
現代に蘇る究極の快眠道具
日本の夏は年々厳しさを増すばかり。熱帯夜ともなれば、エアコンをつけていても何となく寝苦しく、布団が体にまとわりつくような不快感に悩まされる方も多いのではないでしょうか。高温多湿のムシムシする、そんな夜に昔の日本人がどのようにして涼をとっていたか、皆さんはご存知でしょうか?その答えが、ここにズラリと編み上かって並んでいます。ご覧ください、日本唯一の虎斑竹(とらふだけ)を使った圧倒的な存在感を放つ佇まい。これぞ、現代に蘇る究極の快眠道具である虎竹抱き枕なのです。

スーッと抜けていく爽快感
いえいえ、もちろんただのインテリアではございません。実際にこうして腕に抱え、足を絡めて寝てみてください。竹肌のひんやりとした冷たさが心地よく皮膚に伝わり、何より中が空洞の筒状に編まれているため、体と寝具の間に圧倒的な風の通り道が生まれるのです。エアコンの苦手な方が、扇風機と合わせてお使いになられてもいます。自分の体温がこもることなく、スーッと抜けていくあの爽快感。一度これを体験してしまうと、もうこれ無しの夏は考えられなくなるほどの、まさに真夏の快眠そのものなんです。

竹編みの絶妙な弾力性
これだけ美しい均一な美しい円筒形に編み上げるには、一朝一夕にはいかない熟練の職人技と工夫が必要です。適度な反発力のある竹を、一本一本の厚みや幅を均等に整え、指先の感覚だけを頼りに流れるように編み込んでいく。この緻密な手仕事があるからこそ、抱きついた時に硬すぎず、柔らかすぎず、人の体に寄り添う絶妙な弾力性が生まれています。

職人が一本の竹を割り、ヒゴをとり、丹精込めと込めて編み上げていく製造風景。気の遠くなるような工程を経て、ようやく皆様のもとへお届けできる一品が完成いたします。
実際の手仕事をYouTube動画で
文字や写真だけでは、この職人の流れるような手揉みの技や、竹が編まれていく心地よい音はお伝えしきれません。ぜひ、こちらの動画でその息をのむ職人技をじっくりとご覧ください。

日本とアジアの竹
こうして出来上がった虎竹抱き枕を前に、ボクも思わず満面の笑みになってしまいます。日本が誇る伝統の涼。これぞ竹虎が守り続けていきたい唯一無二の形...と、ご存じない方は思われるかもしれません。ところが、面白いのはここからです。少し視野を広げてみると竹という植物がいかにアジアの人々の暮らしに深く根ざしてきたか、驚くべき共通点が見えてきます。

台湾で見た同じ竹編み籠
こちらの画像は、実はボクが台湾を案内いただいた際に現地で見つけた竹籠です。そう、台湾だけではありません、竹が多く自生する東南アジア一帯、中国や韓国などでも、古くから同じ用途にて、全く同じ形の竹製抱き枕が作られ愛用されていたのです。竹夫人とも呼ばれ、やはり暑い夏をいかに涼しく過ごすかという、先人たちの共通の知恵から生まれた道具です。国境を越え、ずっと昔から同じ気候の悩みを竹で解決してきたという事実!やはり竹には深い深いロマンを感じずにはいられません。

今は昔か、虎竹花籠「蛇籠」
さて、一方、こちらは抱き枕から言えば、グッと小さくなる竹編みですが一時は本当に沢山編まれていた竹細工のひとつ花籠です。

花を生けるとこんなにも輝きだすのが竹籠の素晴らしさのひとつ。昭和の時代までは「花嫁修業」なんていう言葉があって、女性の方なら誰でも茶華道の嗜みが常識のように考えられていた当時、花籠は生活必需品のようにもてはやされていたのです。現在では、すっかり忘れ去られてしまった感のある花籠ですが、また時代の巡りあわせで皆様に思い起こしていただける日もあるかと願っています(笑)。

水害に立ち向かう竹編み
さらに、この円筒形に六ツ目編みするという技法。これにはもう一つ、日本の歴史と深く結びついた、とてもダイナミックなルーツがあります。それが、こちらの大きな蛇籠。この籠の役割は、なんと護岸工事!かつて、日本の川が氾濫を繰り返していた時代、洪水を防ぐためにこの巨大な竹編みの筒(蛇籠)が作られました。この中に重い石をゴロゴロと詰め込み、川の激流が当たる堤防に設置することで、水害から人々の命や田畑を守ってきたという歴史があるのです。水に強く、しなやかで、圧倒的な強度を持つ竹だからこそ、激しい濁流にも耐える護岸の要となり得ました。水害に立ち向かった骨太な土木技術の編み目が、ある種の畏敬の念と共に、洗練された美となり室内の花籠へと形を変えてきたのだと思います。
最高に贅沢な涼と夢
激流をいなし、洪水を防いだ蛇籠の強靭な編みの知恵。そして、アジアの熱帯の暮らしから生まれた、涼を呼ぶ「竹夫人」の知恵。その二つの歴史と技術の粋が、日本唯一の虎斑竹という奇跡の素材と、熟練職人の手技によって出会い、究極の形となった。これこそが、この虎竹抱き枕です。ただ涼しいだけではないかも知れません。日本の歴史、アジアの大地、そして職人の魂が一本一本の竹ヒゴにギュッと凝縮された極上の逸品。今年の夏は、歴史ロマンが詰まった虎竹の抱き枕に寄り添って、最高に贅沢な涼と夢を楽しんでください。
