
竹の海を泳ぐ河童
竹芸作家・鬼塚英竹氏の作品を自由に拝見させていただき心躍るような時間でした。竹で描く絵画とは一体どんなものだろうと思っていましたが、箱を開けるたびに想像以上の作品たちに次々と出会います。そんな中でも目を引いたのが、こちらの「河童」という作品です。

竹河童のように、竹の海をのびのびと自由に泳いでみたいと憧れのような気持ちがわきました。一緒にいる魚がまた良くて、本当に楽しそうなのです。

前に開催された作家の個展の案内状に印刷されたのが、この絵だと教えられました。当時の竹ヒゴの色合いは、もっと鮮やかで緑色がかった感じだったことが分かります。

色目が綺麗な絵も素晴らしいけれど、茶褐色に落ち着いた絵が鬼塚英竹氏らしいのではと勝手に思いながら眺めています。

竹絵画の裏側
竹の絵の裏側は、ほとんどの方が見たことのないものだと思いますが、作り手の試行錯誤や息遣いを感じて一気に距離が縮まったようです。

独創的な竹編み
新しくひとつの竹編みを鑑賞させていただく事になりました。もう数十年前の事、ヨーロッパの有名ブランド経営者の方が夫婦で来日された際にこの籠を見初め、破格のオファーをされたそうですが、どうしても手放さなかった作品との事でした。



この籠も元々は染め上げられた竹ヒゴで色どり豊かな編み目だったようです。このような作品を創作されるうちに、竹の絵画のヒントを見つけられたのかも知れません。

竹芸作家 鬼塚英竹
鬼塚英竹氏は、別府市内にあった大きな竹製品専門店で竹細工の実演をされていた事がありました。竹編みの実演を見てもらい、その技を披露することによって竹の価値を伝えていこうとされていたのです。この立て看板はその時のもので、竹が隆盛を極めていた当時の名残を今に伝えてくれているかのようです。

この竹製品専門店は、竹の博物館も併設された素晴らしいものでした。実は竹虎が日本の竹を一堂に集めて、一足早い昭和45年(1970年)に竹細工専門店「虎竹苑」をオープンさせていたこともあり、祖父の竹虎二代目義治や三代目の父に連れられ何度かお伺いした思い出の店舗です。もしかしたら、あの方の横をボクも歩いたのかなあ...そんな竹のご縁も感じています。
