虎竹短冊入れ

虎竹短冊入れ


短冊とは現在では七夕の行事の一環として、願い事を書く折り紙を細長く切ったものが一般的ですが、これは短歌や俳句を詠む際に使われる分厚く装飾が施された色紙のような短冊を入れる用に作ったものです。


波網代というのは網代を編むヒゴの幅を少しずつ変えることによって編み模様が波のように見える編み方です。炭化竹で編んだ波網代の細いヒゴの部分を虎竹で編んで、鶴が飛んでいるかのように見せようとしたのですが、色のコントラストがはっきりせずにぼやけた感じになってしまいました。


この籠は竹細工を初めて2年目に作った籠で、もう23年も前のことです。中蓋もついていて蓋も含めて3つの籠を編んでいますが、すべて表側の籠に内側向けた籠を重ねて2重にしてあるために、6つの籠を作ったことになります。


竹細工や竹に対する思いや考え方は人それぞれだと思いますし、こういった籠を作っていた時の自分の気持ちや考え方と今の気持ちはまた明確に違います。それが23年間の時間の流れや経験、自分の竹に対する向き合い方や気持ちの変化だと思います。この籠を見るとその頃の気持ちを思い出して、とても懐かしい気持ちになるのです。