。


魚籠


竹籠を編む場合、竹素材がすべて同じと思われている方がほとんどかと思います。ところが実際には太い骨竹などに丈夫な孟宗竹を使う場合もありますし、たとえばこの魚籠は細かい編みには淡竹を使い力竹には真竹、そして口巻部分には若くて柔らかい成育年数の違う竹を使います。


ただ、この籠にはたまたま適当な竹材をきらしていたのでしょうか、口巻には黒竹を使ってしまっていました。昔からの伝統の竹籠には少し似合いません、そこで新たに編んでもらう事にしたのです。


竹籠、魚籠


ずっと待っているのにはこのような理由がありました。首の長さに合った蓋の深さも気に入っています、仕上げも素晴らしい出来栄えです。


鰻籠、魚籠


イブには届かなかった魚籠、トナカイがぐずっているのかも知れません(笑)。年内にはウチに来るのだろうか?竹サンタ。


つくづく、竹はいいものです。

磨き楕円脱衣籠


虎竹や白竹で編むランドリーバスケットは、もともと竹表皮を薄く剥いだ「磨き」と呼ばれる竹ヒゴで作る伝統の脱衣籠を参考に作ったものなのです。今では編まれる事のなくなった円形の脱衣籠を遊び心で楕円にして家族で使っていたという籠に出会いました。


脱衣籠


40年前か、それとも50年前か愛用している記憶も定かでない籠は節部分などご覧いただくと良く分かるように竹表皮が薄く削られていて、磨き特有の深い飴色に変わっていて眺めていても飽きません。


磨き楕円脱衣籠


口巻が粗いのは若い頃に作ったからではありません、自分用に使うのでお客様用のように丁寧に仕上げていないのです。未熟な技で綺麗な仕事ができない職人とは全く異なる粗さはかえって魅力的に見えました。形の美しさにも心底魅了されて譲っていただいた籠、横に置いているだけで気持ちが豊かになってきます。


磨き楕円脱衣籠、竹虎四代目(山岸義浩)


ふと気づけば自分の回りは、こんな愛おしい竹籠に囲まれています。つくづく竹はいいものです。


KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」生中継

KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」、しんじょうくん、竹虎四代目


地元KUTVテレビ高知で毎日夕方5時15分から6時55分までの情報番組「情報パレット からふる」での生中継で取り上げていただける事になりました。須崎市にはゆるキャラとして全国的に人気となっております「しんじょう君」がいるのですが
、同じ「しんじょう」でも高知で活動を続けているお笑いコンビ熱燗ドラゴンの新城さんがレポーターとして来られました。


KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」、竹虎工場


せっかく工場で虎竹をご覧いただいていますので日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」で登場させていただきます。


KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」


新城さんのテンポの良い進行で虎竹の事を楽しくご紹介いただきながら店舗に移動、REIWA-125号をご紹介いただきます。


KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」


KUTVテレビ高知「情報パレット からふる」


今年の創業125周年を記念して製作しスペイン、東京と連戦しそれぞれ特別感謝賞、準優勝と思いがけない成績を残すことができたREIWA-125号。2019年はやはり、このボックスカートレースが一番大きな出来事だったようです。




続々・120年に一度のスズ竹開花

竹虎四代目、スズ竹開花


先週の30年ブログではスズ竹開花についてのお知らせをさせて頂きました。開花につきましては真竹や淡竹と同じように120年に一度と言われていますものの実は竹の生態には不明な点が多く正確なことはあまり分かってはいないのです。孟宗竹で60年周期という事例が確認された事がある程度で他の竹類について研究データがあるわけでも文献があるわけでもなく、ただ自然の神秘があるだけです。




もう動画はご覧いただきましたでしょうか?ハッキリした開花周期など詳しいことは分かっていなくとも、少なくとも現在仕事をされている80歳を超える職人の方々が始めての経験という一斉開花と枯れてしまった竹林の姿です。


スズ竹開花竹林


ただ、このように枯れてしまっているスズ竹の竹林が広がる一方、本当にわずかながら竹林が残っている地域もあるようです。


スズ竹四角小物籠


限定ながらスズ竹四角小物籠をご紹介させてもらっています。材料不足で大きな市場籠や行李は出来ない代わりに小振りな籠は少しだけ編む事が出来たのでした。


スズ竹四角小物籠


スズ竹四角小物籠


このような中で生まれる籠に少し希望を感じますが、やはり一日も早い竹林の復活が望まれる事に変わりありません。


温泉籠いっぱい

温泉籠、湯かご


温泉籠、湯籠とも呼ばれる青竹の籠は文字通り温泉用として編まれたものです。浴衣姿で片手にこの竹籠を提げて歩くお客様を温泉地で見かけた方もおられるかと思います。


真竹


材料となる真竹もちょうど今頃が伐採のシーズン、豊富にある竹の中から良質のものを選んで編むことができる籠にとっては良い季節なのです。


真竹籠


真竹を温泉籠のように竹素材のそのままに編むこともあれば、油抜きをした白竹(晒竹)にして籠にする事もあります。最近見て綺麗だと思ったのは壁に掛けられていた飴色になった籠、真っ白だった竹がこのなるので面白いものです。


土佐網代手提げ籠バッグ


真竹をそのままでも無く、油抜きするでも無く、竹表皮を薄く剥いだ竹ヒゴで編む細工を「磨き」と呼びます。伝統の土佐網代の手提げ籠バッグはまさに磨きの逸品ですけれど時間の経過と共に右の色合いが左のように深みのある色合いに変わってきます。竹は育つものだと、つくづく思っています。


ドイツの竹専門誌「bambus journal」に掲載いただいてます。

bambus journal


「bambus journal」というドイツの竹専門誌にスペイン・ビトリアで参加させてもらったボックスカートレースの模様や虎竹の里の事を掲載いただきました。


Luc Boeraeve


この5月にベルギーから来社されていたLuc Boeraeveさんが記事を書いていただいたようですが竹の雑誌が発行されてるくらいヨーロッパ各国では竹に対する注目度は高いように思います。


bambus journal


bambus journal


虎竹


これがボックスカートレースの虎竹製車体REIWA-125号にも使われていた虎竹です。山に生えている時には蝋質の白っぽい粉をふいたように見えるのですが、その下に美しい虎模様が隠されています。「虎」と言うのがいいです、虎は千里を駆けるという覇気あふれる動物。そして、それが松竹梅と言われ縁起の良い「竹」と結ぶと最強だと思うのです。


わずか1.5キロの間口の谷間にしか生育しない不思議、魅了された100年の歴史。本当に面白いのです。


オーバーナイツ

白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


今年は40年、50年前の竹細工、竹製品をデッドストックという形でご紹介させていただく機会が何度かありました。この白竹製の盆ざる(オーバーナイツ)も実はそのような昭和の時代に人気だった竹細工のひとつなのです。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


オーバーナイターと聞くと随分前に愛用していたハートマンというアメリカ製の鞄を思い出します。確かベルティングレザーという工業用にも使われる丈夫な革が使われていましたが、自分と同じように1、2泊の旅行用鞄を思い出される方が多いかも知れません。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


しかし、オーバーナイターには携帯電話や腕時計など身の回りの小物を一晩置いておく収納ケース(忘れな盆)という意味もあって実は50年前には竹製の盆ざるオーバーナイターが世のお父さん方の間で人気だった事があるのです。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


当時は、どのご家庭にもコタツがありましたので座椅子の横に置かれた竹製オーバーナイターに腕時計、煙草、ライター、財布や鍵など毎日持ち歩く大切なものを入れておきました。就寝時には枕元まで持って行って慌ただしい翌朝に備えるために長い持ち手が付いていました。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


先にお話ししたハートマンのベルティングレザーが好きだったのは使い込むと飴色に変わっていく革の光沢でした。この白竹細工も時間の経過によりこれだけの色合いに違いができるのでたまりません。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


それにしても、こんな歴史と格好良さのある竹ざるがあれば忙しい朝も気持ちよくスタートできそう。もちろん慌てて何か忘れものをした等は皆無です(笑)。


毎日使う竹漆箸が登場です。

毎日竹漆箸


普段使いして頂きたいお箸を作る事にしました、その名も「毎日竹漆箸」。そもそも箸という字は竹冠である事を見てお分かりいただけますように材料が身近にあり加工性に優れ、軽くしなりのある竹は古よりお箸の最適な素材としてなくてはならない存在だったと思います。


今回の毎日箸はネーミング通りに気軽に毎日の食卓に並べてご愛用いただきたい持ちやすさとシンプルさを心がけているお箸です。それでいて一本一本を職人が拭き漆で丁寧に仕上げています。


孟宗竹


竹箸の素材である孟宗竹の多くが活用される事なく今日も竹林にあります。一般の方は竹の種類などあまりご存知ないので沢山余っている竹なら竹ザル竹籠に使えばいいのでは?と思われているかも知れません。しかし、竹籠の素材として孟宗竹を使うのは高知や本当に極一部の地域だけなのです。だから、小さなお箸なので大量ではないものの、現在竹製品に加工できている数少ない一つとも言えます。


竹漆箸


もしかしたらご自身の使われているお箸が竹なのか木製なのかあまり関心のない方もおられるのでしょうか?渋く漆で仕上げた毎日竹箸を手にされても、それが竹なのか木なのか迷う方も多い現代です。


竹箸


新年の節目にお箸を代えらる方もおられると思います。一日三回も必ず手にされる生活道具を意識して竹林に思いを向けられる方が少しでも増えればという気持ちです。


竹職人への賞状

グッドライフアワード受賞


先月に受賞させて頂いた第7回グットライフアワードについては、本当にこの賞状を手にするのは誰かと言うと作った事もないボックスカートレース用の竹製車体に取り組みREIWA-125号を見事完成させた職人ではないかと思っています。


グッドライフアワード職人受賞


遠くスペインのレースでは特別感謝賞を頂くことができましたし、東京よみうりランドでは準優勝をさせて頂くなど思いもよらない成績を出す事ができたのは日本唯一の虎竹であり、職人の技を認めていただいた結果です。そこで今年の望年会ではグッドライフアワードの賞状を手渡しさせてもらいました。


四国経済産業局長賞受賞


竹はこの数十年で人々の暮らしから急速に必要とされなくなり関心は遠のいてしまっている事をずっと感じてきました。ですから今月に入ってたまたま頂くことになった四国経済産業局長賞も、当社職人がグットライフアワードが何かを十分に理解してなくても満面の笑みになるように兎に角嬉しいのです。


四国経済産業局長賞受賞


今まであまりこのような経験はありません、わざわざ竹虎まで足を運んでいただき賞状を手渡しいただき感激しました。


四国経済産業局長賞受賞


四国経済産業局長賞 賞状


四国経済産業局長賞受賞


REIWA-125号や竹トラッカーの事もよく知っていてくださっていましたので、竹虎の取り組みが全く無駄ではないようです。


竹職人表彰


さて、しかし自分達だけが賞状をいただいて喜んでいる場合ではありません。エンドユーザーの声が現場に届く機会はあまり多くはありませんが、竹細工を使ったお客様の感想を社員がまとめて手渡してくれたのです。それは、まさに竹職人への賞状でした。


竹職人表彰状


このような葉書を描いて届けてくれるお客様は自分たちにとって宝のような存在です。国産竹ざるもそうですが四つ目編み籠も昔ながらの伝統の細工のひとつ、一本の竹から人の役立つ道具へと変わるまでを少しの長めの動画にする事にしました。




手付きのメゴ笹籠

手付きメゴ笹籠


メゴ笹洗濯籠は竹虎でも幻の籠と言われていた時代があるほどで今まで同じ形の籠しかありませんでした。手付きのメゴ籠をご紹介させていただくのは今回が初めての事となります。


手付きメゴ笹籠


底編みなど他の編み込みはいつも通りまったく同じ作りです。


手付きメゴ笹籠


しかし、持ち手が付いただけで見た目もそうですが使い方にも幅ができて洗濯籠以外にも色々と役立ちそうなのです。


メゴ笹籠


そして、もう一つは縦型の深いメゴ笹籠


メゴ笹籠


メゴ笹籠


数が限定ではあるものの新しい形のメゴ笹がラインナップに加わって思わず笑みがこぼれます。




土佐伝統の皿鉢料理に使う大皿みたいなメゴ笹籠

竹虎四代目(山岸義浩)、メゴ笹籠


何が楽しいかと言って、このような大きなメゴ笹籠が編まれている事です。高知伝統の料理に前菜からデザートまで一つの大きな皿に盛り付ける皿鉢料理というのがあるのですが、まるでこの大きな籠は皿鉢の大皿のようです。


メゴ笹


メゴ笹は、おかめ笹とも呼ばれていて西日本を中心に広く成育しています。画像でご覧いただけるように凄く密集して生えているので、遠い戦国時代には城や砦のまわりに植えられていて、いざ攻められるとなった時には短くハス切りにして針山のようにして守りを固めたと聞いた事もあります。


メゴ笹


元々稈は細いものが多いので、これだけの大きく丈夫な籠を編むとなると太い材料探しだけでも容易ではありません。


メゴ笹籠


編まれたばかりでズシリと重い籠は、しばらく置いておくと見る見るうちに色合いが抜けていき軽くなって扱いやすくなるのです。




京都の手箒

松井竹材店の手箒


古都のお寺には沢山の方が訪れて庭の美しさに目をうばれていますが、あの庭園の管理には大変な労力と技が隠されている事をご存知でしょうか?そのひとつとして、ここに京都は松井竹材店さんの製作される小さな手箒があります。全長約45センチ、別になんという事もないとお思いかも知れません。


松井竹材店の手箒


ところが少しご覧いただきますと尋常ではない作りに気がつくかと思います。


松井竹材店の手箒


丁寧にまとめられた竹の小枝、切り口、節、漂ってくる品格、ちょっとしたアート作品のようにも見えます。


松井竹材店の手箒


更に目に見えない品質がこの細やかな竹穂です。


松井竹材店の手箒、竹虎四代目(山岸義浩)


この柔らかな竹穂があってこそ庭園を美しく保っている苔の手入れが出来るそうです。しかし、この竹穂は若竹の穂でしか作られません、竹細工に適した3~4年竹では最初は柔らかい竹穂が次第に硬くなり使えないと言われるのです。


孟宗竹、清水銘竹店


普通の竹林では若竹など伐採しないので、それでは枝の入手は困難ではないかと思いがちですが、さすが京都は竹どころ上手くできています。図面竹を生産する向日市、清水銘竹店さんでは1年竹を伐採しますので、その竹穂が手箒に使われるのです、


松井竹材店の手箒、竹虎四代目(山岸義浩)


この手箒あってこそ、あの青々とした苔の庭が楽しめると思うと小さな手箒一本を見る目が変わってきませんでしょうか。


松井竹材店さんの手箒


それにしても、あまりの美しさに床の間に飾りたくなるほどです。ちょっと試しに置いてみました、末広がりの形が縁起も良さそうです(笑)。


パリ展示会の竹籠選び

名作竹籠


素朴な竹籠に魅かれるのは編み目の向こうに人の暮らしが見え隠れするところだと思う。中でも磨きと呼ぶ、竹表皮を薄く剥いだ竹ヒゴで編まれた籠やザルは出来たばかりの時からは思いもよらない色合いが深まり、長年愛用してきた本人にすれば
無二の友人のようにも思えて手放せない。


竹籠、竹ざる


同じ編み方でも竹素材が違えば出来あがる籠は全く違うし、飯籠や米研ぎざるが家族の人数が少なくなるにつれて小さくなっていくのが面白い。


竹脱衣籠


この脱衣籠は昔からあった伝統の籠を自分達流に楕円形に編んでいる、家族で使うから縁巻も粗い。まあ新しい籠といっても40年か、もしかしたら50年近く前のものだと言うので竹細工の息は長いのである。


祝儀籠


婚礼が決まると鯛の尾頭付きを入れて挨拶に行く高知伝統の祝儀籠、残している籠を元にして忠実に再現してみた。小さい頃には見かけていたものの、今では全く流通していない籠なので若い職人もはじめてで戸惑ったようだが良く編めている。祝いの門出の籠だから、どうしても展示に使いたいと思っていた、ギリギリセーフで一安心だ。


■パリ会場
会期:1/24~4/10
1, rue Dante, 75005 Paris, tel : 01 44 41 50 10


■リオン会場
会期:5月初旬~10月中旬
46 Rue du President Edouard Herriot 69024 Lyon, tel : 04 78 38 30 40


■ツールーズ会場
会期:10月下旬~翌1月末
5 Rue Croix Baragon 31000 Toulous, tel : 05 61 14 51 50


続・120年に一度のスズ竹開花

 
竹虎四代目(山岸義浩)、スズ竹開花


本当に驚いて声になりません。見渡す限り茶色になったスズ竹の竹林が、まるで枯れすすきのように続いているのです。


孟宗竹の開花


昨年、地元の孟宗竹の竹林での開花を見つけて新聞社の方にお越しいただき取り上げてもらいました。古老の職人でさえ、どうして枯れるのか原因を知らなかったので一般の方は誰もご存じ無いことだと思ったからです。研究されていてる大学の先生の調査によれば日本最大級の開花と分かりましたけれど、それでもこのように青々とした竹林は残っており、一部だけの開花でした。


スズ竹開花


ところが今回のスズ竹開花は、まさに一斉開花と呼ぶにふさわしい状態です。


スズ竹の花


イネ科らしくまるで籾殻のような花がそれぞれの竹に一杯ついていました。


鈴竹g


本来でしたらこのように元気な葉を風にゆらせているスズ竹です。


スズ竹


竹と笹を分類する場合の一つの方法に稈に竹皮が付いたままの物を笹とします。スズ竹も青々とした稈を見せている竹林ではないものの、その竹皮を除くと美しい竹肌が顔を出していました。


スズ竹開花


しかし開花した竹林のスズ竹は、しなるどころかポキポキと簡単に折れてしまい完全に死んでしまっているのです。


スズ竹開花


林道を奥へ奥へと進んで行っても茶色のスズ竹林が続きます。


竹虎四代目(山岸義浩)、スズ竹開花


それでも、もう少し行けば...もう少し行けば...。どこまで車を走らせても、毎年伐採してきたスズ竹職人さんでも見つけられない竹林があるはずもありません。このような寂しい光景を初めてみて足がすくみます。


スズ竹開花


竹は開花して種子が地面に落ちて真竹の場合ですと10年で元の竹林に再生されたと聞きます。竹細工に使える同じ品質の竹材になるには更に5年かかると話す職人もいますが、スズ竹の場合はどうでしょうか?


小型の笹類だけにもう少し早く元の竹林に再生されるのではないかと希望的な予想をしています。だた間違いなく数年は今のような山の状態です、立ちすくんでいる自分にポツリポツリと時雨が落ちてきました。寒さが一段としみました。




120年に一度のスズ竹開花


スズ竹手提げ籠バッグ


スズ竹は東北や標高の高い所など比較的寒い地域に生育するササ類ですが、強くてしなりがあり竹細工には昔から多用されてきた素材です。温暖化で少しづつ竹林面積が狭くなってきたという事は職人さんや山で仕事をされる方々から聞いていました。なので材料不足から数年前から編まれる籠には少し色合いの違う竹ヒゴが混ざるようにもなっていたのです。


スズ竹弁当箱


スズ竹行李


しなやかで粘りのある竹質は他のどんな竹材と比べても、これほどの逸材はないほどですので古くから小さなスズ竹弁当箱をはじめ重たい荷物を入れて持ち運びしたり収納しておくための行李は大量に製造されてきました。


スズ竹開花


ところが、このスズ竹に120年に一度と言われる大開花が起こっています。前々から一部の山の竹林では開花が見られていたものの、今回のような一斉開花は職人さんはじめ誰も経験したことのない出来事で唖然とする他ありません。


スズ竹


一部の狭い地域では青い葉をつけたスズ竹が見られるものの勢いが弱っていて、いずれここも花が咲くのではないかと思います。自分もはじめてみる大規模な開花を動画でご紹介していますのでご覧ください。




名人の無双編み籠

八郎名人の無双籠


ミカンの美味しい季節になると、ある年齢以上の方にはコタツの上にミカンを入れて置いてあった盛籠を思い出すこともあるのではないかと思います。もちろん何と言ってもミカンが主役なので脇役の印象が残っていない方もおられるかも知れません。


無双籠


多くのご家庭ではきっとこのような形の竹籠が使われていたに違いないのですが、この無双編竹籠は脇役と言うには惜しい美しさです。


無双籠、盛器、盛籠


無双籠とは二重編みになった籠のことで、珍しい編み方という訳ではないもののこれだけキリリッとした触り心地満点の編み籠にはなかなかお目にかかれません。


無双籠、盛器、盛籠


煤竹の力竹には「八郎作」と銘が入れられています。


無双籠、盛器、盛籠


染色の色味が少し邪魔をしていて分かりづらくなっていますが兎に角美しい形に魅入るほどです。


無双籠、盛器、盛籠


この名人が数十年前の修業時代に編んだ籠が残っています、形のたどたどしさはあるものの丁寧な作りが分かります。


無双籠、盛器、盛籠


現在編まれているシャープな籠とは全く違う優しさを感じる籠、手元に置いておきたい温もりが伝わってくる籠です。


虎竹の里のランチタイム

虎竹の里、虎竹


昨日もお話しさせていただきました通り虎竹の里は日本唯一の虎竹の伐採シーズンで焼坂の山道を登っていくとこのように所々の道路脇には竹が積み込まれているのです。


虎竹の里、虎竹の葉


こうしてずっと繰り返されてきた竹の暮らしが今年も無事に迎えられて感謝の気持ちでいっぱいです。けれども早い時代の流れの中で虎竹の里だけ変わらずにいる事は難しいのです。


虎竹の里、竹林


山の職人が少なくなり伐採できなくなった竹林も少しづつ増えてきています。わずか1.5キロの間口の谷間と言いますと狭い地域のようにも思われますが峠の標高は228メートルあり広大な竹林が広がります。


ゴマ竹


しっかり管理された竹林ではまず見ることのないゴマ竹がありました。立ち枯れした竹にゴマ菌が付着したもので、京都の竹林で生産される人工的に光合成ができないようにしてゴマ菌を付着させる銘竹とは似ているようで全く別ものです。


虎竹の里、虎竹


竹林整備を少しづつしていく虎竹の林の向こうから明るい光。信じて前を向くしかありません。


虎竹の里、虎竹林でのランチタイム


さて、この山の上まで聞こえてくる正午のサイレンの大きな音。虎竹の里にもランチタイムがやってきました、鳥たちのさえずりを聞きながらのお昼休みです。




日本唯一の虎竹がすべて通ってきた竹の道

虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


師走に入って好天の続く虎竹の里です。すでに雪化粧の地域もあるようですけれど南国土佐は明るく日当たり良い場所など上着がいらないくらいの温かさ。伐採の続く竹林を歩くといつもの鳥の声に交じって「コンコンッ」そして「ザザッー」と竹を伐り出す音が聞こえてきます。


日本唯一の虎竹


いつもは静かな虎竹の里が一年で一番にぎやかになる季節、山道を車で登っていても山出しされた虎竹が脇に積み込まれています。どれどれ?どんな色付きやろうか?近年の温暖化もあって色付きが良くない状態が続いていて満面の笑みという訳ではありませんが、それでもこうして毎年続いてきた虎竹の伐採が創業125年を迎えた今年も先人と同じようにできる事に感謝の気持ちが沸き上がります。


虎竹の里、竹の伐採、山出し


知らない方がご覧になったら獣道かと思うような、この細い山道を一体どれだけの竹が通って来たのか...?これが日本唯一の虎竹がすべて通る竹の道なのです。




第7回グットライフアワード受賞しました。

第7回グットライフアワード


環境省主催の第7回グッドライフアワードにて243件もの中から環境地域ブランディング賞を受賞させていただく事ができました。受賞式自体は夕方に予定されていましたが、ゲストの方や受賞式に参加される全国から集まる皆様のスピーチを聞きたくて午後1時の開始時間には座る席を見つけるのが難しいような熱気あふれる会場となっていました。


グットライフアワード2019


実は竹虎は第6回受賞に続いて二度目となります。昨年は日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」の活動が認められたもので、今年はスペイン、ビトリアでのボックスカートレースへの取り組みを評価いただきました。


グットライフアワード2019


昨年と同じ東京青山TEPIAホールで、昨年と同じしようにDiscover Japan編集長の高橋俊宏さんから賞状をいただきます。


グットライフアワード2019


1年経って何か成長できることがあったろうか?自分はどうも変わっていないように思いつつも、10月に受賞したREIWA-125号でレッドブルボックスカートレースにも参加してくれた社員たちは少しづつ前進していることを感じています。




パリ展示会「竹で儲けたら、竹に返すさかい」

 
竹虎四代目(山岸義浩)、竹籠、竹細工、竹ざる


今一番気になっているのは来春からフランスで予定されている竹細工の展示会。パリをかわきりにリオン、ツールーズと1年かけて回っていく。「竹で儲けたら、竹に返すさかい」と祖父が言っていたように竹虎には懇意にしていた竹工芸作家から頂いた作品も多い。


竹籠、竹細工、竹ざる


しかし、それよりも多く所蔵するのが昔から作られ暮らしの中で使われ続けてきた伝統の竹細工だ。この数週間、頭を悩ませながらその中から数十点を選ぶ作業に取り組んでいる。


魚籠


魚籠だけでも色々とあるのだが何でも集める蒐集家と言う訳ではないので骨董品屋か何かで集めたものではない。それぞれに職人の顔を見て手のぬくもりが伝わってくる籠ばかりだ。愛妻家の職人が、いつか妻と生まれ育った近くの渓流に釣りに行くために編んだ籠。ついにその夢が叶うことはなかったが美しい魚籠は残った。


竹虎四代目(山岸義浩)、竹籠、竹細工、片口ざる


見た目には同じような片口ざるが二つある。ひとつは50年のベテラン職人、もうひとつは竹に取り組んで数年の若手のもの。同じ竹細工でも背景がまったく違うので面白い。


土佐網代の手提げ籠


網代底にエビ止めの手提げ籠も良い色合いになっている。今では誰一人として知る人もないが、かっては土佐網代と呼ばれ全国から引っ張りだこの時代もあった高知を代表する技法のひとつだ。


めかご


竹を柾割して編み込む独特のスタイル、技術もさることながら竹の性を見極める眼力も必要とされるめかご。


竹虎四代目(山岸義浩)、竹籠、竹細工、竹帽子


この竹帽子にも何度も工房に通った思い出がある、晴れた日には庭先に竹を広げて嬉しそうに竹を割っていた。日本の竹職人が自分たちの仕事に誇りをもって臨んでいたという証のひとつとして展示したいが、どうだろうか?


手提げ籠バッグ、竹籠、竹細工、竹ざる


伝統的な竹細工は生活様式や新素材、輸入品との競合で苦難の時を経てきた。その中で質実剛健だけではない線の細い籠も多く編まれてきている、時代に合わせて変化する竹のしなやかさを代表する籠だ。


日置箕


蓬莱竹、ビワの木、カズラ、桜皮を使って作られる最高傑作の箕。箕は農家にとって無くてはならない道具だっただけに全国各地で編まれていた、何と西日本だけで35種類もの箕があったというから驚くのである。手元には10種類の箕があるが大きすぎて運べないものもあるので展示するにはこの箕しかない。


竹ブレスレット、竹ネックレス


厚みのある孟宗竹を削りだしてネックレスやチョーカーも40数年前には大人気だったアクセサリーの一つだ。


竹アクセサリー、竹ピアス、竹イヤリング


竹ピアスや竹イヤリングも当時の女性たちに飛ぶように売れていた、細かく手間のかかる仕事を効率よく製造するために知恵が絞られた。


竹葉


それにしても、竹を見ればみるほど衣食住すべての暮らしの中に深く関わってきた多様性を改めて感じさせられる、職人との思いも込み上げてくる。竹の種類は600種、籠に使うものは一部とはいえ素材そのままに編む青物細工だけを考えても数種類あり、時代や地域、職人、用途、技法など考えていたら様々な切り口で無数の可能性が広がりカオス状態。やはり、竹は無限である。


■パリ会場
会期:1/24~4/10
1, rue Dante, 75005 Paris, tel : 01 44 41 50 10


■リオン会場
会期:5月初旬~10月中旬
46 Rue du President Edouard Herriot 69024 Lyon, tel : 04 78 38 30 40


■ツールーズ会場
会期:10月下旬~翌1月末
5 Rue Croix Baragon 31000 Toulous, tel : 05 61 14 51 50


5500年前の編組細工

三内丸山遺跡


今まで行くことのなかった縄文遺跡に引き寄せられるように尋ねることになった。有名な青森県の三内丸山遺跡に建てられた巨木の造形物、物見やぐらに違いないと思っていたが実は日時計だそうだ。


それにしても不思議な空気感である、一人...二人...冷たい時雨れがポツリポツリと落ちてくる中、彷徨うように歩く人にすれ違ったが心は何処か遠くを見ているようだった。


三内丸山遺跡


聞く所によると、かってここは聖地として遠く沖縄辺りからも人の往来があったそうだ。いやいや、それどころか東南アジアから南アジアに生息する孔雀の羽も見つかっているので自分が思うよりも縄文時代は海上を使った交通が発達していた事になる。


三内丸山遺跡、縄文ポシェット


ここにはヒノキ科の樹皮で編まれた約5500年前の袋が展示されている、今の竹編みと全く同じでドキリとした。編組細工はありとあらゆる編み方がされていて今までにない新しい編み方など無いと言われるがそんな遥か昔から先人が試してこられたなら当然だと納得する。


網代文庫


この網代文庫もずっとずっと前に確立された技法が今まで繋がっているのだと思うと不思議な気分だ。


縄文時代の暮らし


さすがに世界遺産登録を目指しているだけあって三内丸山遺跡は展示物も素晴らしい。特に石を削って作った矢じりや動物の骨の釣り針など生活道具を見ていると時間を忘れてしまう。そもそも城郭ファンなのに、縄文まて好きになってはアチコチ寄り道ばかりしたくなる。


読谷山焼北窯、與那原正守さん


そういえば今年の10月10日の30年ブログにも書いた沖縄は読谷山焼北窯には初めてお伺いした時の事、縄文時代を思わせる與那原正守さんの波紋模様の小物入れに魅入られた。偶然だろうか...?細かい編み目がカチリと合わさるように全てが繋がっているように思えてくる。