竹磨き

竹 加工 磨き


竹を磨くと聞くと、竹の表面汚れを米ぬかや濡れたスポンジやタオルなどでこすって汚れを取り、少しでも青々とした竹に見えるように綺麗にすることを連想される方が多いのではないでしょうか。虎竹や黒竹をガスバーナーで炙って、油抜きし、表面の汚れを綺麗に拭き取ることも、ある意味磨くと呼べるのかもしれません。


しかし竹細工では竹磨きというと、磨き包丁という特殊な曲線のある刃物で、竹の表面の皮を薄く剥ぐことをいいます。竹を染色する場合など、表皮が残っていると、色が染まりにくく、綺麗に染められないために、染色をする籠はあらかじめ表皮を剥いだ竹でヒゴを作って編んでいきます。


また染色しない籠でも油抜きをせず、真竹磨き手提げ籠のように青竹のまま使う場合にも、表皮を剥いで磨きをかけることによって、竹表面を綺麗にし、美しいヒゴにしていく場合もあります。この籠はヒゴの綺麗さもありますが、時間が経つにつれてあめ色に変わっていく変化を楽しめる籠ともなっています。


虎斑竹のように、表面にあらわれる美しい模様や独特の艶の美しさもありますが、この磨きの籠のように、竹本来の美しさや自然素材ならではの経年変化を楽しむことも、竹という素材の魅力だと思うのです。

竹の凹み

竹 黒竹 枝


竹虎工場横の川べりには黒竹が生えている一角があるのですが、今年も新しい竹が生えてきました。竹はたけのこから成長するのに1日で1m以上も伸びることもあるくらい成長が早いことで知られていますが、この黒竹もあっという間に伸びてきました。


細いたけのこから、皮をかぶったまま成長していますが、先の方になるとその中に枝を格納しており、幹を伸ばすと同時にその中の枝も伸ばしながら、皮が落ちるとそのまま枝を広げられるようになっています。


竹は2~3ヶ月で上への成長は止まり、それから少しづつ、固くなっていくために、この状態の竹はまだまだ柔らかいままです。その状態で枝がたけのこの皮の中に格納されているので、竹の先の方の枝の出ている部分の上側には凹みがついてしまうようなのです。


長いヒゴなどを取る場合はその部分には枝があり、凹みがあるので、それを避けて使うことになり、その部分は使えず、無駄となってしまう場合が多くあります。しかしお茶の道具の茶杓ではその凹んだ部分を桶(ひ)と呼び、その凹みを価値のあるものとして捉えているようです。


茶道は解釈の違いや、流儀などにより呼び方ややり方の違うことが多くあるようですが、その部分は凹んでいるために、お茶をすくいやすいということがまずあるようです。


その部分を竹の先の方から使うか、元のほうから使うかで、本樋とか逆樋などと呼び、樋の形の違いなどからくる、茶杓の違いなどを楽しまれているのではないでしょうか。


ヒゴなどを取るのには邪魔な節の部分や凹みも、竹によって多少の違いもあり、茶杓のように、その凹みを面白い物として見て、使うことができる竹という素材は本当に面白い物だと思うのです。