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続・幻になりつつある国産竹ひしゃく

国産竹ひしゃく


皆様は青竹踏みという製品をご存じでしょうか?この夏、尿漏れ改善に良いとテレビ番組で紹介されたことをきっかけに、初めてその存在を知ったという方も多いようです。画面越しにご覧になった方の中には、「竹を半分に割っただけのようだし、日本の山には竹が沢山生えていると聞くので簡単に安く作れるのではないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。




これは半分当たっていますが、半分は全く違います(笑)。現在、日本の里山には確かに竹があふれています。しかし、荒れて放置された竹林と、人の手で健全に手入れされた竹林とでは、生えている竹の質がまるで違います。竹の良し悪しや竹齢を見極め、竹林を循環させながら一本一本伐採していく山の職人が、全国的に激減しているのです。青竹踏みのように、竹素材そのものの形をそのまま活かす製品ほど、一切のごまかしが利きません。良質な竹を山から伐りだすこと自体が、とても難しくなっているのが現実です。


そして、これは竹柄杓(たけひしゃく)にもまったく同じことが言えます。竹柄杓は、竹の節と空洞という天然の構造をそのまま利用して作られています。茶道で使われる繊細なものから、寺社の手水舎や庭先で打ち水に使われる素朴なものまで、日本の暮らしのあちこちで親しまれてきました。なので、一見すると節のところで切って柄を挿しただけの、極めて簡単な構造に見えるかもしれません。けれど、竹を扱う上で避けては通れないのが竹の三悪と呼ばれる難敵です。


日本製竹柄杓


今年の7月に「幻になりつつある国産竹ひしゃく」として、この30年ブログにも書きましたが、三悪とは、カビ、虫、割れ、のことです。竹はデリケートな自然素材ですから、伐り出す時期や保管を誤ると、デンプン質を好む竹食い虫にたちまち喰われてしまいます。また、水分が残っていればすぐにカビが生えてしまうため、徹底した乾燥が欠かせません。ところが、難しいのがこの乾燥加減でもあって、カビを防ぐために乾燥させなければならない一方で、乾燥させすぎたり急激に乾かしたりすれば今度は「パン」と音をたてて竹自体が割れてしまう事があります。




さらに言えば、竹林の竹の太さは様々なので、柄杓の水を汲む筒の部分に適した同じ太さ、均一な肉厚の竹材を揃えるのも大変です。山で竹を見極め、適期に伐り出し、虫やカビを防ぐ油抜きを施し、割れが出ないよう注意しながら乾燥させる。そんな下準備があって初めて職人の手仕事へと繋がります。


昔は全国各地で当たり前のように作られていた竹柄杓ですが、こうした竹材管理の難しさ、そして何より良質な原竹の不足や職人の高齢化から現在では惜しまれつつも廃盤となってしまう製品も多くあります。簡単そうに見えますが、竹素材そのものの品質と職人の経験に裏打ちされた技が試される製品が少なくなっていくのは、今の日本のモノづくりを象徴しています。





竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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