虎竹のある暮らし
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ポーラス竹炭(放置竹林解消)





ポーラス竹炭という聞き慣れない言葉を聞いたのは随分と前の事なのです。教えていただいた竹炭職人さんからDVD「ポーラス竹炭の作り方」が届きました。ポーラス竹炭は日本国内でも問題視されつつある放置竹林の有効活用にも役立つ竹炭の焼き方、もしかしたら虎竹の里でも竹林管理のひとつの手段として応用できるのではないかと考えて鑑賞したものの実はそれっきりになっていたのでした。



「ポーラス竹炭の作り方」を観たものの実行に踏み切れなかった最大の理由は、その独特の焼き方にあるのです。なんとポーラス竹炭は竹林の生い茂る山の中で間引きした竹をその場で積み上げ竹林内で焼きあげるのです。竹は油分の非常に多い植物という事で知られています。一度火をつけた竹の火力は普通の木材とは比べ物になりません。

始めこそ小さな火ではありますが、あっという間に大きな炎が竹を包み込み煙がモウモウと立ち上る様子がDVDからもうかがえます ポーラス竹炭を知らない方がご覧になれば、「大変だ!山火事ではないのか!?」と思われるに違いないでしょう。本当に安全なのか、竹に火が燃え移る心配はないのか...そんな事を思いながらもポーラス竹炭に、ずっと心惹かれていたのです。















静岡県南伊豆町に位置する「一条竹の子村」は旬の筍をはじめ、四方竹などでも有名な村でした。首都圏からも比較的近いこともあってシーズン中のお休みには筍掘り体験などに家族連れなどでも賑わう筍の産地なのです。豊かな竹林に囲まれ竹文化豊かな南伊豆だからこそ、放置竹林への意識が高いのも頷けます。





南伊豆町で炭を50年に渡り焼かれている山本剛さん。この方こそ、ポーラス竹炭を提唱される第一人者なのです。昔から筍の収穫などで竹を扱い、大きな孟宗竹を刈り倒した現場で竹炭を焼いて来たと言われます。

DVDの中でも竹林の中の安全性は再三言われていましたが、実際にポーラス竹炭を焼く様子を見たいとお願いすると、快く見学を受けて下さいました。













・のこぎり、もしくはチェーンソー(竹の伐採用)
・熊手(土をならして、作業のスペースを確保する)
・カッパ(ズボン)と長靴(防水用)
・ライターやマッチ(竹の着火用)
・小川、またはタンク(約500リットル)一杯の水(消火用)
・動噴(消火用)
・鋤簾(じょれん)やクワ、箕など(竹炭を回収する)






ポーラス竹炭は、平坦な7メートル四方程度の空き地のある竹林内で焼き上げます。伐採する竹は節に黒帯が目立つ、5年以上経った竹で間引く際の目安は和傘をさして歩ける2~2.5メートル間隔で間引いていくのが良いと言われています。

竹は2~3メートルにカットし、作業がしやすいよう全て近くに集めておく事もポイントです






竹炭にゴミが入らないよう、竹を燃やす場所は熊手等で綺麗に地面をならしておきます。火入れを行うのは、雨の日や雨上がりの風が静かな日です。








空気の流れを作るため、まずは枯れ竹を井形にどんどん組んでいきます。土台が組みあがった後は、炭化したい青竹を焼いていきます。この時蓋をするように、軽い枝、細めの幹、地下茎に近い重めの幹と交互に乗せていくことで、竹組みが安定するのです。

効率よく竹をくべていくことで適度な密度と空気の流れが生まれ、炎はなんと700度前後まで燃え上がります。炎の温度は良質な竹炭を焼くためにも大切なポイントです。






「今まで50年間もの間、何度も竹林の中で火を焚くけれど、青々とした竹に火が付いたことはないです。」と話す山本さん。

竹は油分だけでなく水分を豊富に含み、また竹林そのものも湿度が高いため防火機能に優れているので、適度に管理しながら焼いていけば山火事の心配もないのだそうです。









焼きすぎてしまうと炭でなく、灰ばかりが残ってしまうため、竹が8割ほど燃えて白い灰が見えだしたら、水をかけて消火していきます。








700度の炎は表面に少しの水がかかっただけでは、なかなか完全に消えません。一人がホースから丁寧にまんべんなく水をかける、もう一人が鋤簾(じょれん)やクワで竹炭をかき出す、かき出した竹炭に又水をかけるを根気よく繰り返していきます。

この作業が完全に出来ないと、竹炭の持つ熱で火がおこり竹炭として残るどころか全て灰になってしまいます。






炎の端から少しずつ出てきた竹炭こそ、ポーラス竹炭です。同じ竹炭でも精錬度の高い飲料水や炊飯用の竹炭とは性質が異なります。

ポーラス竹炭のポーラスは「porus」、つまり「多孔質」という意味。穴が多く、良い微生物が発生するため土壌改善にぴったりな竹炭なのです。また軟質なため土とも相性が良いので、農業用として畑の肥料としても有効と言われています。

竹をかき混ぜ水をあけながら完全に消火しているのを確認できたら竹炭を回収していきます。ポーラス竹炭は焼きあがった直後から使え、雨のあたらない場所へ保管すれば長期保存が可能です。














・竹林内作業ができるので手間が少なく低コスト
優れた農業資材として多用できる
放置竹林対策としても有効である
・炭にすることで軽量化かつ長期保存ができる






里山での竹林の荒廃が言われて久しいですが、高齢化や過疎の問題はさらに加速する勢いを見せる中、これからますます深刻になってくる事が予想されます。そんな竹の管理に一石を投じるポーラス竹炭。竹林保全のために竹を間引いたものの、その竹の処理ができず竹林にそのまま放置されているのを見かける事もありますが、竹を伐ったその場で集めて炭化すれば重たい竹を山出しする労力も時間もかかりません。

その上、そこで焼き上げられたポーラス竹炭を土壌改善剤として活用されれば山で働く人達に、わずかながらでも経済的な助けともなるのです。ポーラス竹炭とは、美しい竹林と美味しい農作物を通し、沢山の方を笑顔にできる可能性を秘めた新しい竹林管理の手段ではないかと思うのです。

竹林は継続的に利用することが可能な唯一の天然資源であると同時に、驚異的な成長力がゆえに無尽蔵とも思える放置竹林の問題も抱えています。 竹炭職人の山本さんに初めて会い、お話をうかがった際はポーラス竹炭は竹炭の焼き方や種類の内のひとつだと単純に考えていました。










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