
懐かしの自転車籠
バイクに括り付けられた角籠は御用籠と言います。丈夫な力竹が沢山入れられた、荷物運搬用に全国的に広く編まれていた万能籠です。昭和の時代をご存じの皆様でしたら、「ああ、懐かしい!」と思わず膝をたたきそうな角籠。かつての自転車やバイクには、まるで当たり前のように取り付けられていました。ボクの小さい頃には、荷台には御用籠、更に両側に革製だったか、布製だったかの鞄を吊り提げた醤油屋さんのバイクが、隣町からよく走ってきていたのを覚えています。

道具も竹製
プラスチック製品や段ボールなどが普及して以来、需要の少なくなった御用籠を編む職人は本当に少なくなりました。ただ、この御用籠を見た時に、ビビッと感じるものがあり、惚れ込んで作るようになった若手の職人さんがいます。豊かな感性を持たれた方で、製作途中の籠にも独特の美学を感じます。

竹ヒゴを挟んでいる竹の二股にも気品があります。籠と道具は同じ竹材です、青く見えている竹も時間の経過と共に二股のような肌色に変わっていきます。

真竹について
日本三大有用竹と言われるものの、孟宗竹は肉厚で扱いが難しく、淡竹も編組細工に使う地域は日本でも限定的です。竹籠や竹ざるなど竹細工の多くは、粘りがあり籠編みに適している真竹で作られることがほとんどです。でも、そんな一番活用されている真竹の品質低下が随分前から起こっているのは度々お話ししている通りです。温暖化などの気候変化、土壌の変化を言われることが多いですけれど、何か一つが原因ではありません。長い年月をかけて手入れされずに来た竹林と、竹伐採する山の職人不足など、いくつかの要因がからみあい、複数の職人と話してみても真竹の品質低下を嘆いていることが多いようです。

天狗巣病
ところが、ここの真竹は少し違っているようです。竹林を拝見しても、現在の多くの真竹にみられる天狗巣病が驚くほど少ないのです。近年の竹の食害には閉口してしまうことがあります。ヒラタキクイムシなど竹の害虫は竹の身の部分に穴を開けてしますますから、もしかすると竹の身を厚く残して作る御用籠などは、このような品質の高い真竹がきっと適しているのだと思っています。

四角い御用籠
伝統的には長角のものばかりだった御用籠にスクエアな形は斬新に見えました。多くはないにせよ、こうした籠がこれからも続いていくことに期待しています。
御用籠の竹職人
日本各地で作られていた御用籠を、昔ながらの古老はこんな風に製作されています。太い竹材を削り、曲げる、合わせる、あまりにもスムーズに組上げていくので、何でもないように見えるかも知れませんが、本当に高度な竹の技術です。
