田舎者なので、東京では度々電車を乗り間違えます。今回も工事中の塀がある、迷路のような渋谷駅にすっかり困惑してしまいました。そして、代田駅に行くつもりだったのに、なぜか新代田駅に着いてしまったのです。駅の前には環七通りが走っていて地図を見るとその道沿いに進めば目的地に行けそうなので歩く事にしました。
ちょっと歩き疲れた頃に竹林があります。「少し休んだら?」と言われてる気がして辺りを見渡すと歩道橋を渡った道の向こう側に神社らしき建物がありますので、そこで一息つこうと思いました。どうも都会では閉塞感を感じる時があります、少し広々としたのんびりと出来るスペースが必要なのです(笑)。
そういうワケで引き寄せられるように辿り付いたのが代田八幡神社。歴史を感じさせてくれる大木が生えていて、とても気持ちのよい境内です。お参りしようと本殿まで歩いていくと、そこには何と虎竹縁台がっ!
座面に設えた両サイドの虎竹も、ズラリと並べた黒竹の色合いも、すっかり落ちてしまっていますが腰かけてもまだまだ丈夫です。こんな広い東京で、たまたま通りがかった神社で何と凄い偶然!本当なら、もっと驚いてもいいと思うのですが、実は同じようなことは割とあって、本当のことを言えば「ああ、又このような幸せな引き合わせをしてくれた」と竹の神様に手をあわせるのです。
虎竹縁台は手水舎の横と、賽銭箱が置かれている所に一台づつ置かれています。それにしても、よくこれだけ長くご愛用頂いているなあ...感謝するのは竹の神様だけでなく、このような一目で自社製品と分かる、ロングセラーの縁台を創り出してくれた祖父・竹虎二代目義治にもです。
重たい荷物を背負って歩いてきた疲労感も吹っ飛び、さっそうと目的地まで辿り付くことができたのでした。
ところが、その日はこれだけでは終わりませんでした。次の目的地に行って、用件が済んで閑静な住宅街を大通まで出ようと思って前を見た瞬間でした。ハッチバックの車の荷台にある、虎竹縁台が目に飛び込んできたのです!
いやいや、さすがにこれはウソだろうと思いました。車のドアを開けっぱなしなので、そんなに時間をおかず持ち主の方が戻ってこられるはずだと待ってました。そして、脚を折りたたんで積み込まれたご主人様とお話しさせていただくと、虎竹縁台は奥様が購入されたものだと言う事でした。脚が焼き木ではなく、竹だったので十数年前に製作した旧タイプのものです。それでも、これだけ綺麗に室内で大事にお使いされている事が分かって嬉しくなりました。
今日もこうして竹虎本社工場で作られいく虎竹縁台ですが、その先には様々なお客様かおられる事を忘れたくはありません。改めて、そう思いました。