幻の籠

竹虎には、昔はあたりまえだった道具たちがいくつかあります。 今ではプラスチックや新素材、安価に大量生産される品々におされて忘れられたり無くなったりした籠も多いのですが、メゴ笹洗濯籠もそのような逸品の一つです。 竹虎でも「幻の籠」といわれて自分が入社してから数年間は話だけで見たことがなかった籠でもあります。

復活したメゴ笹籠

職人の努力によって少しづつ編み上がるようになったメゴ笹の籠、しかし上質なメゴ笹が少なくなった事や伐採の時期が一年の間でも決まっていて製作期間が短い事からやはり「幻の籠」でした。

土佐郷土料理の皿鉢皿

ところが、驚くような大きなメゴ笹盛籠ができました。まるで高知伝統の料理に前菜からデザートまで一つの大きな皿に盛り付ける皿鉢料理に使われる大きな皿鉢の大皿のようです。

強靭なしなりの素材、メゴ笹

メゴ笹は一般的には酉の市でオタフクを飾ることからオカメザサ、あるいは神楽に使うカグラザサと呼ばれます。稈の高さが1～2メートル、直径が3～5ミリと小さいことから笹と名前が付いていますが竹の仲間で、細いながらも非常に丈夫で強い性質を持っています。良くしなり強靱な繊維をもったメゴ笹は割ったりせずにそのまま丸竹の状態で籠に製作するのですが、伐採してから時間が経つにつれて硬くなるため手早く編み込む必要があります。丸竹のまま編まれた籠は、ケバ立ちや、ささくれがなく表面はつるつるツヤツヤで小さなお子様が素手でふれても大丈夫な事から洗濯籠などに多用されてきました。

縁部分

メゴ笹の稈をまとめて、しっかりと編みこまれています。青々とした編み上がったばかりの籠はズシリと重いのですが、しばらく置いておくと見る見るうちに色合いが抜けていき軽くなって扱いやすくなるのです。

底編み

何本もの竹を重ねた編み込みは堅牢そのもの。上げ底になっているので、通気性も抜群です。

経年変色

竹製品は、竹を伐ったばかりの青々とした製品から時が経つにつれて少しづつ色が落ち着いていきます。だんだんと渋い色目に変化し使うごとに艶がましてくる竹細工の風合いをお楽しみいただきたいと思っています。

サイズ

天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。