えびら用の杉板

えびら用の杉板


梅雨真っ只中の高知県須崎市安和の虎竹の里ですが、梅雨明けの梅の土用干しに使うえびらの製造に追われています。土用干しとは夏の土用の時期に衣類などを干して虫やカビを防ぐ虫干しや、田んぼの水を抜いて稲に強い根を張らせるといったことも土用干しと呼ばれ、どれも昔からの先人の知恵と言えるでしょう。


梅の土用干しとは6月頃に採れた梅を塩漬けにしておき、それを三日ほど天日に干すことを言います。太陽の紫外線で微生物などを殺菌し、梅の水分量も減らし、それによって梅の保存性を高めることができるようです。


その梅の土用干しになくてはならないざるの一つがえびらです。竹ヒゴを網代に編み、それに杉の枠を取り付けた平かごで、使う場所や梅の量によって二種類の大きさがあります。またその杉の枠には穴があけてあり、それに紐を通してベランダなどに吊るすこともできる便利な平かごとなっています。


そのえびらに使う杉板を梅雨の晴れ間に製材所から取ってきて、干しました。この杉板もどんなものでもよいのではなく、できるだけ節が少なく、白いものを選別して取って来ています。節があると杉板を引くときにその部分で微妙に曲がったり、節が取れて穴があいてしまったりする場合があるためです。


えびら用の杉板


杉の木の色は木の芯の部分に近い赤身と、外側の色の薄い白身とに分かれています。色の薄い白身のほうが最初のうちは綺麗に見えて清潔感があるため、できるだけ白身に近いものを選んでいますが、そういう杉材は少なく、赤身の混じったものや、赤身の杉材も混ぜています。


こう言うと赤身の杉材が良くないように思われる方もいるかもしれませんが、実は赤身の方が水に強く、虫やカビに強いという特徴があり、神社やお寺などでは赤身の杉材を好んで使っていたという話もあります。


竹も種類によってや、個体によって、強さや固さが違いますが、木も種類やどの部分かによって、性質や特徴が違っているようです。それぞれの特長を知って、自然素材ならではの一つ一つ違う風合いや、経年変化を楽しんでいただけたらと思うのです。