
竹細工の修理
普通、竹細工というのは自分で編んだ籠しか修理しないものです。編み手によっては、同じように見えても作り方がまったく異なりますし、同じ竹材が手元にない場合が多いからです。手間も時間もかかってしまい、とても採算の合うようなものではありません。でも、それでも竹虎が積極的に修理をお受けしているのは、竹屋として使命感でしょうか(笑)、とにかく、お困りの皆様のお役に立ちたいからに他なりません。

日本の循環する暮らし
段々と多くの方に知っていただくようになるにつれ、全国からそんな修理の籠やザルが届くようになりました。そのたび、ボクはいつも日本の暮らしが本来持っていた持続可能性について深く考えさせられるのです。現代ではサステナブルやエコという言葉が日常的に使われるようになりましたが、かつての日本の暮らしには、そんな横文字を使うまでもなく、ごく当たり前に循環する暮らしが息づいていたように思います。

高知伝統の竹ざるに出会う
傷んだから捨てるのではなく、手直しして使う。親から子へ、何十年と手入れを重ねながら受け継いでいく...。ボクたちの暮らす高知の農家さんを訪ねると、そのお家の屋号や名前が墨で大きく書かれた古い竹ざるに出会うことがあります。

生活に欠かせない相棒
「これを編んだのは、あの職人さんのお父さんだろうか?」地域性の強い竹編みには、作り手の顔が見えるから本当に大好きなのですが、竹細工とはかつて生活の中で重宝され、長く愛用される、なくてはならない暮らしの相棒だったのです。

蘇る竹細工
先日修理させていただいた竹ざるも、まさにそんな使い手の想いが詰まった道具でした。大切に使ってきたけれど、壊れてしまってもう使えないと諦めかけていた竹細工でした。それも、そのはず本当に縁がボロボロになってしまっていました。そのため、本体の竹ヒゴも固定されずに抜け落ちてしまいそうで、もう捨ててしまうしかないのでは...?持ち主のお客様も、もしかしたらそんな風に思われていたのではないでしょうか。けれど、それが職人の手によって、日本唯一の虎竹で縁巻きされて見事に蘇ったのです!

自慢の宝物になる
ただ元通りに直すだけではありません。元の形が持っていた雰囲気や、使い手の思い出を守りながら、虎斑竹をあしらうことで、より強く、より味わい深い姿へと生まれ変わりました。日本の手仕事の奥深さと、ものを大切に使い続けることの美しさに、ボク自身も改めて感じ入ります。お客様にとっても、愛着のある竹籠をこれからも長く、大切に付き合っていける自慢の宝物になるのではないでしょうか。

継続利用可能な天然資源
竹はわずか3か月で親竹と同じ大きさにまで成長し、3年ほどで製品に加工できる継続利用可能な唯一の天然資源とも言われます。今年伐採しても、地下茎からまた来年には力強い命が次々と頭を出し、道具として役目を全うした後は土へと還っていきます。

先人からの知恵
そんな竹で作られた道具が壊れたとき、職人の手で再生することは単なる修理ではない気がしています。道具の命を再生し再び未来へと循環させる、先人から受け継いだ大いなる知恵そのものなのです。
