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第67回 京銘竹・竹製品の展示品評会

第67回京銘竹・竹製品品評会


第67回 京銘竹・竹製品の展示品評会

第67回になる京銘竹・竹製品品評会が、今年も京都市内で開催されました。品評会と聞きますとイメージが少し違って聞こえてしまいますが、会場ではセリが行われる、まさに竹の市なのです。木材に銘木があるように、にも銘竹があります、初めて参加させてもらった時には、1本100万円もする煤竹があって驚きました。竹は、籠やざるなど皆様に手にとっていただく製品になりますが、竹材そのものも高い価値がある製品なのです。


第67回京銘竹・竹製品品評会


もしかしたら、竹が最盛期だった時代には全国でこのようなセリ市が開催されていたのかも知れません。もう10年前くらいになりますか、滋賀県で行われていた竹のセリ市にお伺いした事があります。長閑な田園風景の広がる中にある竹屋さんの倉庫にズラリと並んだ竹の中で目を引いたのが煤竹でした。冬の厳しかった滋賀あたりの古民家では、良質の煤竹が沢山でると聞いたことがありますが、クッキリと縄目のついた輝くような煤竹は今でもハッキリ覚えています。現在では、あのような展示会もなくなりましたから京都だけとなった伝統の品評会です。


日本酒でカンパイ


地域のお酒で乾杯

京都には、「京都市清酒の普及の促進に関する条例」というのがあるのをご存知でしょうか?乾杯といえばビールが一般的だと思ったら大間違い、京の都では日本酒です。この日は、たまたま違いましたものの、竹の会などの場合には、京都らしい青竹の酒器が用意されていたりして、さすがだと感じいることもあります。ちなみに青竹は生鮮野菜と同じで、すぐに色が褪せてきますので一度使った盃は各自持ち帰り自由でした。


白竹、ゴマ竹、煤竹、図面竹


虎模様があるのが「竹」

そんな京銘竹品評会では、本当に美しい竹材を見る事ができるので毎年楽しみにしています。一体に、どうしてこんなに心躍るのかと思っていたら、小さい頃の記憶だと最近気づきました。祖父や父のいた当時の竹虎には、60名もの社員が働いているほど広く沢山の竹に囲まれていましたが、どれもこれも虎竹ばかり、だから竹には模様があるのが普通だと思って育ちました。


亀甲竹


京銘竹の数々

ところが、ある日、トラックに積まれて京都から届いた太い白竹は両手で持とうとしても指が届かないほどです。縄目のついた見た事もないような色合いの煤竹、ザラザラした手触りのゴマ竹、不思議な形の亀甲竹に驚いたのです。そして、そんな中にあった図面竹は、ご存知ない方には虎竹と間違われることもありますが、実は全く違う竹です。


図面竹


職人技で仕上げる図面竹

虎竹は淡竹(はちく)という竹の種類の仲間であり、虎模様は自然そのままです。ところが、図面竹は薬剤を使い職人技で模様を付けていきます。前に30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」に書いた事がありますが、その作り方は独特。太い孟宗竹を使って仕上げていくので、竹林に入って行くと想像を絶する光景。京都の竹職人の創意工夫といいますか、竹文化の奥の深さを感じずにいられません。


京銘竹・図面竹の作り方


ゴマ竹


特別な竹

ご年配の方でしたら、床柱という言葉をご存じかと思います。現在の住宅では、あまり見られなくなりましたものの、このような美しい銘竹は室内の装飾に多用されてきました。竹製品や竹細工に使われる竹材とは異なり、竹そのものの存在感で魅了する京銘竹は、やはり特別なのです。


白竹


油抜きの湿式と乾式

竹の加工方法には、熱湯を使う湿式と炎で油抜きする乾式があります。真竹も昭和初期までは乾式しかありませんでしたが、大量生産を求められるようになり湿式が九州大分に登場します。そこで現在では、真竹の油抜きは湯抜き(湿式)が中心です、たとえ真竹の油抜きを火抜きでしているという方でも、伐採した真竹を丁寧に水洗いし、それから火抜きするという手間をかけている地域は皆無です。


青竹、真竹


美しい青竹

京都の銘竹屋さんにお伺いする度に、水洗いしている真竹を何回か拝見したことがありますけれど、この真竹の洗い方も凄くて、洗って立てかけてある青々とした竹には見惚れてしまいそうです。そもそも、こんなキズひとつない真竹自体、今の日本ではなかなか手に入りません。これは、平坦で比較的に山出しがしやすい竹林が多い事もあるのでしょうが、伐採から運び出しまで丁寧に仕事されていることが伺えます。


白竹


火抜き白竹の輝き

この白竹の光沢をご覧ください、火抜きならではの竹の風格があります。竹の経年変色のことをボクはよくお話しますけれど、この火抜きされた竹材の変色は、また格別で深く味わいのある色合いに変わっていくのも魅力です。点在する竹林などでは、外側の竹はあえて伐採せずに風よけのため残している場合があります、なので外から見ると一見竹藪のように見える場所も、中に入れば綺麗に間引きされて陽射しも入る竹林だったりします。こうした竹材を拝見しているだけで、しっかりと管理されたそのような真竹の竹林が目に浮かびます。


白竹矯め直し


清水銘竹店の仕事

銘竹といえば、祖父の代から親しくさせて頂いている清水銘竹店さんでは、矯めているはずの白竹に白い紐で印がされています。これは一体何かといいますと、一度矯めているものの気になる所をさらに二度矯めしているとの事でした。竹虎でも、海外から輸入された竹材の矯めが甘いので、矯め直して欲しいと依頼をもらった事はありますけれど、虎竹を二度矯めするような事はありません。自分が手をかけた竹材を更に二度矯めして真っ直ぐさを追求されているのが、やはり京の竹です。


真竹


さらに、清水さんところの真竹の小口をよく見ると、全ての竹がほんの少しだけ削られています。これは切り口の毛羽立ちがないようにとの心使いです。竹は表皮が命、言葉にはされませんがヒシヒシと伝わってきます。


真竹


この真竹を洗い上げるとこうなります、ここまで汚れを落としてから火抜き加工をするのです。ボクたちも虎竹ばかりではなく、白竹の湯抜きもしてきたものの、竹林で伐採された竹をそのまま沸き上がる湯抜き釜に入れていました。これは、見た目も品質についても、白竹と呼び名こそ同だけれど全く異なる竹材だと感じ入ります。京都の竹が、全て同じような製法でされているわけではないと思いますが、この竹文化を育んできた長い歴史がある限り、竹へのこだわりと愛情は形を変えながらも未来に続いていくように思います。

京都の孟宗竹


竹=祖父・竹虎二代目

京都には、このようにまだまだ竹文化が生活の中に色濃く残り、そのだけに竹への造詣が深く尊敬すべき竹人がおられます。あまり竹に詳しいので、一度その中のおひとりの方に聞いた事があるのです、「どうして、そんなに竹の事を知っているのですか?」そしたら、その方は「何言うてんねん、全部あんたのおじいちゃんに教えてもろうたんやんか」。また祖父の影です。竹を巡り各地に足を運ぶ都度、まるで祖父の足跡を追いかけているような感覚になる事があります。竹はつくづく面白く、素晴らしいものです。でも、ボクは竹なんて実はどうでも良いと思っているのかも知れません。若い頃、8年間も悩んで迷って、それでも、どうしても離れられなかった竹だけれど、忘れられなかったのは祖父なのではないだろうか?竹の街にいると、どこかにその面影を探しています。



竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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