菊割りの修理


菊割り,修理


菊割りとは丸い竹をその刃の枚数に均等に割る道具です。竹の大きさや割り幅によって割り枚数を変えるために、竹虎にも3枚割から22枚割くらいまで、多くの菊割りがあります。その菊割りの手が折れてしまいました。


金属で出来たこの菊割りの手が折れるというのはよっぽどのことのように思えるのですが、これまでにも数回折れたことがあります。この菊割りは鋳物で出来ており、鋳物で出来たものは折れたり、割れたりするということを経験上知っています。


鋳物とは金属をとかし、その形に作った鋳型に流し込んで作る製造方法です。詳しい事はよくわかりませんが、その製造方法で作ると鉄の中に炭素が多く混ざり、その炭素量によって鉄の持つ性質が変わるため、この製造方法で作る鉄のことを鋳物と呼ぶようです。


その性質の最も大きな差が鉄の強度や硬度などの材料としての強さの性能だそうです。炭素が多いと材料は硬くなりますが、反面、粘り強さが落ちてきます。硬いものは限度を超える力がかかると折れることがあります。


鉄は固いというイメージがありますが、よく考えてみると鉄板などの薄い物は手で容易に曲げられます。違う製造方法で作られる、いわゆる一般的な鉄には炭素含有量が少なく、どちらかというと硬くはないが、粘りがあるということなのでしょう。


それを考えると、なぜこの菊割りが鋳物で出来ているのかが、推測されます。竹は杉などの木材よりも固く、孟宗竹など身の部分の厚いものを割るのには大変な力が必要です。鉄でできた菊割りで割っていると、少し違う方向に力がかかったりすれば、薄い刃の部分が曲がったりしてしまいます。


その点、炭素含有量の多い鋳物は固く、曲がったりはしません。だから竹虎に昔からあり、ずっと使ってきている菊割りはほとんど鋳物で出来ているのです。手が折れたといっても、その炭素含有量のせいか、鋳物は普通の溶接では強くくっつけることができず、また別の特殊な溶接が必要なようです。


この菊割りが鋳物で出来ている理由がその硬さゆえなのかは自分の推測でしかないのですが、昔からある道具にはそれなりの理由があり、先人の知恵の積み重ねの結晶だと思うのです。












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