
職人不足の時代、守り続ける別注サイズ
竹ヒゴの長さと、たれの長さのご希望があれば、わずか20枚から別誂えで製作できる国産オーダーメイド竹すだれがあります。これって実はかなり凄いことで、竹ヒゴ、たれの長さともに制限があるとは言え、そのサイズの竹材を常に用意していて、その都度お客様のご要望にあわせてカットして編むのです。良くこれだけの小回りのきく対応をいただけてるなあと、我ながら思っています。さすがに、近頃は職人の高齢化もあって、お客様からご注文をいただいてからお届けするまでに数ヶ月ものお時間を頂戴することが珍しくなくなってきました。それでも、蕎麦笊などに用いられるような、細く繊細な竹ヒゴで編まれた簾は、特に今時の暑い季節の食卓にはなくてはならないもののひとつ。店舗様でお使いの容器にピッタリの簾は本当に重宝されているのではないでしょうか。

同じ竹すだれでも全く違う、頑丈な簀子(すのこ)
ところが、同じように竹すだれと一言で呼ばれるものであっても、食品工場や調理現場などで使われる幅の広い、丈夫な作りになった簀子(すのこ)となると、話は全く異なっていました。この頑丈な簀子は、竹の割幅が非常に広く、厚みもしっかりと持たせてあります。さらに、それらを繋ぎ合わせていく紐も太いものを使用するため、規格外の別サイズで製作することは技術的にも工程の面でも難しく、これまでは容易にお受けすることができなくなっていた製品なのです。

美味しいお餅には竹ザルが不可欠
けれど、特に厳しい品質管理と美味しさを追求される食品メーカーさんや加工現場の皆様からは、やはり水切れの良さを考えると、代わりのきかない竹製が良い、という切実な声を何度もいただいてきました。先日も、あるお餅屋さんから、長年使い込まれた大きな片口ザルの修理をご依頼いただく機会がありましたが、その際、職人さんから「ウチの美味しい餅を作るには、この水切れの良い竹ザルが絶対に欠かせないんだ」という、非常に重みのあるお言葉をいただいたのです。この竹ザルがなけば、仕事は辞めなければならない、ボクにはそんな覚悟すら伝わってきました。

それぞれの現場にちょうどのサイズ
現在、日本全国で最前線の仕事の現場で働く竹籠や竹笊はその姿を消しつつあります。時代は進んでいますので、プラスチック樹脂製やステンレス製など、お手入れが簡単で大量生産が可能な、自然素材以外の新しい道具がいくらでもあるはずです。それにもかかわらず、頑固なまでに竹という素材をご支持いただき、求められ続ける理由。それは、単なる伝統へのこだわりや懐古主義などではなく、竹という天然素材が持つ唯一無二の機能性があるからに他なりません。竹は水切れが良いだけでなく、熱に強く、適度な通気性と抗菌性も持ち合わせています。食品工場や加工の現場には、単に水を切るという工程だけでなく、蒸す、乾燥させる、あるいは発酵させる、冷却するなど、実に多種多様な工程が存在しているかと思います。そして、それぞれの工場、それぞれの職人さんのこだわりによって、求められる道具のサイズや仕様は微妙に異なっているものです。

扱いやすく、それぞれの現場にぴったりと合う、ちょうどのサイズの簀子をお届けすること。これこそが、現場の美味しいものづくりを支え、日本の食文化を陰から支える力になると信じています。竹業界の厳しい現実はありますが、これからも皆様の仕事の現場でお役に立てる、理想のサイズの竹簀子をご提案し続けていきたいと、改めて強く胸に刻んでいます。
